TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「気分を出してもう一度」立木リサ&今野雄二


立木リサ&今野雄二◆ 気分を出してもう一度/20才のころ 1977年

 1977年7月、立木リサと今野雄二のデュエットでリリースされた「気分を出してもう一度」は、安井かずみ作詞/加藤和彦作曲の日本のニューミュージック・シーンを代表するアーヴァン・シティ・ポップの名曲。
 サディスティック・ミカ・バンド解散後の朋友たちが演奏・歌い繋いだお洒落な曲で、ゆるやかさが心地良い。

 豪華なバック・ミュージシャンは〝THE BOYS IN THE BAND〟とクレジットされた鈴木茂(Guitar)、高橋幸宏(Drums)、後藤次利(Bass)、今井裕(Keyboard)、斉藤ノブ(Percussion)、ラジ(Chorus)、瀬尾一三(Chorus)らメンバー。アレンジは瀬尾一三で、ジャケット写真は当時リサの義兄となる立木義浩。

 同年8月には、小林啓子が3rdアルバム『ちょっと気分をかえて』のA面1曲目に「気分を出してもう一度」を収録しリリース。10月にシングル・カットもしている。アレンジは当時夫だった高橋幸宏の実兄・高橋信之で、バック・ミュージシャンは〝THE BOYS IN THE BAND〟のメンバーとギター以外同じ面子。


 立木リサと今野雄二、小林啓子の曲にコーラス参加していた元〝ポニーテイル〟のラジ〝RAJIE〟も、同じ年に同じメンバーで録音した1stソロアルバム『Heart To Heart』(9月リリース)に「気分を出してもう一度」を収録。競作は3ヶ月連続でリリースされたことになる。
 1978年には加藤和彦自身もアルバム『Gardenia』でセルフカヴァーをしていた。
 近年では2002年の、元〝ピチカート・ファイブ〟野宮真貴と〝クレイジーケンバンド〟横山剣のデュエットがある。

 さて、B面も和製ボサノヴァの名曲と云える、かまやつひろしの「20才のころ」(作詞:安井かずみ/なかにし礼、作曲:かまやつひろし)のカヴァーだ。

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「タモリのワーク・ソング」タモリ


WORK SONG / DEAR OLD STOCKHOLM
タモリ◆ タモリのワーク・ソング/久美ちゃんMy Love 1981年

 31年以上にも及ぶ『笑っていいとも!』の司会を終え1年が過ぎようとしているなか、2014年10月から始まった『ヨルタモリ』につづいて、2015年4月からはNHK『ブラタモリ』がレギュラー放送復活となる。
 『ヨルタモリ』がかつての密室芸を披露する場とすれば、『ブラタモリ』は“知”のタモリの時空を超える探訪芸の場。毎日の帯番組の束縛から解放されたタモリには、この新シリーズにおいて全国を股に掛けた散策ロードを期待している。

 さて、タモリは『笑っていいとも!』放送開始前の1981年と1982年の2度にわたり、フュージョン・インストゥルメンタル・バンドThe SQUARE(現・T-SQUARE)を従えた〝RADICAL HYSTERY TOUR〟の全国ツアーを敢行している。
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 このシングルは、ツアーの合間となる1981年12月にリリースされたもので、多趣味でジャズ好きのタモリが得意とする音楽芸のひとつだ。

 ナット・アダレイ作曲のA面「ワーク・ソング」は、素人時代に赤塚不二夫ブレーンとして知り合った朋友高平哲郎がナンセンスな詞をつけている。

 ~業務報告 産業広告 / 依頼退職 無芸大食 / 勤務評定 競輪競艇~
   四文字熟語で韻を踏み、
 ~ダラリ ダラリ デラシネヨ
   ハナモゲラで締める意味のない言葉の羅列である。
 
 B面「久美ちゃんMy Love」は、スタン・ゲッツの演奏で有名な「ディア・オールド・ストックホルム」に、妻子ある中年男とあどけない少女との禁断の愛といった危ない日本語詞を伊達歩がつけたもの。

