TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ラウンド・ミッドナイト」*ベルトラン・タヴェルニエ



ROUND MIDNIGHT
監督:ベルトラン・タヴェルニエ
脚本:ベルトラン・タヴェルニエ、デヴィッド・レイフィール
音楽:ハービー・ハンコック
出演:デクスター・ゴードン、フランソワ・クリュゼ、ロネッテ・マッキー、マーティン・スコセッシ、ハービー・ハンコック、ボビー・ハッチャーソン

☆☆☆☆★ 1986年/アメリカ・フランス/133分

 初見1986年10月。

 〝バド・パウエルとレスター・ヤングに捧げる〟

 パリを舞台に、伝説のジャズ・ミュージシャンと彼をサポートする若き青年の友情を描いた人間ドラマで、1950年代末から60年代にかけてパリで活躍していたモダン・ジャズ・ピアニストの第一人者バド・パウエルと、彼を支援していたフランス人デザイナーのフランシス・ボーリエとの実話をベースにしたもの。


 1959年、パリ。
 ニューヨークから初老のサックス奏者デイル・ターナー(デクスター・ゴードン)がジャズ・クラブ[ブルーノート]にやってくる。
 今や酒に溺れる生活を送る彼だったが、その演奏は健在で、仲間達と毎晩素晴らしいステージを展開してゆく。
 そんなある夜デイルは、彼の古くからのファンでクラブに入る金もない貧しいグラフィック・デザイナーのフランシス(フランソワ・クリュゼ)と出会い意気投合。翌日から彼を伴ってクラブに行くようになる。
 しかしデイルは、仲間から止められている酒を飲んでは病院の世話になるようになり、彼の身を案じたフランシスは別れた妻から借金までして、デイルを自分のアパートに住まわせ、愛娘とともに献身的なサポートをつづける。
 そしてついに、デイルの音楽は全盛期の輝きを取り戻すところまできた。身も心も完全復帰を果たしたデイルは、アメリカのプロモーターのグッドリー(マーティン・スコセッシ)からオファーを受け、伝説のジャズメンの復帰としてニューヨーク公演を大成功させる。
 そして、そのままニューヨークに留まったデイルだったが、彼を待っていたものは荒廃した街に潜む“麻薬”と言う悪魔だった。
 ほどなくして、パリのフランシスの元にグッドリーからデイルの死を伝える電報が届く。

 数年後、デイルが死の直前に書いた曲を演奏するパリの仲間たちの姿があった……。

    ◇

 数ある音楽映画のなかでもジャズを真正面から捉えた作品は少なく、それだけに本作は熱心なジャズ・ファンに応えるだけの見どころを持ったジャズ・ムーヴィーと云える。

 主人公には、実際、同時期にヨーロッパで活動しバド・パウエルともレコーディングを行っているジャズ・テナー・サクソフォン奏者のデクスター・ゴードンが扮し、ジャズ界の巨人レスター・ヤングの晩年とデクスター・ゴードン自身のイメージをオーヴァーラップさせて創り上げられている。(50年代のゴードンも酒とドラッグに溺れたジャズメンだった)
 その時代に生きてきたミュージシャンの圧倒的な存在感とリアリティを映し出すデクスター・ゴードンの好演は、彼の強烈な個性をしてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのも道理であろう。

 また、リアリティにおいて群を抜いているのが、そうそうたるジャズ・プレイヤーたちが多数出演したライヴ演奏の醍醐味。
 音楽監督のハービー・ハンコックを筆頭に、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズ、ウェイン・ショーター、ジョン・マクラフリン、フレディ・ハバード、ビリー・ヒギンズ、ボビー・ハッチャーマンら、こんな豪華な面々がご機嫌なスタンダード・ジャズを聴かせてくれるのだからたまらない。20世紀最高のジャズ・ムーヴィーと云われた所以でもある。
 スタンダード・ナンバー中心なのも、熱烈なジャズ・ファンばかりでない観客に向けてのもので、これも映画の作法であり音楽の魅力を聴かせるに十分なセレクションになっている。

 映画のラストは、いかにもフランス映画的余韻を残すもの。
 デクスター・ゴードン自身はこの映画から4年後の1990年4月に他界している。享年67。



 デクスター・ゴードンのアルバムはブルーノート盤(「Our Man in Paris」「Doin Allright」「A Swingin Affair」「GO」)など数枚しか持っていないが、一番のお気に入りはこの映画で人気再熱して初CD化として再リリースされたモンマルトルでのライヴ『モンマルトル・コレクション』だろうか。

dextergordon_montmartre.jpg

 1967年7月20・21日の2日分のステージを納めた2枚組で、バックのケニー・ドリュー・トリオといい、選曲といい、ワン・ホーン・カルテットのゆったりと、そして豪快に響くサックスの音色に聴き惚れるアルバムである。

Disc 1
1. ソニームーン・フォー・トゥ 15:50
2. フォー・オール・ウィ・ノウ 8:43
3. デヴィレット 12:46
4. ドキシー 7:12
5. ライク・サムワン・イン・ラヴ 12:29
6. ボディ・アンド・ソウル 9:29

Disc 2
1. 貴方無しでは 12:23
2. ブルース・ウォーク 13:19
3.降っても晴れても 11:15
4. ミスティ 9:22
5. バット・ノット・フォー・ミー 15:25
6. A列車で行こう 10:51


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