TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「いそぎんちゃく」*弓削太郎監督作品

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監督:弓削太郎
脚本:石松愛弘
撮影:渡辺公夫
音楽:池野成
出演:渥美マリ、平泉征(現・平泉成)、高原駿雄、加藤嘉、大辻司郎、しめぎしがこ、中条静雄、牟田悌三

☆☆☆★ 1969年/大映/83分/BW

    ◇

 1969年8月に公開された渥美マリの第1回主演映画〝軟体動物シリーズ〈全6作〉〟の第1作。
 己の軀ひとつで、男を利用してのし上がっていく逞しい女のハードボイルドなサクセス・ストーリーは、魔性の女に絡み取られていく男の性がいかにも滑稽な姿で描かれてゆく。


 貧乏を嫌い山形の田舎から出てきた石田浜子(渥美マリ)は、川合クリーニング店に住み込みで働いているがお客への愛想がなく、女将からは小言をもらうが無視をするといった、どこか開き直った態度の19歳。
 ある日、銀座のホステスが持ち込んだ舶来のパンティがなくなるという騒ぎが起る。
 後日、婦人会の寄り合いで女将が留守の日、主人の健三(高原駿雄)とラーメンをすする浜子に「どこか遊びに行きなさい」と促されても「どこも行かない」と素っ気ない返事。浜子は自室でひとり、貯めた給金を数えるのが楽しいのだ。今日は、あのホステスのパンティを履きながら姿見に裸身を映している。
 その様子を2階の物干し場から見た健三は浜子を注意するが、何の悪びれる様子も見せないその態度と裸身の浜子を見ているうちに欲情し、浜子に抱きつくのだった。
 翌日の夜中、健三は大胆にも浜子の部屋で彼女を抱くが、その現場を妻に見られ大騒ぎになる。動じることのない浜子は、数日後、根負けした女将から手切れ金10万円をもらって店を辞めていく。

 次に浜子は割烹料理屋に勤める。店の常連のご隠居柏木(加藤嘉)に気に入られ、お妾さんとして新築アパートを与えられて面倒を見てもらうことになった。しかしある夜、柏木が脳溢血で倒れ死んでしまう。
 ご隠居の息子貞吉(大辻司郎)に言い寄られるも軽くあしらい、手切れ金200万と今住んでいるアパートをもらうが、浜子は高価なアパートや家財道具一切を売り払い安いアパートに引越し、仕事もピンク・サロンに変えた。

 ネグリジェ姿で男の酒の相手をする浜子は、TV担当宣伝マン岡崎(牟田悌三)を馴染み客にして、店のバンドマンのトランペッター室井(平泉征)と同棲生活を始めるが、室井の目的が浜子の金だったことを知ると、室井に復讐をしてやろうと目をギラつかせる。
 浜子は夜毎日ごと執拗に室井に迫り精力を搾り取り、枕話で以前老人が腹上死したことを室井に話すと、ついに彼は逃げ出していった。

 岡崎が浜子のためにマンションを購入。
 ある日、店に岡崎の女房(しめぎしがこ)が乗り込んで来て夫と別れなさいと迫るが、浜子は子どもが出来たと伝える。
 子どものいない岡崎は喜び、妻は実家に帰り離婚の手続きが進んでいると浜子に話すが、そんなこと知っちゃいないと無関心な浜子。子どものことは嘘で「わたし、ひとの亭主を横取りする気なんて全然ないわよ。売られたケンカを買っただけよ」と、ひとり呟くのだった。

 その後、岡崎が会社の金を横領していたことが上役に知れる。
 穴埋めのために金を貸して欲しいと懇願する岡崎を、冷たく拒絶する浜子。腹をたてた岡崎が果物ナイフを手に取るが、揉み合っているうちに浜子が岡崎の腹を刺してしまう。

