TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ミスト」

themistusa.jpg


THE MIST
原作:スティーヴン・キング
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
出演:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、トビー・ジョーンズ、アンドレ・ブラウアー、ウィリアム・サドラー、アレクサ・ダヴァロス、ネイサン・ギャンブル

☆☆☆☆ 2007年/アメリカ/125分

    ◇

 絶望×絶望………

 見終わったあと、こんなにも打ちのめされる映画は久しぶりだ。
 しばらく席を立てないでいると、真っ暗な中のエンドロールに被せて聴こえてくる効果音が、耳のなかを“希望”と“絶望”をくり返しながら旋回する。
 小説ではできない、観客を微動だにしない映画の魔力というところだ。

 原作スティーヴン・キング×監督フランク・ダラボンの最強コンビで『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』につづき三たび放ったのは、あまりにも残酷な人間ドラマだ。

 長閑な田舎町に襲い掛かる嵐が発端だった。一夜が明けた晴天の空には、湖上から不穏な霧が発生して町を被うように流れていた。不安を感じた主人公のデヴィッドは、少し気まずい関係にある隣人と自分の息子を連れてスーパーマーケットに買い出しに行く。
  スーパーマーケットは客たちで大混雑していた。そこに「濃霧の中に何かがいる」と叫びながら、中年の男が飛び込んできた。
 すっかり霧に包まれた スーパーマーケットの外では、正体不明の生物たちが蠢き出し、大勢の客たちは店に篭城することになる………。

 真っ白な闇の中から、スーパーマーケットのガラス窓に点々と異界のバグが姿を現すところは、ヒッチコックの『鳥』の如くゾクゾクさせられ、クリーチャーものとしての恐怖感は見事だが、それ以上に、閉塞空間で異常な緊張を強いられた人間たちの行動が、一番恐いのだと云うことを思い知らされる映画だ。

 人はふたり以上いれば争いごとが生まれる。ひとりの狂信的なカソリック信者に扇動されてしまう人間の弱さやエゴ。

 ハリウッド映画の常識でいえば、恐怖と闘うために“愛”と“勇気”を持ったヒーローやヒロインが、大勢の人々を扇動する敵役をねじ伏せ、身勝手な行動をする者たちに立ちふさがり、“正義”という御旗を振る。
 しかし、正しい選択というのは本当にひとつだけなのか。
 まっ先に逃走する人間を非難は出来ないし、暴力には暴力を振るった人間が自分を悔いるところに少しは真っ当な人間がいて救われたり……。
 ただ哀しいかな、岐路に立ち自己責任で決断したあとに、本当の試練がやってくるのに唖然とする。

 アメリカ映画には不文律がある。
 ここで、それを書くとネタバレに繋がってしまうので控えるが、とにかく、このとんでもない二重のラストシーンを創造したことで、この作品は『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』と並ぶ傑作になったと思う。

スポンサーサイト

Comment

ワトソン says... "DVDの発売が待ちどおしい。"
こんにちは~
この作品は賛否があるようですけど、
ホントに傑作でしたね。
サバイバルドラマとしても必見です。
エンドロールの効果音は印象的でした。
ダラボン監督が温めていた作品だけのことは有りました。


2008.05.28 13:18 | URL | #- [edit]
mickmac says... ""
主人公の決断に無情を感じるより、
やはり、ラストの“ダメ押し”が一番ショックでしたね。

エンドロールの効果音は、観客に冷静さを取り戻す効果があったと思いますので、暗転後すぐに席を立った人たちは暗たんたる気持ちを抱えて帰路についたのでしょう。
どちらにせよ虚無感は増幅させられるので、何ともいえない後味はいつまでも残りますが………。

でもこの作品は、キングの作品としてひとつの金字塔なのは間違いなしです。
2008.05.28 18:08 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/424-47bcf0a6
ミスト ★★★★★
パニックホラー史に残る傑作です。 原作はこの本の中篇「霧」です。 The Mist(2007/10/02)Stephen King 原作:スティーブン・キング(セル) 監督:...