TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「LA SAISON D'AMOUR」アン・ルイス


LA SAISON D'AMOUR

 1982年8月リリース。結婚・出産による音楽活動休止後の復帰第1弾アルバム。
 プロデューサーに英国人ギタリストのリー・ハートを迎え、演奏もロンドンから彼のグループ〝The ROLL UPS〟らを呼び、全曲のバックを務めている。ジャケットのモノクロ写真は宇崎竜童の撮影によるもの。
 アン・ルイスにとって、ポップ・ロックなアルバムとして大成功した傑作だ。

SIDE A
01. Photograph (作詞/作曲:Lea Hart)
02. Baby Let Me Stay Tonight (作詞/作曲:Lea Hart)
03. さよならスウィートハート (作詞:下田逸郎/作曲:大沢誉志幸)
04. La Saison (作詞:三浦百恵/作曲:沢田研二)
05. Shake Down (作詞/作曲:Larry Guzy)
06. Don't Smile For Me PartⅠ (作詞:下田逸郎/作曲:竹内まりや)

SIDE B
01. Can You Light My Fire (作詞/作曲:Nicky Onidis)
02. All Mixed Up (作詞/作曲:Lea Hart)
03. A ちょっと HOT みだら (作詞:下田逸郎/作曲:桑名正博)
04. つかのまスターダスト 作詞:下田逸郎/作曲:桑名正博)
05. Double Vision (作詞/作曲:Lea Hart)
06. Don't Smile For Me PartⅡ (作詞:下田逸郎/作曲:竹内まりや)


 アンの復帰後初のシングルとして三浦百恵が歌詞を書き、沢田研二が作曲した「La Saison」が1982年6月にリリースされた。

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 髪を金髪に染め、ド派手な衣装でバンドスタイルで歌うアンは、彼女が敬愛するジュリーを彷彿とさせ〝女ジュリー〟になると公言する姿に、歌謡曲ファンのみならずロックファンからも絶賛され、大ヒットを記録。
 この「La Saison」を中心にリリースした本アルバムも、記録的大成功をおさめている。

 アルバム最初の2曲はリー・ハートによるゴキゲンなポップ・チューンで、つづく「さよならスウィートハート」は下田逸郎と大沢誉志幸による日本語ポップ。
 The ROLL UPSによるアルバム・ヴァージョン「La Saison」を挟んで、ブリティッシュ・ロックの重いビートが効いた「Shake Down」はとてもクールだ。

 ダブル・ギターのユニゾンではじまる「Can You Light My Fire」は、Nicky Onidisによる1981年のポップ・ロックを、ブリティッシュ・ロックのテイストにしたアンのヴォーカルが断然カッコ良く、アルバムの中で一番好きな曲だ。
 桑名正博による軽い日本語ロック2曲につづいて、「Double Vision」も80年代ロックの体裁でタイトにキメた仕上がり。
 そして、下田逸郎と竹内まりやのバラード「Don't Smile For Me」が、アルバムのA/B面の最後を静かに締める。

 レコーディングを進めるなかで自分の音楽に対して手応えを感じたアンは、渡辺プロ内のロック&ニューミュージック系アーティスト制作セクションに移り、本格的にロック色の強い音楽で、自己プロデュースして歌うようになってゆくのも自然の流れであったろう。
 この後、Charや西慎嗣、伊藤銀次らのプロデュース、NOBODYや湯川れい子らの楽曲提供を得て、アン・ルイス独自のハード歌謡ロックを確立、女性ロッカーの地位を不動のものとするのだ。


[ANN LEWIS]
★Think! Pink!★
★PINK PUSSYCAT★
★LA SAISON D'AMOUR★
★HEAVY MOON★
★ I LOVE YOUより愛してる★

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「ラフ・カット」*ドン・シーゲル

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_ラフ・カット
ROUGH CUT
監督:ドン・シーゲル
脚本:フランク・バーンズ
撮影:フレディ・A・ヤング
音楽:ネルソン・リドル
出演:バート・レイノルズ、レスリー=アン・ダウン、デヴィッド・ニーヴン、ティモシー・ウェスト

