TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「間宮兄弟」



監督:森田芳光
原作:江國香織
脚本:森田芳光
出演:佐々木蔵之介、塚地武雅(ドランクドラゴン)、常磐貴子、沢尻エリカ、中島みゆき、戸田菜穂、岩崎ひろみ、高島政宏、加藤治子

☆☆☆☆ 2006年/アスミック・エース/119分

    ◇

 デビュー当初からの森田芳光ファンとしては、ここ十年の活動はいまいち手放しで喜んではいなかった。たしかに、『39 刑法第三十九条』や『黒い家』『模倣犯』『失楽園』『海猫』など、問題作やベストセラ-の映画化などで森田ワールドが見られなかったわけではない。
 でもそんな大作よりも、80年代の『の・ようなもの』や『家族ゲーム』『キッチン』みたいな、日常をスケッチするような作風の方が好きだ。

 この映画はまさにその初期の作品を思わせるような、平凡な人間の何てことない日常から日々の喜びと人間関係の楽しさを素朴にスケッチしている。
 その軽さがたまらない。
 惹句の《小さな幸せいっぱい》のとおり、幸せな気分になれる。

      ☆    ☆

 一緒に楽しみを共有したり、同じものを大事にしているひとがいますか?
 そして、毎日を楽しんでいますか?

      ☆    ☆

 30才を過ぎても仲良く同居生活をする間宮兄弟。兄・明信(佐々木蔵之介)と弟・徹信(塚地武雅)は、子供のまま大人になったようなふたり。常に一緒に遊び、一緒に様々な喜びを見つけながら楽しく過ごしている。
 テレビでスコアボードをつけながら野球観戦したり、毎回趣向を凝らしながらDVDを夜遅くまで観たり、ふたりで買い物をするときはジャンケン遊びをしたり、紙ヒコーキを飛ばしたり、お昼寝をしたり……。一日の終わりには必ずフトンの中で“反省会”をする。兄も弟もお互いを気づかい合う優しい兄弟。
 彼らに欠けているのは恋人だけ。
 ある日徹信は兄のために、自分が用務員として働く小学校の葛原依子先生(常磐貴子)とレンタルビデオ屋のアルバイト直美ちゃん(沢尻エリカ)をカレーパーティに誘う…………。

 はじめは、どこをどう見てもおタクなふたりなんだが、次第に彼らの生き方に共鳴しだし、子供のころのような懐かしさを憶えてくる。いつまでも、お互い同士が“好きなもの”と“楽しみ方”を持ち続けていることへの羨望が生まれてくるのだ。

 ひとのことには物凄く親身になって頼りにされるけど、恋にはならないタイプ。
 なんだか可哀想だけど、でも、愛すべきふたり。

 間宮兄弟を見ていると、ヘコんだり、悩んだりしたときのバネになりそう。
 「大丈夫だよ」って、そっと声をかけられるような気になる。
 周りのひとに感謝をし、些細なことで怒ってはダメだと気付くだろう。

 人と人とがつき合う関係が、兄弟であれ、男と女であれ、友人同士であれ、こんな風でありたいなぁと思わせる、素敵な映画だ。

 佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雅のふたりのキャスティングは絶妙。
 小市民ぶりを発揮する佐々木とシリアスに演技する塚地の、女性にもてない空気の出し方が愛らしく、全然似ていないふたりなのに、これ以上兄弟っぽく見えるふたりはいない。
 ヘコんで帰宅した塚地に、佐々木蔵之介がおむすびを作ってあげるシーンは最高!

 間宮兄弟の母親役の中島みゆきの存在感は凄い。
 その中島みゆきのほのぼの感を含め、いつも「葛原依子先生」とフルネームで呼ばれる常磐貴子のお茶目ぶりなど、間宮兄弟の周りの登場人物もとてもチャーミングだ。
 

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Comment

蟷螂の斧 says... "監督は違うけれど・・・。"
英勉監督の「ハンサム★スーツ」を見ました。塚地武雅が演じるサエない男と北川景子が演じる美女(しかも性格が良い)が結ばれるのを見て何とも白けた気分になりました。
そしてしばらくしてからこの映画(製作年度は先だけど)を見て良かったと思いました。北川景子が演じる可愛い子が塚地武雅が演じるサエない男を完全に見下している。この方がリアリティがありました。
小学校の先生(常盤貴子)とレンタルビデオ店のアルバイト店員(沢尻エリカ)が間宮兄弟とのカレーパーティーに参加する。二人の女性が早い段階で「駄目」のサインを送る。可笑しくも悲しかったです。
弟がぼったくりバーに引っかかる場面も悲しかった(演じた女優は才媛!)・・・・。
でも、仲良く暮している兄弟にエールを送りたくなる映画です。

2006年。まだリーマンショックも東日本大震災もなかった時代ですね・・・。
2015.05.15 00:12 | URL | #couyEzUM [edit]
mickmac says... "Re: 監督は違うけれど・・・。"
>蟷螂の斧さん
ドーモです。

「ハンサムスーツ」は観ていないのですが、塚地武雅の朴訥とした愛すべき人間性には、ひとを決して不快にさせない魅力があります。
 せめて美女にモテるくらいの夢は見せてあげたい………笑。

 チャーミングな人間たちがいっぱいの作品は、さすが森田映画でした。
2015.05.15 14:09 | URL | #- [edit]

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