 A/B面ともアレンジはジャズ・ピアニストの“コルゲン”こと鈴木宏昌。
 演奏は、アルバム『RADICAL HYSTERY TOUR』でコルゲン・バンドを改めたフュージョン・グループ〝ザ・プレイヤーズ〟と〝The SQUARE〟が担当していたことから、どちらかが務めていると思える。

「蒲田行進曲」松坂慶子・風間杜夫・平田満


SONG OF THE VAGABONDS / Stars On KAMATA
松坂慶子・風間杜夫・平田満◆ 蒲田行進曲/蒲田組曲 1982年

 1982年10月にリリースされたサウンドトラック・シングル。
 深作欣二監督作品『蒲田行進曲』は原作者のつかこうへい自身が初シナリオ化したもので、撮影所を舞台に華のある役者〝銀ちゃん〟(風間杜夫)と大部屋役者の〝ヤス〟(平田満)と、ふたりの間で揺れ動く女優〝小夏〟(松坂慶子)が繰り広げる映画製作の舞台裏を描いた傑作。
 松坂慶子がもっとも輝いていた時期、風間杜夫はロマンポルノ以外で主演格の映画は初めてだったろうし、もちろ平田満も同じく舞台以外で初めて認知された作品。
 3人が歌うオープニング曲「蒲田行進曲」から、エンディングの「恋人も濡れる街角」(桑田佳祐作詞作曲、歌・中村雅俊)が流れるまで、映画のエンターテインメント性がいっぱい詰まっている。

 演奏者に〝深作欣二& KAMATA ORCHESTRA〟と明記されたB面「蒲田組曲~Stars On KAMATA」は、劇伴「蒲田行進曲」「別れの決意」「Drive In The Night」「小夏 My Love」「恋人も濡れる街角」をディスコ風にメドレーで繋いだ楽曲で、冒頭「さぁ、いこか……よ~い、スタート!」と深作欣二のかけ声ではじまる。


 松竹蒲田撮影所を舞台にした映画『蒲田行進曲』は、プロデューサーの角川春樹は当初東映に企画を持ち込むものの、東映・岡田社長の「当たらない」のひと言で松竹が製作することになるのだが、監督は東映の深作欣二ということで軋轢を避けるために撮影所は東映京都撮影所で敢行されている。
 のちに松竹の野村芳太郎監督が、我が蒲田撮影所を舞台にした作品を東映の監督に持って行かれたと嘆き、1986年に『キネマの天地』をプロデュースしたと云うわけだ。

 映画の初公開は1982年10月9日で、初見は11月8日。
 1982年度のマイベストテンを並べてみるとこんな具合……
 さらば愛しき大地
 野獣刑事
 TATTO0〈刺青〉あり
 蒲田行進曲
 水のないプール
 疑惑
 悪魔の部屋
 生きている小平次
 キッドナップ・ブルース
 誘拐報道

 1982年度の日本アカデミー賞、キネマ旬報賞では主要部門を独占し映画も大ヒット……1983年3月には森崎東監督の新作『時代屋の女房』の併映作としてアンコール上映がされ、2度目の鑑賞に至った。

1982_蒲田行進曲

 しかし、そのあおりを喰ったのが本来『時代屋の女房』の併映作だった根岸吉太郎監督の『俺っちのウエディング』で、上映は1ヶ月後に伸びたと記憶する。

1983_時代屋の女房



「キネマの天地」*山田洋次監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1986_キネマの天地
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、井上ひさし、山田太一、朝間義隆
音楽:山本直純
出演:有森也実、中井貴一、渥美清、倍賞千恵子、すまけい、美保純、岸部一徳、松坂慶子、田中健、レオナルド熊、堺正章、桜井センリ、平田満、財津一郎、桃井かおり、石倉三郎、ハナ肇、前田吟、笹野高史、吉岡秀隆、粟津號、佐藤蛾次郎、柄本明、なべおさみ、大和田伸也、広岡瞬、山城新伍、アパッチ研、山田隆夫、由井昌由樹、木の実ナナ、笠智衆 / 九代目松本幸四郎、藤山寛美

