TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「大停電の夜に」*源孝志監督作品



監督:源孝志
脚本:カリュアード(脚本家ユニット/源孝志&相沢友子)
撮影監督:永田鉄男
主演:豊川悦司/田口トモロヲ 原田知世/吉川晃司 寺島しのぶ/
   井川遥 阿部力/本郷奏多 香椎由宇/田畑智子/淡島千景 宇津井健

☆☆☆ 2005年/日本/132分

    ◇

 クリスマスイヴ。
 東京の光が消えた時、一夜かぎりのラヴストーリーがはじまる


 繰り広げられる物語は、“大停電”というアクシデントをきっかけに心の中で何かが動いた世代の違う男女12人の恋愛群像劇で、エピソードの中のいくつかがそれぞれ知らないところでリンクし合いながら、一夜限りのファンタジーとして描かれていく。

 日本のクリスマスって、いつ頃からこんなに明るくなったんだろう。ニューヨークに負けないほど街がデコレーションでごった返している。一晩だけのキリスト信者が一週間経てば神社へ初詣でする日本人に、こんなファンタジーは似合わないはずなんだけどな。
 それでもこの手のシチュエーション・ドラマが好きだから、観ているときはとてもゴキゲンだった。

 大停電になっても現代社会では特に都会では真の暗闇になることはない。大きなビルやホテルでは自家発電装置があり、街には車のライトやら非常灯やらが溢れているし、パソコンや携帯電話の明かりもある。だから、映画の中の闇も色とりどり。

 アクティブな真っ赤な闇。妖しく哀しいブルーの闇。不安と心強さを兼ねた緑色の闇。そして、温かく包み込むように優しいオレンジ色の闇。
 この灯りひとつひとつに、登場人物のこころの揺れが映し出される映像は素晴らしい。
 撮影監督はフランス在住の永田鉄男氏で、2002年にフランスのセザール賞最優秀撮影賞を受賞した唯一の日本人だという。
 光と影が織りなす映像が、本当に美しい。

 ターンテーブルのレコードに針が落とされ、アナログの柔らかな音で奏でられるビル・エヴァンス・トリオの“MY FOOLISH HEART”で幕が開く。
 名盤『Waltz for Debby』の1曲目に収録されている甘く切ないこの曲は、映画の終幕、東京の街の片隅がニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードに変身するかのように素敵な選曲となっている。

 惜しいのは、これだけ豪華なキャスティングのわりに各エピソードがありきたりの話になっていることか。同じような男女の話がダブルものもあり、全体的にもう少し短く出来たはず。それぞれを均等に描こうとしたためか、静かなテンポの中で2時間を超えるのは長過ぎる。

 ジャズバーのオーナーで元ジャズマンの木戸晋一(豊川悦司)と、お向かいのキャンドル屋の叶のぞみ(田畑智子)の恋を予感させる話が一番好きだな。
 豊川悦司との掛け合いなど、ほんわかした田畑智子が良いです。
 反対に、佐伯静江(原田知世)のこころの動きがうまく伝わってこなかったのが残念。
 



 「ナイト・オン・クリスマス』と副題されたこのDVDは、映画の宣伝としてよくあるメイキング・フィルムとは違いフェイクドキュメンタリーとして、『大停電の夜に』のアナザー・ストーリーになっている。
 クリスマスイヴの停電の夜の日にいた12人の登場人物として、俳優たちが演じるもうひとつの物語。
 
DVD本編51分
価格:2000円


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