TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「あの頃ペニー・レインと」*キャメロン・クロウ

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ALMOST FAMOUS
監督・脚本:キャメロン・クロウ
出演:ビリー・クラダップ、ケイト・ハドソン、フランシス・マクドーマンド
   フィリップ・シーモア・ホフマン

☆☆☆☆ :2000年/アメリカ/123分

    ◇

 映画に登場する伝説のロック・ジャーナリスト、レスター・バングス(フィリップ・シーモア・ホフマン)の言葉を借りれば、1973年にはロックの全盛期は過ぎていた。ウッドストックが終わりフラワームーヴメントも過ぎ去った70年代初めには、ジミヘンやジャニスやジム・モリソンの屍しかなく、ピースサインの虚飾が剥がれ《セックス、ドラッグ&ロックンロール》のバカ騒ぎで終焉を迎える時代に入っていた。しかし、その時代に生きていたぼくらにとってロックは、まだまだ自由を与えてくれる存在だった。
 
 厳格な大学教師の母エレイン(フランシス・マクドーマンド)と折り合わず、家を出て行く姉アニタ(ゾーイ・デシャネル)の影響でロック好きになるウィリアム(パトリック・フィジット)。アニタが弟にささやく言葉がいいね。
 「ベッドの下を見て。自由が見つかるわ」
 そこには、ストーンズ、ツェッペリン、クリーム、ディラン、J.ミッチェルにフーのレコードがあった。
 69年、サイモン&ガーファンクルの「ブックエンド」のレコードを見て、母が「マリワナやってる目よ」って云う。自由の国アメリカだって、たった36年前までは好きな音楽も自由に聴けなかった人たちがいた。

 ローカル紙に載ったウィリアムの音楽評論が、大手音楽雑誌『ローリング・ストーン』誌のスタッフの目にとまり、原稿依頼としてブレイク前のバンドのツアーに同行しながら記事を書く事になる。ウィリアム若干15歳の時で、キャメロン・クロウ監督の実際のエピソードだ。アメリカのジャーナリズムの凄さは、書き手のネームバリューではなく、記事の内容が評価されることだ。だから、15歳の音楽ジャーナリストが生まれることになる。
 レスターがウィリアムに、「好きなバンドなら、正直に、手厳しく書け」とアドバイスを贈る。評論・批評の基本だ。

 バンド・ツアーに同行するミューズのペニー・レイン(ケイト・ハドソン)。本名は誰も知らないが一目を置かれている存在。彼女への淡い恋心と、バンドのリーダー・ラッセル(ビリー・クラダップ)との間に生まれる年齢を超えた友情などを盛り込んだ、青春ロード・ムービーとなっていく。

 この映画は、音楽はもちろん、ファッションや若者の行動にしろ、70年代の空気を運んでくれるが、あの時代を知らない人たちにはどんな風に写る世界なのだろうか。例えば、“グルーピー”と“ミューズ”。ペニー・レインに云わせると、“グルーピー”は「自慢するためにロックスターと寝る女たち」で、“ミューズ”は「音楽のインスピレーションを与える存在」と云う事になるが、ミュージシャンたちにとってはどちらもセックスの相手になることでは同じで、結局は、利用され捨てられる存在だ。
 ぼくは、当時周りにいた女の子たちを思い出した。有名バンドのミューズだった女の子もいた。ペニー・レインのように本名も知らないカリスマ的な女の子もいた。そういった女の子たちを肯定も否定もしないが、バンドの共同体として疑似家族を形成していたのは確かだ。

 あの時代を連想させるエピソードも豊富だ。演奏中に感電するシーンではストーン・ザ・クロウズのギタリスト、レズリー・ハーヴェイを思い出し(72年に感電死)、雷雨の中の飛行機シーンはレイナード・スキナードの忌まわしい事故が頭に浮かんだ。また、同行するバンドのスティール・ウォーターのポスターが、オールマンズのフィルモアの裏ジャケだったりするのはご愛嬌か。

 はじめに70年代はロックの終焉と書いたが、それでもやはり、映画の中に流れる当時の曲たちの何と輝いていたことか。いくつかの曲を聴きながら、切ない思いになるのはぼくだけではないだろう。

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《MUSIC》

Simon & Garfunkel ◆ "America" 

The Who ◆ "Sparks" 

Todd Rundgren ◆ "It Wouldn't Have Made Any Difference" 

Yes ◆ "Your Move" "Roundabout"

The Beach Boys ◆ "Feel Flows" 

Black Sabbath ◆ "Paranoid"  "Sweet Leaf" 

Jethro Tull ◆ "Teacher" 

Rod Stewart ◆ "Every Picture Tells A Story" 

Joni Mitchell ◆ "River" 

The Allman Brothers Band ◆ "One Way Out" 

Lynyrd Skynyrd ◆ "Simple Man" 

Little Feat ◆ "Easy To Slip"

Elton John ◆ "Tiny Dancer" 

Guess Who ◆ "Albert Flasherr"

Fleetwood Mac ◆ "Future Games"

David Bowie ◆ "I'm Waiting For The Man" 

Neil Young ◆ "Everybody Knows This Is Nowhere"

Free ◆ "Wishing Well"

Led Zeppelin ◆ "That's The Way"  "The Rain Song"
"Misty Mountain Hop" "Tangerine" "Bron-Yr-Aur"


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