TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「待ち伏せ」*稲垣浩監督作品


監督:稲垣浩
脚本:藤木弓、小国英雄、高岩肇、宮川一郎
製作:三船敏郎
撮影:山田一夫
音楽:佐藤勝
出演:三船敏郎、勝新太郎、石原裕次郎、浅丘ルリ子、中村錦之助、有島一郎、北川美佳

☆☆☆ 1970年/三船プロダクション・東宝/117分

    ◇

 初見1970年3月。
 この年、三船敏郎は勝プロの『座頭市と用心棒』(正月公開)と中村プロの『幕末』(2月公開)に客演。石原裕次郎とは1968年に『黒部の太陽』で共演しているが、こうしてそれぞれスター・プロダクションの代表として4人が一堂に会した映画は初めて。
 それだけに、銀幕の大スター競演ということでワクワクして劇場へ行った映画だ。


 幕府の陰謀・策略が日夜企てられていた天保の時代。
 人里離れた三州峠に、申し合わせたかのように人が集まってきた。

 浪人・鎬(しのぎ)刀三郎(三船敏郎)は、“鴉”と呼ばれる謎の武士に金で雇われ「峠で待て」の密命を受け、峠のふもとにある一軒の茶屋で暇をつぶす。途中、夫の暴力に悩まされていた女おくに(浅丘ルリ子)を助け、同行していた。
 茶屋は、老主人の徳兵衛(有島一郎)と村を出たがっている孫娘のお雪(北川美佳)で切り盛りしていた。裏の離れの小屋には、ご禁制の薬で一儲けしようと企む医者くずれの玄哲(勝新太郎)が住んでいる。
 そこに、処払いが明けた渡世人の弥太郎(石原裕次郎)が立ち寄り、さらには血だらけの男が二人、役人の伊吹兵馬(中村錦之助)が盗人を捕らえて現れた。

 しばらくすると、盗人の仲間二人が役人に化けて茶屋にやってくるが、偽物と見破った刀三郎は一人を切り捨てるが、もうひとりに逃げられてしまう。
 新手の敵が来ることを予想した刀三郎は見晴らしのよい場所へと姿を移し、弥太郎も茶屋を後にする。
 やがて数人の盗人仲間たちが押し入り、兵馬やおくにら四人を人質にした。この盗賊の首領は何と玄哲であった。そして、刀三郎も捕えられ茶屋に戻ってきたが、持っていた密書を見た玄哲は仲間だと言う。刀三郎が受けた用心棒の仕事は、水野越前守の命で玄哲らとともに三州峠を通る御用金を掠奪し、松本藩をつぶすことだった。
 玄哲はかつて江戸城のお抱え医で、水野越前守の疑獄の身代わりで追放されたあと、水野越前守から裏の汚い仕事を任されるようになっていた。

 ところが、その命を下した“鴉”から「玄哲を斬れ」という密書が刀三郎に届いた。
 実は、御用金などというのは真赤な嘘で、水野越前守の弱みを握る玄哲を抹殺するという“鴉”の大芝居だったのだ。“鴉”が差し向けた囮の行列が近づいてきた。
 そこに弥太郎が率いる陣屋の捕手も駆けつけるが、玄哲は刀三郎の制止を振り切り行列の中へ斬り込んでいった………。

    ◇

 そのほとんどが茶屋を中心にした密室劇に近く、4大スターが居ながらダイナミックな殺陣シーンは最後に少しだけという、ワクワク感が萎んだ感はあるけれど、まぁそれなりに楽しめた作品ではあった。
 
 やはり三船敏郎には良くも悪くも素浪人がお似合いだし、勝新太郎は(座頭市もそうなのだが)ワルっぽさが嵌る。
 ただスター4人の見せ場が充分だったかというとそうでもなく、石原裕次郎と中村錦之助は損な役回り。時代劇では大根ぶりを露呈する石原裕次郎がウロチョロするだけで出番も少ないのは良しとして、吃音で性悪な正義感を振りかざす中村錦之助に至っては、骨折している状態にして芝居の動きを制限してしまっている。だから見せ場がない。
 これはどう見ても、三船敏郎と勝新太郎に華を持たせたことなのだろうが、その勝新太郎にしても、玄哲という屈折した人物像がしっかりと描き切れていないので、最後の鎬刀三郎との心の通じ合いがイマイチ感じられないのが残念。

 浅丘ルリ子は時代劇向きのお顔ではないけれど、綺麗だから言うことなし。女の情念を感じさせ、素浪人の心を掴むところなんぞいい女ぶり。

 スキャンダルなことを少し書き添えておけば、計算高いお雪役の北川美佳は三船美佳の実母。実生活でこの時期、本妻との別居生活に入った三船敏郎の心を掴んだ北川美佳ということになるのだが、結果、ここから三船プロの凋落まで10年もない。

★座頭市と用心棒★

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