☆☆☆ 1980年/アメリカ/112分

 初見1981年3月。
 天才宝石泥棒と、彼の逮捕に執念を燃やす老練な刑事と、彼らの前に現れた美女とが、1500万ポンドのダイヤを巡って駆け引きを繰り広げるアクション・コメディ。
 ドン・シーゲルとバート・レイノルズの取り合わせにデヴィッド・ニーヴンが絡む楽しさと、ラストにあっと驚く仕掛けが用意されている趣向は、B級映画の予算制約のなかで、観客の楽しませ方を熟知したシーゲル監督の面目躍如。

「ジェラシー」*ニコラス・ローグ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1982_ジェラシー
BAD TIMING
監督:ニコラス・ローグ
脚本:エール・ユドフ
撮影:トニー・リッチモンド
出演:アート・ガーファンクル、テレサ・ラッセル、ハーヴェイ・カイテル、デンホルム・エリオット

☆☆☆★ 1980年/イギリス/122分/

 初見1982年2月。
 撮影監督出身の鬼才ニコラス・ローグのミステリ仕立ての恋愛劇は、あまりに激しく狂おしい愛の嫉妬に包まれている。

 タイトル・バックにクリムトの絵画「接吻」が映し出され、そこにトム・ウェイツの「ブルースへようこそ」が流れてくる……若くて美しく、奔放なヒロインが黒のタイトスカートで登場し、そのまま、エゴン・シーレの「死と乙女」のアップに移行するオープニングだ。
 劇中ではキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」やザ・フーの「フー・アー・ユー」が効果的に使われ、ビリー・ホリディの「イッツ・ザ・セイム・オールド・ストーリー」で締めくくられる。

 現在と過去が次々とフラッシュバックを繰り返し、時間軸をバラバラにした構成に絵画と音楽が装飾され、観る者を甘美で細密な迷宮へと誘ってゆくのである。



「I LOVE YOUより愛してる」アン・ルイス


I LOVE YOUより愛してる

 1983年12月にリリース。
 アン・ルイス初のロンドン録音アルバムとして、元スペクトラムのギタリスト西慎嗣を全面プロデュース&ギターに迎え、のちにChar&PSYCHEDELIXや矢沢永吉、今井美樹などのサポート・ドラマーとして日本でも活躍するジム・コウプリーら、ロンドンの凄腕ミュージシャンを多数起用して製作された。
 「女・Tonite」「Time Sometimes」の2曲では、元Thin Lizzyのスコット・ゴーハムと元Free/Bad Companyのサイモン・カークが参加しているのも注目。

SIDE A
01. 女・Tonite (作詞:Annie + Shirley + Sumio/作曲:NOBODY)
02. Driftin' in the Morning (作詞:John Jay + Manffred Koehler Grund/作曲:Hans Bonneval)
03. Imagination (作詞/作曲:Char)
04. Close To You (作詞/作曲:Steve Colyer + David Martin)
05. 少しだけ・Remember (作詞:Annie/作曲:Shinji Nishi)

SIDE B
01. Genki Juice (作詞:Annie + Shinji + Kado/作曲:Shinji Nishi)
02. Surrender (作詞/作曲:Steve Colye)
03. Time Sometimes (作詞/作曲:Char)
04. You And I (作詞:Annie/作曲:Annie + Shinji Nishi)
05. I LOVE YOUより愛してる (作詞:Momoe Miura/作曲:NOBODY)

 アルバムのトップはNOBODY作曲の「女・Tonite」。歌謡ロックを極めるアン・ルイスに相応しいUKロック・テイストの曲で、スコット・ゴーハムのソロも豪快に、疾走感あふれるNOBODYの傑作だ。
 1983年にリリースした、22枚目のシングル「LUV-YA」(前作『HEAVY MOON』に収録)からアン・ルイスへの曲提供がはじまったNOBODYは、アルバムタイトル曲で先行シングルとしてリリースされた「 I LOVE YOUより愛してる」でも、見事にポッップセンスに富んだ歌謡ロックを展開してくれる。
 「ラ・セゾン」につづいて作詞提供した三浦百恵の詞も、阿木燿子を彷彿とさせるような女と男のシーンを、クールでセクシーな世界に描いている。
 NOBODYはこの後、「六本木心中」「あゝ無情」とヒット曲を連発することとなる。

