TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ジャスト・ア・ジゴロ」*デイヴィッド・ヘミングス


JUST A GIGOLO
監督:デヴィッド・ヘミングス
脚本:ジョシュア・シンクレア
音楽:ギュンター・フィッシャー
出演:デヴィッド・ボウイ、シドニー・ローム、キム・ノヴァク、マレーネ・ディートリッヒ、マリア・シェル、クルト・ユルゲンス、デヴィッド・ヘミングス

☆☆☆★ 1978年(日本公開1983年)/西ドイツ/104分(オリジナル147分)

 初見1983年5月。
 1920年代を舞台に、時代に翻弄されながらジゴロとなった男の悲運な生涯が描かれる。

 第一次大戦後のドイツは敗戦の痛手により、街は貧困と享楽が入り混じった奇妙な状態だった。負傷してベルリンに戻ったエリート青年将校のポール(デヴィッド・ボウイ)は、今では地位も名誉もないただの失業者でしかなかった。
 彼の唯一のよりどころは場末のキャバレーの踊り子をしている恋人のシリー(シドニー・ローム)だったが、ふとしたチャンスから彼女はハリウッドへ渡って女優になる道を歩み始める。
 シリーに去られ、すべてに失望したポールは、バー〝エデン〟でジゴロたちを指揮する男爵夫人(マレーネ・ディートリッヒ)のもとで、金持ち女(キム・ノヴァク)の若い情夫となりジゴロの世界に浸ってゆく。
 3年後、人気女優となったシリーがパトロンだった侯爵(クルト・ユルゲンス)と結婚式を挙げるために帰国。華々しい式に招かれざる客としてやってきたポールは、シリーにジゴロとして買われる。
 ひとり寂しく夜の街を彷徨うポール。そこで、当時台頭しつつあったナチスと共産党首との争いの流れ弾に当たり、虫けらのように死んでゆくのだった…。

    ◇

 マレーネ・ディートリッヒ、キム・ノヴァク、マリア・シェルといった往年の大女優が顔を揃えたのも豪華だが、特に、ジゴロの元締めを演じたマレーネ・ディートリッヒは当時77歳。衰え知らずの美貌と脚線美、ハスキーで低い声で「Just A Gigolo」を歌う姿も艶やか。この作品が遺作となってしまったが、ボウイとの美しい競演は魅力的だった。
 撮影時のデヴィッド・ボウイといえばブライアン・イーノとの〝ベルリン三部作〟で世界中で凄まじい人気のあった頃だが、映画の耽美な雰囲気にぴたりと嵌っている。

 石畳と階段を歩くボウイの姿に銃声、壁に差す無数の影、そしてディートリッヒの歌声……



 監督のデヴィッド・ヘミングスは、ミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』(’66)で一躍有名になったイギリス出身の俳優で、『バーバレラ』(’68)や『ジャガーノート』(’74)『サスペリアPart2』(’75)に出演。『小さな恋のメロディ』(’71)の製作にも関わり監督業にも乗り出し、本作は監督作品2作目。
 残念なことに、この映画のお披露目は散々な目に遭う。1978年、ドイツでのプレミアム上映での酷評やロンドンでの公開打ち切りに伴い、世界的にも配給会社が決まらずお蔵入りになった曰くがある。

 1979年、日本でも映画未公開という状態で、本作のオリジナル・サウンドトラック盤だけがリリースされた。

JustAGigolo_LP.jpg

 デヴィッド・ボウイは1曲のみの参加(ザ・レベルズ名義)。マレーネ・ディートリッヒの「Just A Gigolo」をはじめマンハッタン・トランスファーの「Johnny」「Jealous Eyes」「I Kiss your Hand Madame」、シドニー・ローム演じる踊り子が劇中セミヌードで歌う「Don't Let It Be Too Long」など、1920年代のデカダンな雰囲気を堪能できる好アルバムだが、2015年現在未CD化である。

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