TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

歌伝説 ちあきなおみの世界

 期待以上の素晴らしい番組だった。
 制作者のちあきなおみへの想いが、情熱が、ダイレクトに伝わる番組に仕上がっており、ここまでの番組になるとは想像すらできなかった。

 人にスポットを当てる番組の場合、得てして関係者やひととなりを知る人のインタビューをメインに構成されることが多いのだが、今回のこの番組はタイトルの『歌伝説』のとおり、“歌手”であり“表現者”であるアーティストちあきなおみに対しての礼儀、そして愛情であるかのように、“歌”が主役だ。
 他局から借り受けた映像を含め、“歌”を大事にした番組作りにはファンとして頭が下がる思いです。
 これはNHKだからこそ出来た番組。他局じゃあ、こうはいかない。民放での作り方が想像つくだけに、今回この企画にゴーサインを出したNHKには、感謝。

 “歌”を表現するちあきなおみのパフォーマンスは、心に突き刺さる“ドラマ”です。
 今回この番組でのひとつひとつの“ドラマ”は、はじめの一音からおわりの余韻まで、できる限りの範囲で丁寧に編集と構成がなされていた。すべての“ドラマ”への想いは、一曲一音を大事に、歌は完全な状態で、そしてシンプルに、余分なものを排除した制作者たちの姿勢に表れていた。その愛情に、拍手を。


歌伝説 ちあきなおみの世界/BS エンターテインメント
NHK-BS2 11月6日(日)19:30~21:00
NHK-hi  11月24日(木)23:25~24:55


◆放送された曲目

   ☆   ☆   ☆

01 喝采 '72 第23回NHK紅白歌合戦
02 紅とんぼ 歌謡パレード'88
03 雨に濡れた慕情 プロモ・フィルム
04 四つのお願い '70 ふるさとの歌まつり
05 X+Y=LOVE '72 ふるさとの歌まつり
06 夜間飛行 '73 第24回NHK紅白歌合戦
07 かなしみ模様 '74 第25回NHK紅白歌合戦
08 矢切の渡し '89 歌謡パレード
09 朝日のあたる家 ABC TV
10 夜へ急ぐ人 '77 第28回NHK紅白歌合戦
11 粋な別れ 歌謡パレード'88
12 星影の小径 歌謡パレード'88
13 港が見える丘 '88 加山雄三ショー
14 帰れないんだよ '92 愉快にオンステージ
15 ねぇ、あんた '92 愉快にオンステージ
16 それぞれのテーブル 音声のみ
17 霧笛 '88 加山雄三ショー
18 かもめの街 '88 加山雄三ショー
19 紅とんぼ〈Again〉 '88 第39回NHK紅白歌合戦
20 紅い花 '92 愉快にオンステージ
21 黄昏のビギン '92 愉快にオンステージ
22 喝采〈Again〉 '92 愉快にオンステージ
23 伝わりますか エンディングロール

   ☆   ☆   ☆


 前半約30分ほどはデビューから『矢切の渡し』のヒットまでを、エピソードやインタビュー映像を交えながらさらりと紹介。 
 そしてヒット曲とは無縁のちあきが歌いたい歌、表現したい歌へと繋がる……。

 ジャズ・コンボをバックに切々と歌い上げる『朝日のあたる家』は、CDで聴くライヴとは違う、味わい深いものだった。彼女の表現力の奥深さを感じることができた。
 1977年の紅白での『夜へ急ぐ人』。
 紅組のペンライトを振る応援は「センスねえなぁ」と思いながら、ちあきの狂気の前に狂喜する自分がいた。

 『ねぇ あんた』の映像は、CDで聴くのとはまったく異質な世界が繰り広げられる。中島みゆきの世界と共通する“芝居”が演じられるのだが、ここでは唯一歌詞テロップが流れない。これは制作者のセンス。
 目で歌詞を追っていてはこの歌の世界を体感できない。ちあきの口から発せられる“唄言葉”で、演技者・ちあきなおみの世界を共有し、その凄さに舌を巻くのだ。
 そして、ちあきなおみがシャンソンやファドに辿り着くのも自然な流れ。
 『霧笛』の、なんと切ない情景のことか。
 アルバム『待夢〈たいむ〉』『それぞれのテーブル』はANOTHER WORLDとしてCD化されているので聴いてほしい。どれも素晴らしい曲たちばかりです。