 「女・Tonite」から間髪入れずにビートが炸裂する「Driftin' in the Morning」。
 アダルトな「 Imagination」は、いかにもCharらしいメロディのギター・サウンドで、西慎嗣のギター・ソロが光っている。
 ドライヴ感あふれるロックンロール「Genki Juice」も、カッコいい「Surrender」も、バラード「Close To You」や「You And I」も、どれも聴き逃せない傑作と言っていいだろう。


[ANN LEWIS]
★Think! Pink!★
★PINK PUSSYCAT★
★HEAVY MOON★


「HEAVY MOON」アン・ルイス


HEAVY MOON

 プロデューサーにCharを迎え1983年3月にリリースした『HEAVY MOON』は、Char自身がギター、ピアノ、ドラム、ベース、アレンジで参加し、バック演奏も5曲でPINK CLOUD(Johnny, Louis & Char)が担当。
 アン・ルイスのロック・アルバムとして誉れ高き傑作。

SIDE A
01. Cinderella (作詞:Ann Lewis/作曲:Char)演奏:PINK CLOUD
02. Glass cup upside-down (作詞:Ann Lewis/作曲:Char)演奏:PINK CLOUD
03. Dot in my heart (作詞:Ann Lewis/作曲:桑名晴子)
04. Sick in Bed (作詞:Ann Lewis/作曲:Char)演奏:PINK CLOUD
05. IN PUT←→OUT PUT (作詞:Ann Lewis/作曲:Char)
06. LUV-YA (作詞:吉田美奈子/作曲:NOBODY)

SIDE B
01. Feeling Blue (作詞/作曲:Char)演奏:PINK CLOUD
02. Psychedelic TOFU (作詞/作曲:Char)
03. I HAVE A SECRET (作詞:Ann Lewis/作曲:Char)演奏:PINK CLOUD
04. Navy Blue (作詞:天野滋/作曲:Char)
05. LULLER (作詞/作曲:Char)
06. HEAVY MOON (作詞/作曲:Char、Eiichi Miyanaga、Dave Ito)

 セッションのようなラフでシンプルなハード・ロック・サウンドは、まるでPINK CLOUDのアルバムにアンが参加したといった雰囲気。アン・ルイスの天性のリズム感とノビのあるヴォーカルがCharのギター・サウンドによくマッチし、ロック・シンガーとして見事に飛躍しているのがわかる。
 
 シャッフル・リズムが軽快な「Cinderella」…Charのヴォーカルと絡むセクシー・ヴォイスの「Glass cup upside-down」…桑名晴子作曲のバラード「Dot in my heart」ではCharの泣きのギターが響き、ワイルド・ヴァージョンの「LUV-YA」はなんとカッコいいこと!

 Charのデビュー・シングル「Navy Blue」はアンの持ち歌の如く完璧なヴォーカルで聴かせ、「LULLER」はCharの完全アコースティックなインストゥルメンタルで場をさらい、ラストはヘビー・ロック「HEAVY MOON」で締め繰られる。

 完全無欠なロック・ヴォーカリストの才は目覚めていた。

[ANN LEWIS]
★Think! Pink!★
★PINK PUSSYCAT★

「PINK PUSSYCAT」アン・ルイス


PINK PUSSYCAT

 『Think! Pink!』につづいて新生アン・ルイスが1979年8月にリリースした『ピンク・キャット~PINK PUSSYCAT』は、当時、まだ一般には名前が知られていなかった(「RIDE ON TIME」の大ヒット前)山下達郎をプロデュースに起用したことでも有名で、裏面ジャケット・タイトルの中国語「粉紅色的小猫」下に大きく英字表記がなされている。

