TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

'76年の映画ノート

 本名ローズマリー・アルバッハ=レティこと、ロミー・シュナイダーが大好きだった。
 1972年の暗殺者のメロディ、夕なぎ、ルートヴィヒ/神々の黄昏(日本公開'80年)、'73年の離愁、'74年地獄の貴婦人、'75年追想、'76年限りなく愛に燃えて(日本公開'77年)と、その妖しい美貌ばかりではなく着実に実力をつけてきたのが'70年代前半だつた。
 少女デビューを果たし新人時代にはアラン・ドロンと浮き名を流したりしてきたロミーだが、私生活は悲惨だった。2度の離婚のあと、'81年に最愛の息子を事故で失い、翌'82年、薬物中毒によりこの世を去ってしまった。享年44歳。この年、一番輝いていたロミーの出演映画を観るために何回も映画館に足を運んだ。

 では、'76年の映画ノートから………

濡れた欲情/ひらけ!チューリップ ☆☆☆
日活/'75/神代辰巳監督、石井まさみ、安達清康、芹明香、小松方正、間寛平
童貞のクギ師とイケメンのパチプロ見習いを主人公にした青春物語で、惚れた女を賭けての闘いと男同士の友情と哀愁を描いた秀作。

新・女の四畳半 ☆☆
日活/'75/武田一成監督、川崎あかね、宮下順子、殿山泰司
下町を舞台に、ヴァイタリティ豊かに生きる人々を活写した人情ポルノ。

地獄の貴婦人 ☆☆☆
仏・伊・西独/'74/フランシス・ジロー監督、ミシェル・ピッコリ、ロミー・シュナイダー
弁護士でありながら保険金詐欺を働く男とその情婦。死体を硫酸で溶かす処理シーンが有名な、スプラッター・ホラーなスリラー。

フリック・ストーリー ☆☆☆
仏/'75/ジャック・ドレー監督、アラン・ドロン、ジャン=ルイ・トランティニアン
冷酷無比な凶悪犯を演じるトランティニアンの圧倒的魅力に尽きる。

コンドル ☆☆☆
米/'75/シドニー・ポラック監督、ロバート・レッドフォード、フェイ・ダナウェイ、マックス・フォン・シドー
CIA内部で起こった陰謀に巻き込まれた男を描いたサスペンス・スリラー。この配役は見ごたえがある。

夕なぎ ☆☆☆☆☆
仏/'72/クロード・ソーテ監督、ロミー・シュナイダー、イヴ・モンタン、サミー・フレー
男の従属にならない女性ロザリーは、中年男性とかつての恋人との間で心揺れながらもふたりの前から姿を消す。ふられた者同士に友情が生まれ、浜辺で談笑する男たち。いかにもフランス流儀の、大人の恋と友情を描いた恋物語。

おかしなレディ・キラー ☆☆☆
米/'75/マイク・ニコルズ監督、ウォーレン・ビーティ、ジャック・ニコルソン
私生活でも女性遍歴の多いこのふたりの共演作は爆笑コメディ。でもそれよりストッカード・チャニングが印象的。TVシリーズ『ホワイトハウス』のバトラー大統領夫人役がお馴染みの個性派女優だ。

犯す! ☆☆☆☆
日活/'76/長谷部安春監督、蟹江敬三、八城夏子
バイオレンスが得意な長谷部監督の衝撃作。キラキラ光るナイフの光源と、若き蟹江敬三が印象的。『赤い教室』と共に彼の出色作。

変奏曲 ☆☆★
ATG/'76/中平康監督、麻生れい子、佐藤亜土、松橋登
「狂った果実」「月曜日のユカ」などモダンな作品で評価ある中平康監督最後の作品で、原作五木寛之、撮影浅井慎平の官能ドラマ。十数年ぶりに再会した追われる男と平穏な生活の人妻が、お互いの再生を賭け南仏へのセクシュアル逃避行。

追想 ☆☆☆☆
仏/'75/ロベール・アンリコ監督、フィリップ・ノワレ、ロミー・シュナイダー
ドイツ占領下に妻子を殺された医師の復讐劇で、「冒険者たち」のR・アンリコ監督の情感あふれる秀作。ロミー・シュナイダーの笑顔が忘れられないほど素敵だ。

