TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

'77年の映画ノート

 この年あたりから、邦画を見る本数が洋画を見るより多くなってきた。ROMAN PORNOは封切り時に通うようになり、つまらない映画に出会えば退館することもしばしば。邦画・洋画とも二本立てだからと無理して2本目も見ることはしない。さっさっと帰る方が身体によい。
 まぁ、気に入れば一日映画館にいることもあれば、後日くりかえし見ることは変わらず。
 ベスト・テンは、長谷川和彦作品とATG作品に尽きた年だった。

◆'77年の邦画ベスト・テン

01 青春の殺人者 
02 藤本義一の“市井”・本番 
03 日本人のへそ 
04 竹山ひとり旅 
05 不連続殺人事件 
06 黒木太郎の愛と冒険 
07 悪魔の手毬唄 
08 HOUSE ハウス 
09 江戸川乱歩の陰獣 
10 霧の旗
 

青春の殺人者 ☆☆☆☆☆
ATG/'76/長谷川和彦監督、水谷豊、市原悦子、原田美枝子
長谷川和彦の監督デビュー作で中上健次の短編実話『蛇淫』の映画化。水谷豊の存在感と、母親役の市原悦子の舞台劇風過剰演技の凄さは、好き嫌いがはっきり別れるかもしれないことを堂々と作ってしまう監督ゴジさんの凄さでもある。未知数の原田美枝子は、まだこの時はヘタ。

サイレント・ムービー ☆☆☆
米/'76/メル・ブルックス監督、メル・ブルックス
映画撮影所を舞台にした、ギャグ満載のスクラップスティック・コメディ。カメオ出演の豪華スター(ライザ・ミネリ、ポール・ニューマン、アン・バンクラフトなど)を見るだけでも楽しい。

ダウンタウン物語 ☆☆☆
英/'76/アラン・パーカー監督、スコット・バイオ、ジョディ・フォスター
禁酒法下のNYを舞台に血を血で争うギャング物語を、なんと登場人物全員を子供で作ったミュージカル。ジョディ・フォスターの妖艶な演技に注目。

錆びた炎 ☆☆☆
松竹/'77/貞永方久監督、平幹二朗、梶芽衣子、原田美枝子
総合病院から血友病の子供が誘拐されるミステリーで、タイムリミット・サスペンスだったのだが、実は原作自体に大きな誤解と誤りがあったと指摘された曰くありの作品。原作者は当時の松竹のプロデューサーであり推理作家の小林久三。

日本の首領〈ドン〉 ☆☆☆
松竹/'77/中島貞夫監督、鶴田浩二、佐分利信、松方弘樹
全国制覇を目論む暴力団の政界・財界を巻き込む戦略と、二人の娘に手を焼く組織の首領の姿を描く、日本版ゴッドファーザー。シリーズとなり3作目まで制作される。

ネットワーク ☆☆☆☆
米/'76/シドニー・ルメット監督、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、ピーター・フィンチ
視聴率戦争を繰り広げる米TV界の内幕を描くサスペンスドラマ。ニュース・キャスターの自殺予告を利用する重役フェイ・ダナウェイの冷酷さに戦慄。キャスター役のフィンチは撮影後他界した。

トリュフォーの思春期 ☆☆☆
仏/'76/フランソワ・トリュフォー監督、ジョリー・デムソー、フィリップ・ゴールドマン
フランスの小さな都市を舞台に、子供たちの日常をスケッチした佳品。

悪魔の手毬唄 ☆☆☆☆
東宝/'77/市川昆監督、石坂浩二、岸恵子、若山富三郎、仁科明子
石坂・金田一耕助シリーズの第二弾。岸恵子と若山富三郎のふたりによって大傑作になり得た。

パニック・イン・スタジアム ☆☆☆
米/'76/ラリー・ピアース監督、チャールトン.ヘストン、ジョン・カサベテス、マーティン・バルサム
フットボールのスーパーボウルが開催されているスタジアムでの、ライフル魔とSWATととの攻防を描いたサスペンス映画。文句なく面白い。