 裁判では、法廷で浜子は金に執着するのは田舎で屑拾いをしながら極貧暮らしをする母親のためだと切々と述べ、結果、正当防衛が認められ無事釈放される。
 そして、事件をきっかけに銀座の一流クラブからスカウトされた浜子は、夜の銀座の街を颯爽と歩くのであった。

    ◇

 映画の前半、ほぼノーメイクで垢抜けない渥美マリの顔が、男を替えてゆくほどに都会的な美貌を輝かせながら妖艶になっていく様にはゾクゾクするだろう。
 モノクロ画面に映る女の変貌は、渥美マリのエロティックな顔に尽きるのである。

 街なかの学校に通学していた頃、通学路にダイニチ映給の映画館があり、関根恵子の『おさな妻』や八並映子の『高校生番長』とか、一連の渥美マリの作品など刺激的なポスターや立て看板を目にしていたが、一般映画とはいえさすがに学生にはそれらの作品を観ることは出来なかったが、渥美マリのフェロモンいっぱいの顔が脳裏に焼き付いたことは確か。
 正面から堂々と裸身を曝け出すのではなく、佇まいだけでエロスを漂わせる渥美マリは、その後足繁く通うことになる日活ロマン・ポルノや東映ピンキー映画の池玲子や杉本美樹らに見る挑発的肉体女優以上の存在感を残していってくれたのである。

 弓削太郎監督は渥美の拙い演技に対して極力台詞を抑えたのだろうが、かえってその無表情の様子が素晴らしく、以後の渥美マリの雛形となっている。
 魅力でもあるぽっちゃりした唇で食するシーンが幾度となく映されるのが象徴的で、ヒロインがラーメンをズズっとすする画はシリーズにおいて定番のように登場するし、本作では寿司や天麩羅など高価な食事を動物のように口に運ぶ様が、ヒロインの貧困への怒りに激っている。


★続・いそぎんちゃく★

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「マリア・グラフィティ+2」安西マリア


Maria Graffiti/安西マリア

 今年(2014年)の3月15日に急性心筋梗塞で亡くなった安西マリアのビクター時代唯一のアルバムが、Hotwax*traxから復刻された。
 LP『マリア・グラフティ』には3枚のシングルA/B面とオールディーズのカヴァーが納められていて、今回、アルバム未収録のシングル曲を加えたことで、ビクターに残した楽曲すべてを聴くことができるようになった。

 1973年に東芝レコードからエミー・ジャクソンのカヴァー『涙の太陽』でデビューした安西マリアは、新人賞同期のあべ静江や浅田美代子らのような清純派というジャンルより、同じ年に『絹の靴下』で再デビューした夏木マリと並んでセクシー路線を歩んだのも当然といえる美貌のアイドルだった。

 東芝時代から弘田三枝子やザ・ピーナッツなど、我がニッポンが誇る和製ポップスやオールディーズのカヴァー路線で実力を示していた安西マリアは、1976年にビクターに移籍しポップス歌謡を極める楽曲を残してくれていた。
 これまでCDリリースが東芝時代のものばかりで歯がゆかったので、今回のCD化は嬉しいかぎりである。

ビクター・イヤーズ・コンプリート・コレクション
01. 南十字星
02. サヨナラ・ハーバーライト
03. 想い出のサンセット
04. センチメンタル・グループ・サウンズ
05. やけっぱちロック
06. 海辺の誘惑
07. ダイアナ
08. カラーに口紅
09. 悲しき街角
10. オー・キャロル
11. マイ・ホーム・タウン
12. ベイビー・フェイス

Bonus Tr.
13. 恋のスイング
14. アイ・ウォント・アイ・ニード・アイ・ラブ・ユー


 響わたること杉本真人の作曲の「サヨナラ・ハーバーライト」は、何度も繰り返される〝今も今も今も今も~〟のフレーズが心地よく耳に残り、何度聴いても最高。
 「サヨナラ・ハーバーライト」のB面曲だった「海辺の誘惑」と「センチメンタル・グループ・サウンズ 」「やけっぱちロック」も響わたるの作曲作品で、どれもキャッチーなメロディが70年代の歌謡曲然とした彩りを咲かせており、特に、蓮っ葉な歌唱でフェロモンを放つ「やけっぱちロック」はやさぐれ歌謡の傑作。

