TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「明日から愛して」梢ひとみ

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梢ひとみ◆ 明日から愛して/いつものように 1976年

 スレンダー女優・梢ひとみが、1976年3月にリリースした唯一のシングルで、A面「明日から愛して」は作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童。

 梢ひとみの歌唱は決して上手くはないが、羨む表情のジャケットには惹かれる1枚。明るめの曲調ながら、一途な女の純情が織りなす哀切あふれた挽歌に仕上がっている。

 梢ひとみは岩手から上京後、文化服装学院でデザインの勉強をしているときにスカウトされ、1973年『女子大生SEX方程式・同棲』(小原宏裕監督)の主演でスクリーン・デビュー。日活ロマン・ポルノの生え抜きとして、活動期間は短かったが記憶に残る人気女優だった。

 デビュー2作目、曽根中生監督『昭和おんなみち・裸性門』(’73)で二役を演じ、重厚な禁断のメロドラマとして評価は高かったし、田中登監督『女教師 私生活』(’73)では風間杜夫相手にヴァージンを捧げる女子高校生を演じていた。当時22歳、まぁ少し無理があったけれど、BGMの「ひなげしの花」や天井を漂う色とりどりの風船や初体験の跡を残すシーツの上を滑空する模型飛行機やらと作品としては印象深い。

 その後、渡哲也主演の東宝作品『ザ・ゴキブリ』(’73・小谷承靖監督)やTV「時間ですよ・昭和元年」(’74)などに出演したのだが、同じく一般映画として公開された長谷部安春監督のハードボイルド作品『すけばん刑事 ダーティ・マリー』(’74)では、スタイリッシュでクールな女刑事として期待していたのだが、アクションのキレが悪く唖然、不満の残る結果だった。
 澤田幸弘監督『暴行! 』(’76)のヴァイオレンスものはおもしろかった……そして、小原宏裕監督『実録おんな鑑別所』シリーズ(’75)では梶芽衣子の『さそり』に共鳴したのだろう、クールビューティーで無口な女囚役が彼女にぴったりだった。
 この『実録おんな鑑別所』の劇伴が、宇崎竜童(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)が初めて手掛けた映画音楽で、まだ「スモーキン・ブギ」でブレイクする前、ビアガーデンのステージをこなすなど鳴かず飛ばずだった頃の作品だが、公開時には「スモーキン・ブギ」がヒットしていたと思う。
 主題歌「煉獄のブルース」は宇崎竜童と梢ひとみが歌う絶品のブルーズ演歌。劇伴用のレコーディングしか存在しないために、2006年にHotwax*traxからCD化されるまで長い間幻の作品と言われていた。

 縁は異なもの、梢ひとみと宇崎竜童の関わりは翌年に再び結びつき、「明日から愛して」は生まれるべくして誕生したのであろう。
 この1976年は、6月山口百恵に「横須賀ストーリー」9月内藤やす子に「想い出ぼろぼろ」が提供され、ソングライターとして阿木燿子&宇崎竜童コンビが大きく飛躍した年だった。
  
 宇崎竜童作詞・作曲のB面「いつものように」は、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの初期の名曲「今日から他人」に呼応するロッカ・バラード。
 女の強がりと喪失感を歌う梢ひとみの乾いた声が沁みる逸品である。

 1977年、梢ひとみは突如引退。アメリカ人の彼を追いかけて海を渡ったと言われる。
 最期の作品は、2015年1月2日に亡くなった名シナリオライター白坂依志夫が書いた『赤い花弁が濡れる』(監督:西村昭五郎)。シャブを辞めようとする主人公林ゆたかにつきまとうエゴイストな令嬢を演じていた。

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