東京ディープスロート夫人 ☆☆
日活/'76/向井寛監督、田口久美

新・動く標的 ☆☆★
米/'75/スチュアート・ローゼンバーグ監督、ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード
ハードボイルド作家ロス・マクドナルド原作のリュー・アーチャー・シリーズのひとつで、映画ではルー・ハーパーと名乗っている。前作「動く標的」('66)につづいてのポール・ニューマンの探偵ぶりはいまひとつ。

狼たちの午後 ☆☆☆☆
米/'75/シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ、ジョン・カザール
銀行強盗をしたお人好しのA・パチーノと病的な相棒J・カザール。人質との共犯関係やFBIとの駆け引きなどから、アメリカ社会の一面が描かれる実話ドラマ。このふたりの個性と、その演技力に脱帽。

江戸川乱歩猟奇館・屋根裏の散歩者 ☆☆☆★
日活/'76/田中登監督、宮下順子、石橋蓮司
「人間椅子」までも取り混ぜた乱歩の病的変態な世界が描かれる。宮下順子最高。石橋蓮司とのタッグは「赫い髪の女」へとつづく。

暴行・切り裂きジャック ☆☆☆★
日活/'76/長谷部安春監督、桂たまき、林ゆたか、八城夏子
過ってひき逃げをしてしまった若いカップルが、恐怖と殺人に性の快楽を覚えて連続殺人をくり返す。オンナにとって性的興奮だった殺人行為が、次第にオトコは殺人自体の虜になっていく様が描かれる。日活アクションを担ってきた長谷部監督らしい絵づくりの中で、ヒロイン役の桂たまきのふてくされぶりがいい。彼女の代表作だろう。

第三の男 ☆☆☆☆☆
英/'49/キャロル・リード監督、ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ
削ぎ落とされた台詞と俳優人の完璧な演技。クールな映像美と大胆なカメラワーク。哀愁の音色を漂わせる音楽。映画史に残る最高傑作のサスペンス・スリラー。

暗黒街の弾痕 ☆☆☆
米/'37/フリッツ・ラング監督、ヘンリー・フォンダ、シルヴィア・シドニー
オーストリア人のラング監督が見たアメリカ社会の裏面。前科者への偏見と差別を犯罪映画を通して描いている。

嗚呼!花の応援団 ☆
日活/'76/曾根中生監督、今井均、宮下順子
どおくまん原作の大ヒット漫画の実写版。当時日活はロマンポルノ路線以外に、こうした漫画実写映画を製作していた。

四畳半・青春硝子張り ☆☆
日活/'76/加藤彰監督、永島暎子、原真也、真木洋子、郷えい治
上村一夫の「サチコの幸」でデビューした永島暎子の2作目。日活一般映画の青春映画だが、彼女が輝いたのは次作のロマンポルノ「女教師」での存在感だった。

ファミリー・プロット ☆☆☆
米/'76/アルフレッド・ヒチコック監督、カレン・ブラック、ブルース・ダーン、バーバラ・ハリス
ヒチコック監督の遺作。アメリカン・ニュー・シネマの影響で、彼のヒネクレたユーモアは最後にして個性派俳優陣を起用することで発揮。いままでのヒチコック作品にはない顔ぶれだ。

熱い賭け ☆☆☆
米/'74/カレル・ライス監督、ジェームス・カーン、ポール・ソルヴィノ、バート・ヤング
ギャンブルにとり憑かれた男の孤独と絶望。知性と教養を兼ね備えた大学教授が自滅していく姿が描かれる人間ドラマ。

煉獄エロイカ ??
ATG/'70/吉田喜重監督、岡田茉莉子
前衛的過ぎて難解。まるっと意味の分からなかった作品。

仁侠外伝・玄界灘 ☆☆☆☆☆
ATG/'76/唐十郎監督、安藤昇、宍戸錠、根津甚八、石橋蓮司、李礼仙、唐十郎
状況劇場の役者が総出演した、唐十郎の劇場映画として初めての監督作品。アングラ演劇人の中で、安藤昇と宍戸錠のふたりのパワーがひと際炸裂するアナーキーな娯楽作。本編で、唐が実弾を撃ち逮捕されたのは有名な話。

明日に処刑を… ☆☆☆
米/'72/マーチン・スコセッシ監督、バーバラ・ハーシー、デヴィッド・キャラダイン
「タクシー・ドライバー」のヒットのおかげで陽の目をみたスコセッシ監督のデビュー作品。低予算のB級映画だが、「俺たちに明日はない」を彷佛とさせる内容とラストシーンでシャープな演出が垣間見られる。

