TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「狙撃」*堀川弘通監督作品

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監督:堀川弘通
脚本:永原秀一
出演:加山雄三、浅丘ルリ子、森雅之、岸田森、小沢昭一、藤木孝

☆☆☆★ 1968年/東宝/87分

    ◇

 加山雄三が“若大将”のイメージをガラリと変えてクールな殺し屋を演じたハードボイルド・アクションで、共演に日活から浅丘ルリ子を招いての東宝ニュー・アクションの傑作。
 当時、加山雄三の“若大将”映画は見たことがなく、テレビの中でエレキギターを持ったカッコいいお兄さんがいるというイメージしかなかった。だからこの映画を見た時のイメージは、ただただカッコいいアニキがいると映っていた。

 冒頭、ビルの屋上を俯瞰で捉えるカットから始まる。スナイパーの松下(加山雄三)が煙草の煙で風の流れを読み、ビルの谷間を走る新幹線に乗っているターゲットを、スコープ付ライフルで狙撃する。消した煙草はきちんと上着のポケットの中にしまい、悠然とビル下に停めておいたトヨタ2000GTに乗り込み、駅のコインロッカーへ金を取りに行く。次のカットはベットに寝ている女。女が「もっと楽しみましょ」と云う言葉を尻目に、金を女に渡して出て行く松下。ここまでほとんど口をきかない加山と、バックも無音。そしてタイトル。音楽は、ジャジーで物憂い女性のスキャット。どこまでもクールだ。
 組織の依頼を受けるところでは壁を背中にして立つなど、なんだかゴルゴ13みたいと思える箇所があるのだが、実はゴルゴ13の連載はこの年の10月から。永原秀一の脚本は、66年のイタリアン・アクションの傑作「殺しのテクニック」の影響を受けている。この「殺しのテクニック」は他にも多大な影響を与えており、「ダーティハリー」や「レオン」の原点でもある。中学生の時に見たこのロバート・ウェバーのスナイパーが実に格好よくて、この頃、モデルガンを集めだしたりしていたな。

 射撃場で知り合うファッションモデルの彰子(浅丘ルリ子)は蝶の蒐集をしていて、いつかニューギニアの地に幻の蝶を探しに行きたいと夢みている。松下が殺し屋と判ったら「なぜ、人を殺すの?」と問い、彼が「理由なんかない。生きている実感を確かめるために人を撃つ」と答えると、男の胸に飛び込んでいく。なんだかね……(笑)。それにしても浅丘ルリ子の美しいこと。グラマーではないだけに、半裸状態で踊り狂うシーンはかなりエキゾチック。
 
 さて、次に組織から依頼されたのは金塊強奪。密輸の取引現場で相手を皆殺しにして横取りをするのだが、なんとも乱暴な話。案の定、密輸団はプロの殺し屋を日本に送り込んでくる。飛行機のタラップから降りて来たのは、ブロンド女性を連れた壮年の殺し屋・片倉(森雅之)。渋いっ。それでいて腕がたつ。松下はこのベテランスナイパーに追いつめられていく。
 そうそう、松下を援助する銃器のプロ深沢を演じるのが、岸田森! 何に出ても強烈な個性を見せてくれます。43才の死は、あまりに早すぎたよなぁ。
 ラストは男と男、一対一の対決。
 浜辺での一騎討ちは、黒沢明に師事した堀川弘通監督だけに、息のつけない緊張感があった。

 脚本の永原秀一は、この映画の前年には宍戸錠主演の傑作「拳銃は俺のパスポート」を書いていて(映画館で見たのは'84年)、70年代には「野良猫ロックシリーズ」「無頼」「新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ!」など日活ニューアクションを。そして、松田優作の「遊戯」シリーズや「蘇る金狼」もこの人。テレビでは「西部警察」が有名だ。

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