TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「白ゆき姫殺人事件」*中村義洋監督作品


監督:中村義洋
原作:湊かなえ
脚本:林民夫
音楽:安川午朗
出演:井上真央、綾野剛、菜々緒、蓮佛美沙子、金子ノブアキ、貫地谷しほり、谷村美月、染谷将太、小野恵令奈、宮地真緒、大東駿介、秋野暢子、ダンカン、生瀬勝久

☆☆☆★ 2014年/松竹/126分

    ◇

 長野の国定公園内で、全身をめった突きされた化粧品会社社員の三木典子(菜々緒)の焼死体が発見された。彼女の指導を受けていた新入社員の狩野(蓮佛美沙子)から連絡を受けた大学の友人でTV局の派遣映像ディレクター赤星(綾野剛)は、早速取材を開始する。
 狩野によれば、美人で目立つ存在だった三木典子と同期入社の城野美姫(井上真央)が事件直後から姿を消しているという。城野に疑惑を抱いた赤星は、彼女の周囲を取材して証言を集める。
 会社のパートナー(小野恵令奈)や上司(金子ノブアキ)、大学時代の友人(谷村美月)、故郷の家族(秋野暢子、ダンカン)、同級生、幼馴染み(貫地谷しほり)らから城野がどんな女性だったかを語らせ、それをテレビのワイドショーで派手に放送して大きな反響を呼んだ。と同時に、赤星は取材で得た情報をTwitterに発信する。
 ネットは次第に匿名性を失い、憶測と中傷によって城野は容疑者となっていくのだが、彼女は行方をくらませたまま沈黙をつづけていた……。
 城野が犯人なのか………行方をくらませる理由は何なのか……

    ◇

 湊かなえの作品は、人間の(特に女性の)悪意を描くことで読者や観客の深層にある好奇心を刺激する。物語のなかに殺人が起きても、それは人間の悪意をすくい取るためのきっかけに過ぎず、犯人が誰とか、解明される動機や手段に重きを感じることがなく、それよりも、ちょっとした身に覚えのある事柄に読者や観客はゾクっとさせられるのだと思う。

 「記憶は捏造される」
 幼馴染みの谷村夕子が言うこの言葉が、本作の根幹となっているところだろう。
 メディアの暴走は今までも言い尽くされてはきたが、ネットでの「噂」と「無意識の悪意」の増幅の怖さをあらためて感じさせる作品である。

 取材対象者の証言の積み重ねだけで語られるストーリーは、それぞれの話が食い違い、何が本当で真相がどこにあるのかが見えてこない。原作では週刊誌記者だったところをTVマンに変えたことで、ネット以外のメディア情報のスピードも増大し、カメラやマイクの前では人間は自分を無意識のうちに正当化したり、話を大きくしがちになることがよく判る。
 カメラを構えた人間の思い込みと先入観による映像編集の怖さと、ネットではどんどんエスカレートしていく反応を字幕を駆使しながら見せていく映像手法が、城野美姫の過去を回想として織り込む多層構造で観るものの興味を離さない。

 証言者によって同じシチュエーションが何度も違う方向性で映されるが、その度に井上真央と菜々緒の演技に変化がつけられる。菜々緒は映画初出演だが、なかなか堂にいったもので、誰が見てもスタイル抜群の美人なのが一番説得力ある。適役。
 井上真央は、地味で孤独感にあふれた女性の憂いと優しさ、そして狂気を巧く演じ分けている。どんどんイイ女優になってきている。
 「無関係」とテロップ表記される赤星の軽薄で薄っぺらな人物像は、ラストにおいてもその人間性がよく現れていて、綾野剛にはぴったりな配役だ。

 なかなか面白く観ることができた作品だったが、しかし、終盤明かされる事件の真相は場当たり的で偶然の産物とも云え、かなり無理のあることに脱力感を覚えるのもまた確か。まぁこの程度は許容範囲であるが……。


shirayukihime_poster.jpg



スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/1038-bc83a261