TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「海と月の迷路」大沢在昌

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 ハードボイルド作家で知られる大沢在昌の本格ミステリ…

 5千人以上の人々が身を寄せ合って暮らしている通称「軍艦島」と呼ばれる炭鉱の島で、昭和34年、少女の溺死死体が上がった。閉鎖的な島の掟がまかり通るなかで少女の死は事故死と扱われるが、島に着任したばかりの若き警察官・荒巻は事件性を疑い、独自の捜査をはじめる…。
 島では採掘企業の職員と鉱員らと、流れ者で形成される組夫たちとの間に暗黙の掟が敷かれている。荒巻は組夫の頭〈かしら〉小宮山や謎の男・長谷川らの協力を得て、8年前にも少女の水死事故が起こっていた出来事を知る。
 密室と言うべき島での二つの不審死は、満月の夜の出来事であることと、少女らの遺体にあった或る異変という謎。
 島内に猟奇殺人者がいると確信した荒巻は、島中を敵に回す孤独な捜査で、事件の裏に隠された信じがたい事実に辿り着くのだが…

     ☆

 軍艦島の細かな描写と、閉鎖的な空間に蠢く人間たちの生活感が見事に表現されている。
 コンクリートと木造の建物が入り混じり林立する島内で、鉱員たちの靴音や子供たちの嬌声が響き、クライマックスの盆踊りの花火や終幕の台風の暴風豪雨など、エンターテインメントな作術で息をもつかせぬ展開は、映画を観ている感覚…一気読みした。


 読みながらの映像化を想定した脳内キャストを記すると…

私(荒巻):山崎賢人
岩本巡査:駿河太郎
小宮山:ピエール瀧
長谷川:岸谷五朗
片桐:新井浩文
大野:段田安則
関根:杉本哲太
江藤:柄本時生
タヌキ食堂の親父:三宅裕司
尾形忍:岡本夏美

 既読者の方々からお小言を喰らうかもしれないが、イメージは大きく外れてはいないと思うのだが…

     ◇

海と月の迷路/大沢在昌
【講談社文庫】
上・下巻:各定価 740円(税別)

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