 中山大三郎の作詞作曲の「南十字星」も、フェロモン発散の味わい深い作品。
 ボーナス・トラックには、ビクター最後の曲となった来生えつこ&たかお姉弟の「恋のスイング」と、荒木一郎作詞、アイ高野作曲のロッカバラッド「アイ・ウォント・アイ・ニード・アイ・ラブ・ユー」
 レコードではB面として収録されていたオールディーズのカヴァー曲群は、当時盛り上がっていたディスコ・ブームにあわせてのアレンジでもあり、彼女にピッタリのロックンロールだ。

 スタイル抜群でバタ臭い顔立ちは祖父(ドイツ人)ゆずりのクォーター美人だった安西マリアは、デビュー当時はモデル出身というふれこみだったが、実は銀座のクラブで働いていたとところをスカウトされたという逸話があるが、まさかその後、昭和の歌謡界の裏事情が暴露された空前のスキャンダル事件が起きようとは想像もできなかったのである。

 引退から再起するも、歌手安西マリアの再評価がされなかったのが惜しかった………。

「可愛い悪魔」渥美マリ



渥美マリ◆ 可愛い悪魔/真夜中のテラス 1970年

 大映映画『続・いそぎんちゃく』の挿入歌として使われた渥美マリのデビュー曲。
 映画にも登場した立木義浩のヌード・フォトを使用した、シングルレコードとして日本初のヌード・ジャケットとしても有名な逸品である。

 A/B面とも作詞:橋本淳、作曲:筒美京平なのだから、悪いはずがなかろう傑作。
 ただし、ジャケがジャケだからといってエロティックな歌を期待してはダメ。特に表題曲の「可愛い悪魔」は、渥美が映画で見せるようなセクシーな振る舞いとは違って、あどけなさを残す女の子の声音。これがこれで聴くものを魅了するのであって、音程が少し不安定などということは二の次でよろしい。

 B面「真夜中のテラス」は、イントロからしてフランシス・レイを思わせ、そしてモノローグ………
 〝とまどいながら 愛の世界に 身を投げたわたし
   あまりにも美しく あまりにももろい
    ひとときのよろこび
     それが愛のいのちなのかしら〟

 浅丘ルリ子の「愛の化石」が大ヒットしたあとだけに似た印象をもつが、渥美マリならではのクールな存在感をふりまいている。

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★続・いそぎんちゃく★

「続・いそぎんちゃく」*臼坂礼次郎監督作品

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監督:臼坂礼次郎
脚本:長谷川公之
撮影:上原明
フォト:立木義浩
音楽:八木正生
挿入歌:「可愛い悪魔」「真夜中のテラス」渥美マリ
出演:渥美マリ、有島一郎、田中邦衛、森川信、平泉征(現・平泉成)、八代順子、高原駿雄、しめぎしがこ、中条静雄、炎三四郎(現・速水亮)

☆☆☆ 1970年/大映/81分

    ◇

 大映映画末期の新人女優からひとり、群を抜いて輝いたのが渥美マリ。
 彼女の主役デビュー作品『いそぎんちゃく』(’69)が大ヒットし〝軟体動物シリーズ〈全6作〉〟が製作され、本作は1970年2月公開のシリーズ第2作目。
 ヒロインの名前は1作目と同じだが、ストーリーは別物である。
 この〝軟体動物シリーズ〟ひと言で云えば、肉体を武器に男を利用して逞しく生きてゆく女のサクセス・ストーリー。
 