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 山下達郎の音楽ブレーンとなる吉田美奈子、坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、上原裕らをはじめ、松原正樹、椎名和夫、佐藤準、斉藤ノブ、桑名正博&TEAR DROPSといった豪華ミュージシャンが参加したことでも誉れ高く、アン・ルイスがアーティストとしてゆく道を定めた感もある名盤である。

SIDE A
01. Dream Boat Annie (作詞/作曲:Ann & Nancy Wilson)
02. LOVE MAGIC (作詞/作曲:吉田美奈子)
03. Just Another Night (Diane Warren)
04. ウォッカ or ラム (作詞:下田逸朗/作曲:桑名正博)
05. 太陽神~恋の女神~ (作詞:吉田美奈子/作曲:椎名和夫)

SIDE B
01. Alone in the Dark (作詞/作曲:吉田美奈子)
02. バスルーム (作詞/作曲:大野方栄)
03. シャンプー (作詞:康珍化/作曲:山下達郎)
04. Lost in Hollywood (作詞/作曲:L.Guzy, M.Boeddeker, P.Minardy)
05. アイム・ア・ロンリー・レディ (作詞:竜真知子/作曲:加瀬邦彦)
06. Dream Boat Annie[Reprise] (作詞/作曲:Ann & Nancy Wilson)

 オープニングはアン&ナンシー姉妹を中心にしたロックバンドHEARTのバラードをカヴァー。
 一転してグルーヴィーなディスコ・ファンク「LOVE MAGIC」がゴキゲンで、ソウルフルな「Alone in the Dark」とともに、吉田美奈子と達郎のアレンジの妙を楽しめる楽曲となっている。

 のちに達郎がセルフ・カバーする名曲「シャンプー」と「Just Another Night」は秀逸なバラード。
 下田逸朗の感性と桑名正博が醸し出すブルージーな「ウォッカ or ラム」は、TEAR DROPSが演奏する大のお気に入り曲。
 「Lost in Hollywood」も、ブルース・ロック風のギター・サウンドが素晴らしいナンバーだ。

 「アイム・ア・ロンリー・レディ」は、先のヒット・シングル「女はそれを我慢できない」「女にスジは通らない」につづく第3弾シングル曲で、歌謡ロックとして傑作ナンバーなのだが、このアルバムの中では浮いた感じなのが残念。

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 アルバム初回盤は、PINKのクリア・カラー・ビニールだった……

[ANN LEWIS]
★Think! Pink!★
★HEAVY MOON★

「Think! Pink!」アン・ルイス


Think! Pink!

 本作は、1978年9月にリリースされたアン・ルイスの7枚目のオリジナル・アルバム。

 1971年『白い週末』でデビューしたアン・ルイスは、1974年6枚目のシングル『グッド・バイ・マイ・ラブ』のヒットで一躍アイドル歌手の仲間入りをしたのだが、いつまでも可愛い子ちゃんの清純歌謡路線では居心地が悪かったのであろう、1977年の『甘い予感』(作詞・作曲松任谷由実)レコーディング時のユーミンらの姿を見て自分自身をプロデュースすることに憧れ、「自分の好きな音楽を演りたい」と思うようになったようだ。

 1978年5月、まずは路線変更第1弾シングルとして、アンが大ファンのジュリーのサポーター加瀬邦彦が作詞作曲した「女はそれを我慢できない」をリリース。これが大ヒットし、つづく第2弾「女にスジは通らない」も何の抵抗もなく大衆に受け入れられた。

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 そして9月、〝アン・ルイス withアニーズ・バンド〟としてシングル2曲を含んだアルバム『Think! Pink!』をリリース。
 アルバムのプロデュースは加瀬邦彦で、アレンジには加瀬のほか佐藤準や後藤次利らがサポートしている。
 オープニングはディスコ風にはじまり、ロック歌謡のほかオールド・タイム・ジャズからバラッド、湘南サウンド風ありのゴキゲンなアルバム。ただし、アーティストとして、ロック・シンガーとして、80年代を代表する「ラ・セゾン」「六本木心中」「あゝ無情」など歌謡曲にロックを内包したアン・ルイス独特の歌謡ロックの名曲誕生には、もう少し先の話となる。

