TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「16 ブロック」

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16 BLOCKS
監督:リチャード・ドナー
脚本:リチャード・ウェンク
主演:ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モース

☆☆☆★ 2006年/アメリカ/101分

    ◇

 開巻、血みどろな殺人現場にいる刑事に、手の空いてるアイツを、と呼び出されたジャック・モーズリー(ブルース・ウィリス)。交代の制服警官がくるまで夜通し死体の見張りをさせられるのだ。つまらない仕事を押し付けられても、ただ惰性で過ごす冴えない中年刑事。
 真夏のニューヨークの汚いアパートの一室。空調をオンにして、ビールと雑誌を片手に死体の横でソファに身体を沈める男の、なんと寂しい姿よ。
 この、ブルース・ウィリスの実年齢よりグッと老け込んだ、人生を捨ててしまったかのような無気力ぶりの登場に、まず目を奪われた。でっぷりと腹が出たアル中ぶりが、なかなか良い。
 
 夜勤明けの午前8時。マンハッタンの分署に勤めるジャックは上司から、仮釈放中に悪事を働いて拘留中の囚人エディ(モス・デフ)を、ある事件の証人のために“16ブロック”先の裁判所へ午前10時までに護送してくれと頼まれる。たった15分程度で片付く簡単な任務が不運の始まりとなる。
 護送するはずだった警官が交通渋滞に巻き込まれてのこと。だから護送するジャックたちも、まずはニューヨークの朝のラッシュに引っ掛かる。交通渋滞はもちろん、地下鉄も何もかも雑踏する街がニューヨークだ。
 実際にニューヨークに行ってみると、朝夕のその凄さを体感できる。特にダウンタウンとニュージャージーを結ぶ近辺は想像以上で、何度も行くなかで一度だけ経験をしたが、二日酔いで疲れの溜まったジャックでなくても嫌気がさす。
 
 その雑踏のなかでエディの命が狙われた………。

 追っ手を射殺し、車を捨て、身を隠し、応援を呼ぶ。現われたのはかつての相棒フランク(デヴィッド・モース)と殺人課の刑事たち。実は自分たちの汚職を隠すために、エディの命を狙う張本人だった。ジャックは反射的に仲間たちに銃を向け、エディを連れて逃避行に出る。
 マンハッタン分署の警官たちを敵にまわしてしまった彼らが、時間までに裁判所に辿り着けるのか。

 手に汗握るサスペンスが繰り広げられる。

 マルベリー・ストリートからキャナル・ストリート。そしてチャイナタウンやリトル・イタリー。ニューヨークのダウンタウンを十二分に活かした逃避行は、特にチャイナタウンの“迷宮”が面白い。
 いくらニューヨークの撮影とはいえ、この混雑した地区での撮影の困難さを想像してしまうくらい、手持ちカメラでリアリティある街のライブ感が映される。
 ニューヨーク好きには堪らない。

 黒人青年エディ(モス・デフ)が無闇矢鱈と喋りまくり、字幕スーパーを読む観客にはうるさくて面倒と思うひとがいるだろうが、彼の一見無駄話と思える喋りはきちんとストーリー核に嵌っている。このウザイ喋りが、ラストで効いてくるのだな。エディの早口で大きな声が巧く活かされているシーンもある、よくできた脚本だ。
 このマシンガン・トークのモス・デフは、ラップ・ミュージシャンの俳優ということで納得。巧いキャスティングだ。

    ☆    ☆

 映画は問う。

 人間は変わることができるのか。

 酒に溺れる男と、人生の半分以上を刑務所で暮らした男の再生物語に、
 人間そうそう簡単に変われるものじゃないよ。
 と、答えるのは容易いことだけど、
 必要なのは「変わってみせる」「変わらなければ」とういう強い意志が問題なのだ。

 このメッセージが積み重なり、ラストシーンにホロリとする101分だった。

 そして更に、クロージングに流れる“愛の伝導師”バリー・ホワイトの「Can't Get Enough Of Your Love,Baby(あふれる愛を)」がいいね。
 チャック・ベリーとバリー・ホワイト、このふたりが要です。

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Comment

ワトソン says... ""
こんにちはお邪魔します
早くこの記事を見ていれば良かったです。
先週まではやってたのに・・・・
残念ですが観損ないました。
面白い映画だったようですね。
ニューヨークに行ったことないですが
渋滞が凄いようですね映画になるほどとはね。
レンタルが出たら必ず観ます。
楽しみです。
2006.11.12 09:48 | URL | #- [edit]
mickmac says... ""
ワトソンさん どうもデス。

この映画、先日NHK-BS2で放送されていたC・イ-ストウッド監督の『ガントレット』の影響を少し受けています。
でも、テーマが全然違いますからね……。

ニューヨークへ行ったことがなくても、観光地ではないNYの空気を感じることができ、楽しめると思いますよ。
2006.11.13 18:24 | URL | #- [edit]

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