TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

70年代のヒロイン梶芽衣子 2

 1974年2月、池袋文芸座の地下で、藤田敏八監督の「非行少年・陽の出の叫び」「非行少年・若者の砦」「野良猫ロック・ワイルドジャンボ」「野良猫ロック・暴走集団'71」「新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ」の5本をオールナイトで一挙に観た。梶さんのもうひとつの代表作との出会いで、始発電車が走る前の朝方、映画館の外へ出た時にはかなり高揚した気分だった。
 「野良猫ロック・ワイルドジャンボ」は、梶、藤竜也ら4人の若者集団の青春映画っぽいスケッチからはじまる。そして白馬に乗った范文雀の登場で、宗教団体から大金を強奪する話になっていく。この美女の誘惑に地井武男らが振り回され破滅の道を爆走する。范さんが大人の女を演じ、梶さんはかなり軽薄な不良少女役。これは、范文雀&地井武男の物語で、梶さんは范さんに絡んでばかりです。范文雀さんは、映画デビューがシリーズ第1作の「女番長・野良猫ロック」で、全5作中4作品に出る準レギュラーだった。范さんも眼に魅力のある人で、現在ぼくが応援サイトを開設している女優・余貴美子さんの従姉妹だが、残念ながら2002年にお亡くなりになりました 。
 「野良猫 ロックシリーズ」は、長谷部安春監督の第1作を含め「野良猫ロック・セックス・ハンター」「野良猫ロック・マシンアニマル」と何度も観ることになる。何が魅力だったか……それは『体制への反逆』の一言に尽きるかな。

 「仁義なき戦い・広島死闘篇」での梶さんは、男ばかりの出演者の中での存在感が際立っていた。そして「修羅雪姫」(藤田敏八監督)と「無宿〈やどなし〉」(斉藤耕一監督)。「修羅雪姫」は原作の上村一夫の絵と相まって、眼光鋭い梶さん以外には考えられないキャスティングで情念の女を演じ切る。「修羅雪姫・怨み恋歌」との2部作は荒唐無稽連続活劇として仕上っており、十分に楽しめる。2001年に釈由美子で再映画化されたものは全然別物だ。
 「無宿〈やどなし〉」は、高倉健と勝新太郎の初共演ということで話題になったが、叙情感たっぷりに“絵”で見せる映画の中、ふたりの男の間でゆれ動く薄幸の娼婦の梶さんが魅力的に描かれていた。ちなみにこの映画の“海底に眠る財宝”“男どうしの友情”“夢”といったキーワードは、ロベール・アンリコ監督の映画「冒険者たち」を連想する。だから余計に頭から離れない作品になっている。

 さて梶さんのテレビ出演が、山田太一脚本の「同棲時代」('73)と向田邦子脚本の「寺内貫太郎一家」('74)だ。
 「同棲時代」の原作は上村一夫の漫画で、映画版は由実かおる出演で当時かなり話題になったもの。テレビドラマ(単発)は、梶さんのそれまでのハードボイルドなイメージを真逆にしたような情緒ある役柄で、江夏次郎の役を沢田研二が扮した。ジュリーと芽衣子の、次郎と今日子の物語で、これは凄いキャスティングです。美男美女です。たしかショーケンも出ていたかな……。
 一方「寺内貫太郎一家」は、毎回西城秀樹と小林亜星とのケンカシーンが有名で、足が不自由な長女の役が梶さんでした。毎回楽しんだ覚えはあるのだが、何だかそぐわなかったなぁ。樹木希林の毎回の「ジュ、リ~!!」と云うセリフも有名です。ドラマ内でハードボイルドに構えていたのが“野良猫 ロック仲間”の藤竜也。やはり、この時代の映画俳優としての顔合わせなのだろう。梶自身のインタビューを読むと、当時彼女はかなり冷めた気持ちでテレビ出演をしていたようで、「テレビ界は単にさそりの梶がホームドラマに出ていると云った面白がりようだった。」と述懐している。もちろん、向田さんのホンは素晴らしいものだったことは認めての発言だ。

 そして、その後しばらく女優として苦しい時期が続き、迎えたのが宇崎竜童と共演した「曾根崎心中」(増村保造監督)。自ら企画を持込んだだけあり、その年の各映画賞を総ナメだった。いままで演じてきた情念の女の集大成 としては当然の帰結だ。ただ、それ以後も現在まで映画には5~6本しか出演していない。90年代からはテレビの時代劇(「鬼平犯科帳」のおまさは適役)の定位置に収まってしまったが、梶芽衣子に限らず、大人の女性が主役の映画を観たいよなぁ。

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