TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

CHINA ROSE / 金井夕子




 金井夕子という歌手を思い出した。
 70年代のオーディション番組としてお化け番組だった『スター誕生!』出身で、78年6月『パステル・ラヴ』でデビューした実力派アイドルだ。作詞作曲は尾崎亜美。まだオリビアのヒット前で、尾崎亜美もやっと名前が知られるようになったころだった。

 しかし、歌唱力は他の同期のアイドルと比べて断然優れていた金井夕子は、ブレイクしなかった。岩崎宏美と同じくらいの実力をもった女性だったのに、なぜか売れなかった。
 いや、『パステル・ラヴ』やセカンド・シングル『ジャスト・フィーリング』は新人歌手としてはそこそこの売り上げだったらしいが、シングルとしてはそこまで。
 いかんせん、アイドルとしてはルックスが地味だった。事務所やレコード会社としては、実力派として売りたかったのだろう。デビューシングルに台頭し出したニューミュージックの雰囲気を持ってきたことでも分かるのだが、歌唱力があれば地味なルックスでもと読んだのが裏目に出た感じだ。
 同年デビューで同じ北海道出身の中原理恵が、金井夕子と同い年とは思えないプロポーションとファッションセンスでデビューしたのとは対照的だ。それがとても残念だ。

    ◇

 '78年11月に発売されたファーストアルバム『Feeling Lady』での作家陣は、尾崎亜美(6曲)・丸山圭子(2曲)・庄野真代(2曲)の三人。
 透明感あふれるアルトの歌声で、他のアイドル歌手のアルバムとはひと味もふた味も違う独特の世界を作り出している。もちろん、それはニューミュージックの世界観が大きく作用されているのだが。  

 サードシングル『午前0時のヒロイン』まで尾崎亜美を起用し、次に選んだのが筒美京平サウンド。前年『飛んでイスタンブール』や『東京ららばい』『たそがれマイ・ラヴ』とニューミュージック指向の筒美サウンドが流行したのだから、実力派としてのこの選択は正解だったと思う。
 事実、松本隆&筒美京平の『ラストワルツ イン ブルー』は筒美らしいメロディを心地よく聴くことができる秀作。そして、筒美京平サウンドは『オリエンタル・ムーン』『スリランカ慕情』(作詞:阿木燿子)と続いていく。

 セカンドアルバムは'79年の6月の『invitation』。A面が松本隆&筒美京平の楽曲で、B面はユーミンのダンナ松任谷正隆が担当し、演奏も鈴木茂、林立夫、小原礼、斉藤ノブ、村上ポンタ秀一と錚々たる面子。ティンパンアレーファミリーで固めた陣営で作られたこのアルバムは、好きな1枚。なかなかの好アルバムだ。

 そしてサードアルバム『CHINA ROSE』('79年12月)は細野晴臣を起用。前年にブレイクした坂本龍一、高橋ユキヒロらYMOの面々がバックを彩ることになる。異国情緒あふれるオリエンタルさとテクノの融合で、不思議なサウンドが出来上がった快作で評価の高いアルバム。
 このアルバムでは再び尾崎亜美の楽曲も歌われ、また、金井夕子の自作詞も取り上げられている。
 ジャケット写真がどこか太田裕美に似ているところが、何ともいい。

 4thアルバム『ecran』('81年2月)は、大貫妙子や近田春夫、糸井重里らの参加でテクノの方向性がもっと強くなっているが、これが失敗。
 テクノ歌謡なる分野ができたくらいで、このアルバムのなかの『走れウサギ』は越美晴の歌唱で有名になった。

 この時期、尾崎亜美のコンサートにバックコーラスとして参加したりし、すっかり尾崎亜美ファミリーとなった金井夕子は、作詞家としての道を歩みだす。尾崎亜美に影響された豊かな感性で、ペンネーム“青木茗(メイ)”として小泉今日子、岩崎良美、堀ちえみらに詩を提供している。
 '82年には金井由布子と改名してシングルを1枚出すも、その後一時引退。
 アーティストとして十分に成功できた女性と思えたのだが、彼女自身にそれ程の欲がなかったのか、もったいない。
 現在は、2002年に童謡『スクスクのびのび』で歌手復帰をしている。



 昭和歌謡番組に呼ばれることもなく、ベスト盤CD(廃盤)に高値が付く歌手のひとりになってしまったことが残念。
 

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Comment

路傍の石 says... ""
金井夕子とはまたすごい名前が出てきましたね。名前はまったく失念してました。この時期デビューのスタ誕組でハッキリ記憶にあるのは井上望くらいです。
78年といえばアイドル不毛の時代。ニュー・ミュージックの路線として売り出したのは時代の要請ですね。しかし作家陣に細野晴臣、鈴木茂のティン・パン・アレー組が起用されていることに興味がそそられます。そしてなんといっても筒美京平はこの頃顕著だったエキゾチック路線。聴き所満載じゃないですかー。せめてベスト盤は手に入れたいと思います。
2005.12.08 00:11 | URL | #3UG7ZRW. [edit]
mickmac says... ">路傍の石さん"
金井夕子って文中ではアイドル歌手と書きましたが、レコードを買ったときにはアイドルって認識はありませんでした。ニューミュージックとして購入をしていましたね。
同時期の高見知佳のセカンドアルバムも、西島三重子と佐藤奈々子の曲目当てだったりしているのです。
筒見京平の集大成CD-BOXは買いそびれているのですが、『ラスト ワルツ イン ブルー』くらいは収録されていたのでしょうね。
ところで金井夕子のベスト盤を廃盤と書きましたが、まだ購入可能でした。
2005.12.09 00:19 | URL | #kuX..F9k [edit]

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