 大好きな『紅い花』は鼻唄ナンバーワン(笑)。ラスト・レコーディングの曲です。
 どの曲でも情感豊かなちあきなおみの歌声は、これが最後………ああ、涙があふれる。

 ラストカットは粋だねぇ。
 山口百恵がステージにマイクをそっと置いたのとは対照的に、無人の客席からのアンコールの拍手のなか、凛と立つマイクスタンドが1本、主を待つ。
 アンコールはもちろん『喝采
 そして、エンド・ロールに流れる『伝わりますか
 ………なんて素敵な構成。

   ☆   ☆   ☆

 ラブコールは終わった。
 そして、ひとりの人間、ひとりの歌手、ひとりのアーティストに向けたラブレターが残った。
 この情熱が、彼女に届いていることを願いたい。
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Comment

りく says... "歌伝説"
番組制作にはちあきなおみのファンサイトの意見が多く取り入れられたそうで、製作者の書き込みも(!)そのファンサイトの掲示板で何度か読みました。
そして番組の構成にはちあきなおみの長年にわたる音楽面でのサポートを行ってきた人の名前が。
ちあきなおみへのすべての愛情がそそがれた名番組でした。
2005.11.08 20:12 | URL | #zliNgu6s [edit]
mickmac says... ">りくさん"
制作会社のF氏の書き込みを読みました。
ちあきなおみさんのファンサイトが番組制作に何らかのお役にたっているなんて、サイトの管理者はもちろんのこと、そこに集うファンのみなさんの応援冥利につく出来事ですね。
例の『ねぇ あんた』の歌詞テロップの件も、ファンの想いがあったらこその実現だったのですね。素晴らしい。

制作会社のサイトも覗いてみました。
『歌伝説』は、今までにテレサ・テンさんと越路吹雪さんで創られていました。その他にもNHK『そして歌は誕生した』シリーズなど、確かなモノづくりをしている集団だと知り、今回の番組のクォリティの高さに納得しました。
2005.11.09 00:22 | URL | #kuX..F9k [edit]
路傍の石 says... "素晴らしかったです"
感動したなんて言葉すらも薄っぺらく感じてしまうほどの感銘を深く心に刻みつけられました。観ていて何度涙が溢れたことか。
特に「ねぇ、あんた」での問わず語りに拙の亡き母のことを想い出しました。人の愛情表現がこれほどまでに美しいものだったのかと、ここでまた涙。
今はそれ以上の言葉がなく、拙のほうはしばらくレビューはお預けです。

ファンサイトの意見が取り入れるなんて、我われが日頃思いおもいに書き散らしていることでもマスコミに影響を及ぼす時代が来たのですね。
2005.11.09 01:46 | URL | #3UG7ZRW. [edit]
mickmac says... ">路傍の石さん"
こころが震える………これがまさに感動なのでしょうが、その言葉を使うには震えがあまりに大き過ぎました。
リアルタイムとDVDでの見直し1度でレヴューを書きましたが、日が経ち何度も見直すごとに感銘の深さも増し、今度はまた違ったレヴューになるかもしれません。
路傍の石さんのレヴューも楽しみにしております。

ところで、荒木由美子の1stアルバムはオール阿木&竜童だったのですね。
カバー曲が半分………そのアルバムを見つけたいですよ。
2005.11.11 00:14 | URL | #kuX..F9k [edit]
ファン says... "ちあきなおみさんの本名は?"
ちあき なおみ 本名:瀬川三恵子 東京都
小学校2年生のとき藤沢市辻堂の辻堂小学校に転校。
でも小学校の時の名前は、末木(すえき みえこ)。
中学生でまた東京の学校に転校。
本名が違うのは、親が再婚したのか?そのへんは??

早く立ち直ってもらいたいです。
2010.09.17 12:48 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: ちあきなおみさんの本名は?"
9月17日は、ちあきなおみさんの誕生日でした

日々、こころ静かに過ごされていることでしょう
2010.09.17 23:39 | URL | #- [edit]

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