TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「真夜中まで」*和田誠監督作品

2001_真夜中まで
監督:和田誠
脚本:和田誠、長谷川隆
音楽:立川直樹
出演:真田広之、ミッシェル・リー、岸部一徳、國村隼、柄本明、笹野高史、斉藤晴彦、六平直政、もたいまさこ [ゲスト]大竹しのぶ、高橋克実、佐藤仁美、唐沢寿明、戸田菜穂、三谷幸喜、名古屋章、小松政夫 ほか(登場順)

☆☆☆☆ 1999年/日本・東北新社/110分

 2001年公開、初見2001年9月。
 イラストレーターとして『おたのしみはこれからだ』やエッセイなどの執筆者でもあり、『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』など映画監督としてもその多才ぶりを発揮している和田誠の長編劇映画4作目、初のオリジナル脚本の作品。
 無類のジャズ好きで映画マニアの和田誠らしい遊びとこだわりで、とびっきりのエンターテインメントな逃走サスペンスが繰り広げられる。大好きな映画だ。

 街の夜景が艶やかな夜10時34分。ここはライヴハウス「Cotton Tail」。ジャズ・トランぺッターの守山(真田広之)にとって今夜は特別な夜だった。憧れのジャズマンG.P.サリヴァンが夜中のステージを聴きに来るのだ。
 休憩時間、店の外に出た彼のもとに突然、ホステスのリンダ(ミッシェル・リー)が助けを求めて来た。事情が呑み込めない守山だったが行きがかり上、リンダを追いつめる男たち(岸部一徳、國村隼)の攻撃をかわし、リンダを連れて夜の街へ飛び出すのだった。
 次のステージまで残された時間は1時間。
 果たして、殺人事件を目撃したリンダとともに守山は、事件を解決してステージに戻ることができるのか…?

    ◇

 「ジャズというジャンルはない。ジャズな人がいるだけだ」と、ジャズについてタモリが語った言葉のように、この作品はジャズな人が創った極上なジャズな映画である。

 ヒッチコック映画に見られる巻き込まれ型サスペンスの踏襲として、ありふれた判り易いストーリー展開に終始。ジャズと小道具に凝り、渋い脇役たちと多彩なゲストが大きな魅力になっている。
 「ROUND MIDNIGHT」が流れるオープニング、怪しい男たちがいる駐車場から隣のビルの階下にあるジャズバーの窓を抜け、店内のステージでトランペットを吹く真田広之にカメラが寄ってゆくカメラワーク。ワンシーン・ワンカットに見える技の流麗さに感嘆し、この映画の虜になる。

 ジャズをこよなく愛する和田誠の選んだジャズ・スタンダード・ナンバー「SO WHAT」「LULLABY OF BIRDLAND」「MY ONE AND ONLY LOVE」などが優雅に使われ、唱歌「月の砂漠」を隠し技にするお楽しみ等々、とにかく隅々まで洒落た作品なのである。

 夜の帳が映し出す妖しいアジアンテイストな街並と夜景。撮影と照明の素晴らしさに目を瞠らされる。
 次のステージの時間までというタイムリミットを設けたスリリングな展開は、追いつ追われつする物語の進行時間と上映時間がリアルに重なる仕掛け。設定は架空の街の架空のライヴハウスだから、こんなに長い休憩時間も許される。

 佐山雅弘ら日本を代表するジャズ・ミュージシャンを従える真田広之だが、実際は五十嵐一正が吹く甘美な音色。ただ、ジャズマンらしい真田広之の佇まいは及第点であろう。


★快盗ルビイ★

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「女は生きるために泣く」三浦恭子


三浦恭子◆ 女は生きるために泣く/嘆きの湖 1968年

 1968年10月リリースの三浦恭子の1stシングル。
 なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲、クニ河内編曲のアシッド・サイケなグルーヴ歌謡の大傑作である。

 イントロからオルガンとファズの効いたギターが独特の世界観を生み出し、鈴木邦彦の演歌チックなメロディを異界へと導く。ここはクニ河内のアレンジの聴きどころ。
 なかにし礼の恨みがましい詞世界は、21歳とは思えない女の情念をクールに迫って来る三浦恭子が素晴らしく、美しい顔立ちからは想像もできないドスの効いた声で怨念を絞り出すからたまらない。