シャーロック・ホームズの素敵な挑戦 ☆☆
米/'76/ハーバート・ロス監督、ニコル・ウィリアムソン、アラン・アーキン
ホームズもののオリジナル作品で、仕上がりはミステリータッチのパロディになっている。ローレンス・オリヴィエやヴァネッサ・レッドグレーヴ、ロバート・デュバルなど配役も豪華な娯楽作品。

卒業五分前・群姦 ☆
日活/'76/沢田幸弘監督、小川亜佐美
卒業式の前日、若者の揺れ動く不安と青春の有り余るエネルギーによる衝動的行動を描いた青春作品。

赤い花弁が濡れる ☆☆☆
日活/'77/西村昭五郎監督、松永てるほ、林ゆたか
惚れた男のヤク中やめさせようと努力をするストリッパーの主人公。絶望の繰り返しのあげく、男は売人に追われ孤独な死を迎える。

キャリー ☆☆☆☆
米/'76/ブライアン・デ・パルマ監督、シシー・スペイセク、ジョン・トラヴォルタ
のちのデ・パルマ監督に欠かせない画面分割を多様したビジュアルが、十分に効果を発揮するクライマックスが見もの。有名なラストシーンのインパクトが強烈だが、決してホラー映画と分類するのは間違いで暗く重苦しい青春映画だ。

日本人のへそ ☆☆☆★
ATG/'76/須川栄三監督、緑魔子、佐藤蛾次郎、なべおさみ、美輪明宏
井上ひさしの戯曲、ミュージカル・コメディの映画化。吃音矯正のための告白劇から一転、70年代の世相をパロディにした爆笑劇の連続。ストリッパー役の緑魔子をはじめ、出演者の濃いキャラクターに圧倒される。テレビでは出来ないコメディ。

不連続殺人事件 ☆☆☆★
ATG/'76/曾根中生監督、嵯川哲朗、夏純子、田村高廣、内田裕也、殿山泰司
坂口安吾原作の本格もの推理映画。変人ばかりが登場する原作に倣い、一癖も二癖もある俳優を集めたキャスティングが目をひく。原作のトリックが素晴らしいものだが、忠実な映像化も見事に成功している。原作の時代の空気感と不穏なムードがうまく出ている。

ロッキー ☆☆☆★
米/'76/ジョン・G・アヴィルドセン、シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング
アメリカン・ドリームを素直に感動できるのは、シンプルなストーリーとパワーあふれるB・コンティのテーマ曲のおかげ。

江戸川乱歩の陰獣 ☆☆☆★
松竹/'77/加藤泰監督、あおい輝彦、香山美子、若山富三郎
全編、妖しく異様な乱歩の世界に彩れれた映画。

藤本義一の“市井”・本番 ☆☆☆☆
日活/'77/西村昭五郎監督、山口美也子、宮下順子
ひとりのストリッパーの日常と、ヒモとのエピソードを哀愁を込めて描いた秀作。これがデビューの自由劇場出身の山口美也子が素晴らしく、彼女に尽きる映画。この後彼女は『肉体の門』や『赫い髪の女』で好演し、'82年には根津甚八、秋吉久美子主演の『さらば愛しき大地』で助演女優賞を獲得する。

キャバレー ☆☆☆★
米/'71/ボブ・フォッシー監督、ライザ・ミネリ
ナチズム台頭の時代、恋と踊りに夢みる若い踊り子の話。ミュージカル・シーンはショーの場面だけに限られ、そのステージシーンはB.フォッシーの退廃的で官能的絵づくりが見せ場。

実録不良少女・姦 ☆☆★
日活/'77/藤田敏八監督、日夏たより、内田裕也、岸部一徳
“不良少女”港マコの自伝ものだが、『赤ちょうちん』『妹』『バージンブルース』以降の藤田敏八監督にとって低迷期の作品。このあと、『帰らざる日々』で再度飛び立つまで1年を要する。

泥だらけの純情 ☆☆
東宝/'77/富本壮吉監督、山口百恵、三浦友和

HOUSE ハウス ☆☆☆
東宝/'77/大林宣彦監督、池上季美子、大場久美子、神保美喜、南田洋子
大林宣彦監督の劇場用第一作で、少女趣味なファンタジックさとホラー的ビジュアルが混ざり合った不条理ドラマ。

