TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ストロベリーナイト」#8:悪しき実

★悪しき実: part2 ~嗚咽~★

 岸谷清次(松田賢二)が私書箱に隠し持っていた写真に写っていた人物が、いずれも暴力団関係者であり既に射殺されていた事実が判明する。
 姫川玲子(竹内結子)は、アパートに残されていた13個の木片と考え合わせ、岸谷が殺し屋であったと直感する。早速、今泉係長(高嶋政宏)の帳場がたっている暴力団組長射殺事件のの捜査本部に加えて欲しいと願い出た。
 しかし日下警部補(遠藤憲一)からは、確信ではなく確証がなければだめだと一蹴されてしまった。

 姫川班は春川美津代(木村多江)の身柄の確保を最重要事項とし写真に写る温泉街に向った………。

    ◇

 美津代の独白で成り立っていた短編だったが、岸谷と美津代ふたりの背景と捜査過程をじっくり見せてくれた前編は感心したわけだが、やはり2週に分けることでの弊害が出てしまった感じだ。
 地道な捜査と、刑事達の努力で辿り着いたという経過が、今回、まったく見ることができない結果であり、2時間ドラマだったら巧くいっただろうに………。

 まぁ、今回の物語は木村多江ありきのドラマ化ってところだろうか。

 どうしても姫川の直感と先走りばかりが強調され、日下の言うところの「いつか取り返しのつかないことに」への危惧がインプットされる展開。
 「確信と確証は大きくちがう」と姫川にクギをさす日下の考えはまともな事なんだが、何せ姫川は日下を生理的に嫌悪してしまうので、そのあたりがヒヤヒャもの。
 日下が井岡に「どこが嫌われているのかわからん」とボヤくのも仕方ないことで、姫川のトラウマとなっている唯一殺したい男に日下が似ていたんだから、諦めるしかない。

 さて、姫川vs日下も面白いのだが、やはりガンテツが出てこないことにはしまらない。ガンテツのキャラの大きさを増々感じてしまったかな。

 いよいよ来週から長編「ソウルケイジ」に入る。たぶん3週くらいに分けるのかな。
 レギュラーキャラのフルメンバー揃い踏みで、日下が唯一敵と称するガンテツとの因縁も明かされることだろうから楽しみである。
 原作の最後には目頭が熱くなる展開が待っているので、最終章に相応しい人間ドラマになることを期待する。


原作:誉田哲也
脚本:林誠人
演出:石川淳一
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい、津川雅彦 /木村多江、松田賢二

2012年2月28日放送

★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

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セクシーに、ブルージーに、歌い語る「火男」根津甚八



火男/根津甚八

 引退が惜しまれた根津甚八の、1982年にリリースされた4枚目のアルバム「火男」が30年ぶりに初CD化、紙ジャケット仕様(幅広帯付き)で発売された。
 これは根津自身がプロデュースし、サウンドプロデュースと全曲アレンジをザ・ハプニングス・フォーのチト河内が務めた、南フランス録音の日本初のレゲエ・アルバムとしてつとに有名なアルバムだ。

 アルバム・ジャケット写真は立木義浩。プロヴァンス鉄道の小さな駅ホームに、にこやかに立つ根津甚八と、ダブルジャケットの中面は煙草を銜え寛ぐショットが納められている。初版LPには大型ポスターも付録されていたのだが、今回の紙ジャケ仕様に封入されていなかったのが残念。

01. TAXI-DRIVER (作詞:クニ河内/作曲:篠原信彦)
02. MACHINE (作詞/作曲:BORO)
03. 野良犬 part II (作詞/作曲:泉谷しげる)
04. 南回帰船 (作詞:門谷憲二/作曲:大野克夫)
05. 火男~HIOTOKO (作詞:チト河内/作曲:石間秀機)
06. 宵待ち (作詞/作曲:チト河内)
07. 上海帰りのリル (作詞:東条寿三郎/作曲:渡久地政信)
08. GINKA (作詞/作曲:BORO)
09. ACTRESS (作詞:クニ河内/作曲:石間秀機)
10. しゃんそん〈bonus track〉 (作詞:吉田いつか/作曲:上田正樹)