 1964年に日劇ダンシングチームの22期生として入団した三浦恭子は、花形ユニットのエイト・ポピーズの中から歌手デビューしたひとり。と言っても、日劇ダンシングチームのことはよく知らない。歌手として知っていたのは鹿島とも子とガールズ歌謡のポピーズくらいか。
 同じ日劇でも日劇ミュージックホールの方なら、TV「11PM」で初めて見た岬マコ、ロマンポルノに出演した松永てるほ、「プカプカ」を歌う殿岡ハツエなど、70年代に入ってから平凡パンチや週刊プレイボーイの記事から興味を持っていたのだが……。

 さて、三浦恭子は1969年6月に2ndシングル「恋の数え唄」をリリース。こちらも、なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲で、尾崎紀世彦在籍のザ・ワンダースがバックコーラスについたカリプソ・リズムに乗った流行歌だったが、クセのある歌唱法が控えめになっていて面白みに欠けた。この頃、週刊プレイボーイでグラビアを飾っていたこともあり、後年見たことがある。
 藤間流日舞の名取りでもある彼女は、日劇の女性歌手若手トップスターとして活躍していたが1970年に退団している。
 この「女は生きるために泣く」は、映画『コント55号 世紀の大弱点』(’68)に悪役の女ボスとして出演し、劇中でゴーゴーガールをバックにして歌っている。
 知る人ぞ知る隠れた名曲とも云われており、1995年にリリースされた『60's キューティ・ポップ・コレクション【東芝篇】』に初CD化として収録されたが、このCDは既に廃盤。2015年現在では「天使の誘惑~鈴木邦彦作品集」に収録されたものを聴くことができる。

 B面「嘆きの湖」は、作詞:山上路夫、作曲・編曲:鈴木邦彦。
 この曲はキューティー・ポップなGS歌謡で、メロディ・メイカー鈴木邦彦らしい楽曲。A面にも負けないほど素晴らしい本曲は、未だCD化はされていないと思われる。

★「プカプカ」殿岡ハツエ★

石井隆最新作「GONIN サーガ」 キャスト情報第2弾


遂に発表された

石井映画にはなくてはならない竹中直人 「GONIN」再登板

凶悪面の竹中直人 最高に怖いツラ

彼とともに死地を巡る美しき女ヒットマンには福島リラ

竹中直人の強烈さには 彼女くらいの個性がなくちゃ

最高の取り合わせ 凶悪ヒットマン大いに楽しみである


また ほかに井上晴美も石井映画になくてはならない

そして りりィ

まだ発表されていない重要な役柄もあるし 次なる情報も楽しみ

★公式サイトGONIN サーガ★

チケット「悪魔のような女」

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1996_悪魔のような女
 初見1996年7月。

過去レヴューあり
★悪魔のような女★

「ナイト・オン・ザ・プラネット」*ジム・ジャームッシュ


NIGHT ON EARTH
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
音楽:トム・ウェイツ
出演:ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ベアトリス・ダル、ロベルト・ベニーニ、アーミン・ミューラー=スタール、ロージー・ペレス、ジャンカルロ・エスポジート

☆☆☆☆ 1991年/アメリカ・イギリス・フランス/129分

 初見1992年6月。
 地球上の5つの都市(ロサンゼルス、ニューヨーク、ローマ、パリ、ヘルシンキ)で同じ夜に起っている5つのエピソードを、5人のタクシードライバーたちによって物語が展開するオムニバス映画。
 夕暮れの1話から夜が明ける5話まで、映画の世界をタクシーの小さな空間と夜に限っているところにジム・ジャームッシュのセンスが光る。
 夜のしじまの中、深夜ドライバーと乗客との他愛の無い会話。世界中のどこかで、常に繰り広げられている人と人との交流に笑ったり涙したり。それがいつの間にか、ネオンの明かりや街の灯火のようにさりげなく、観ている我々に重なったゆく奇跡的な時間。
 
 ウィノナ・ライダーと乗客のジーナ・ローランズのLA編が秀逸。このふたりの物語だけ1本の作品として観てみたかった。
 そして、なんと言ってもトム・ウェイツの音楽が最高だ!

