TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

スプリングスティーン『ザ・リバー・ボックス』を紐解く

 ブルース・スプリングスティーン『THe River』35周年記念BOXは、幻のアルバム再現と完全未発表曲集、完全未発表ライヴの映像化で4CD+2Blu-rayの6枚組といった最高の内容で、年末年始にかけて十二分に堪能している。
 『ザ・リバー』はこれで4点目。
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 LP盤は発売当初の日本盤が1枚。CDは紙ジャケを2枚。
 1枚は1999年の“NICE PRICE紙ジャケシリーズ”で、これはブルース側からのクレーム(音質と紙ジャケのクォリティが問題だと思われる)ですぐに回収され発売中止となっている。全16枚シリーズだったが、紙ジャケの再現度は低く音質も芳しくない代物だった。(このシリーズでいま手元にあるのは『ザ・リバー』と、〈Tunnel of Love Express Tour〉のライヴを収録したミニアルバム『Chimes Of Freedom』の2枚だけ)
 もう1枚は2005年リリースの紙ジャケシリーズ。US初盤を模した光沢のあるジャケット再現が素晴らしく、音源はブルース本人の意向によってオリジナル・マスター・テープが使用されていた。

 さて、それではボックス・セットの中身を順次見てゆこう。

 ザ・リバーBOX ~THE TIES THAT BIND: THE RIVER COLLECTION
 〝The Ties That Bind〟(人と人との繋がり)と題された『ザ・リバー・ボックス』の日本盤は、帯を印刷した箱型パッケージに収まっている。

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 まずは、ボックス・セット収録のハードカバーの写真集。
 初のトップ10入りした先行シングル「ハングリー・ハート」のジャケット写真のアウトテイクをはじめ、レコーディング風景やステージ写真など、200枚以上の未公開写真で埋め尽くされた豪華本だ。

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 『闇に吠える街』BOXにも収録されていたような手書き歌詞を複写したレプリカ・ノート。これは正直どうでもいいかな……。

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 CDとBDは、二つ折りのバインダーを模した紙パッケージにそれぞれ紙ジャケ仕様で納められている。メモラビリアが紙ジャケを外した箇所にも印刷されている。

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 紙ジャケの形態はすべて外側への折り返し。

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 DISC.1&2はアルバム『ザ・リバー』のオリジナル形態全20曲。
 2014年リマスター・ヴァージョンが使用されている。

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Original THE RIVER album Record One
1. タイズ・ザット・バインド (The Ties That Bind)
2. 愛しのシェリー (Sherry Darling)
3. ジャクソン刑務所 (Jackson Cage)
4. 二つの鼓動 (Two Hearts)
5. 独立の日 (Independence Day)
6. ハングリー・ハート (Hungry Heart)
7. 表通りにとびだして (Out in the Street)
8. クラッシュ・オン・ユー (Crush on You)
9. ユー・キャン・ルック (You Can Look (But You Better Not Touch))
10. アイ・ウォナ・マリー・ユー (I Wanna Marry You)
11. ザ・リバー (The River)
Original THE RIVER album Record Two
1. ポイント・ブランク (Point Blank)
2. キャディラック・ランチ (Cadillac Ranch)
3. アイム・ア・ロッカー (I‘m a Rocker)
4. 消え行く男 (Fade Away)
5. 盗んだ車 (Stolen Car)
6. 恋のラムロッド・ロック (Ramrod)
7. ザ・プライス・ユー・ペイ (The Price You Pay)
8. ドライブ・オール・ナイト (Drive All Night)
9. 雨のハイウェイ (Wreck on the Highway)

    ◇

 このボックスの目玉のひとつがDISC.3の『ザ・リバー・シングル・アルバム』。
 1979年のクリスマスにリリース予定だったがブルースの意向で発売が見送られた『The Ties That Bind』を再現したもので、後のアルバム『ザ・リバー』に収録されないまま見送られた3曲以外でも、全てテイク違いとミックス違いの全10曲。聴くほどに惹き込まれる楽曲群だ。

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THE RIVER: Single album
1. The Ties That Bind
2. Cindy
3. Hungry Heart
4. Stolen Car (ver. 1)
5. To Be True
6. The River
7. You Can Look (But You Better Not Touch) (ver. 1)
8. The Price You Pay
9. I Wanna Marry You
10. Loose Ends

 「Cindy」「To Be True」「Loose Ends」の3曲が『ザ・リバー』に未収録。「To Be True」「Loose Ends」は1998年に『TRACKS』で発表されたが「Cindy」は完全未発表。
 必聴は「ユー・キャン・ルック」の初期ヴァージョンで、歌詞は同じで曲がまったくの別物なのに驚愕する。
 「盗んだ車 」もピアノで始まるヴァージョンで、物語性(歌詞)が長く聴き応えがある。既に『TRACKS』で発表されていたが、これもミックスが違う。
 ほかに『ザ・リバー』に収録された楽曲で違いが顕著なのは、中盤の歌詞差替えとフェイドアウトのハーモニカが聴こえる「ザ・プライス・ユー・ペイ」や、終盤のハミングがオミットされていてあっさりとフェイド・アウトする「ザ・リバー」など興味深いものばかりだ。