 “シンガー”根津甚八のレゲエ歌謡として希有なサウンドを奏でるバンドメンバーは、石間秀機(guitar)、篠原信彦(piano)、クマ原田(bass)、チト河内(drums)、リチャード・ベイリー(drums)といった凄い布陣。
 当時としては、レゲエ・サウンドだけでフルアルバムを作るなんて革新的だったと思える。
 ドラムとベースによるグルーヴ感と、オフビートで刻まれるギターのカッティングが何ともカッコいいし、ブルージーにそしてアンニュイに歌う根津の、台詞のような歌い廻しが心地いい。まぁ、たしかに巧い歌い手ではないけどね………でも、色気があるのだ、色気が。
 原田芳雄や萩原健一、松田優作とも違う、役者の語り唄とでもいうか………、肉体から滲み出てくる心に沁みるナイーヴな声が魅力だ。
 芝居のワンシーンを観ているような感覚になる「GINKA」は、BORO の世界観がサイコーだよ。

 1982年1月にレコーディングされて5月にリリースされた本作。
 これまで何度も書いているのだが、1982年の邦画界は異色の男たちがしのぎを削った年。幼児誘拐犯の萩原健一をはじめ、シャブ中の立て籠り犯泉谷しげる、連続レイプ犯の内田裕也、銀行強盗の宇崎竜童、女性監禁犯のジョニー大倉………日本映画が凄かった年。
 そんな中で“役者”根津甚八が『さらば愛しき大地』でキネマ旬報最優秀男優賞と日本アカデミー賞優秀主演男優賞を獲得したのは、まさに根津甚八の絶好調ぶりを見せつけた感があったわけだ。

 レコード店でこのレコードを見かけた日、買ったのは内田裕也の「さらば愛しき女よ~Farewell,My Loveky」の方だったけど………。
 
 アルバム「Le Pierrot」('79)と「ファースト・コンサート」('80)もCD化してくれないか………


★さらば愛しき大地★

「ストロベリーナイト」#7:悪しき実

★悪しき実: part1★

 在庁待機中の姫川玲子(竹内結子)に、暴力団組長射殺殺害事件の帳場にいる係長の今泉警部(高嶋政宏)から監察医の國奥(津川雅彦)のもとに行くよう連絡が入った。
 医務院に運び込まれた遺体は、首にロープが巻かれていて自殺のようにも見える状態だったが、國奥が不審に思ったのは、遺体の左右半分の死後硬直の解け方がそれぞれ違っていたことだった。他殺なのか、自殺なのか………
 菊田(西島秀俊)を伴い、村田一夫という遺体が発見されたアパートに向った姫川は、そこで奇妙な13個の木片と何かの鍵を見つける。

 葉山(小出恵介)からの連絡で、村田は偽名で、本名は岸谷清次(松田賢二)という暴力団の構成員だったことが判明。
 岸谷の死を連絡してきたのは女性との報告から、同棲していた女ではないかと考え、姫川たちは行方をくらませた女(木村多江)の捜査をはじめる………。

    ◇

 待ってました! の日下(遠藤憲一)の細かな地取り捜査と、姫川玲子への恋路パワー炸裂の井岡(生瀬勝久)を絡ませながら、直感で動く姫川が、事実をひとつひとつ積み上げて行く日下の捜査にイラだちながら、姫川のいうところの「手柄を取る」モチベーションに繋がる聞き込みに終始した前編。

 原作において事件は実に簡単なもので、13個の木片の謎と死後硬直の謎よりも、中年を過ぎた男と女の人生、やさぐれた者たちの切ない関係を描いたものだ。
 だから、まさか前後編に分けるとは思わなかったが、原作で足らなかった部分を「ソウルケイジ」の日下と井岡のエピソードでカバーした巧い構成で見せてくれた。

「デカの価値はなぁ、履き潰した靴の数で決まるんだ……………流行んねぇか?今時こんなの」

 “昔ながらのデカ”石倉(宇梶剛士)が湯田(丸山隆平)に刑事の心構えを語るが、説教臭くないところが人柄で、宇梶剛士が良い味わい。
 で、そんな地道な聞き込みと直感が朗報を掴ませてくれるわけだ。

 充血した眼光で、上司といえど間違いを指摘する日下守。
 前髪をぎゅっとかき分ける仕草の姫川玲子。 
 ともに好きだなぁ。

 木村多江の独壇場となるであろう物語の後編。
 地味な話ばかりの警察ドラマにしてサブタイトルに凝っているから、「悪しき実」の意味合いも感慨深い哀しい人間たちの姿にどんな反応がくるのやら……。