「家族の肖像」*ルキノ・ヴィスコンティ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1978_家族の肖像
CONVERSATION PIECE
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、エンリコ・メディオーリ
音楽:フランコ・マンニーノ
出演:バート・ランカスター、ヘルムート・バーガー、シルヴァーナ・マンガーノ、クラウディア・カルディナーレ、ドミニク・サンダ

☆☆☆☆ 1974年/イタリア・フランス/121分

 日本公開はヴィスコンティ死後の1978年。初見1979年3月。

 『ルートヴィヒ』(’72)撮影後に病に倒れたヴィスコンティ監督が奇跡的に回復し、半身麻痺のまま撮影に挑み撮りあげた作品。撮影は主人公の豪邸の中だけの室内劇にとどまり、登場人物も限られたもの。
 家族を持たず孤独を受け入れ暮らしていた老教授の人生に、唐突に踏み込んできた闖入者たちとの疑似家族の形成と崩壊までが描かれる。

 クラウディア・カルディナーレとドミニク・サンダは、ゲストのようにほんの数シーンだけの出演。

「ケンタッキー・フライド・ムービー」*ジョン・ランディス

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1978-ケンタッキーFM
The KENTUCKY FRIED MOVIE
監督:ジョン・ランディス
脚本:デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、ジム・エイブラハムズ
出演:デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、ジム・エイブラハムズ、ドナルド・サザーランド、ジョージ・レーゼンビー

★ 1977年/アメリカ/90分

 初見1979年1月。
 『ブルース・ブラザース』(’80)『狼男アメリカン』(’81)『眠れぬ夜のために』(’85)、そしてマイケル・ジャクソンのPV『スリラー』(’83)で知られるジョン・ランディス監督のメジャー映画デビュー作。
 パロディ映画の代名詞のように扱われる映画だが、内容はあまりにも幼稚でつまらないものばかりの寄せ集め。いま再見すれば感想も変わるかもしれないと云われても、まぁ見ないでしょ。時間のムダである。

「黒のオートバイ」多岐川裕美


多岐川裕美◆ 黒のオートバイ/太陽のミストレス 1982年

 1982年6月にリリースされた多岐川裕美のシングル。
 「黒のオートバイ」は作詞:三浦徳子、作曲:沢田研二。

 女優は〝眼ぢから〟 
 デビュー当時からクールな眼光が多岐川裕美のひとつの武器でもあり『仁義の墓場』(’75)でも『新 女囚さそり 701号』(’76)でも、台詞の拙さを〝眼ぢから〟でカバーしていた感がある。
 本シングルはジュリーの曲提供というほかに、極端なまでの斜視も大いなる魅力になっていて、当時、ジャケ買いの衝動に駆られたひとつなわけだ。
 
 サディスティック・ミカ・バンドのミカのような声で、軽快なロックンロール・ナンバーを歌い上げている多岐川裕美。
  ジュリーとの接点は、前年(’81年)の連続ドラマ「いつか黄昏の街で」での共演で、この翌年(’83)のジュリーのアルバム『JULIE SONG CALENDER』には「す・て・きに勘違い」の詞でお返しをしている。
 
 B面「太陽のミストレス」は、来生えつこ&来生たかおの作品。

★仁義の墓場★
★いつかギラギラする日★
★新 女囚さそり 701号★

「凍土〈ツンドラ〉シティー」山内恵美子


山内恵美子◆ 凍土〈ツンドラ〉シティー/ザ・プライベート 1979年

 1977年に心機一転を図った山内えみこは〝山内恵美子〟に改名し、中島みゆきから提供された「笑わせるじゃないか/cw ほっといてよ」をリリースしたのち、1978年にビクターに移籍。
 長い髪をばっさり短くして、ディスコ歌謡「太陽は泣いているセンセーション’78」をカヴァー・リリースし、横山博人監督『』にも出演している。

 さて本曲は、1979年3月に通算7枚目のシングルとしてリリースされたもの。
 「凍土〈ツンドラ〉シティー」は作詞:ちあき哲也、作曲:馬飼野康二。
 ビート歌謡のアレンジと60年代風〝小唄調〟の歌唱がいい意味でミスマッチしているところに注目。いわゆる小唄ビート歌謡と呼べるかも。
 B面「ザ・プライベート」は作詞:ちあき哲也、作曲:川口真。
 「凍土〈ツンドラ〉シティー」のこぶしとは打って変わって、ウィスパーヴォイスで魅了させてくれる。

★熊ん蜂★
★哀愁★
★悪の華★
★太陽は泣いているセンセーション’78★

「悪の華」山内えみこ


山内えみこ◆ 悪の華/黄昏のモンテカルロ 1975年

 1975年8月にリリースされた山内えみこ3枚目のシングル。
 作詞は橋本淳、作曲は都倉俊一。

 デビュー曲のアイドルっぽい歌唱から2曲目のビート歌謡で歌の上手さを披露した山内えみこが、いよいよ本領発揮したやさぐれ歌謡。
 都倉俊一の美しくも哀しいメロディと橋本淳の荒んだ女の情景に、山内えみこの気怠い声が絡み合う心地良さ。篠山紀信のジャケ写にもそそられ「熊ん蜂」とともに高値が付くシングル盤のようだ。
 個人的には「哀愁」とか、山内恵美子名義になってからの曲にも注目して欲しいところ。

