TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「でんきくらげ」*増村保造監督作品

1970_でんきくらげ
Play It Cool
監督:増村保造
原作:遠山雅之「悪女の手口」
脚本:石松愛弘、増村保造
撮影:小林節雄
音楽:林光
出演:渥美マリ、川津祐介、永井智雄、玉川良一、西村晃、中原早苗、真山知子、八代順子、根岸明美、平泉征(現・平泉成)

☆☆☆ 1970年/大映/92分

    ◇

 1970年5月公開の〝軟体動物シリーズ〟第3作。
 己の軀ひとつで、男を利用してのし上がっていく逞しい女のサクセス・ストーリーを、今回は巨匠増村保造が監督した。

 洋裁学校に通っている19歳の由美(渥美マリ)は、バーに勤める母親(根岸明美)と二人暮らしだったが、長年水商売を渡り歩いてきた母親に男っ気が途絶えることがなく、最近、保険外交員の吉村という男(玉川良一)と同居をしている。
 酒と博打に溺れる吉村は、由美の見事な軀に興味を示し、ある晩彼女のヴァージンを奪ってしまう。激怒した母親は吉村を刺殺。

 刑務所に入った母親を献身的に励ます由美は、生活のために母親が勤めていた場末のバー「タッチ」のマダム(中原早苗)に誘われ夜の世界に入った。母親は自分と同じ道を辿ることを案じるが、由美の決心は固く、店でもすぐに人気者になった。
 そんな由美に目をつけてきたヤクザがいたが、弁護士くずれで高級クラブのマネージャー野沢(川津祐介)に救われ、由美は野沢の愛人で銀座のクラブのママ依子(真山知子)の世話になる。
 銀座に出た由美は水を得た魚のように、着実に得意客を増やしていった。しかし由美は、母親の惨めな生活を見てきただけに自分の肉体を安売りすることだけはしたくなかったし、それは野沢に惹かれていることもあった。

 やがて由美を手に入れようと何人もの男たちが現れ、由美は得意のポーカーで自分が負けたら言いなりになると持ちかけ、玄人はだしに腕前で男たちから金を吸い上げるのだった。しかし他のホステスからのやっかみもあり、警察の取り調べを受ける羽目になる。

 そんなとき由美は、野沢からクラブのオーナー加田(西村晃)を紹介される。加田は由美のようにはっきりと自己主張する女性をひと目で気に入り、自分の財産を浅ましい親族に渡すくらいならお前に金をつぎ込みたいと、妾の話を持ちかける。
 相談した野沢の言葉は哀しかったが、母親のために何かを吹っ切たように決意する。
 莫大な手当とオーナーとの爛れた生活だったが、ある日、加田が風呂場で倒れ死んでしまう。野沢から、妾には金は一銭も渡らないが子どもがいれば別だと聞いた由美は「オーナーの悪口をいう親族たちは大嫌い」「今夜、子どもをつくって」と野沢に迫るのだった。
 後日、懐妊証明書を楯に2億5000万円を手にした由美は、子どもを堕ろし、結婚を申し込む野沢には「あなたから妾になれと云われたときに、わたしは死んだの」と冷たく彼を突き放し、母親と一緒に暮らすためひとり去ってゆくのだった……。

    ◇

 身も蓋もなく暗く気が滅入る話だが、何があろうが男たちに堂々と立ち向かい、自分の力で生きてゆくヒロインの姿は渥美マリの肉体なくしてはありえない。
 そんな渥美マリの肉体的存在意義を、強烈な自我を持った女性を描きつづけてきた増村監督がどのように突き詰めるか興味あるところだったが、前2作では極力台詞を少なくしていたであろう渥美マリに、増村監督はあえて棒読み台詞の演出で直線的な芝居をさせている。
 エキセントリックなところがあっても、自分を卑下せず、心根が実はピュアだったり、自ら堕ちていかない生真面目さは、ある意味清々しいヒロインなのである。

 即物的な台詞と人物描写、メリハリを効かせた大芝居といった大映イズムに嵌った渥美マリの凄みはなかなか面白い。

★いそぎんちゃく★
★続・いそぎんちゃく★

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Comment

さすらい日乗 says... "良かったですね"
渥美マリ、最高でしたね。要は、女性の自立で、その意味では溝口健二の流れにあると言えるでしょう。
この次の『しびれくらげ』も増村で、非常に良かった。映画界でよく言われる、「会社がダメになると急に出る快作」の見本です。
『やくざ絶唱』や『遊び』も素晴らしかったので、ぜひ見てください。
2015.01.09 09:54 | URL | #hSdD2a2A [edit]
mickmac says... "Re: 良かったですね"
>さすらい日乗さん

渥美マリの活動期間は短かく、大映最後の徒花とも云われますが、1970年の8本の映画はどれも素晴らしく輝いていましたね。
リアルタイムでは「プレイボーイ」や「パンチ」のグラビアで、その後、70年代はじめに名画座のスクリーンで楽しませてもらいました。

「遊び」は観ているのですが、併映作の松坂慶子の「夜の診察室」ともどもあまり覚えていない次第で…
「やくざ絶唱」は未見です。参考にさせてもらいます。
2015.01.10 00:08 | URL | #- [edit]
ピーちゃん says... "渥美マリさんと…。"
日活ポルノと大映お色気映画に辛うじて間に合った最後の世代です。正確には劇場公開時よりも(近在の最寄駅へ向かう街頭に掛かっていたポルターで股間を熱くしていただけのことですが…)、その後のテレビ放映時に視る機会が多かったです。幸運にもVHSソフトで『~くらげ』シリーズ(?)の何点か視ることができました。渥美マリさんも十分に魅力的でしたが、脇を固める俳優陣も凄い名優が多く、穿った見方をすると、その当時なかば、その種の作品に出演止む無きほど日本映画界が下り坂に差し掛かっていたのかと感じます。
余談ながら助演の真山知子さんは、のちに(先頃、亡くなられた)蜷川幸雄夫人となられましたが、現役の頃は演技派でグラマラスな肢体とセクシーな雰囲気で男性ファンを魅了していた女優として有名で、このポスターの渥美マリさんと同じように手ブラで胸を隠すポーズの日本版『金瓶梅』のビラを馴染みの銭湯で目にして、下着を脱ぐのが恥ずかしくなるほど勃ってしまったことも思い出します。
2016.06.09 14:08 | URL | #yVcIaW5s [edit]
mickmac says... "Re: 渥美マリさんと…。"
>ピーちゃんさん
渥美マリ全盛の頃はダイニチ映配時代でもあり、通学路に掲げられる立て看板の、関根恵子や八並映子、南美川洋子、八代順子らが我らを楽しませてくれました…松坂慶子はまだまだ脇役に過ぎないころのこと(笑)
2016.06.12 17:28 | URL | #- [edit]

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