TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「グロリア」*ジョン・カサベテス

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GLORIA
監督:ジョン・カサベテス
脚本:ジョン・カサベテス
撮影:フレッド・シュラー
音楽:ビル・コンティ
出演:ジーナ・ローランズ、バック・ヘンリー、ジュリー・カーメン、ジョン・アダムズ、バジリオ・フランチーナ

◆1980年度ベネチア国際映画祭 金獅子賞&主演女優賞受賞

☆☆☆☆★ 1980年/アメリカ/121分

    ◇

 もの哀しいスパニッシュ・ギターとサックスの音色をバックに、夜から夜明けにかけてのニューヨークの摩天楼を俯瞰カメラが流れるように映し出していく。自由の女神やヤンキーズ・スタジアムのライトアップの美しさに目を奪われていると、次の瞬間、カメラはサウスブロンクスの風景を地上からとらえ、プエルトルコ人一家を殺すために武器を持った男たちがアパートの中に悠々と入ってくるシーンになる。
 この緊迫感あるオープニングは素晴らしい。
 
 ぼろアパートには似つかわしくないほど衣装がいっぱい詰まったクローゼットと、写真や絵に囲まれた部屋に棲む謎の女性がグロリア(ジーナ・ローランズ)。これから襲われようとしている一家の母親の友人でもある彼女が、たまたま6歳の息子を助けることになるのだが、それはニューヨーク中の“組織”から追われることでもあった。
 子供などに興味もなかったグロリアと、自分をいっぱしの男だと主張する少年フィル(ジョン・アダムズ)。このふたりが逃避行するうちに、母親と息子と云うより女と男の絆で結ばれていくことになる。

 逃避行はサウスブロンクスからリバーサイド、タイムズスクェアからピッツバーグへと及ぶが、ただ逃げるだけじゃない。グロリア姐さんの凄いところは、追っ手に対して有無を云わせず反撃する。街中で出会う追っ手たちに何の躊躇もなく拳銃を向けるグロリアの姿は、タフでクールでエキサイティングだ。
 実は彼女、組織のボス・タンジーニ(バジリオ・フランチーナ)の元情婦。彼女も組織の中の人間だったため、組織の恐ろしさは十二分に知り尽くしている。彼女が組織に楯突くことはただ一点。6歳の少年の命まで狙うやり方が許せなかっただけ。

 映画は、グロリアとフィルの関係が変わっていく様も丁寧に追いかける。自分をアバズレと呼ぶグロリアの表情がフィルの笑顔に癒されていくし、グロリアを邪魔者扱いしていたフィルも「あんたはタフだね」とねぎらったりする関係が築かれていく。
 年上の女性に恋する少年と、彼の成熟さに癒されることで自分以外に大切にしたい相手を見つけた中年女の母性は恋愛と同じ。
 だから、ふたりが安らぐ瞬間をスローモーションに込めたラストが心地よい。

 ウンガロのファッションに身を包み、ハイヒール姿でタクシーを口笛ひとつで止めるグロリア。40代半ばのジーナ・ローランズがタフな女性像を創りだしたおかげで、80年代にしてハードボイルド映画の新しい原型が生まれたわけで、1996年の『レオン』は『グロリア』なしでは語れないが、この『グロリア』の設定は日本の『子連れ狼』にインスパイアされたとジョン・カサベテス監督は語っていた。

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