 B面「黄昏のモンテカルロ」は、変則メロディとリズムを持ったおもしろい楽曲。

 この後、本曲と同じようなやさぐれ路線の哀歌「錆びた心/cw チャイナ・タウン」(1976年3月)、山内恵美子名義でやさぐれた中島みゆきからの提供曲「笑わせるじゃないか/cw ほっといてよ」(1977年3月)をリリース。ジャケ写の酷さで争う2枚だが、手に入れるのはなかなかの至難のようだ。

★熊ん蜂★
★哀愁★


「哀愁」山内えみこ


SOMEWHERE FOR YOU/MIDNAIGHT BLUES
山内えみこ◆ 哀愁/真夜中のふたり 1975年

 1975年2月にリリースされた山内えみこの2ndシングル。
 A/B面とも作詞:橋本淳、作曲:鈴木邦彦。

 小刻みなエレキ・ピアノのリフや、サビのタムタムのスタッカートが耳に心地よくグルーヴするビート歌謡。
 クールなやさぐれ感が滲み出してきただけに、ありきたりな演歌チックなジャケット・デザインが残念。歌のタイトルにもインパクトが欲しかった。

 ただし、柔和な表情からじっと見つめる山内えみこの眼差しが最高にカッコいいのである。


「熊ん蜂」山内えみこ


山内えみこ◆ 熊ん蜂/おんな虫 1974年

 1974年8月にリリースされた女優・山内えみこのデビュー・シングルで、A/B面とも作詞:ちあき哲也、作曲:高田弘。

  ♪ぬいちゃいや甘い針  こんな倖せはじめてよ  お返しさせてネ…

 東映の女優ということでやさぐれた歌謡曲かと思いきや、歌詞はきわどいけれどアイドル・ポップス。それも、女優の歌ではない歌唱で聴かせてくれるので、この後本格的に歌手活動を始めるのも納得できるのである。

 さて、北海道の高校を卒業後にスカウトされ上京した山内えみこは、TVの深夜番組のカヴァーガールから芸能活動を始め、20歳のとき東映『ネオンくらげ』(’73/監督:内藤誠)で主演映画デビュー。
 身長164cmのグラマラスなボディ(当時のキネマ旬報には太めのグラマーなどと辛辣な形容)で果敢とヌードを披露し、梶芽衣子のような眼ぢからを持った女優として認識していた。
 大映〝軟体動物シリーズ〟のようなタイトルとコンセプトは東映が第2の渥美マリを狙ったのかもしれないが、〝くらげ〟は2作しか続かなかった。三上寛が主題歌を歌う『ネオンくらげ』、ぜひともDVD化を望むもの。

 デビュー後つづけて『番格ロック』(監督:内藤誠、音楽:キャロル)と『ネオンくらげ 新宿花電車』(監督:山口和彦)に主演し、翌74年は多岐川裕美のデビュー作『聖獣学園』(監督:鈴木則文)で準主役として大役をつとめた。映画は不入りだったが、彼女の受けがよかったのだろう、レコード・デビューを果たしたのがこの曲である。

 捨て鉢、やさぐれた雰囲気はまだ見られないが、眼光に鋭さが宿っているジャケットが素晴らしいのである。

「明日から愛して」梢ひとみ

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梢ひとみ◆ 明日から愛して/いつものように 1976年

 スレンダー女優・梢ひとみが、1976年3月にリリースした唯一のシングルで、A面「明日から愛して」は作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童。

 梢ひとみの歌唱は決して上手くはないが、羨む表情のジャケットには惹かれる1枚。明るめの曲調ながら、一途な女の純情が織りなす哀切あふれた挽歌に仕上がっている。

 梢ひとみは岩手から上京後、文化服装学院でデザインの勉強をしているときにスカウトされ、1973年『女子大生SEX方程式・同棲』(小原宏裕監督)の主演でスクリーン・デビュー。日活ロマン・ポルノの生え抜きとして、活動期間は短かったが記憶に残る人気女優だった。

 デビュー2作目、曽根中生監督『昭和おんなみち・裸性門』(’73)で二役を演じ、重厚な禁断のメロドラマとして評価は高かったし、田中登監督『女教師 私生活』(’73)では風間杜夫相手にヴァージンを捧げる女子高校生を演じていた。当時22歳、まぁ少し無理があったけれど、BGMの「ひなげしの花」や天井を漂う色とりどりの風船や初体験の跡を残すシーツの上を滑空する模型飛行機やらと作品としては印象深い。