SIDE A
01. シンクピンク![instrumental] (作曲:佐藤準)
02. 女はそれを我慢できない (作詞/作曲:加瀬邦彦)
03. 女の顔にスリルが走る (作詞:小林和子/作曲:加瀬邦彦)
04. もう少し (作詞/作曲:岡本一生)
05. 約束 (作詞:竜真知子/作曲:林哲司)
06. チープなうわさ (作詞:Anny Lewis/作曲:加瀬邦彦)

SIDE B
01. “ごめんね”と云わせて (作詞:小林和子/作曲:加瀬邦彦)
02. 湘南の男たち (作詞:喜多条忠/作曲:加瀬邦彦)
03. プリーズ・テル・ミー (作詞:Tommy Snyder/作曲:後藤次利)
04. 光る渚 (作詞/作曲:岡本一生)
05. 女にスジは通らない (作詞:伊藤アキラ/作曲:加瀬邦彦)
06. シンクピンク![instrumental] (作曲:佐藤準)

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 シングル“女”シリーズをコンセプトにしたアルバムのジャケット・デザインは、特に、裏面はもろストーンズの『女たち(Some Girls)』(’78)のパクリ………まぁ、これもご愛嬌。

[ANN LEWIS]
★PINK PUSSYCAT★
★HEAVY MOON★

「エレファント・マン」*デヴィッド・リンチ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_エレファントマン
THE ELEPHANT MAN
監督:デヴィッド・リンチ
脚色:デヴィッド・リンチ
撮影:フレディ・フランシス
音楽:ジョン・モリス
出演:ジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、アン・バンクロフト、サー・ジョン・ギールガッド

☆☆☆ 1980年/アメリカ・イギリス/124分/BW

 初見1981年5月。
 19世紀末の英国。ロンドンの見世物小屋にたたされていた「エレファント・マン」と呼ばれる容貌奇異な青年の半生を描いたもの。

 のちのち知るデヴィッド・リンチのフリークス好きが、ただ好奇心なだけの捉え方ではないヒューマニズムなドラマとして描いているのは良識的だが、正直もう一度観たい映画かと問われれば、否……


「クルージング」*ウィリアム・フリードキン


CRUISING
監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:ウィリアム・フリードキン
原作:ジェラルド・ウォーカー
撮影:ジェームズ・A・コントナー
音楽:ジャック・ニッチェ
出演:アル・パチーノ、ポール・ソルヴィノ、カレン・アレン、リチャード・コックス、ドン・スカーディノ

☆☆☆★ 1980年/アメリカ/102分

 初見1981年1月。
 アメリカン・ニュー・シネマの雄として『真夜中のパーティー』(’70)や『フレンチ・コネクション』)’71)『エクソシスト』(’73)など、話題作・傑作を生み出したウィリアム・フリードキンも、リメイクの『恐怖の報酬』(’77)の失敗から80年代以降その輝きを失っていくのだが、本作は鬼才ウィリアム・フリードキンの起死回生となる問題作。

 原作は、1962年から1979年までの17年間にNYで実際に起きたホモ・セクシャル連続惨殺事件を扱った実話もので、フリードキン監督はこれを題材に、実際の囮捜査などのを取材を活かしながらハード・ゲイの世界を真正面から描いている。

 タイトルの「クルージング」とはゲイ用語で「男を漁る」の意。
 ニューヨークのゲイ・エリアで起ったゲイの男が殺される連続殺人事件の捜査のため、ノーマルな感覚を持った青年刑事がゲイ社会に潜入し、次第にハード・ゲイの世界に嵌り変貌してゆくストーリーなのだが、男だけの世界で想像を絶する苦痛に伴う絶頂と陶酔とは何なのか、ノーマルな人間にはとても理解できる範疇ではないのである。

