TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

オールマンズ 『1971 Fillmore East』の全貌

 オールマン・ブラザーズ・バンド(以下オールマンズ)の傑作ライヴ・アルバム『at Fillmore East』(USオリジナル初回盤)を買ったのは、1971年上京した初めての年、デュアン・オールマン(g)がオートバイ事故で亡くなったニュースを聞く前後だったと思うのだが、新宿西口に開店して間もない輸入レコード専門店“新宿レコード”だったはず。
 ただよく憶えているのは、当時住んでいたアパートにはステレオ装置を持っていなかったので、購入した足で毎日通い詰めていた高円寺のロック喫茶「キーボード」に出向き、そこでお世話になったHさんにレコードをかけてもらったこと。大音量で初めて聴いた「Statesboro Blues」の衝撃は凄まじかったと記憶する。暫くそのレコードはお店に置いてもらっていた。
 このレコードを聴くときは、そんな高円寺での青春時代の一頁として想い出に残るものであり、リアルタイムで受けたデュアンの死とその数ヶ月後にベリー・オークリー(b)をも失った衝撃も加わり、オールマンズのレコードと言えばこのライヴ・アルバムに尽きる。



 1971年3月11・12・13日の3日間、ニューヨークの[フィルモア・イースト]にはジョニー・ウインター・アンド(初日のトリ)、エルヴィン・ビショップ・グループ、そしてオールマンズ(2~3日目のトリ)の3組がステージに立っていた。
 『at Fillmore East』に収録された曲は12&13日の2日間4ステージからのセレクトで、初日11日の演奏は選ばれていない。これは、初日のステージにデュアンの意向でホーンセクションが加えられていたのだが、そのことがプロデューサーのトム・ダウドのお気に召さなかったらしい。
 11日の録音テイクは一切破棄されたというのだが、フィルモアにおける奇蹟のパフォーマンス全てのステージを残しておいて欲しかったと願うのはコアなファンだけではないだろう。

    ◇

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『The 1971 Fillmore East Recordings』
[ SONG LIST ] 未発表曲
Disc 1[ March 12, 1971:1st Show ]
1. Statesboro Blues 4.44 
2. Trouble No More 3.47 
3. Don’t Keep Me Wonderin’ 3.53 
4. Done Somebody Wrong 4.24 
5. In Memory Of Elizabeth Reed 17.38 
6. You Don’t Love Me 14.58 

Disc 2[ March 12, 1971:2nd Show ]
1. Statesboro Blues 4.29 
2. Trouble No More 4.04
3. Don’t Keep Me Wonderin’ 3.39 
4. Done Somebody Wrong 4:56
5. In Memory Of Elizabeth Reed 18.38 
6. You Don’t Love Me 19.13
7. Whipping Post 19.30 
8. Hot ‘Lanta 5.19

Disc 3[ March 13, 1971:1st Show ]
1. Statesboro Blues 4.18
2. Trouble No More 3.47
3. Don’t Keep Me Wonderin’ 3.38
4. Done Somebody Wrong 4.08 
5. In Memory Of Elizabeth Reed 13.15
6. You Don’t Love Me 19.50
7. Whipping Post 17.30

Disc 4[ March 13, 1971:2nd Show – Part 1 ]
1. Statesboro Blues 4.43 
2. One Way Out 4.40 
3. Stormy Monday 10.39
4. Hot ‘Lanta 5.31
5. Whipping Post 23.05

Disc 5[ March 13, 1971:2nd Show – Part 2 ]
1. Mountain Jam 35.39
2. Drunken Hearted Boy (with Elvin Bishop) 7.45

Disc 6[ June 27, 1971:FILLMORE EAST Closing Show ]
Introduction by Bill Graham 
1. Statesboro Blues 5.31
2. Don’t Keep Me Wonderin’ 3.47
3. Done Somebody Wrong 3.36
4. One Way Out 5.24
5. In Memory Of Elizabeth Reed 12.33
6. Midnight Rider 3.07
7. Hot Lanta 5.48
8. Whipping Post 20.14
9. You Don’t Love Me 17.23

