TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ガラスの墓標」*ピエール・コラルニック

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CANNABIS
監督:ピエール・コラルニック
原作:F・S・ジルベール
脚本:フランツ・アンドレ・ブルジョ
音楽:セルジュ・ゲンズブール
出演:セルジュ・ゲンズブール 、ジェーン・バーキン 、ポール・ニコラス 、クルト・ユルゲンス 、ガブリエル・フェルゼッティ

☆☆☆★  1969年/フランス・イタリア/96分

    ◇

 鬼才セルジュ・ゲンズブールと、当時同棲中だったジェーン・バーキンとの共演作で、ドラッグと乱交パーティーそして暴力など、60年代終わりの退廃的なパリを背景にしたフィルム・ノワールだ。
 まぁ兎に角、やたらとふたりのラヴシーンが出てくる。
 それでもファッション・モデルだけあって、そのスレンダーな裸体に生々しさはない。 官能性より、美しいバーキンの魅力に溢れている。

    ☆

 ある住宅地の、凄惨な居室から映画は始まる。
 中年のロシア人セルジュ(セルジュ・ゲンズブール)と若い相棒ポール(ポール・ニコラス)が殺しの仕事を終え、スタッテン島からフェリーに乗りニューヨークに戻るタイトルバックには、ゲンズブールが歌う主題歌『キャナビス』が流れる。傑作だ。
 ニュヨークの風景と、恰好いい音楽でまず惹き込まれる。

 ニューヨーク・マフィアの殺し屋セルジュは、ボスの命令で敵対するフランスの麻薬組織の大麻工場の壊滅を依頼され、ニューヨークからパリへ向かう。
 空港に降り立ったセルジュを待っていたのは敵の部下たちで、拉致され、傷を負うことになる。なんとか逃げのび、飛行機のなかで知り合った大使令嬢のジェーン(ジェーン・バーキン)のアパートメントに匿ってもらう。
 そこで二人の愛が育まれていく。

 数日後、遅れて渡仏してきたポールもジェーンの部屋に同居しながら三人の共同生活が始まるのだが、ここから、若いポールと中年のセルジュとの関係が徐々に見えてくる。修羅場を潜ってきた同志でもあり、父と息子のような尊敬と畏敬の存在でもあるし、同性愛的感情も見えてくる。
 ジェーンはポールがセルジュを連れて行ってしまう危惧を抱き、ポールはセルジュが変わっていくことへの不満が募っていく。

 傷が癒えたセルジュは、再び仕事を始める。まずは、自分を嵌めた男たちをゲイ・クラブで襲い、死の洗礼をする。
 そして、大麻工場になっている養鶏場への襲撃となる。
 画面いっぱいに埋まる何千羽という鶏の、赤い鶏冠と白い羽が舞うシーンが印象的だ。

 仕事を終えたセルジュが、ポールにコンビの解消を言い出す。組織を抜け、ジェーンと姿を隠すと言うのだ。
 女に心を奪われたセルジュへの怒りで、組織にその事を密告するポールは苦悩する。
 〈彼を殺せ〉「そんなことは出来ない」〈人を行かせる〉「他の者には殺させない」
 ………………………
 ポールの赤いクーペが、ジェーンの運転する車を追いながら、パリの街から郊外へと、激しいカーチェイスが続く。
 ポールもジェーンも、どちらもセルジュを独り占めしたい……。そんな心理状態を、それぞれのバストアップのカットの積み重ねで見せていく。

 ポールに対して銃の引き金が引けないセルジュは、空に向かって6発の銃弾を放つ。
 そして、愛により自分の人生を見つめ直そうとするセルジュは、友情の狭間に揺れながら、凶弾に倒れる。

 フランスのフィルム・ノワールの底辺には、必ず男同士の友情が流れている。仲間同士でも、敵同士でも、そこに男の美学がある。

 ジェーンの叫び声が響き、唐突に暗転…………


 原題の『CANNABIS』とは大麻のこと。開巻「この映画はドラッグの映画ではない。愛とアクションの映画だ」とテロップが出るが、邦題の『ガラスの墓標』とは、実に名タイトルだ。

 セルジュ・ゲンズブールはロシア系ユダヤ人で、当時41才。ジェーン・バーキンは22才だった。

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