 その後、渡哲也主演の東宝作品『ザ・ゴキブリ』(’73・小谷承靖監督)やTV「時間ですよ・昭和元年」(’74)などに出演したのだが、同じく一般映画として公開された長谷部安春監督のハードボイルド作品『すけばん刑事 ダーティ・マリー』(’74)では、スタイリッシュでクールな女刑事として期待していたのだが、アクションのキレが悪く唖然、不満の残る結果だった。
 澤田幸弘監督『暴行! 』(’76)のヴァイオレンスものはおもしろかった……そして、小原宏裕監督『実録おんな鑑別所』シリーズ(’75)では梶芽衣子の『さそり』に共鳴したのだろう、クールビューティーで無口な女囚役が彼女にぴったりだった。
 この『実録おんな鑑別所』の劇伴が、宇崎竜童(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)が初めて手掛けた映画音楽で、まだ「スモーキン・ブギ」でブレイクする前、ビアガーデンのステージをこなすなど鳴かず飛ばずだった頃の作品だが、公開時には「スモーキン・ブギ」がヒットしていたと思う。
 主題歌「煉獄のブルース」は宇崎竜童と梢ひとみが歌う絶品のブルーズ演歌。劇伴用のレコーディングしか存在しないために、2006年にHotwax*traxからCD化されるまで長い間幻の作品と言われていた。

 縁は異なもの、梢ひとみと宇崎竜童の関わりは翌年に再び結びつき、「明日から愛して」は生まれるべくして誕生したのであろう。
 この1976年は、6月山口百恵に「横須賀ストーリー」9月内藤やす子に「想い出ぼろぼろ」が提供され、ソングライターとして阿木燿子&宇崎竜童コンビが大きく飛躍した年だった。
  
 宇崎竜童作詞・作曲のB面「いつものように」は、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの初期の名曲「今日から他人」に呼応するロッカ・バラード。
 女の強がりと喪失感を歌う梢ひとみの乾いた声が沁みる逸品である。

 1977年、梢ひとみは突如引退。アメリカ人の彼を追いかけて海を渡ったと言われる。
 最期の作品は、2015年1月2日に亡くなった名シナリオライター白坂依志夫が書いた『赤い花弁が濡れる』(監督:西村昭五郎)。シャブを辞めようとする主人公林ゆたかにつきまとうエゴイストな令嬢を演じていた。

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★CD/日活ロマンポルノの世界★
★女教師 私生活★

『Meiko Kaji:Under The Sign Of Scorpion』の予告編

フランス人監督による梶芽衣子のドキュメンタリー映画『Meiko Kaji:Under The Sign Of Scorpion』の予告編

愛だよ、愛、芽衣子愛




「横浜ブギウギ娘」中原理恵


YOKOHAMA BOOGIE WOOGIE GIRL / MIDNIGHT PLAY TOWN TOKYO
中原理恵◆ 横浜ブギウギ娘/ミッドナイト・プレイタウン・東京 1981年

 1981年5月にリリースされた中原理恵10枚目のシングル。
 作詞:ちあき哲也、作曲:鈴木キサブロー。

 80年代に入って世界中でかつてのスウィング・ジャズがブームになったなか、タイトル通りブギ・ウギ・リズムが気分をスウィングさせてくれた快作。
 ゴージャスにダン池田とニューブリードのフル・ビッグバンドを従え、エモーショナル豊かな中原理恵のヴォーカルが〝ザッツ・エンターテインメント〟な楽しさで魅了させてくれる。
 ジャイヴに歌う中原理恵って最高に素晴らしい!
 
 B面「ミッドナイト・プレイタウン・東京」は作詞・作曲杉本真人。
 酒場の気っ風のいい女ぶりの中原理恵も最高である。
 この「ミッドナイト・プレイタウン・東京」はアルバムには収録されておらず、CD「PREMIUM BOX」が出るまではシングル盤でしか聴くことはできなかった。


「寒い国から来た女」中原理恵


中原理恵◆ 寒い国から来た女/やさしさの証明 1979年

 1979年11月にリリースされた中原理恵6枚目のシングル。
 A/B面とも作詞:松本隆、作曲:筒美京平。

 この歌のイメージにぴったりなジャケット写真は、全シングルのなかで一番好きなもの。
 中原理恵を当て書きした松本隆の詞は繊細な心理描写に揺れ、それに呼応する筒美京平のメロディのしなやかさ。中原理恵のシングルでは珍しい、バラードの世界に酔いしれるだろう。