TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「県警対組織暴力」*深作欣二監督作品

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監督:深作欣二
脚本:笠原和夫
出演:菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、金子信雄、成田三樹夫、池玲子、室田日出男、川谷拓三、佐野浅夫、弓恵子、藤岡重慶

☆☆☆☆ 1975年/東映/101分

    ◇

 ♪真夜中お茶漬け食べるたび
   松方弘樹真似て 流しで茶碗を洗い
     笑うアンタもういない

 大西ユカリの『「県警対組織暴力」をもう一度』のこのワンフレーズは、この映画の名シーンのひとつだ。

    ☆

 深作欣二と笠原和夫の『仁義なき戦い』が終わり、再びふたりが組んだこの日陰者物語は、『仁義なき戦い』に比べるとパワー不足の感があるとしても、随所に刻まれた俳優たちの名演技と台詞の数々が“情”として記憶に残る傑作に仕上がっている。

 架空の町を舞台に、市会議員と警察の癒着や利権と抗争のなか、マル暴の巡査部長・菅原文太と地元ヤクザの組長代理・松方弘樹との儚い関係を描いたストーリーで、カタルシスもなく、ただただ無情に終わる。

 元組長で市会議員の金子信雄と、ヤクザの成田三樹夫らと対立するのが松方弘樹で、文太は過去にある事柄から松方と一緒につるんでいる。

 お茶漬けシーンは、酔っぱらった文太をうらぶれたアパートの一室に送り届けた松方相手に、ふたりの関係を回想シーンとして出てくる。ザラついたモノクロ画面だっただけに、余計に印象が強い。

 6年前。敵対する組長を殺した松方が、文太のひとり住まいの部屋に自首をしにくる。
 連行する前に茶漬けを食わせる文太。
 一点を凝視しながらガツガツ茶漬けをかっ込む松方。
 文太が本部へ電話をかけるその後ろで、素っ気ない流し台で茶碗を丁寧に洗う松方がいる。
 そんな松方の姿をみて、電話を置く文太。いつしか事件は迷宮入りになる………。

 「あの姿を見たときから、おまえの旗をかかげ持ったんじゃ。男になれや、男に……」と、酔い潰れていく文太のそばには、出て行った女房と子供の写真がひとつ………。
 松方はそっと部屋を出て、外で待っていた情婦の池玲子に「今夜から面倒みちゃれ」と言い残して立ち去る。

 そんな松方を、ラストには撃ち殺す文太。
 寂し気な姿に、むせび、鳴り響くテナーサックスの音色。

 大西ユカリと新世界の『「県警対組織暴力」をもう一度』の間奏のサックスは、このシーンへのオマージュになっている。

    ☆

 名シーンと言えば、取り調べ室で全裸にされメチャクチャ痛めつけられる川谷拓三がいる。山城新伍と菅原文太ふたりの大スター相手に、一世一代の名演技でその存在感を極めていた。

 このあと警察署の男便所のなかで、川谷に女房と逢い引きさせる文太の“情”も見逃せない。

 佐野浅夫扮する中年のベテラン刑事の哀れや、何かにつけて「ヤクザよりアカを潰せ」と言い放つ汐路章。マブダチの刑事・山城新伍をやむなく撃ち殺し、泣き叫ぶヤクザの室田日出男。みんな脳裏に残る。
 倉庫の隅で文太に懐中電灯で照らし出され、震えて、拝みながらダンヒルのライターを差し出すちんぴら奈辺悟のエピソードも忘れ難い。。
 そして傑作は、オカマの田中邦衛と、生首をゴロリと斬られる片桐竜次だろうか。

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