TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「豹〈ジャガー〉は走った」*西村潔監督作品

豹は走った

監督:西村潔
脚本:石松愛弘、長野洋
音楽:佐藤充彦
演奏:宮間利之&ニュー・ハード
出演:加山雄三、田宮二郎、加賀まりこ、高橋長英、中村伸郎、神山繁

☆☆☆★ 1970年/東宝/95分

      ◆        ◆

 東宝ニュー・アクション映画の後期の作品で、加山雄三主演作品としては3作目。
 前2作、『狙撃』ではクールなスナイパー、『弾痕』では米諜報員を演じてきたが、今回は特命を受けた警視庁の警部。

    ☆    ☆

 東南アジアの某国でクーデターが起こり、国を脱出した大統領はアメリカ亡命のために日本に立ち寄る。クーデター派は、日本のアメリカ大使館での手続きの3日間の間に大統領の暗殺を画策。

 日本側は護衛として、警視庁警部で元オリンピックの射撃選手の戸田(加山雄三)に特命任務を与えた。それは「警察官の身分を一時剥奪し、暗殺者に対し先制攻撃で立ち向かう」ことだった。

 一方、大統領とビジネス関係にあり今回の国外脱出を工作した巨大商社の社長(中村伸郎)は、もう片方の手で革命側との取引のために大統領暗殺を仕組む。
 “死の商人”が選んだのが、国際的スナイパー九条(田宮二郎)。そして彼のコードネームが『ジャガー』。

 スイスから日本に舞い戻った黒豹のライフルと、鎖を解かれたシェパードのモーゼル。男と男の対決の時が迫る。

    ☆    ☆

 何と言っても、ピンクのシャツに黒のスタンドカラー・スーツで颯爽とした田宮二郎の、日本人にないスマートぶりに目を見張る。
 当時、この加山=田宮の対決は夢のような組み合わせだったはずが、どこかシャープさに欠けどてっとした感じの加山は、単に田宮を引き立てるだけの役になってしまったのが残念。

 そして田宮と同じように、日本人離れしたスタイルでふたりに絡むのが加賀まりこ。コシノ・ジュンコの衣装に身を包み、いい女っぷり満開です。
 彼女の役は中村伸郎の秘書。九条とは以前にも仕事をした仲で、日本に着いた黒豹に仕事の依頼とライフルとムスタングを渡す。久々の再会での会話がクールだ。

 加賀:しばらく、とも云わないのね。
 田宮:さよなら、とも云わない主義なのでね。

  ◇

 ハードボイルドなストーリーは、国際的な映画にしようとする試みもたくさん見られる。
 田宮の乗る車はムスタングで、加山は特別仕様のワーゲン・ビートルと後半にはオープンのアルファロメオ。空撮でアルファロメオの疾走を撮らえる画が格好いいです。
 九条のエピソードとして描かれる行きずりのロマンスでは、外国人女性を相手に田宮は全て英語で会話をする。
 ただし、このエピソードはストーリーの流れを止めかねない出来で、ラスト近くに田宮が吐くセンチメンタルな台詞のためだけにしてはあまりに陳腐だ。

 銃器庫での加山と担当官とのスナイパーに対抗するための武器選びは、ハードボイルドには欠かせないやりとりで、モーゼル銃にはショルダーストックが付けられ千メートルまで射程距離が伸ばせるとか、ワルサーにサイレンサーを装着するとパワーが落ちるとか、ニヤリとさせられる。

 大統領の滞在最終日、横田基地へ向かう一行を待ち受ける黒豹。そして追う猟犬。一触即発のなか、なんとか大統領は米軍基地のフェンスの向こう側に辿り着き、暗殺計画は終わる。
 しかし、男と男のプロの勝負は終わっていなかった。
 廃墟となった飛行機の格納庫での対決は、西部劇のように砂塵が舞い、舞台として最高。ただ、何かピリっとしないのがこの頃の日本映画の野暮ったさなのか、少し残念。

 対決前の男たちを見て加賀が呟く。
 「素敵ね、おとこって。ゲームは終わったのに、あのふたり………」

    ◆    ◆

 タイトルに名前はないが、外国人クラブのシーンに黒沢年男がワンカット出演している。これは、西村潔監督が同年製作した『白昼の襲撃』の外国人クラブを任された修(黒沢)としてのカメオ出演だろう。

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