 東北のある高校。幼いときに両親を亡くした石田浜子(渥美マリ)は、罪作りな美貌ゆえにPTA会長の横田(高原駿雄)に犯されそうになるも、彼女が誘惑をしたということで退学になる。親戚の家にも居づらくなり、東京に出て来ることに。
 汽車のなかで知り会ったガソリンスタンドの経営者のところで住み込みで働くことになった浜子は、その美貌がお客を呼び店の売上が倍増、すっかり人気者になる。
 同僚の芳枝(八代順子)は、金持ちのボンボンを釣るためには自分の身なりにもお金をかけなくてはダメだと云うが、浜子は周囲の男たちには目もくれない。実は彼女は、両親がだまし取られた土地を買い戻そうとお金を貯めことに一生懸命だった。
 休日に芳枝とスケート旅行した浜子は、真面目な大学生の正彦(炎三四郎)に出会いヴァージンを捧げる。彼氏が出来たふたりだったが、芳枝の彼(平泉征)はホテル経営の息子と称していたが金だけせびって姿を消し、浜子の方も正彦との仲は続かなかった。が、資産家の実家から無理強いに手切れ金を渡され、それを貯金にまわすのだった。

 スタンドの主人の垣内(森川信)が浜子の入浴を覗いたことでひと騒動が起こり、垣内の義弟で山師の大森(有島一郎)の世話で偽霊感少女に仕立てられ、ここでひと儲けする。
 その後、アルバイトのスナックで歌を歌っていると、姉崎(しめぎしがこ)と名乗る女性からレコード出さないかと誘われるが、レコード会社のディレクター滝沢(中条静雄)には相手にされない。その帰り、たまたま出会った新進気鋭のカメラマン高井(田中邦衛)からモデルにと誘われ、写真展が催され浜子の写真は大評判を得る。
 高井に恋心を持った浜子だったが、高井がゲイだと知り失望…スタジオからの帰り、かつての同僚の芳枝が堅実な結婚をし八百屋の嫁ながら幸福な姿を目の当たりし、浜子はさらに失意の底に堕ちていた。
 写真展の会場、偶然にも高校を退学になったきっかけの横田に再会。彼の落ちぶれように同情し身体を許すが、横田は浜子の有り金から預金通帳一切を持ち逃げしてしまう。
 絶望のなかアパートに帰ると姉崎と滝沢が待っており、写真展が評判だった浜子にレコードを出さないかと持ち掛けてきた。浜子は最後の夢に賭けることにした。そして、大成功するのだった……。

    ◇

 有名になってもボロアパートに住むヒロインに「男関係とかいろいろなことしたみたいね。それで有名になるんだから……そういう時代なのよ、いまは」と、近所の主婦たちに陰口を叩かれ映画は終わるのだが、1970年、確実に時代は新しい時を迎えた。
 それまでのアイドルの概念を変え裸とセックスの〝セクシー・アイドル〟を確立した画期的女優渥美マリは、この年8本の映画に出演し、そのうち〝軟体動物シリーズ〟が5本。シリーズの残りすべてが1970年に製作されたが、大映は倒産の道を進んだ。
 日活ロマンポルノが開始されるのは1971年11月である。

 1950年生まれの渥美マリは、両親ともに大映の俳優だったこともあり、高校2年生のときに大映の演技研究所第19期生になり、1968年に高校を中退し専属女優となり『ガメラシリーズ』で映画デビューしている。
 南美川洋子、八代順子、八並映子、水木正子らとともに、大映末期の新人女優としてハレンチ青春映画などで出演作を重ね、1969年『いそぎんちゃく』で主役を果たし和製ブリジット・バルドーと称されていた。当時としては日本人離れしたグラマーな肢体と、どこかあどけなさを残した表情が妖艶さを醸し出し、いまだにファンが多いのもうなづけること。

 本作では裸になるシーンはあるがバストを見せることはなく、後半のヌード撮影シーンなどで観客をドキドキさせる。劇中で使用される渥美マリの数々のヌード写真は、フリーフォトグラファーとなったばかりの立木義浩の作品。
 当時、平凡パンチで目にした有名なものばかりで、この映画から生まれたデビューシングルのジャケット写真もこの中から使われていて、グラビアとして渥美マリというセックス・シンボルが確立された1作といえるだろう。

