TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

貴方を愛しつづけて〜GOV'T MULE


01. World Boss *
02. Since I've Been Loving You
03. Scared To Live *
04. Captured *
05. Game Face
06. Shape I'm In
07. Devil Likes It Slow
08. Broke Down On The Brazos
09. I'm A Ram
10. Thorazine Shuffle
11. Working Class Hero
12. Funny Little Tragedy *

 2013年7月27日、米コネチカット州のブリッジポートで行われた“Gathering of the Vibes Music Festival”から、GOV'T MULE[ガヴァメント・ミュール]の最新ライヴ映像12曲が公開された。

 9月にリリースされた最新アルバム『Shout!』からは4曲。ツェッペリンの「Since I've Been Loving You〜貴方を愛しつづけて」をはじめ、J・レノンの「Working Class Hero〜労働者階級の英雄」、アル・グリーンの「 I'm A Ram」などお馴染みのカヴァー曲を含んだ110分のフルステージだ。

スポンサーサイト

ハンブル・パイ〜フィルモアの全貌

humblepie_fillmore71.jpg
 スモール・フェイセズを去ったスティーヴ・マリオットが、ザ・ハードでスター・ギタリストだった18歳のピーター・フランプトン、スプーキー・トゥースのグレッグ・リドレー(b)、セッションマンをしていた17歳のジェリー・シャーリー(ds)らで結成したハンブル・パイの絶頂期が、バンド転機となった2度目のアメリカツアーであろう。
 1971年5月28日29日の2日間、6月27日に閉鎖を控えたニューヨークのライヴホール[フィルモア・イースト]で最高のライヴ・パフォーマンスが繰り広げられ、そのギグの模様を記録した通算5作目・A&Mでの3rdアルバム『Performance: Rockin' The Fillmore』は1971年の暮れにぼくらの耳に届いた。
 アルバムリリース時には既にピーター・フランプトンが脱退していたが、オーヴァーダブなしの正真正銘のライヴアルバム、これぞ名盤と言える代物だった。

humblepie_fillmore02.jpg
Humble Pie / Performance: Rockin' The Fillmore - The Complete Recordings

 そして今回、各日2公演ずつ行われた両日(計4公演)の音源をすべて収めた完全盤4枚組CDボックスが登場した。オリジナル盤収録の7曲に加え、完全未発表の1stステージなど15曲の未発表音源計22曲をボブ・ラドウィグがマスタリングした音質最高な逸品である。
 国内盤は11月27日発売予定だがSHM-CD仕様の高額商品となっている。日本語解説付とは云え、セットリストに大きな違いがあるものではないので安価な輸入盤で十分である。R&Bをベースにしたハードロック、臨場感を体感するにはフルヴォリュームで聴くべし。

    ◇


『Performance: Rockin' The Fillmore - The Complete Recordings』
[ SONG LIST ]
Disc 1 [ 05/28/71 Friday, First Show ]
1. Four Day Creep 4:36
2. I’m Ready 8:31
3. I Walk on Gilded Splinters 26:58
4. Hallelujah (I Love Her So) 6:27
5. I Don’t Need No Doctor 8:50
Totai playing time 55:24

Disc 2 [ 05/28/71 Friday, Second Show ]
1. Four Day Creep 4:27
2. I’m Ready 8:57
3. I Walk on Gilded Splinters 27:00
4. Hallelujah (I Love Her So) 5:43 
5. Rollin’ Stone 16:47 
6. ‘I Don’t Need No Doctor’ 9:13 
Totai playing time 72:09

Disc 3 [ 05/29/71 Saturday, First Show ]
1. Four Day Creep 3:54
2. I’m Ready 8:50
3. I Walk on Gilded Splinters 26:06
4. Hallelujah (I Love Her So) 5:59
5. Stone Cold Fever 6:05 
Totai playing time 50:56

Disc 4[ 05/29/71 Saturday, Second Show ]
1. Four Day Creep 3:47 
2. I’m Ready 9:00 
3. I Walk on Gilded Splinters 27:33 
4. Hallelujah (I Love Her So) 5:44
5. Rollin’ Stone 12:20
6. I Don’t Need No Doctor 7:33
Totai playing time 65:59
 オリジナル盤『Performance: Rockin' The Fillmore 』収録曲

pie_fillmore_night.jpg

 2日間のフィルモア・ギグはすべてソールドアウト。オープニングアクトのFanny(このグループは知らない)、ヘッドライナーにリー・マイケルズ(LA出身、70年代に活動していたロック・オルガニスト)を挟んで、1日2回約1時間づつのステージを繰り広げている。

