TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

愛の寓話 Vol.1



 久々に書店へ行き、素晴らしい本を見つけました。

 資料としての映画関係の書籍は、監督論とか作品論で数々出版されています。ジャンル別にしても、スリラーやホラーといったカルト的映画の集大成本も沢山あります。が、ことロマンポルノの本となると、いままでそんなにありませんでした。
 『官能のプログラム・ピクチャー』がそれまでのシネマ本としては詳しいものでしたが、ただ1983年出版のため、ロマンポルノ17年の歴史をコンプリートに収めてはいませんでした。

 2005年10月より本格的なロマンポルノのDVD化が始まったことも起因して、ここに初めて日活ロマンポルノの全データと、現場の監督やスタッフの人物像を追った書籍が生まれました。
 十分に資料的価値のある書籍になっています。

 ☆    ☆    ☆

 《惹句》
 日活ロマン、“撮影所システム”最後の光芒
 
 本書はロマンポルノの映画史的価値を再検証しようとするものです。
 これによって一人でも多くの観客が、愛の寓話だけを描きつづけた
 世界にも類を見ない究極のプログラム・ピクチャー、ロマンポルノを観ていただければと思います。

 ☆    ☆    ☆

 ロマンポルノが初めて製作されて34年。
 1970年代、時代が“性”の開放に向かっていたとはいえ、メジャーな映画会社がピンク映画と同列に扱われるようなポルノを製作することには、スタッフも俳優も相当な社会的差別を受けていました。
 観客も当然、はじめは淋しさを満たすだけのものとして映画館に足を運んでいたはず。
 しかし、作られているものは“映画”です。そこにはドラマがあったのです。

 ロマンポルノ初体験は、東京で独り暮らしをするようになった年に名画座で観た日活記念すべき第1作『団地妻 昼下がりの情事』。
 スクリーンに写し出されていたものは、まごうことなく強烈な愛のドラマでした。
 そして、“作品”として田中登監督、神代辰巳監督との出会いになったわけです。

☆    ☆    ☆

 この書籍は全5巻のシリーズ刊行が予定されています。
 今回のVol.1は、監督13人(田中登、西村昭五郎、小沼勝、根岸吉太郎、森田芳光、金子修介、滝田洋二郎ほか)と、宮下順子、小川美那子のふたりのインタビュー、そして惜しくも亡くなった監督を語るスタッフ証言によって、ロマンポルノというプログラム・ピクチャーの本質が語られています。
 また興味深い話も多く、例えば宮下順子のインタビューでは『実録・阿部定』('75 田中登)の定役は当初中川梨絵だったという驚きや、田中登監督と神代辰巳監督の演出方法の違いなど、読み応えある内容になっています。
 
 データは17年間の全1,133本のリストと、現在ジェネオン・エンタテインメント社から発売されているDVD化作品30作(第2期まで)のレヴューと、当時のポスター写真がカラーで掲載されています。
 
 蛇足として、こんなことを云うと逆に差別的なのかもしれませんが、インタビューと作品レヴューの執筆スタッフ14人中10人が女性です。ベテラン映画評論家の北川れい子、田中千世子を筆頭に、女性の目で観た作品解説が特筆されます。
 『女性のためのロマンポルノ上映会』も開かれている昨今、女性がロマンポルノを見るようになってきた世の中がうれしくもありますね。

 Vol.2は6月発売予定です。

愛の寓話 Vol.1
発行・発売:東京学参(株)
定価:2,000円(税別)
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/188-e6ef137d