TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「サード」*東陽一監督作品

197806_サード
監督:東陽一
原作:軒上泊「九月の町」
脚本:寺山修司
撮影:川上皓市
音楽:田中未知
出演:永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子、島倉千代子、峰岸徹、片桐夕子、内藤武敏

☆☆☆☆ 1978年/日本・ATG/103分

 初見1978年6月。
 少年院を舞台に、高校野球の三塁手だったことから「サード」と呼ばれる少年が大人に成長してゆく姿を味わい深く描いた青春群像劇の秀作。
 映画は少年院の生活からはじまり、「サード」が事件を起こす顛末が回想となって語られていく。

 退屈な町に生まれ育ち「どこか大きな町へ行こう」と考えている高校生4人がいる。大きな町で暮らすための資金稼ぎに、援助交際を提案する「新聞部」(森下愛子)と「テニス部」(志方亜紀子)の女子と、二の足を踏みながらも客引きを承知する「サード」(永島敏行)と「2B」(吉田次昭)たちだ。
 4人ともが童貞とヴァージンだったので、準備として援交前に“儀式”を済ませてしまおうと話し合う。「サード」と「新聞部」が、「2B」は「テニス部」と、図書館でぎこちなく初体験をするが、一旦仕事を始めると性根が据わった少女2人と、なんだか少しやるせない少年2人。
 順調にいっていたある日、事件が起きる。「新聞部」が黒ふんどしに刺青の男(根岸徹)に執拗なセックスを強いられ、我慢できなくなった「サード」は男を殺してしまった。
 そして「サード」の少年院生活がはじまった。
 院内では優等生な「サード」だが、現実感のないつまらない毎日だ。彼の頭には「ここは人生の寄り道」という思いだけ。少年院に送られてくるときに見かけた町…九月の眩い陽光に照らされ祭りの賑わいにあふれていた町に行くことだけを考えていた。
 ある日、脱走する仲間に自分の自由を重ね願う「サード」だが、捕まって戻ってきた彼の目的の無さに失望する。
 辿り着くことのないゴールと判りながらも、“九月の町”に向かって延々とランニングする「サード」の姿がグラウンドにあった……。


 本作が映画出演2本目にして初主演の永島敏行が、閉塞感に包まれる青春期の悶々とした気持ちを朴訥と演じ、あっけらかんと身体を売ってしまう小悪魔的少女の森下愛子が尋常ならざる可愛さで、美しい肢体に魅了された作品だった。

 登場人物のキャラクター分けをニックネームで表し、登場人物に名前がない映画。
 近年の某ドラマにて「あだ名が子供たちに悪影響を与える」などとして執拗な抗議があったが、ドラマの中で人間を記号化することに意味があることを想像してみれば、いかに彼らが傲慢であり的外れな抗議だったことが判る。

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Comment

さすらい日乗 says... "素晴らしい映画でした"
何度も見ていますが、青春映画の傑作だと思います。
最後のほうで、夢の中で永嶋に森下愛子が会いに来て、志方亜紀子が結婚したことを聞く場面は非常に哀切でした。
森下、志方なども非常に良く、東陽一の演出も素晴らしかったと思う。
峰岸徹の黒フンドシも非常にセクシーでした。
2014.04.04 08:42 | URL | #hSdD2a2A [edit]
mickmac says... "Re: 素晴らしい映画でした"
>さすらい日乗さん
どーもです。

永島敏行3部作、最初の1本と言いましょうか………
この年は、夏に観た『帰らざる日々』と甲乙付け難い作品でした。
ベストテンには1位と2位の間に『冬の華』を入れてしまいましたが(爆)

原作を解体した寺山修司のホンを、ドキュメンタリー作家である東監督が見事に映像化したと思いますよ。
でもなんと云っても森下愛子でしょうか……(笑)
実質、彼女のデビュー作である本作での美しい裸体があったから、後の『十八歳の海』『もっとしなやかに、もっとしたたかに』も映画として成立したのでしょうからね……。
2014.04.04 13:20 | URL | #- [edit]

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