☆☆☆ 1986年/日本・松竹/135分

 初見1986年8月。
 この年、蒲田撮影所から大船撮影所に移転し50周年を迎えた松竹が記念映画として製作したのが本作。
 サイレントからトーキーになった日本映画の転換期に、カツドウ屋として映画を愛し情熱を注いだ若き監督や作家たち、女優・俳優たちの青春群像劇だ。

 ヒロインは映画館の売り子からスター女優になった小春。演じた有森也実はこの作品でデビューしたのだが、じつは当初、小春役には藤谷美和子がキャスティングされていたのだが藤谷のスケジュールの都合で降板となり、大抜擢されたのが有森也実。まさに、役のままにシンデレラ女優となったわけだ。

 松竹映画(蒲田=大船撮影所)の歴史を描くわけだから、当然そこに出てくるのは往年の監督やスターたちがモデル。
 ヒロインの小春は田中絹代。岸部一徳演じる緒方監督は小津安二郎で、堺正章演じる内藤監督は斉藤寅次郎。九代目松本幸四郎が城戸所長を演じ、松坂慶子は〝世紀の恋の逃避行〟で当時の世間を驚かせた岡田嘉子。等々、といった具合で他にも面影を偲ばせる人物はいるのだろうが、ぼくが知りえるのはこの5人くらい。

 山田洋次作品らしく「寅さんファミリー」も随所に散らばり、エンターテインメントな〝キネマの世界〟が楽しく展開する。



20世紀『洋楽の時代』発刊



 〝若者が熱狂した時代を再検証する、ユース・カルチャー・クリップ・マガジン〟として新創刊された「タンデムスタイル増刊[20世紀]」2015年4月号『洋楽の時代』が面白い。

 100年間にわたる洋楽歴史やポップカルチャー史を、ピーター・バラカン、朝妻一郎、小林克也のインタビューとサエキけんぞうのコラムを交え、音楽雑誌とは一線を画した切り口で、若者が憧れと熱狂の虜になった時代にタイムスリップできる素晴らしいムック本だ…

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「ソロモンの偽証 前篇:事件/後篇:裁判」*成島出監督作品


監督:成島出
原作:宮部みゆき
脚本:真辺克彦
音楽:安川午朗
主題歌:U2「With or Without You」
出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、西畑澪花、西村成忠、若林時英 * 佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、小日向文世、尾野真千子、黒木華、田畑智子、松重豊、余貴美子、池谷のぶえ、塚地武雅、田中壮太郎、市川実和子、江口のりこ、森口瑤子、安藤玉恵、木下ふか、宮川一朗太、嶋田久作、大河内浩、津川雅彦

☆☆☆★ 2015年/松竹/267分

    ◇

 宮部みゆきのベストセラー小説の映像化。
 3月7日公開の「前篇:事件」と4月11日公開の「後篇:裁判」を、プレミアム上映会でイッキに鑑賞した。前後篇合わせた5時間(インターバルあり)はあっという間の出来事。可能ならば同時に鑑賞することをお勧めするのだが……。

 クリスマスの朝、雪の積もった中学校の校庭で14歳の少年が遺体で発見されたことから、学校内に眠る悪意が目を醒ました。目撃者を名乗る匿名の告発状が届き、マスコミの過熱報道が事件の主役をすり替える。
 そして、また犠牲者が出た。事件の真相を大人には任せられないと生徒たちが自分たちで法廷を開く。真実を求めてゆく先にあるものは……。


 原作は、連載に足掛け10年をかけた2,000頁を超える大作。主要登場人物の生徒たちだけでも9人以上を超え、少年少女たちを取り囲む大人たちである家族や学校関係者・マスコミなどの世界も含め、チャプターごとにひとり一人の視点から描写されている。
 それだけに、原作ファンとしては映画化のニュースが流れたときには一抹の不安があった。原作の醍醐味を前後篇の映画に分けたとしても無理が生じるだろうと……映像化だったら映画よりWOWOWドラマあたりの方が、原作の世界観を堪能できるのではないかと思っていたのが正直なところだ。しかし、そんな杞憂はあっさりと覆られた。細かな枝葉を巧く刈り込んだ脚本は、見事に原作の世界観を甦らせていた。

