TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「曾根崎心中」*増村保造監督作品



原作:近松門左衛門
監督:増村保造
脚本:白坂依志夫、増村保造
音楽:宇崎竜童
出演:梶芽衣子、宇崎竜童、井川比佐志、左幸子、橋本功

☆☆☆☆ 1978年/日本・ATG/112分

    ◇

 1978年、それまで「さそり」の松島ナミや「修羅雪姫」のお雪といったアウトローな女のイメージが焼き付いてしまった梶さんが、自ら企画して制作されたのが近松門左衛門の古典・お初と徳兵衛の「曾根崎心中」。日活時代から憧れだった増村保造監督の手によって、梶さんにまたひとつ代表作が生まれた。
 共演の徳兵衛役は、旧知の仲でありこれが映画デビューになるダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童。それまで強面のイメージだった彼が初めてサングラスを外して現われたのだが、なんとも、梶さんとは対照的に優しい眼をしていた。音楽も宇崎竜童が担当し、そのロック調のリズムが従来の古典作品の先入観を覆した。梶芽衣子にしろ宇崎竜童しろ、かなり現代的なふたりで創られた古典だから、心中モノの情緒感をいっさい省いた演出はドライだ。

 映画は、曾根崎の森に心中に行くふたりの道行きから始まる。梶の眼光は、終始思い詰めたそれであり、常に“死”を恐れない強い女の眼差しを徹底的に印象づける。『女の意地』のため、恋に殉ずる究極の美学として徳兵衛に“死”をせがむ。きらきらした眼のクローズアップに魅了される。抑揚のない発声で喋る台詞にも凄みがあり、好いた徳兵衛を散々な目にあわす憎い九平次に対して啖呵をきるところは、鬼気迫る圧倒的な迫力があった。

 女を描いて定評がある増村保造監督の作品には、強い女性が登場する。「でんきくらげ」の渥美マリは肉体を武器に闊歩する自立した女。「痴人の愛」の安田道代(現・大楠道代)は自由奔放に生きている。「大地の子守唄」の原田美枝子は、13歳で売春宿に売られた少女として過酷な運命に力強く立ち向かい生き抜いた。みんなそれぞれ、肉体を通じてエネルギッシュに女の情念を見せつけ観客を圧倒していた。
 そして「曾根崎心中」の梶芽衣子。底辺で生きる女の意地と、恋の主導権を握る強い女を見事に演じ、この年の各映画賞で主演女優賞を獲得した。


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映画『曾根崎心中』
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