TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ある殺し屋」*森一生監督作品

ある殺し屋

監督:森 一生
原作:藤原審爾「前夜」
脚本:増村保造、石松愛弘
撮影:宮川一夫
音楽:鏑木 創
出演:市川雷蔵、野川由美子、成田三樹夫、渚まゆみ、小池朝雄、千波丈太郎、小林幸子

☆☆☆☆ 1967年/大映/82分

    ◇

 「眠狂四郎」や「陸軍中野学校」シリーズでニヒリズムの魅力を放っていた市川雷蔵が、現代劇としてストイックで孤高の殺し屋を演じた和製フィルム・ノワール。

 都会の片隅でひっそりと暮らす小料理屋の主人塩沢(市川雷蔵)は、実は裏の顔として、困難な仕事を高額な報酬で請け負うプロの殺し屋。
 ある日、土建屋木村組から敵対する組織のボスの殺害依頼を受け、警戒厳重のなかで鮮やかな手口で仕留める塩沢。
 そして、そんな塩沢に弟子入りを志願する木村組の下っ端やくざ前田(成田三樹夫)は、ひょんなことから塩沢の家に住み着いた不良娘圭子(野川由美子)と結託して、“危ない仕事”を塩沢に持ちかける。

 主人公の台詞は最小限にとどめ多くを語らせないことで、微妙な心理描写は映像で見せている。
 特攻隊の生き残りを思わせる写真一枚で主人公が殺し屋になった動機を想像させ、飛び交うジェット機の下で小池朝雄の依頼を受けるシーンでは、戦後を引きずる男の挽歌を感じさせる。

 成田三樹夫の狡猾さとふてぶてしさはさすが。そして野川由美子の蓮っ葉なあばずれ感も魅力大である。

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 東京湾近くにあるボロアパートの一室に3人の男女が集まるところから、現在と過去の時間軸を巧みに交差させながら見せる増村保造の構成は素晴らしく、また、死体遺棄のための穴の中から仰ぐカメラやアパートの一室を俯瞰で見下ろすカメラといい、名カメラマン宮川一夫のシャープな画面と空間処理のカメラワークは、オープニングの埋め立て地の奥深い構図からして目を見張らされる。
 そして鏑木創が奏でる楽曲は、殺し屋を象徴するニヒルなテーマ曲として耳に残る。

 当然時代の古さを感じたり、殺しのプロとしての甘さや、いまでは考えられないような稚拙な箇所などもあるのだが、全体のトーンとしてフランス映画風なスタイリッシュでクールな趣には惹かれてしまう。
 一流のスタッフ・キャストが結集した日本版ハ-ドボイルドの傑作だ。

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Comment

ヤスシ says... "やっと観られました"
「ある殺し屋の鍵」を観て、そしてこの記事を拝見して
以来、ずっと気になっていたこの映画を先月、やっと
CS放送にて観る事が出来ました。

時代劇は観ない私は市川雷蔵さんの魅力がイマイチ
ピンと来なかったのですが、「陸軍中野学校シリーズ」
でこの俳優さんの良さが少し判りました。
こういうクールなギャングって映像として最高にカッコイイ
と思いますし、雷蔵さんは眉一つ動かさずにやってのけ
ますよね。そんなところにシビれます。

ラストの成田三樹夫さんとの表情のやりとりも見事ですね。
大映も捨てたものじゃない、と思いました。(笑)
2006.11.24 19:15 | URL | #/EYdllzA [edit]
mickmac says... ""
ヤスシさん こんばんは。

ぼくもあんまり大映映画は観ていないのですよね。
特に市川雷蔵さんとなると、現代劇しか見ていない………。

ぼくにとっての大映といえば、『大魔神』であり『座頭市』だったりかな……。
もう一方にある、若尾文子さんの性典モノや増村保造監督のエロチック路線、関根恵子(高橋恵子)さんや渥美マリさんの女体モノなどは、少年時代に映画館へは入れなかった代わりに近所の映画館のスチールを見るだけで興奮していましたね(笑)。

ところで、CSは見られないので残念でした。録画しておきたかった~。
今月はnecoの「無頼シリーズ」を録りだめしていました。
松原智恵子さんが可愛く、美しかった~。
12月のnecoは、高橋英樹と和泉雅子さんの『男の紋章シリーズ』ですね。
2006.11.25 18:50 | URL | #- [edit]

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