 ゲイ・エリアで知られるクリストファー・ストリートでのロケ映像はかなり強烈で、なかでもハードゲイたちの生々しい生態描写は当時のアメリカでさえ物議を呼んでいる。
 実在のゲイ・クラブが多数登場したり、バンダナをGパンの左右のポケットのどちらに入れるかとか、そのバンダナの色によってゲイ同士のコミュニケートがなされているなど、なかなか興味深い面白い描写が紹介される。

 さて、そのあまりに特異な題材にしてショッキングな描写のため、当時、日本での公開は1年間見合わされていた。本国でも「悪趣味映画」とされ、決して評判のよい映画ではない。アメリカでは2007年にDVD化されたが、日本ではVTR化されたことが一度あることはあるがDVD化は一切される方向にはないようだ。

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 音楽はニューウェーヴ系パンク・ロックの洪水で、これが最高にカッコいい……サウンド・トラックのアルバムは所持しているが、CDとなるとやっと2015年にリリースされたらしい。



「ジンジャーとフレッド」*フェデリコ・フェリーニ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1987_ジンジャーとフレッド
GINGER E FRED
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、トニーグェッラ
美術:ダンテ・フェレッティ
撮影:エンニオ・グァルニエリ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
出演:ジュリエッタ・マシーナ、マルチェロ・マストロヤンニ

☆☆☆☆ 1985年/イタリア・フランス・西ドイツ/128分

 初見1987年2月。
 30年も前に、アステア=ロジャース・コンビの踊りを物真似して人気のあった〝ジンジャー&フレッド〟と名乗る老芸人が、ローマのテレビ局のクリスマス・スペシャル番組のそっくりさんコーナーに引っ張り出され、それぞれ田舎で引退生活をしていたふたりが大都会のテレビで再会し、ふたたび別れてゆくまでが描かれる。

 フェリーニが大好きなサーカス的見せ物小屋と化すテレビ局の喧騒のなかに迷い込んだ老芸人が、華やかな照明の下に晒される老醜の残酷さと、それを包みこむ優しさ、そして人生の哀感がとても美しく感じられる。これぞまさしくフェリーニ流カーニヴァル。

 フェリーニの秘蔵っ子マルチェロ・マストロヤンニと、フェリーニ夫人であるジュリエッタ・マシーナはこの作品が初共演。
 当時ふたりとも60歳をはるかに過ぎた身での、引退した老芸人の役を切実に演じている。




「そして船は行く」*フェデリコ・フェリーニ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1986_そして船は行く
E LA NAVE VA
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、トニーグェッラ
美術:ダンテ・フェレッティ
撮影:ジョゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ジャンフランコ・プレニィツィ
出演:フレディー・ジョーンズ、バーバラ・ジェフォード、ビクトル・ポレッティ、ピナ・バウシュ

☆☆☆ 1983年/イタリア・フランス/00分

 初見1986年2月。
 1914年、第一次世界大戦勃発前夜。世紀の歌姫エドゥメアの遺骨を運ぶために、ナポリの港から出航した豪華客船に乗り合わせた言語も身分も異なる人々の様子が描かれる群像劇で、すべてのシーンがオールセット。

 チネチッタ・スタジオに人工的な海原や豪華客船のセットが組み立てられ、ストーリーで語るのではなく、オペラ風に小さなエピソードをつなぎながら、幻想的な月夜のダンスや船室での演奏会、ボイラー室でのオペラッタなどの見どころを展開させながら、人生の悲哀が映し取られる。
 

「カサノバ」*フェデリコ・フェリーニ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_カサノバ
CASANOVA
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ
美術:フェデリコ・フェリーニ
撮影:ジョゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:ドナルド・サザーランド、ティナ・オーモン、マルガレート・クレマンティ、シセリー・ブラウン、サンディー・アレン

☆☆☆★ 1976年/イタリア/148分

 初見1981年2月。
 世紀の色事師として名を知られるカサノヴァの人生を通して、エロスとデカダンスな世界を絢爛豪華に描いたフェリーニの映像美作品。

 フェリーニお得意の豪華で巨大なセット美術と、カザノヴァ役の怪優ドナルド・サザーランドの異様なメイクなど、フェリーニ的と言われるグロテスクで猥雑な世界が繰り広げられる。