 
 オリジナルLP『at Fillmore East』の収録曲は2枚組全7曲で、セット・リストの残りの曲はその後にリリースされた『Eat A Peach』(’72)や『DUANE ALLMAN an anthology』(’72)などに分散して収録されたわけだが、当時、演奏曲目のクレジットが不明で何日のステージだったのかは知る由もなかったのだが、CD時代になって名作復刻に伴い1992年にセット・リストの完全版として『The Fillmore Concerts』がリリースされた。

the-fillmore-concerts_cd.jpg

 ステージの再現を一挙に体験できる全12曲には、未発表・未編集&別ミックスを加えたリマスター盤との謳い文句と、各曲の録音年月日が記されたことにより『at Fillmore East』の全貌が見えたかのようだった。
 なんと云っても、オリジナルでカットされたトム・デューセットのハープ・ソロが甦ったロング・ヴァージョンの「Stormy Monday」は至福の名演奏であるし、11日から引き継きステージに立ったルドルフ“ジューシー”カーターのサックスが聞こえる「Hot ‘Lanta」なども、耳新しく聴く演奏の素晴らしさに驚喜したものだった。
 
 しかし謎もあった。
 13日の1st Showと2nd Showの2ステージの音源をミックスしたと言われた『 In Memory Of Elizabeth Reed(以下Liz Reed)』は最たるもので、実際、オリジナル・アルバムとの同時再生を試みてみたのはぼくだけではないだろうが、素人にはどこが編集されたのか判らず、日本語ライナーノーツを書いたM氏の不備な発言も多々あり、懐疑的な思いでいたファンは多かったはず。
 そして 『The Fillmore Concerts』から22年。
 果たして今回の『1971 Fillmore East Recordings』は、そのあたりを解き明かすのに充分なブツということになっているのか?
  『The Fillmore Concerts』のクレジットを参考にした、2006年『レコード・コレクターズ』9月号のオールマンズ特集における「フィルモア・イースト公演の音源を徹底整理」も、改めてしっかり再考証してみるべきであろう。

 もちろん今回の『1971 Fillmore East Recordings』が絶対に間違っていないことが前提であるが、最終形の完全版とすれば13日2nd Showでは 「Liz Reed」や「Done Somebody Wrong」は演奏されていないことになるし、大まかに耳で聴き比べてみた素人にも判る範囲では、12日2nd Showと記されてきた「Statesboro Blues」は13日1st Show、同じく12日2nd Show「Trouble No More」も13日1st Showが正しい。
 また問題の「Liz Reed」は、これは【Fillmore And More】主宰のzappapaさんが波形編集ソフトを使って比較検証されている。

「In Memory Of Elizabeth Reed→3/13 1st、そしてThe Fillmore Concertsもまったく同じ3/13 1stのみと判明!
僕も含め、今まで誰1人としてちゃんと聞いてなかったんだなあ。
まあ名曲はそんなこと気にせずに聞けば良い、という話なんですが、
The Fillmore Concertsのブックレットのトム・ダウドの話をまんまと信用してしまった!
ま、愉快な話としておきましょう。」(引用文)

 と云うことで、「Liz Reed」はまるまる13日1st Showのみの未編集テイクだったと判明。これにより、トム・ダウドの発言の信憑性が疑われるのだが、すでにトム・ダウドが亡くなっている今となっては新たな謎となってしまったわけである。

 さて、何日のどのステージで演奏されたなんて関係ないという方に、最後に音質について少し書いておくと、リマスターされたという『The Fillmore Concerts』は確かにデュアンのギターがはっきりと左寄りになっていたり、各楽器の音の分離もよくなりクリアなサウンドなのだが、いかんせんUSオリジナルのPINK盤に比べると全体に軽い音質は否めなかった。

 各楽器の音が塊となって分厚いサウンドが迫ってきたPINK盤が個人的には一番好きな音だったが、『1971 Fillmore East Recordings』はオリジナルを踏襲していると言ってもいい。
 『The Fillmore Concerts』のようにデュアンとディッキーのギターがきちんと左右に分かれ、それでいて全体に太い音が重心を低く、生々しい音群で迫ってくる素晴らしさである。
 特にベリー・オークリーの力強いベースの響きは堪らない。


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