 オリジナル盤『Performance: Rockin' The Fillmore 』は2日間に演奏された曲7タイトルからベストテイクを選びLP2枚組仕様でリリースされたが、演奏時間の関係で曲順がバラバラになっていた。こうしてステージ通りの進行で聴くことが出来るのが一番いい。

 オープニングは、スティーヴ・マリオットとピーター・フランプトンのドライブ感いっぱいのギターリフで始まる「Four Day Creep」。 
 初出28日の1stステージはブギなチューニングや待ちかねたオーディエンスの拍手が期待を煽るもので、この名ライヴの全貌をたぐる初っぱなにして、初めて耳にするような新鮮な感じで聴きはじめることができた。
 この曲は1920年代に活躍した女性ブルージ・シンガーのアイダ・コックスのカヴァーで、リドレー~フランプトンの順でヴォーカルが変わるお馴染みのパターンで豪快に聴かせてくれる。

 ヘヴィーブルース・バンドとして切れのいいフランプトンのギターソロに聴き惚れながら、つづいてマリオットのソウルフルに歌うMCとギターで「I’m Ready」がはじまる。ウィリー・ディクソンの曲にマリオットが詞を付けたもので、シャーリーの重いドラミングとマリオットの黒いヴォーカルが絡み合い、リドレーのヴォーカルへとリレーされる。

 3曲目は、オリジナルアルバムでは「Stone Cold Fever」がつづいたが実際のステージではDr.ジョンの「 I Walk on Gilded Splinters」が演奏される。(「Stone Cold Fever」は29日1stステージのラスト曲として1回だけ演奏された)
 各ステージ26~7分の大作である。フランプトンの流麗なギターとマリオットの卓越したハープに誘われ、重いブルーズの闇に堕ちていくような感覚は、聴けば聴くほどゾクゾクしてくる逸品。こんなにも熱いインプロヴィゼーションの応酬にどこも飽きるところがなく、リドレーとシャーリーのリズムセクションに支えられたバンドのグルーヴ感に酔うこと間違いなし。
 今回のリマスタリングでは全体に音のレベルが高く、この曲の導入部のギターにはその迫力が生々しく表れている。29日2ndステージではマリオットのギターからフィードバックが聴かれるのだが、この日の音を収録したオリジナル盤ではこのハウリング部分をカットしていたことが判明。マリオットのヴォーカルも従来より迫力が増して聴こえる、と云えば言い過ぎだろうか。

 4曲目は、リラックスした演奏が心地よいレイ・チャールズのカヴァー「Hallelujah (I Love Her So)」。フランプトン〜マリオット〜リドレーの順で歌われたあと、定番のラストソング「I Don’t Need No Doctor」(同じくレイ・チャールズのカヴァー)となるのだが、2ndステージでは両日ともにマディ・ウォーターズの「Rollin’ Stone」が挿まれる。この曲も長尺だが、スタジオ録音とは比べ物にならないほどディープに、見せ場いっぱいにヘヴィーブルーズを展開してくれる。この曲は後半、ブレイクしてブギのリズムに変わるところがいつ聴いてもカッコいい。
 オリジナル盤には28日の2ndステージの模様が収録されたが、後半部のはじめに「ピー」音が入っていた。歌詞カードを見ると「 Didn't mean a @@@@ to me but it sure meant a lot to her. 」となっている箇所だが、今回のリマスター盤では無修正のまま。
 しかし、マリオットが早口で捲し立てているので何を言っているのかは分からないままだ。新規のライナーノーツでは訳詞がされているか…?

 さて「一切編集なし」と言い伝えられてきたオリジナル盤だったが、上記にあげた未編集部分以外にもオーディエンスの歓声のほか、オリジナル盤との違いが「I Don’t Need No Doctor」にも聴かれる。曲の後半、マリオットのアドリブパートの後ろで聴かれるフランプトンのコーラス(キーが少し外れている)が、今回のリマスター盤では編集され消されている。
 どうでもいいようなことだが、聞き慣れた曲を流れで聴いていると「アレ?」と思うものであった。
 
 全22曲7タイトルのうちオリジナルは「Stone Cold Fever」の1曲のみで、いかにもブラック・ミュージック傾倒のマリオットの趣味のままのセットリストだが、このマリオットの方向性がフランプトン脱退の原因になるわけで……しかし、この時点ではまだまだフランプトンの流麗なギターもブルーズ色が強く、マリオットのギターとのバトルが聴きものとなるほど、ハードなロック魂に酔いしれることができる。
  “HUMBLE PIE” バンザイ!