TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ザ・プレイヤー」*ロバート・アルトマン

1993_ザ・プレイヤー
THE PLAYER
監督:ロバート・アルトマン
原作:マイケル・トルキン
脚本:マイケル・トルキン
撮影:ジャン・ルピーヌ
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ティム・ロビンス、グレタ・スカッチ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ、ピーター・ギャラガー、ビンセント・ドノフリオ、シドニー・ポラック

☆☆☆☆ 1992年/アメリカ/124分

    ◇

 初見1993年1月。
 “プレイヤー”とは、ハリウッド映画界のすべてを牛耳る人間を指す業界用語のこと。
 この映画は、いかなる汚い手を使ってもトップの座を手に入れようとする若きプロデューサーを主人公に、きらびやかなハリウッド映画界の人間関係や欲望を痛烈な風刺で描いたハリウッド内幕物となっている。
 ただ、ハリウッドのヒット作至上主義に反発しメジャーなスタジオやプロデューサーたちとトラブルを起こしてきたロバート・アルトマンとはいえ、そこには批判や皮肉ばかりではなく、殺人事件の犯人捜し的サスペンスやロマンスも盛り込みながら、第一級のエンターテインメントな作品に仕上げている。
 1992年カンヌ国際映画祭では、監督賞と主演男優賞を獲得している。


 若きプロデューサー、グリフィン・ミル(ティム・ロビンス)は大手映画スタジオの重役。彼の仕事は、さまざまな脚本家から映画のアイデアを聞いたりシナリオを読むこと。ヒットする映画を見つけるために、山と送られてくる企画書を切り捨てては成果を上げてきた。
 しかし最近、多忙な職務を送っている彼には気がかりなことあった。ひとつは、20世紀フォックス社から敏腕プロデューサーのラリー・リーヴィ(ピーター・ギャラガー)が引き抜かれてくるというのだ。グリフィンの心中は穏やかではない。。
 そしてもうひとつは、何通も届く脅迫状。これは弁護士のディック・メロン(シドニー・ポラック)に相談するが、グリフィン自身が調べ上げた結果、過去に企画をボツにされた脚本家ケヘイン(ビンセント・ドノフリオ)が浮かび上がる。
 バーの駐車場でケヘインと話し合うつもりのグリフィンは口論となり、誤ってケヘインを殺してしまった。泥棒の仕業にみせかけ現場を立ち去ったグリフィンだったが、翌日、早くも刑事(ウーピー・ゴールドバーグ)がグリフィンのもとへ聞き込みにやってきた。
その日、ふたたび脅迫状がグリフィンに届く。グリフィンは誤って違う男を殺してしまったのだ。
度重なる脅迫状に疲れきたグリフィンは、同棲している恋人を裏切りケヘインの葬儀で知り合ったジューン(グレタ・スカッチ)と恋仲になる。さらに、ヒットの見込みもないような脚本をライバルのラリーに掴ませ失脚の罠を仕掛ける。
 しかし、遂に警察の手がグリフィンに迫ってきた…。


 いきなりオープニング約8分の複雑な動きの長廻しから始まる。「こけおどしさ」と言い放つアルトマンの大胆さが感じられる素晴らしいシーンだが、これはオーソン・ウェルズの『黒い罠』('58)へのオマージュ。
 そのワンシーン・ワンカットのなかで「最近の映画はカットが短い…」などと『黒い罠』を懐かしむ台詞がでてくる。後年、そのアメリカ映画史に残る空前のショットと言わる『黒い罠』を鑑賞したが、確かに息を呑む複雑なカメラワークであったが、アルトマンはそれを遥かに凌ぐオープニングを創りあげている。

 『さよならゲーム』(’88)で注目されたティム・ロビンスだったが、まだまだネームバリューがなかった彼がこの鼻持ちならない男グリフィンを見事に演じきり存在感を見せつけた。彼はこの後、アルトマン作品の常連になっている。
 
 さてこの映画は、多くのスターやショービジネス界の著名人がカメオ出演(本人自身としてエキストラ出演)していることがお楽しみのひとつだ。
 出演しているスターを列記してみると…
 オープニングで『卒業Part2』の企画をジュリア・ロバーツで売り込むシナリオライターは、オリジナルの『卒業』を書いたバック・ヘンリー。
 パーティ・シーンでピアノを弾くジャック・レモン。
 シナリオを読んで「グリフィンという男はクソ野郎だ」と悪態をついたバート・レイノルズはその言葉が採用され、ピーター・フォークはコロンボ・スタイルで登場する。
 主役のティム・ロビンスと同棲中だった(のちに20年間のパートナー関係を解消した)スーザン・サランドンも登場。
 あっと驚くブルース・ウィルスとジュリア・ロバーツの登場シーン……。
 ほかに、アンジェリカ・ヒューストン、ロッド・スタイガー、リリー・トムリン、マルコム・マクドゥエル、スコット・グレン、シェール、ニック・ノルティ、ジェームス・コバーン、テリー・ガー、ロバート・ワグナー、カレン・ブラック、ルイーズ・フレッチャー等々。
 
 アルトマン監督自らが、スター本人に電話でエキストラ交渉をした彼らのギャラは、ユニオン規定の最低日当賃金。出演者によっては、シーンのいくつかではアドリブだったという。

 劇中グリフィンに「映画で一番大事なのはハッピーエンドだ」と言わせ、この卑劣な男の結末をハッピーエンドに終わらせるところが、アルトマンならではのシニカルな視点。
 脅迫状の犯人が判明するラストも、観客にはその正体が明かされない。その人を喰ったような締めくくりでアンチ・ハリウッドが貫いている。
 犯人の見当は映画の前半に登場しているという。何度も見直し、よく耳を澄ませば…。

[ロバート・アルトマン作品]
★ロング・グッドバイ★
★ボウイ&キーチ★

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