TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「白昼の襲撃」*西村潔監督作品



監督:西村潔
脚本:白坂依志夫
音楽:日野皓正
出演:黒沢年男、高橋紀子、出情児、岸田森、殿山泰司、緑魔子

☆☆☆☆ 1970年/東宝/89分

    ◇

 東宝ニュー・アクション映画の担い手のひとり西村潔監督が、「死ぬにはまだ早い」('69)に続いて黒沢年男と組んで製作したハードボイルド・アクションの代表作。
 
 この映画で、ギラギラと満たされない若者像を奔放に演じている黒沢年男は、現在ヴァラエティ番組などで見せている天然ボケぶりのオヤジからは想像できないほど格好いいです。キャバレーのバンドマンやトラックの運転手などの経験をしてから、東宝のニューフェイスに合格したという叩き上げのハードな男っぷりだった。

 小さな運送屋で働く修(黒沢)と、ゴーゴー・クラブの踊子ユリ子(高橋紀子)と、修の少年院での弟分のオカマの佐知夫(出情児)の三人は、一丁の拳銃を手にいれたことで暴走を繰り返す日々。ある日、大学生とのいざこざで事件を起こし怪我を負った修は、鳴海(岸田森)という男に救われる。鳴海とその妻(緑魔子)の知的な物腰に惹かれた修は彼の部下になり、ボスの佐伯(殿山泰司)の命を狙う裏切り者を消す仕事を命じられる。このインテリやくざ役がぴったりな岸田森の正体も、政治的暗殺集団のテロリストだったことで、佐伯に殺されてしまう。
 佐伯に腕を見込まれた修は、ユリ子とともに外人バーの経営を任されながら、ダークな世界へと身を堕としていくのだが、大学生射殺事件を追う刑事の追求を逃れるために、今の生活に未練を残しているユリ子を尻目に、佐知夫とその友人でヨットをもっているジョニーとともに外国への逃亡計画を準備する。そして、佐伯を殺して金を奪い夜明けの埠頭へ向かう男3人の目の前には、捨てられた思いのユリ子が密告した警察の捜査網だった。
 刹那的に生きる若い野獣たちの生き方を、社会に受け入れられない心情と、彼らの友情と裏切りをハードに描いた傑作だ。

 映画は、クールな映像とともに日野皓正のけだるいトランペットの音色が素晴らしく、「スネイク・ヒップ」はロックのリズムに乗ったダイナミックな曲で、「白昼の襲撃のテーマ」は一音一音から乾いた若者の心情が感じられる。サントラ盤は、曲のラストに劇中ラストの銃声が入っていてとても印象的だ。CDは『GO! CINEMA REEL3 ワイルド・サイケを歩け』(PSCR5899)の中に2曲ともラストの銃声を含めて収められているのだが、ひとつ残念なのは、レコードには収録されている銃声の後の修の叫びがカットされている。権利上の問題だろうが、この叫びは重要です。

 西村潔監督にとって東宝ニューアクションでの黒沢年男とのコンビはこの2作のみだが、この後、加山雄三主演で「豹は走った」(大映から迎えた田宮二朗が黒豹と呼ばれるスナイパー役)「ヘアピンサーカス」を、三浦友和で「薔薇の標的」「黄金のパートナー」(仏映画「冒険者たち」のパクリにしか見えなかった)を撮ったのち、主に舞台をテレビに移し、松田優作の「探偵物語」をはじめ「ハングマン」「西部警察」「あぶない刑事」シリーズなど、長谷部安春や村川透とならび一貫してアクションものを撮っていた。


★モダンジャズとの融合、再び「白昼の襲撃」★

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