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原作:誉田哲也
脚本:林誠人
演出:石川淳一
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい、津川雅彦 /木村多江、松田賢二

2012年2月21日放送


★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

「ドラゴン・タトゥーの女」*デヴィッド・フィンチャー

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THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO
監督:デヴィッド・フィンチャー
原作:スティーグ・ラーソン
脚色:スティーヴン・ザイリアン
音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス
タイトル曲:「Immigrant Song~移民の歌」カレン・O with トレント・レズナー
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド、スティーヴン・バーコフ、ロビン・ライト、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、ジョエリー・リチャードソン

☆☆☆☆ 2011年/アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ/158分

    ◇

 原作は全世界でベストセラーを更新しているスウェーデンのミステリー小説、スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」3部作の第1部を完全映像化したもので、本国スウェーデンでは既に3部作全てが映画化(未見)されているが、本作は、特異な映像感覚で観る者を魅了するデヴィッド・フィンチャー監督が手掛けたハリウッド製ミステリーだ。

 凍てつくようなスウェーデンの冬。ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)のもとに奇妙な依頼がくる。依頼主はかつてスウェーデン経済界に君臨していた大富豪ヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)。依頼内容は、40年前に忽然と姿を消した一族の兄の孫娘ハリエット事件の真相を究明して欲しいというものだった。ヘンリックは一族の中の誰かに殺されたのではないかと思い込んでおり、ミカエルの好奇心は動く。

 セキュリティ会社の調査員をしている23歳のリスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)は天才的なハッカー。しかし彼女は、幼い頃から暴力に晒される人生を送り、精神異常の烙印をも押されていて後見人に管理されていた。
 権力や暴力を振るう男性を嫌悪し、深い憎しみを抱えているリスベットは、背中にドラゴンのタトゥーを入れ鼻と眉にピアスを付けたパンクな出で立ちで自分を包み、他人とのコンタクトを避けて生きている。

 ミカエルの調査は難航を極めるが、ハリエットが残した1枚のメモからハリエットの失踪は連続猟奇事件と関連していることを発見する。ミカエルは、情報収集能力に優れたリスベットを助手にして、40年前の陰惨な猟奇事件と向き合う………。

    ◇

 大画面で見るタイトル・シークエンスは、期待通りの映像美で見応えがあり、鳥肌ものだ。

 混乱、知性、パラフィリア、パラノイア、ヴァイオレンス、バイセクシャル、虐待、抑圧………、ヒロインであるリスベットの脳内イメージを粘着質の液体で絡みつかせ、トレント・レズナーとカレン・OがカヴァーしたLed Zeppelinの「Immigrant Song~移民の歌」が流される。久々に見るデヴィッド・フィンチャーのPVとしても最高の出来上がり。
 デヴィッド・フィンチャーの作家性が遺憾なく発揮されている。

 しかし、そんな箇所はこのシークエンスのみで、物語の作劇法としてはミステリーを重視した丹念な語り口でじっくりと見せてくれる。それは、横溝正史の「犬神家の一族」や「悪魔の手毬唄」「悪霊島」を連想したっていいだろう。ミステリーとしては新鮮味がないが、それはそれ。
 デヴィッド・フィンチャーだからといって『セブン』('95)のようなダークな世界観は薄い。しかし原作通りスウェーデンを舞台にしていることで、凍てつく森や大富豪の屋敷が色褪せた色彩で綺羅綺羅輝く様は、美しさを通り越し不気味な異形地を抱かせてくれる。素晴らしいカメラワークは映像派作家の面目躍如といったところだろう。

 スウェーデンという国の知識は少ない。王国であり、社会福祉国家で、その昔はフリーセックスの国と言われ、1971年に日本公開された『私は好奇心の強い女』('67)がポルノ映画のひとつとして目と耳に入ってきたのを覚えている。
 映画人としてはイングマール・ベルイマンとイングリッド・バーグマン、そしてグレタ・ガルボか。音楽はエレキ・ギターに夢中になったスプートニクスや、ヘビィメタルのイングヴェイ・マルムスティーンやハードロックバンド“ヨーロッパ”の日本人好みの哀愁に満ちたサウンドメロディは好きだ。
 そして、スウェーデン産のミステリーといえば「マルティン・ベック・シリーズ」。「87分署シリーズ」に並ぶ警察小説の古典で、幼児誘拐、麻薬犯罪、少年犯罪など、40数年前のスウェーデンの闇が描かれた社会派ミステリーは全10作ともに読み応えがあった。