獄門島 ☆☆☆
東宝/'77/市川昆監督、石坂浩二、司葉子、草笛光子、大原麗子
金田一さんが同じ年に二度も登場した第三弾。シリーズ最後のつもりで原作と違う犯人にしたというのに………。

鬼火 ☆☆☆☆
仏/'63/ルイ・マル監督、モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー
30歳にして死を選んだブルジョワ青年の二日間が静かに描かれる。大人になりある程度の人生が見えてきたとき、何をすべきか分からないことへの不安を抱えたものに対して、他人は傍観者でしかない。若者の魂の彷徨にエリック・サティの調べが心地よい。

上海から来た女 ☆☆☆
米/'47/オーソン・ウェルズ監督、リタ・ヘイワース、オーソン・ウェルズ 
遊園地での鏡の広間のラストシークェンスが有名。古典のカッコ良さだろう。

人間の証明 ☆★
東宝/'77/佐藤純弥監督、松田優作、岡田茉莉子、ジョージ・ケネディ、三船敏郎、ジョー山中
原作を先に読んでいたのだが、角川映画の派手な宣伝方法などに反発を感じていたのも確かだし、後半のベタな感動作りも好きではなかった。当時はワースト映画No.1に挙げていた。

ニューヨーク・ニューヨーク ☆☆☆★
米/'77/マーチン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、ライザ・ミネリ
サックス吹きのジミーと歌手を夢見るフランシーヌとのラブストーリー。ライザ・ミネリの歌唱が素晴らしいし、デ・ニーロのサックス演奏も上手い。ストーリーが弱い箇所はふたりの歌と演奏で十分カバー出来ている。

オードリー・ローズ ☆☆★
米/'77/ロバート・ワイズ監督、アンソニー・ホプキンス、マーシャ・メイソン
リーインカーネーションを扱ったオカルト映画だが、R・ワイズが監督しただけにB級ホラーになどならない宗教色の強いドラマツルギー。当時ニール・サイモン夫人だったマーシャ・メイソンは好きな女優だった。

さすらいの航海 ☆☆☆★
米/'76/スチュアート・ローゼンバーグ監督、フェィ・ダナウェイ、オスカー・ウェルナー、マックス・F・シドー、オーソン・ウェルズ、ジェームス・メイソン、キャサリン・ロス、マルコム・マクダウェル、リー・グラント、ホセ・ファーラー
第二次大戦中、ナチスの迫害から逃れたユダヤ人を乗せた客船を舞台にした人間ドラマで、大平洋上を彷徨うユダヤ難民の悲劇が綴られる。豪華キャスト陣が凄かった。

幸福の黄色いハンカチ ☆☆☆
松竹/'77/山田洋次監督、高倉健、倍賞知恵子、桃井かおり、武田鉄矢
不器用な男の優しさと情けなさが充分に描かれているからこそ、あの有名なラストシーンにジンとくる。

天国と地獄 ☆☆☆☆☆
東宝/'63/黒沢明監督、三船敏郎、山崎努、仲代達矢、香川京子
日本映画史上最高のサスペンスドラマ。登場人物の人間ドラマのなかに、スリラーやサスペンスの最高なものを兼ね備えたことで、これ以上の娯楽作品はない。

八墓村 ☆
松竹/'76/野村芳太郎監督、萩原健一、小川真由実、山崎努、山本陽子、渥美清
ミステリー度より、おどろおどろしい怨念の世界に重点をおいたストーリ展開。山崎努の狂気の殺戮シーンやショーケンのうぶさは良かったのだが、市川昆作品のような華がない。渥美清の金田一耕助はあくまで語り部に徹している。

黒木太郎の愛と冒険 ☆☆☆★
ATG/'77/森崎東監督、田中邦衛、倍賞美津子、杉本美樹、緑魔子、沖山秀子、清川荷虹子、財津一郎、小沢昭一、三国連太郎、殿山泰司
貧しい人間ばかりを集め、幸福に浸りきった社会に怒りの一撃を。でも少し空回り。森崎ワールドを飾る女優陣が圧巻。なかでも当時、東映でスケ番女優でスターになっていた杉本美樹のみすぼらしい聾唖妻役が印象的。「ニワトリはハダシだ」は、この映画での財津一郎の口癖だった。