ミズーリ・ブレイク ☆☆☆
米/'76/アーサー・ペン監督、マーロン・ブランド、ジャック・ニコルスン
異色西部劇で、M・ブランドのガンマンぶりがカッコいい。

さらば愛しき女よ ☆☆☆☆
米/'75/ディック・リチャーズ監督、ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング
チャンドラー原作のマーロウものでは一番の傑作。時代の空気感やセンチメンタルな甘ったるさが快感になるほど素晴らしく、ランプリングのファムファタールぶりに魅了されるキャスティングも最高。優しさとタフさを持つマーロウの役はR・ミッチャムにピッタリだ。

さらば冬のかもめ ☆☆☆☆☆
米/'73/ハル・アシュビー監督、ジャック・ニコルスン、ランディ・クエイド
軍隊という厳しい管理下の下での水兵たちの友情を描いた、アメリカン・ニュー・シネマのロード・ムービーのひとつ。ほんのささいな罪で刑務所暮らしをするはめになった若者を護送するふたりの水兵が、彼に人生の愉しみを少しだけでも教えてやろうとする人情コメディで、人と人との優しいつながりが温かく伝わってくる。

タクシー・ドライバー ☆☆☆☆☆
米/'76/マーチン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター
ニューヨークに潜む狂気をリアルに描いた大傑作。オープニングの映像とジャジーなサックスの音色の強烈さは忘れがたい。主人公に共感するのではなく、圧倒的な迫力に喝采を贈るばかりだ。

ロビンとマリアン ☆☆☆
英/'75/リチャード・レスター監督、ショーン・コネリー、オードリー・ヘップバーン

男はつらいよ・寅次郎夕焼け小焼け ☆☆☆
松竹/'76/山田洋次監督、渥美清、太地喜和子
芸者役の太地喜和子が秀逸。

暴行! ☆☆
日活/'76/沢田幸弘監督、梢ひとみ、宮井えりな
「反逆のメロディ」「あばよダチ公」など、日活ニュー・アクションを撮っていた沢田監督のヴァイオレンス・ポルノ。

肉体収容所 ☆☆
日活/'76/八巻晶彦監督、八城夏子、桂たまき

名探偵登場 ☆☆☆
米/'76/ロバート・ムーア監督、ピーター・セラーズ、ピーター・フォーク、デヴィッド・ニーヴン
ニール・サイモン脚本の探偵コメディで、登場人物は名探偵のパロディだがストーリーは二転三転する謎解きがちりばめられ、その個性的な俳優たちの妙も楽しめる傑作。

犬神家の一族 ☆☆☆☆
東宝/'76/市川昆監督、石坂浩二、高峰三枝子、草笛光子、あおい輝彦
市川昆&石坂浩二コンビの金田一ものの最高作。角川映画を好まなかった当時、この作品だけは認めましたよ。

リップスティック ☆☆☆
米/'76/ラモント・ジョンソン監督、マーゴ・ヘミングウェイ、クリス・サランドン、アン・バンクラフト
レイプされた女性の悲痛な叫びが男社会の中でかき消されていく……。主人公は銃を持ち、男に引き金を引き続けるしかなかった。

海外特派員 ☆☆☆☆
米/'40/アルフレッド・ヒチコック監督、ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ
ヒチコックのアメリカでの第1作で、サスペンス&スリラーの大傑作。どのシーンも見せ場になっているほど、エンターテインメントなヒチコックの本領が発揮されている。

そして誰もいなくなった ☆☆☆
米/'45/ルネ・クレール監督、バリー・フィッツジェラルド、ウォルター・ヒューストン
渡米中のフランスの名監督ルネ・クレールが撮った、アガサ・クリスティの有名推理小説の最初の映像化(70年代と80年代の3度の映画化)。豪華なキャスティングでの演出は、サスペンスの度合いは弱いが十分に楽しめる。

名犬ウォン・トン・トン ☆☆☆
米/'76/マイケル・ウィナー監督、ブルース・ダーン、マデリーン・カーン、テリー・ガー
'20年代のハリウッドを舞台にしたコメディ。メル・ブルックス作品の常連マデリーン・カーンと、テリー・ガーのコメディエンヌぶりをお目当てに鑑賞。往年のハリウッド俳優らが多数ゲスト出演している。

