TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

白夜行vsけものみち

 来春1月から、新旧ミステリーの2作品が連続ドラマで放送される。

    ☆    ☆    ☆

 ひとつは、松本清張の『けものみち』。

 テレビ朝日木曜ドラマで、高視聴率だつた『黒革の手帖』につづいて米倉涼子の主演だ。
 彼女の路線が決まってしまう感があるが、それも悪くはない。この路線で突っ走れ。

 今度の女は凄い。身体の不自由な夫を焼き殺し、政財界の黒幕の愛人になり、男社会のなかで生きていく悪女。
 1982年にNHKでドラマ化されたものが印象的だった。NHKドラマとしては和田勉演出のベッドシーンと、名取裕子の官能的な演技が話題になったのだが、米倉涼子がこれに迫れるか。期待のドラマだ。

    ☆    ☆    ☆

 もうひとつは、東野圭吾のベストセラー『白夜行』。
 叙情詩豊かな極上のミステリーで、全く別の登場人物ではあるが続編的作品の『幻夜』と共に東野作品の中でも人気が高く、大好きな作品だ。
 ドラマ化に伴い、ただいま再読中。

 1973年に起こったひとつの迷宮入り事件。被害者の息子・亮司と容疑者の娘・雪穂は別々の人生を送るのだが、ふたりの周囲にいくつもの犯罪が見え隠れしながら19年を迎える。そして………。

 ◆以下の文章に原作本のネタバレあり

 原作は、主人公・雪穂と亮司の心情が一切描かれることなく、そして、最後までふたりが接触をしないという構成になっている。主人公たちの周囲にいる人物によって雪穂と亮司の特別な関係が徐々に浮き彫りにされる手法で、巧妙に伏線を張り巡らした複雑な作品だ。
 
 その独特な世界を、TBSの大ヒットドラマ『世界の中心で愛をさけぶ』のスタッフ&キャストが、ドラマ化に挑んだ。雪穂と亮司の役は、綾瀬はるかと山田孝之。
 健闘を称え期待もするが、公式サイトでは純愛ドラマとしての取り組み方に賛否両論の声が上がっている。それとミステリー色を排したために、サイトでは堂々とネタバレがされている。原作ファンが怒るのも道理ではある。

 ぼくは映像化に反対ではない。
 小説での“ふたりの接点を描かない”手法と、映像での表現は当然違う。ドラマは原作を解体し、謎だった部分をはじめに提示し、ふたりが歩んだ暗い闇に光を当てるのだろう。
 小説では描かれなかったふたりの影の部分と、あの日のまま止まってしまったふたりの心の中をどう描くのか、森下佳子の脚本に興味がある。
 
 2~3年前かに、某プロデューサーのサイト(現在は閉鎖中)にこの作品のドラマ化を熱望したことがある。原作を読んだのは6年前。読み終えたあと、特に、ラストシーンの印象がとても強烈で、これはぜひ映像で見てみたいと思ったのだ。
 冷酷で、感情が稀薄、それでいて周りの者たちを虜にするほどの美貌の持ち主・雪穂。彼女の役は深田恭子が似合っていると思っていたが、今回の綾瀬はるかの起用も悪くない。
 ただ、原作は19年間に及ぶもので、ラスト、唯一ふたりが一緒にいるシーンでは30才になるのだが、ドラマでは14年間の話に変更されている。これも原作ファンの怒りの種だが、それも致し方ない。

 ラストの一行に感じるものは、原作ファンそれぞれ違うはず。
 映像化されるのもそのひとつにすぎない。

 ふたりは出会うことなく“悪”に取り込まれていくことで絆を深めていくという、この不可解なふたりの関係が“究極の愛ノカタチ”だと言えなくはない。

    ☆    ☆    ☆

 さて、この2作品が同じ木曜夜9時からというのだから困ったものだ。
 どちらの悪女も魅力的だから、大いに楽しませてもらいます。

 
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Comment

シリウス says... "ドラマ「けものみち」"
来年1月放送のテレビ朝日のドラマ「けものみち」は大いに期待できますね。
原作が社会派推理小説の大御所・松本清張であることと、若手女優の中で注目度の高い米倉涼子なので、中味の濃いドラマになると確信しています。

何十年か前に松本清張の登場で、推理小説の構成に大きな変化が生じました。
社会情勢(背景)や人物の描写が緻密になり、「動機」が最重要であるとされています。
清張氏以後、社会派推理小説は推理小説界の大きな流れの一つを占めましたね。
(最近は、横山秀夫の警察物もありますが、これも社会派推理小説の中に入りますね)

米倉涼子は「黒革の手帳」「女系家族」の好演で、妖しい魅力をもつしたたかな悪女役では、現在抜きん出た存在の若手女優になってきました。
彼女はこの路線を突っ走るのもいいのではないですか。
彼女出演の女優・杉村春子の生涯を描いた3夜連続ドラマ「女の一代記」も必見のドラマだと思います。

来年の「けものみち」は高視聴率番組になると思います。
2005.11.22 13:02 | URL | #6cov1DqI [edit]
mickmac says... ">シリウスさん"
『けものみち』が米倉涼子の代表作のひとつになって欲しいですね。
共演者が決まりました。
米倉を悪の世界に導く男に佐藤浩市。
彼女を追う刑事役に仲村トオル。
はまり過ぎかもしれないこのふたりなら、これは十分に期待出来るドラマですよ。

3夜連続ドラマ『女の一代記』は「越路吹雪物語」も期待したいです。
天海祐希久々の歌唱が見られるのですから……笑。
2005.11.23 00:29 | URL | #kuX..F9k [edit]

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