TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「青に候(あをにさうらふ)」志水辰夫

 次々と文庫化、あるいは新装版が発刊されている志水辰夫の小説群………少しでも多くの人に知ってもらいたく、志水辰夫の小説書庫【noa noir】をブログとして立ち上げていますが、もっと多くの読者を獲得するために、【Tea For One】のカテゴリーにも掲載することにしました。

 【noa noir】においては、ほぼ全ての作品のブックカバー写真と惹句を掲載しています。初版の単行本で既に読んだ作品でも、気軽に再読するために文庫本も購入しているため、ブックカバーも複数になっていますし、簡単なあらすじも加えているので、購読の参考になればと思っております。

 まずは、最新作の『青に候(あをにさうらふ)』を再紹介いたします。

    ◆


【新潮社】定価1785円 2007年2月初版

    ◇

 いくつかの書評やメディアにおいて絶賛されている初の“時代小説”は、これまで“冒険小説”のデビューにはじまり“コミカル・アドヴェンチャー”“ミステリー小説”果ては“情痴小説”、そして、長篇の筆を休み短編小説の量産と、常に読者の期待を裏切ってきた作風が、遂に、天保の時代に辿り着いたようだ。“シミタツ節”の復活である。
 
 実は、時代考証に嵌った文体がどうも読みづらく、時代小説といったものをあまり読んだことがない。唯一読んだといえば『仕掛人・藤枝梅安』シリーズ、『剣客商売』シリーズ、「鬼平犯科帳』シリーズの池波正太郎だけである。
 この『青に候(あをにさうらふ)』も、はじめはどんなものなのか不安だったが、いやぁ見事に、どこをとっても志水辰夫の小説世界になっており、それは幕末を舞台にした“冒険小説”であり、“恋愛小説”であり、“青春小説”になっている。

 お家騒動に巻き込まれ家中のひとりを斬り、国許を脱し、江戸に戻った主人公の神山佐平は二十代の下級武士。同じく江戸に戻り、ある秘密を握ったまま姿を消した同僚の縫之助を探すことになるのだが、自らも命を狙われることになる。江戸屋敷に詰める上司らも敵なのか味方なのか判らない。
 国元と江戸おもてとの対立や藩主らへの反乱のなか、若い侍たちがどう生きていったか。フラッシュバックで描かれる事件の背景を交えながら、逃避行の末、主人公が武士にこだわらず生きていく道を選んでいく。

 志水辰夫の小説で、魅力的なのが女性たちの存在だ。
 友人の目付小宮六郎太の母親や妹たえ。佐平の幼馴染みで淡い恋ごころを抱く元君主の側室園子。縫之助を待ち続けるお栄。佐平との関わりが、それぞれ魅惑的に描かれる。
 みんな、凛としたイイ女なのだ。これぞ、志水辰夫の世界!

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