 なんと言ってもヒロインがいい……役名を芸名にした藤野涼子の、凛々しい佇まいと悠然とした低音の声音には大物になる予感さえする。

 生徒たちの人物設定において入れ替えや二人でひとりのキャラクターにしたりした苦肉の策は違和感がなかったが、担任教諭モリリン(黒木華)の隣人垣内美奈絵(市川実和子)のエピソードはもう少し欲しいところ。垣内美奈絵がモリリンに執拗な敵意を抱く動機が見えにくいので、原作を知らない観客には不自然に映るのではないか。それにしても、市川実和子の蛇女顔が怖い。這姿はホラーだ。

 また、亡くなった柏木卓也(望月歩)と弁護人となる神原和彦(板垣瑞生)が通っていた塾のエピソードがまるまるカットされ、柏木の兄の存在もなくなってしまったので、柏木卓也という少年の実像と心の深い部分の多面性が希薄になったような気がした。
 それでも、原作にはない藤野涼子と柏木卓也とのエピソードを加え、そこで発せられる言葉が核心部分を補正し、クライマックスは原作とは違う高揚感と切なさに包まれる。映画としてのテーマは、これでいい。

 前篇のエンディングには少女の悪夢を沈殿させるかのようにアルビノーニの「アダージョ」が流れ、後篇のエンディング・テーマはU2ボノの歌声で傷ついた者たちの叫びが代弁される。

 ♪君はすべてを与えてくれる 
  ぼくはより多くを求めて君を待っている
  君がいても いなくても 
  ぼくは生きてゆけない
  君と一緒でも 君なしでも

「恋の女のストーリー」高樹澪


高樹澪◆ 恋の女のストーリー/MIO-SUN 1981年

 高樹澪のデビュー映画アミューズシネマ第1回作品『モーニング・ムーンは粗雑に』(’81)の挿入歌として、1981年8月にリリースされたデビューシングル。
 もちろんA/B面とも作詞・作曲は桑田佳祐、八木正生の編曲。
 「恋の女のストーリー」は、ご存知のとおりサザン・オールスターズ4枚目のアルバム『ステレオ太陽族』に収録されている名バラード。

 ミオという役名がそのまま芸名となった高樹澪の歌は、映画のなかで音楽プロデューサー岸田森に自作の歌をオーディションしてもらうシーンにエレピを弾きながらほぼフルコーラス流れる。歌唱が少し危ういところがあるとは云え、十分に雰囲気はあった。

 桑田佳祐の企画で始まったアミューズ初の映画『モーニング・ムーンは粗雑に』は、映画興業の素人には劇場公開することがいかに難しいことかを理解したうえで考えついたのがイベント興業。全国を順次巡るバンド・ツアー方式で市民会館やホールでの上映だった。
 当地での公開は『ステレオ太陽族』リリース後の8月。もちろんサザンの曲目当てでホールに出向いたのだが、映画の出来は酷くタイトル通りに「粗雑」な映画だった記憶……。
 映画の主題歌「Big Star Blues『ビッグスターの悲劇)』をはじめ、范文雀ファンの桑田佳祐が栞を演じた彼女をイメージして作った「栞のテーマ」、「朝方ムーンライト」「MY FOREPLAY MUSIC」「ステレオ太陽族」などが映画の中で流れ、アルバム『ステレオ太陽族』はこの映画のサントラ盤的存在なのだが、いまでは誰もそんなこと口に出さないだろう。『モーニング・ムーンは粗雑に』は、サザンにしてもアミューズにしても消し去りたい過去のイベントだったと思う。 

 さて高樹澪に話を戻せば、80年代のヒロインとして都会的なイイオンナと云うのが代名詞だった。このジャケット写真もサングラスが時代を感じさせるものの、くわえ煙草に長い髪をかきあげたあとの様子が、気怠い歌唱と相まってミステリアスでイイ感じ。
 石川セリの「ダンスはうまく躍れない」をカヴァーして大ヒットするのは翌年である。

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