TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「博士の愛した数式」*小泉堯史監督作品




原作:小川洋子
監督・脚本:小泉堯史
出演:寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子

☆☆☆ 2006年/日本、アスミック・エース/117分

    ◇

 「潔い」  綺麗な言葉だ。
 この「潔さ」で、ひとの生き方のうつくしさが決まるのだろう。
 
 自分が関わったことには、全部に責任が伴う

 みんな優しいひとたちだ。博士も、家政婦も、その息子も。ひとに対する「いたわり」と「尊敬」と「思いやり」………当たり前のことが静かに描かれていく。
 そこに流れる時間が、見る者を温かく迎えてくれる時間が、じつに心地よい。

 事故の後遺症で記憶が80分しか続かない天才数学者が示す倫理、論理、美学、そして存在はじつに哲学的だが、ひとへの気持ちを数式で表現する博士の「思いやり」「慈しみ」こそ、うつくしい日本人の佇まいのように見える。

 そう云えば博士は、数式の証明にも美しさがあると云う。東野圭吾の『容疑者Xの献身』にも、そんな言葉が出てきたのを思い出した。

 映像のなかには、余分な言葉がない。
「こころで感じとる」ことで本質が見えてくると諭される。

 そして、こころ温まる物語の中に隠れた哀しいロマンスの描き方も、うつくしい。
 簡素な文章の行間から物語を読み取るかのように、さり気ない挿入で観客はもうひとつのストーリーを思い描くことができる。
 博士の義姉のこころの内に流れる時間の重さが、短いカットやシーンで綴られる美学。
 静かな佇まいで演じる浅丘ルリ子もまた、うつくしい。

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「博士の愛した数式」を読む
「博士の愛した数式」を読みました。映画も気になっていたのですが、やはり、まずは本を読むべきかなぁと思