TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ブルーレイン大阪」*小沼勝監督作品

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監督:小沼勝
脚本:高田純
出演:志水季里子、広瀬昌助、久我冴子、絵沢萠子、江上修

☆☆☆☆ 1983年/にっかつ/79分

    ◇

 八代亜紀の『ブルーレイン大阪』を主題歌に、ロックシンガーの夢を捨てたおんなと無頼派カメラマン、そして彼を慕うサーカスのおんな芸人が織りなす男と女の微妙な関係を描いたのが、日活歌謡ロマンポルノとして公開された小沼勝監督の『ブルーレイン大阪』。秀作メロドラマである。

 大阪は北新地のクラブ“萠”。クラブのピアニストが『ブルーレイン大阪』の旋律をしっとりと奏でるなか、水たまりに落ちている少女の赤い靴を映しながら、雨上がりの新地の夜景から物語が始まる。
 実姉の大ママ(絵沢萠子)が身体をこわし療養している間、店を切り盛りする妹のチーママ待子(志水季里子)。
 彼女の周りには、勇夫という若い恋人や真面目にプロポーズをしてくれる常連の商社マンがいるのだが、ある日、かつての恋人でカメラマンの悠司(広瀬昌助)と再会をする。

 3年前、カメラマンとして夢を賭けた仕事のため待子の許を去った悠司は、サーカスの現場に迫った写真集を出版して成功。サーカス団にいた五月という女を連れて大阪にきていた。
 待子ともう一度やり直したい気持ちがある悠司の誘いに、戸惑う待子。そんなふたりの関係に嫉妬をする五月と勇夫。
 同じ過ちを繰り返したくないと自分に言い聞かせながら、結局、悠司と躰を重ねる待子。悠司の躰には、かつて自分がナイフで刺して作った傷跡がある。
 いまだに、ふたりには癒しきれない古傷がしっかりと残っていたのだ。

 酒に溺れる男の姿に耐えかね、ひとりライブハウスのカウンターで佇む。ステージでバラードを歌う女性シンガーに、かつての自分を重ね合わせる待子。バンド演奏を延々と流しながら、待子の表情を追うカメラ。いいシーンだ。
 後に脚本の高田純氏は、このシーンに、名唱“大阪で生まれた女”を歌う大上瑠利子を起用したかったのだがポルノ映画ということで断られた、と回想している。
 70年代後半、関西ロックの雄と云われていた伝説のソウル・ファンク・バンド「スターキング・デリシャス」で、ごっついシャウトを聴かせていた大上瑠利子の選択はいいとしても、“大阪で生まれた女”ではあまりにもベタ過ぎていたのではないかな。
 結果、ゴダイゴのバックヴォーカルやJABBのツイン・ヴォーカルのひとりだった坂本めぐみというシンガーが「ドラマ」という歌を熱唱しているのだが、これがなかなか聴き応えある。

 志水季里子はこれが映画初出演だが、夜の街で気丈に生きながら、夢を追いかける男に振り回される女の未練を、情感たっぷりに見せてくれている。彼女はこのあと、相米慎二監督の『ラブホテル』でも、村木哲郎の別れた妻をしっとりと演じていた。

 万博記念公園のベンチで悠司を待つ待子。約束の時間に行くことが出来なくなる悠司の事情は、メロドラマの常道でありながら、悠司のこころ変わりは男のエゴ。
 ふたたび裏切られた女の嗚咽を、八代亜紀の歌声がやさしく包み込む。
 
  ♪ めぐり逢えば 別れがくる  
     追いかければ 逃げてゆくわ
       ブルーレイン  雨の大阪 ♪



 やるせなく、切なく、女ごころの揺れを、軽快なメロディに乗せて歌う八代亜紀。作詞荒木とよひさ、作曲浜圭介のコンビで作られた1983年の佳曲である。



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Comment

visha says... ""
ロックシンガーの夢を捨てたおんな…
という設定がいいですね。

ジャニスの伝記映画ROSEみたいにカラッとアメリカではなく
しっとり日本…でそんながあったら観てみたいと思ってました。

チェックしてみます。
2006.09.27 00:27 | URL | #- [edit]
mickmac says... ""
>vishaさん
あくまで主人公の設定というだけなので、回想シーンは一切無く、ピアノを弾くだけなので、ロックしているとは云えません(笑)。艶歌ですから………。
ベット・ミドラーの『ローズ』は好きな映画です。ジャニスの伝記を借りたベットの迫真のステージに圧倒されました。もちろん演技も生半可ではなく、エンターテインメント・シンガーの底力を見せつけられる映画でした。
2006.09.28 00:22 | URL | #- [edit]

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