西陣心中 ☆☆☆
ATG/'77/高林陽一監督、島村佳江、米田昌宏、成田三樹夫
無理心中で生き残ったOLが京都に流れ、そこで知り合った西陣織手の男性と恋に堕ちる。どこまでも暗い情念の世界は、映像美も豊か。

瞳の中の訪問者 ☆☆☆
東宝/'77/大林宣彦監督、片平なぎさ、宍戸錠、峰岸徹、志穂美悦子
手塚治虫の『ブラックジャック』の一遍(「春一番」)を実写化したファンンタジー・サスペンス映画で、宍戸錠がBJに扮する。

祭りの準備 ☆☆☆☆
ATG/'75/黒木和雄監督、江藤潤、原田芳雄、馬渕晴子、竹下景子、杉本美樹、ハナ肇、芹明香
脚本の中島丈博の半自伝的小説が原作で、『竜馬暗殺』『父と暮らせば』の黒木和雄が映像化した傑作。四国を舞台に、ひとりの少年が複雑な人間関係のなかで巣立っていく姿が描かれる。息子を溺愛する母、頭が狂った隣家の娘とのセックス、恋焦がれていた幼馴染みからの誘惑、祖父の自殺……ひとり東京へ旅立つ主人公を見送るのは、殺人容疑で逃げている隣家の男だけだった。「バンザイ」を叫びつづける原田芳雄が印象的。

竹山ひとり旅 ☆☆☆★
ATG/'77/新藤兼人監督、林隆三、乙羽信子、倍賞美津子、高橋竹山
津軽三味線の名人・高橋竹山の放浪の青春時代を描いた伝記ドラマ。盲目の若き竹山の辛く苦しい修行旅の途中に出会う様々な人間たち。そして自身の生きざま。ドキュメンタリータッチの映像からは魂の慟哭が聴こえる。

スキャンダル ☆☆
伊/'76/サルヴァトーレ・サンペリ監督、リザ・ガストーニ、フランク・ネロ
イタリア生まれのエロティック・サスペンス。

がんばれ!ベアーズ・特訓中 ☆☆★
米/'77/マイケル・プレスマン監督、ウィリアム・ディヴェイン、ジャッキー・E・ヘイリー
大ヒット作『がんばれ!ベアーズ』の続編。ロードムービー風の展開と親子もののストーリーも悪くない。

霧の旗 ☆☆☆★
東宝/'76/監督、山口百恵、三浦友和、三国連太郎
別レヴューあり
スポンサーサイト

Comment

シリウス says... "天国と地獄"
77年頃は仕事オンリーの時期で、映画など趣味に使う時間はあまりなかったですね。
このリストの中で数本は観ているようです。
1963年度作品「天国と地獄」は、黒澤明監督の傑作サスペンス映画です。
封切り時点で観ています。
1963年のキネマ旬報賞で第2位、第1位は「にっぽん昆虫記」今村昌平監督です。

三船敏郎    シューズ会社役員
仲代達矢    警部
山崎努     病院のインターン

画面を思い起こすと、
特急こだまの洗面所の窓からの身代金の投下、
紫色の煙のシーンのパートカラー などスルリと緊張に張り詰められた、黒澤明監督作品の中でも最高レベルの1本ではないですか。

もうひとつ気になる作品がありますね。
「上海から来た女」おなじみのオーソン・ウェルズ監督・主演作品で女優はリタ・ヘイワース。
彼女は妖艶な役柄が多いですね。
この映画は観たかどうかの記憶はないです。
2006.02.09 10:03 | URL | #6cov1DqI [edit]
mickmac says... ">シリウスさん"
「天国と地獄」は「七人の侍」とともに、万人が認める娯楽映画のトップを争うものでしょう。

「上海から来た女」のリタ・ヘイワースはこの作品しか見たことがないのですが、まさに“ファム・ファタール”悪女に相応しい容貌です。
撮影時別居中だったオーソン・ウェルズとは、このあと離婚したのですね。
2006.02.09 16:10 | URL | #- [edit]
ごろごろ says... "こんにちは!"
http://jump.sagasu.in/goto/bloog-ranking/でリンクが載っていたので、見に来ました。また見にきます。(^^)ノシ
2006.02.14 16:36 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/156-540ea0ba