 カーニヴァル……カーニヴァル……カーニヴァル……
 フェリーニ映画は、とにかくエネルギーに満ちている…
 そして、そこから生まれる人間の営みと悲哀が、滑稽なのである…

「クレイマー、クレイマー」*ロバート・ベントン

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1980_クレイマー、クレイマー
KRAMER vs KRAMER
監督:ロバート・ベントン
原作:アヴェリー・コーマン
脚本:ロバート・ベントン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー、ジェーン・アレクサンダー、ハワード・ダフ、ジョベス・ウィリアムズ

☆☆☆☆ 1979年/アメリカ/105分

 初見1980年6月。
 70年代の終りころから欧米や日本で問題になりはじめた離婚をテーマに、紋切り型で固定概念に縛られていた女性観や親子観、仕事観や育児観などから起る様々な問題を突きつけ、女性の自立や父子家庭といった家族のあり方を真正面から描いた名作。

 登場人物それぞれの視点から考えさせられる構成は、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープの演技合戦の様相でもあり、ダスティン・ホフマンは本作で初めてアカデミー賞主演男優賞を、メリル・ストリープもアカデミー賞助演女優賞を獲得。
 
 父と子の絆を表現した2ヶ所の“フレンチトースト”シーンは、ダスティン・ホフマンと子役のジャスティン・ヘンリーくん(アカデミー賞助演男優賞ノミネート)との見事な芝居で涙腺を刺激する。

「戦争の犬たち」*ジョン・アーヴィン

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_戦争の犬たち
THE DOG OF WAR
監督:ジョン・アーヴィン
原作:フレデリック・フォーサイス
脚本:ゲイリー・デボア、ジョージ・マルコ
撮影:ジャック・カーディフ
音楽:ジェフリー・バーゴン
出演:クリストファー・ウォーケン、トム・ベレンジャー、コリン・ブレイクリー、ポール・フリーマン

☆☆ 1980年/アメリカ/118分

 初見1981年4月。
 スパイ小説や謀略小説で知られるフレデリック・フォーサイスの原作を基に、西アフリカの黒人独裁国を舞台に、4人の傭兵たちがクーデターを仕掛ける戦争アクション映画が、とりたててどうと云うこともない作品だった。
 

「山猫」*ルキノ・ヴィスコンティ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1982_山猫
IL GATTOPARDO
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
原作:ジョゼッペ・ランペドゥーサ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、エンリコ・メディオーリ、スーゾ・C・ダミーコ、パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ、マッシモ・フランチオーザ
撮影:ジョゼッペ・ヴェルディ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレ、パオロ・ストッパ、リーナ・モレリ、セルジュ・レジャーニ

☆☆☆☆ 1963年/イタリア・フランス/185分(オリジナル完全版)

 初見1982年2月。
 第16回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、1964年に国際版(161分)が日本でも公開されたが、イタリア語オリジナル版(185分)が日本で初公開されたのは1981年12月だった。

 1860年のシチリアを舞台に、イタリア貴族社会の終焉を描いた歴史大作で、全8章で構成されているランペドゥーサ(イタリア貴族末裔)の原作から6章までの部分を映像化。

 バート・ランカスターの風格、アラン・ドロンの気品ある美しさ、クラウディア・カルディナーレの優雅で愛らしい美貌……ニーノ・ロータの華麗なワルツのメロデイ……
 そして映画の3分の一ほどを占めるクライマックスの舞踏会シーン……豪華絢爛、華麗なダンスが延々とつづく……

「ルードウィヒ/神々の黄昏」*ルキノ・ヴィスコンティ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_ルードウィヒ
LUDWIG
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、エンリコ・メディオーリ、スーゾ・C・ダミーコ
撮影:アルマンド・ナンヌッツィ
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、シルヴァーナ・マンガーノ、トレヴァー・ハワード、ソニア・ペトロヴァ

