TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

Blu-rayに石井隆描き下ろしの名美が…「ルージュ」

 10月リリースの『ルージュ』(’84/石井隆原作・脚本、那須博之監督)のBlu-rayと、『夢犯』(’85/石井隆原作・脚本、黒沢直輔監督)DVDのジャケットが、石井隆描き下しのイラスト仕様になるという…
 早くもどんな絵柄で描かれるのか、期待が膨らんでいる…

 原作で印象的なひとコマ、雨降る街のバーSAGAの裏手で煙草を吹かす名美がいいと思うも、これは7月4日リリースの「天使のはらわた」Blu-ray BOXのアウターに似てしまうので、ならばシナリオにおけるラストシーンではどうか…
 雨樋からあふれる雨のシャワーに軀をあずける裸身の名美に、雨に煙る二人乗りバイクを二重写しにしてみたり…ZIPPOライターもどこかに置きたい…

 などと、新たに描き下ろされる石井隆の筆さばきを想像しながら、久々に『ルージュ』を再見した…
 手持ちのVTRはかなり劣化が激しく、発色が悪く色つぶれで画面も暗いものなので、今回のBlu-ray化にはかなり期待をしているのだが、しかし、作品評価としては石井隆映画の中では下位になる代物…

 かつてオープニングの「YOKOHAMA HONKY TONK BLUES」を石井作品唯一の主題歌などと的外れなことを記したことがあったのだが、初見時には「これもアリなのか?」と…はじめはね…でも、重要な起点となるバーSAGAが映し出されたところで、原作を古くから読む者としては、石井隆ワールドを大きく離脱したものと、認識せざるおえなかった…

 『ルージュ』が不憫な作品だったことは以前「昼下りの青春~日活ロマンポルノ外伝」という書籍で紹介したのだが、『ルージュ』の企画者だった著者の山田耕大氏が明かした真実「(石井隆の)暗いホンをカリフォルニアの陽光あふれる作品にせよ……」と、石井脚本を否定する上層部の言葉には唖然とするしかないものだった…

 あのサイドカーにしても、あのバーSAGAにしても、あの雨の勢いにしても、石井ファンのもやもやとした事案は、完成作品が不時着に失敗したというより、端からパイロットの逆噴射から起きていたことが判り納得するも、1981年に一度流れた西村昭五郎監督版だったら如何に、と想像する虚しさである…


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雑感:【天使のはらわた】Blu-ray化にこころ馳せ…



 石井隆公式ファンサイト『石井隆の世界』における「天使のはらわた」特集ページに、日塔滋郎氏のコラムが掲載開始された… 石井隆研究の第一人者として、最も信頼している氏の寄稿は必読!
石井隆の世界★天使のはらわた★


 石井隆公式ファンサイトのコラムで日塔滋郎氏が指摘していた70年代終わりの石井隆に対する社会現象…
 少し思い出してみるのだが、正直あまり実感はなかった…あの頃は、宮谷一彦や真崎守、上村一夫の単発作品が載っていると「ヤングコミック」誌を読んでいた時期だけに、石井劇画とは自然と巡り合っていたはず…

 ヤングコミック誌掲載で記憶に残る【おんなの顔】は、扉の画とクローズアップで描かれる女(名美)の倦怠が強烈だった…
 それでもまだ、石井劇画を主流にすることはなかった…積み上げられたヤンコミは、いまさら残念なことだが、30数年前の引っ越し時、大量に古本屋の店奥に消えたのだ…

 初めて〝石井隆作品集〟とタイトルショルダーを持った単行本「名美」…
 実相寺昭雄、金坂健二、権藤晋3氏の寄稿…石井隆と権藤晋の対談…ロマン・ポランスキーに言及している石井隆の作家性に共感を覚えた一冊だ…

 漫画誌を毎週欠かさず読んでいたのは高校生くらいまでで、以後、連載物は単行本を待って読む習慣…
 石井劇画も同じで『天使のはらわた』は曽根中生監督の映画が先…
 逆に『赤い教室』は劇画を読み劇場へ行った…劇画読者の期待を遙かに超えた映像と大きく波打つ物語性に、劇場の灯がついても暫く席を立つことが出来なかった…

 ロマンポルノの石井隆作品はタイトルに原作名を名乗っていても、過去の劇画作品を幾重に切り貼りすることで構成される場合が多く、特に『天使のはらわた 名美』における、石井劇画の映画的手法を逆手にとった田中登監督の裁量に興奮する…

 水原ゆう紀がヒロイン・オファーを断念したことで、石井劇画ファンだった鹿沼えりが名美役に自ら志願した『天使のはらわた 名美』…
 自己弁護で身を固める狂言まわし的ヒロインになったのは残念だが、高熱を押しての病院屋上雨の撮影や、過酷だったというラストシーンなど、鹿沼えりの表情の豊かさと圧倒的な美しさで魅力に輝く1作…

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