TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「赤々煉恋」 朱川湊人

20060809173119.jpg

 『花まんま』で直木賞を受賞した朱川湊人の最新刊の惹句はこうだ。

“様々な愛の形を綴った、切なさと悲しさの溢れた五つの物語”

 この作品、『花まんま』や『 かたみ歌』『わくらば日記』のつもりで読むとかなり衝撃を受ける。

 ノスタルジックさと不思議な世界の体験で、どこか胸にキュンとくる切なさとほのぼのさを与えてくれた3作品とは違い、これはかなり背筋も凍る究極の愛の短編集だった。

 もともと日本ホラー小説大賞の受賞でデビューした朱川湊人はホラー作家。
 この作品集は、ネクロフィリアとかアクロトモフィリアといった猟奇的な、ひとによっては嫌悪感を抱くようなテーマも含んでいる。


死体写真師
たったひとりの身寄りの妹を亡くした姉が切望した遺体の記念写真。魂を閉じ込められた遺体は、腐敗することなく永遠のものとなるのだが………。ネクロフィリアを扱ったホラーで、かなりダークな結末は好みである。

レイニー・エレーン
昼はキャリアOL、夜は街娼として生きた女性は、雨の日に帰って来る。有名な事件をモチーフに、欲望の街を彷徨う魂の物語。

アタシの、いちばん、ほしいもの
彷徨うアタシのモノローグ。

私はフランセス
不幸な過去を経て巡り会った最愛のひとの秘密から、アクロトモフィリアという究極の愛の世界の扉を開く“私”。かつてのクラスメートへのメッセージで綴られる一遍だが、ラスト数行に極みあり。

いつか、静かの海に
異星人のお姫さまと出会った30年前。彼女を育てるために必要なものは………。奇妙な余韻を残す物語。

 人間の奥底に潜む欲望として様々な性癖や性的嗜好を、エログロにならない語り口で描く筆力に感心。
 期待とは違っていたのだが、嫌いなものではなかった。



赤々煉恋〈せきせきれんれん〉/朱川湊人
【東京創元社】
定価 1,680円(税込)

スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/227-9860f274