☆☆☆★ 1972年/イタリア・西ドイツ・フランス/237分(オリジナル版)

 日本公開はヴィスコンティ編集の短尺版(180分)が死後から4年後の1980年に陽の目を見た。 初見1981年2月。

 18歳でバイエルン王国(19世紀から20世紀にかけて存在したドイツの王国)の国王に即位し、40歳で謎の死を遂げたルードウィヒⅡ世の波乱に満ちた生涯を綴った歴史絵巻。
 ヴィスコンティお得意の貴族趣味は、デカダンスな耽美の世界……狂気を含んだ王を演じるヘルムート・バーガーの妖しさ……そして、絶世の美女と謳われたシシーことエリザベート皇后を演じるロミー・シュナイダーは、知性と気品に溢れた高貴な美しさと風格を放っている。

「マリア・ブラウンの結婚」*ライナー・W・ファスビンダー

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1980_マリア・ブラウン
DIE EHE DER MARIA BRAUN
監督:ライナー・W・ファスビンダー
原案:ライナー・W・ファスビンダー
脚本:ペーター・メルテスハイマー、ピア・フレーリッヒ
撮影:ミハエル・バルハウス
音楽:ペーア・ラーベン
出演:ハンナ・シグラ、クラウス・レーヴィッチェ、イヴァン・デニー

☆☆☆☆ 1979年/西ドイツ/120分

 初見1980年2月。
 1960年代後半から80年代にかけて花盛りだったニュー・ジャーマン・シネマの1本で、当時、そこから輩出された新しい映画作家ヴェルナー・ヘルツォーク、『アメリカの友人』『ハメット』『パリ、テキサス』などのヴィム・ヴェンダース、『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ、そして本作のライナー・W・ファスビンダーの4人が〈ノイエ・ヴェレ(新しい波)〉の四銃士とも呼ばれ注目されていた。

 本作は、ドイツ戦後史のなかで懸命に生き抜いた女性の半生を描いたメロドラマであり、普遍的な愛の物語である。
 原題は正確には「マリア・ブラウンの結婚の日々」。
 ヒトラーの写真が爆風で飛ぶシーンにはじまり、ラストは1954年のワールドカップでドイツが初めて優勝する日に終わる約10年間の日常は、ドイツ敗戦前夜に結婚式をあげ、わずか一夜で夫を戦地に送り出し、戦後の混乱期にはGIバーに勤め、軍人の情婦になり、帰還した夫を支えるためには実業家の愛人にもなる。
 そして最後は、事故とも自殺ともつかぬ死を遂げるマリア・ブラウン。

 米軍占領期に逞しく、力強く生き抜いた女性の半生はそのまま、同じ敗戦国である日本にもあてはまることで共感を覚えるところがある。


「愛と哀しみのボレロ」*クロード・ルルーシュ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_ボレロ
LES UNS ET LES AUTRES
監督:クロード・ルルーシュ
脚本:クロード・ルルーシュ
撮影:ジャン・ボフティ
音楽:フランシス・レイ、ミシェル・ルグラン
出演:【パリ】ロベール・オッセン、ニコール・ガルシア、マニュエル・ジュラン 【ニューヨーク】ジェラルディン・チャップリン、ジェームス・カーン 【モスクワ】ジョルジュ・ドン、リタ・ポールヴールド 【ベルリン】ダニエル・オルブリフスキ、マーシャ・メリル
エブリーヌ・ブイックス、レイモン・ペルグラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ファニー・アルダン

☆☆☆☆ 1981年/フランス/184分

 初見1981年12月。
 舞台はモスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨーク……指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤン、バレエ・ダンサーのルドルフ・ヌレエフ、スウィング・ジャズのグレン・ミラー、シャンソン歌手のエディット・ピアフら国籍の違う音楽家をモデルに、その家族らの45年間にわたる人生の苦悩と歓喜を、音楽を主役にして大叙事詩として描いたクロード・ルルーシュ渾身のメロドラマ。

 クライマックス約10分間の映像、音楽、バレエには圧倒されるばかり。