がんばれ!ベアーズ ☆☆
米/'76/マイケル・リッチー監督、ウォルター・マッソー、テイタム・オニール、ヴィク・モロー
落ちこぼれのチームが成長して強くなっていくという、単純な話に感動か?世界的に大ヒットしてシリーズ化され、2005年にはリメイクもされている。でもやっぱりこれは、W・マッソーとT・オニールのふたりがいいんだなぁ。
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Comment

シリウス says... ""
「第三の男」を高い評価にしていますね。 小生も五つ星です。
この映画は40歳未満の人にはあまり観られてないと思いますが、小生には今も強い印象を与えてくれる映画です。
(映画館で時代の移り変わりごとに計3回観てビデオ所有、イヴ・モンタンの「恐怖の報酬」も2回観てビデオ所有)

第二次大戦後、米、英、仏、ソ連に4分割されたウィーンが舞台で、アリダ・ヴァリの凛とした美しさ、ジョゼフ・コットンの凡庸な三文作家としての巧みさ、オーソン・ウェルズの圧倒的な存在感。
この3者の人物描写がすばらしい。
光と影を際立たせたロバート・クラスカーのカメラワーク。
斜め画面の撮影によって、登場人物の心理面での緊迫感の表現。
白黒映画の映像技術としての最高水準を極めていると思う。
アントン・カラスが奏でるチターの音色が、この映画のサスペンス感を効果的に高めている。
暗闇の中に浮かび上がるハリー・ライムの不敵な笑顔と観覧車の中でのライムが語るセリフは、観る人に深い印象とインパクトを残しますね。

「第三の男」はキャロル・リード監督の傑作の1本で、映画史に残る名作だと思う。
なお、上記の3人の俳優と国際警察のイギリスのキヤロウェイ少佐を演じたトレヴァー・ハワードは今は亡き人となった。
2005.10.20 13:21 | URL | #6cov1DqI [edit]
mickmac says... ">シリウスさん"
 コメントありがとうございます。
 『第三の男』を初めて見たのは、中学の頃に見たテレビの吹き替え版でした。そして高校の時に名画座で初めて原語版を見ました。
 この映画の素晴らしさは、モノクロの光と影のコントラストに尽きます。有名なハリー・ライムの登場するシーンや、ラストシーンの構図。全体に見る者の不安をかき立てる斜にしたキャメラの構図もさることながら、地下水道の追跡シーンでの音響効果も印象的で、どこを取っても名場面になる格調の高さです。
2005.10.21 12:59 | URL | #kuX..F9k [edit]
シリウス says... "「第三の男」続き"
↑で意識はありましたが、敢て書かなかったのですが、mickmacさんが言われたとおり、この「第三の男」は二つの重要シーンがありました。少し書かせてもらいます。

ハリー・ライムが3カ国の警察兵士に追われて地下下水道内を逃げ回るシーン。
この地下下水道内での映像と音響効果は息を呑む緊迫感があります。
ウィーンの各所のマンホールから突入する大勢の追跡者(警察兵士)の声、靴音の地下下水道内での響き。
ハリー・ライムが下水道内を逃げ回る必死の表情と逃げる彼の靴音。
それと、下水道が流れる音。
最後に、作家・マーチンス(ジョセフ・コットン)が、子どものときからの友人であるライムを拳銃で処罰する苦悩の心理状態。
最初にこの映画を観たとき、この一連の長いシーンを手に汗を握りました。
この長時間の下水道シーンはすばらしい映像と音響効果が実に迫力があり、心にズシリと重く残りましたね。

もうひとつは有名なラストシーン。
このシーンは、今までたくさんの人が感想を書き、女優・アンナ(アリダ・ヴァリ)の死亡したハリー・ライムに対する複雑な想いや今の心の状態などを分析しているのすが、どれもが納得できるものばかりです。
道脇の荷車にもたれて彼女を待つマーチンスに、彼女は彼を一顧だにせず真っ直ぐ前を向いて通り過ぎて行くこのシーンは、我々の心の中に何かを残しますね。
映画史上、ラストシーンの名場面です。
2005.10.23 13:00 | URL | #6cov1DqI [edit]
山方 says... "こんにちは"
http://jump.sagasu.in/goto/blog-ranking/でリンクが載っていたので、見に来ました。また見にきます。(^^)
2006.03.09 16:57 | URL | #- [edit]

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