    ◇

 もうひとつの目玉がDISC.4の『ザ・リバー:アウトテイクス』。
 親しみやすいポップな楽曲は11曲が完全未発表で、残り11曲は『TRACKS』や2003年の『Essential』などで陽の目を見た曲群だが、それらを“ザ・リバー・セッション”として一同に会したことで、このボックスの魅力を一段と高めているだろう。

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THE RIVER:Outtakes
~未発表曲〜
1. Meet Me In The City
2. The Man Who Got Away
3. Little White Lies
4. The Time That Never Was
5. Night Fire
6. Whitetown
7. Chain Lightning
8. Party Lights
9. Paradise By The “C”
10. Stray Bullet
11. Mr. Outside
~既発曲〜
12. Roulette
13. Restless Nights
14. Where The Bands Are
15. Dollhouse
16. Living On The Edge Of The World
17. Take 'em As They Com
18. Ricky Wants A Man Of Her Own
19. I Wanna Be With You
20. Mary Lou
21. Held Up Without A Gun
22. From Small Things (Big Things One Day Come)

 未発表曲のなかで「Chain Lightning」が、かなりクールな楽曲で耳に残る。
 唯一のインストゥルメンタル「Paradise By The “C”」は、1978年の〈Darkness On The Edge Of Town Tour〉の第2部の幕開きで既に演奏されている。(1986年リリース『THE “LIVE” 1975-85』において78年7月7日の演奏が初収録される)

    ◇

 残るはBlu-rayディスクが2枚。
 「THE TIES THAT BIND」と題された『ザ・リバー』制作秘話のドキュメンタリー(約60分)は、アコースティック・ギター片手に当時を振り返るブルースのインタビュー構成で、「タイズ・ザット・バインド」や「ザ・リバー」など数曲をアコースティック・ヴァージョンで聴くことができる。

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    ◇

 「THE RIVER TOUR TEMPE 1980」は、1980年の〈The River Tour〉から11月5日アリゾナ州立大学での完全未発表ライヴ映像が2時間40分収録されている。それに加え、9月下旬のツアー・リハーサルの演奏も20分ほど収録。アルバム・リリース前にライヴ・アレンジを試みている様子である。

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THE RIVER TOUR TEMPE 1980 live concert from Tempe 1980, plus rehearsal footage 
1. Born To Run
2. Prove It All Night
3. Tenth Avenue Freeze-Out
4. Jackson Cage
5. Two Hearts
6. The Promised Land
7. Out In The Street
8. The River
9. Badlands
10. Thunder Road
11. No Money Down
12. Cadillac Ranch
13. Hungry Heart
14. Fire
15. Sherry Darling
16. I Wanna Marry You
17. Crush On You
18. Ramrod
19. You Can Look (But You Better Not Touch)
20. Drive All Night
21. Rosalita (Come Out Tonight)
22. I'm A Rocker
23. Jungleland
24. Detroit Medley
25. [Credits]〜Where The Bands Are
《BONUS》
26. Ramrod[The River Tour Rehearsals]
27. Cadillac Ranch[The River Tour Rehearsals]
28. Fire[The River Tour Rehearsals]
29. Crush On You[The River Tour Rehearsals]
30. Sherry Darling[The River Tour Rehearsals]

 当日は34曲を演奏したステージなので、10曲ものボツ映像があるのが惜しいところだが、そんな考えをぶっ飛ばすくらい素晴らしい映像・演奏・ステージパフォーマンスを目にすることができる。

 「明日なき暴走」で幕開け、ロイ・ビタンのピアノの上で歌い始める「凍てついた十番街」。「二つの鼓動」を歌い終えるとステージにショーツが投げ入れられ、「プロミスト・ランド」が終わると女子学生がステージに飛び出しブルースに抱きついたりする(ブルースはキスで応える)シーンを挟み、「ザ・リバー」まで一気に8曲を歌い上げる。そして、ファンに語り継がれるほど有名なブルースの発言と「バッドランド」。

 この日は、共和党のロナルド・レーガンが圧倒的な支持を得て大統領に選出された翌晩のライヴ。
 「昨夜恐ろしいことが起こった。君たちはまだ若い。君たちの行動に期待する人々は沢山入りと思う。だから、この曲を君たちのために歌うよ」と発言して「バッドランド」になだれ込む。
 このときのヴァージョンが『THE “LIVE” 1975-85』にも納められるほど、素晴らしい演奏と歌だ。

  待つことで時間を無駄にしちゃいけない…
  ぼくたちはこの荒れ果てた地で生きなくちゃいけない…心を奮い立たせよう…
  進み続けよう…何かが見えてくるまで…
  荒れ果てた地が良くなるまで…(「バッドランド」要訳)

 第2セットは、チャック・ベリーの「No Money Down」から「キャディラック・ランチ」が始まる〈The River Tour〉初期のレアパターンから、終盤への大ロックンロール大会が繰り広げられる。


 年末に入った情報では、Blu-rayに未収録の10曲が《live.brucespringsteen.net》においてMP3でフリーダウンロードを開始した。映像は何かしらのトラブルがあったのだろうと想像し、CD−R通販もあるようなので音だけでも完全版を聴くことが出来るようだ。

1. Darkness On The Edge Of Town  5:08
2. Independence Day 7:03
3. Factory 3:16
4. Racing In The Street 8:30
5. Candy's Room 3:29
6. The Ties That Bind 3:47
7. Stolen Car 4:50
8. Wreck On The Highway 4:56
9. Point Blank 7:57
10. Backstreets 8:29


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