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★いそぎんちゃく★


「ピンクパンサー2」* ブレイク・エドワーズ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1975-09_ピンクパンサー2
THE RETURN OF THE PINK PANTHER
監督:ブレイク・エドワーズ
脚本:フランク・ウォルドマン、トニー・アダムス
製作:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、クリストファー・プラマー、カトリーヌ・シェル、ハーバート・ロム

☆☆★ 1975年/イギリス/112分

 初見1975年。
 1963年の『ピンクの豹』に始まる〝ピンク・パンサー・シリーズ〟の3作目。
 前作『暗闇でドッキリ』('64)が『ピンクの豹』でサブ・キャラクターだったクルーゾー警部を主役にしたスピン・オフ作品で、主題曲もあの有名なテーマが使われていないために、本作が実質の続編となる。
 世界中で大ヒットした前2作だったが、ブレイク・エドワーズ監督とピーター・セラーズの関係が上手くいかなかったことで、シリーズとして再開するのに11年も必要だったようで、今回も興業的に大ヒット。このあと5作も作られるのだが、興味があったのはオープンング・アニメーションとヘンリー・マンシーニの音楽だけだったので、本編はあまり面白くなかった。ということで「3」以降は見ていない。 
 

「戦争のはらわた」* サム・ペキンパー

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1977_戦争のはらわた
CROSS OF IRON
監督:サム・ペキンパー
脚本:ジュリアス・エプシュタイン、ジェームス・ハミルトン、ウォルター・ケリー
音楽:アーネスト・ゴールド
出演:ジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル、ジェームズ・メイソン

☆☆☆ 1977年/イギリス・西ドイツ/133分

 初見1977年。
 血みどろ感を出した邦題と何ともツマらんデザインの前売券だが、映画はペキンパー監督が確立した超スローモーションを活用し、ヴァイオレンスの迫力と戦争の虚しさを映し出している。
 描かれるのがドイツとロシアとの戦いなのだが、ドイツ=ナチスではなく、むしろ主人公のドイツ軍曹ジェームズ・コバーンはヒトラー率いるナチスを嫌悪する存在で、まわりにもナチスは登場しない戦争映画なのである。

「ハワイアン・ドリーム」*川島透監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1987_07_ハワイアン・ドリーム
HAWAIIAN DREAM
監督:川島透
脚本:川島透
撮影:前田米造
音楽:加藤和彦、朝妻一郎
主題歌:竹内まりや「夢の続き」
出演:時任三郎、ジョニー大倉、桃井かおり、タムリン・トミタ

☆☆☆ 1987年/東宝/111分

 初見1987年8月。
 2015年11月19日に62歳の若さで他界したジョニー大倉。やんちゃなロッカーが、またひとり天国への階段を上ってしまった。
 ジョニー大倉出演映画は、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を獲った根岸吉太郎監督作品『遠雷』(’81)も良かったが、翌年の曽根中生監督作品『悪魔の部屋』(’82)が好きだ。
 麗しき中村れい子と、ほとんどふたりだけの密室芝居。2本ともギラついたエネルギーに付き動かされた演技だった。
 もう1本、池田敏春監督の『魔性の香り』(’85)の存在感も忘れ難い。石井隆ワールドとして、運命の女に翻弄される男を好演していたのだが、相手役にもっと恵まれていれば、作品ともども評価も高かったろうに……。

 さてこの『ハワイアン・ドリーム』は、『竜二』(’83)で監督でビューした川島透監督の3作目。故・金子正次の脚本で製作した前作『チ・ン・ピ・ラ』(’84)の続編的作品で、バブル期真っ只中ということもあり潤沢な製作費で豪華に製作されている。
 2作ともに弾けた演技を見せていたジョニー大倉だった……。
 竹内まりやの「夢の続き」が映画の切なさを上手く表していた。