TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「悪魔は誰だ」*チョン・グンソブ


MONTAGE
監督:チョン・グンソブ
脚本:チョン・グンソブ
音楽:アン・ヒョンジョン
出演:オム・ジョンファ、キム・サンギョン、ソン・ヨンチャン、チョ・ヒボン、ユ・スンモク

☆☆☆☆ 2013年/韓国/120分

    ◇

 15年の時効を迎えた幼女誘拐殺人事件の被害者の母親と、執拗に犯人を追っていた刑事の前に再び悪夢がくり返されるサスペンスで、韓国のクライム・ムーヴィーは面白い。


 15年前に誘拐事件で幼い娘を失った母親ハギョン(オム・ジョンファ)は、犯人が見つからない中、自らも長年情報を集めていた。事件の担当刑事チョンホ(キム・サンギョン)は、事件が間もなく公訴時効を迎えることを告げにハギョンのもとを訪ねる。犯人逮捕を願っていた彼女にとって、それは決して受け入れられるものではなかった。
 時効まで残り5日と迫ったある日、事件現場に1輪の花が供えられていたことを知ったチョンホは、監視カメラなどそこに残った手掛かりを元に捜査を再開するが、時効まであと2時間というところで犯人を追いつめるも取り逃してしまう。
 責任を感じたチョンホは刑事を辞める。そして数日後、15年前と全く同じ手口の幼女誘拐事件が起きる……。

    ◇

 『殺人の追憶』『チェイサー』の成功で韓国映画の主流になった感のあるコリアン・クライム・サスペンスは、印象的な音楽や効果音を駆使した映像的アイデアとヴァイオレンス描写が観客の求心力を高めている。
 本作は『殺人の追憶』『チェイサー』のような実際の事件をベースにしたものではなく、巧妙にストーリーを練り込み推理性に重きが置かれた犯罪映画。だからこれまでのような残虐な描写もなく、スリリングなサスペンス映画に仕上がっている。
 邦題の『悪魔は誰だ」は、多分に『悪魔を見た』(’10)を意識した誘いでネーミングされたのだろうが、猟奇モノを連想させてしまい損をしているのではないだろうか。

 映画の核は、最愛の娘を亡くした母親の怒りと犯人を目の前で取り逃がした刑事の執念。
 身代金受け渡しの駅での大掛かりなシーンや、母親が小さな手掛かりをもとに犯人に近づいてゆく過程や、カセットテープに残された音声を解読し真相を知るシークエンスなど、ふたりの行動が丁寧に描かれることでミステリーの醍醐味が味わえる。
 そして、そこに映画のトリックをも隠されている趣向。

 本編の3分の2が過ぎたところで明かされる事件(映画)の真相は、単に観客を驚かせるだけの外連ではなく、つづく映画の終幕において、誰が〝悪〟に成り得るのかと観客に問うことになる。
 予告編の惹句通り、誰にも想像できない衝撃を目の当たりにするストーリーテリングの妙味に感心させられる。

 原題の〝モンタージュ〟は色々な意味で含みのある言葉で、映画を観終わったあとになるほどと思える仕組みになっている。

 刑事を演じたキム・サンギョンは上川隆二か仲村トオルに見えるところがあったり、母親役のオム・ジョンファはどこか鈴木砂羽に似ている。
 そのオム・ジョンファは、韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞で主演女優賞を獲得している。

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