 この原作「ミレニアム」3部作は、スウェーデン社会の暗部が背景になっている。
 それは、人種差別主義と国粋主義、ナチズムと反ユダヤ思想、そして、女性蔑視の差別と虐待といった、美しく輝く雪景色の裏側に潜むシリアスな暗黒。特に3部作ともに、女性への暴力が通底していることは問題だ。しかし、描かれる女性たちは孤独を抱えながら闘っているハードボイルドな姿である。
 
 地道に真相をあぶり出すふたり。原作者の分身でもあるミカエルが物語の恥部を曝け出すための道筋人ならば、精神を病んだ暴力的傾向のあるヒロインがこの作品のテーマを背負うもので、あらゆる不条理を体現しているこの少女こそ、こんな世界と闘うリスベットだからこそ、21世紀のニューヒロインとして賛辞されているのではないだろうか。

 事件解決後のリスベットのラヴシークエンスは原作通りのエンディングで、その切なさは心地よい着地点といえる。
 続編が決まったらしいので(デヴィッド・フィンチャーが監督するかは未定)、リスベットの壮絶な過去が明かされる第2部『火と戯れる女』が楽しみだ。


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「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯

★感染遊戯★

 ドラマも折り返し点に入った第6話は、もとはガンテツの事案だった「感染遊戯」を姫川版に変え、葉山のトラウマ克服噺を据えた軽い感じの回であった。

 姫川玲子(竹内結子)から事件発生の連絡を受けた菊田和男(西島秀俊)は、珍しく葉山則之(小出恵介)と飲んでいた。葉山は菊田に相談ごとがあるらしいのだが、優先されるのは仕事。結局、菊田は葉山の悩みを聞けずに現場へと急行する。

 現場では所轄の高野真弓(加藤あい)が玲子のパートナーとして挨拶している。真弓は葉山の警察学校での同期。殺されたのは製薬会社に勤める長塚淳(窪寺昭)。自宅玄関前でメッタ刺しとなった遺体から目を背ける葉山に気づく玲子と菊田。しかし、葉山は態度とは裏腹に、事件解決に向けての意気込みを口にする。

 姫川班は、東大卒のエリートで製薬会社に勤務していた長塚の身辺を捜査するのだが、犯行動機を持つような人物はなかなか現れない。その中でも、やはり一段とやる気をみなぎらせる葉山。だが、葉山の脳裏には中学生時代の恐ろしい出来事が去来していた。

 被害者の着衣のボタンから犯人らしき指紋が検出された。玲子は、その事実から犯人が長塚淳を狙ったのではないと推測。旧厚生省、厚労省を渡り歩き、退職後も天下りを繰り返していた父親の長塚利一(佐々木勝彦)に注目する。
 旧厚生省の薬事課長時代に薬害感染問題が発生し、危険を知りながら回収命令を出さなかった張本人と言われた長塚利一は裁判でも無罪となっていた。
 姫川班は薬害で死亡したと思われる3人と、感染症が発症したショックで自殺した女性大友麻由の関係者たちの捜査を始める………。

    ◇

 相変わらず姫川と菊田の微妙な関係は面白く、高野巡査長と菊田が話をしているところを見て、少し気になる姫川ってところが、可愛いではないか。

 「Unmask your laughing neighbors」というサイトを管理する男の正体は謎のままの今回、今後複雑に絡み合う事件の序章ということで、これはこれで良し。
 ただし、この長塚淳刺殺事件の犯人が原作と違うのには驚いた。
 最終回あたりに再度「感染遊戯」(もしくは「推定有罪」と題するかな)の解決篇をもってくると思われるが、如何なる脚色となるのか………。

 さて、今回はあの不快な男ガンテツが登場しなかったが、あんなに嫌な男なのに出てこないと淋しいものがある。武田鉄矢のスケベで嫌らしい姿は貴重だからねぇ。
 解決篇では存分に姫川とやり合って欲しい。

 加藤あいが扮した所轄の女刑事は、原作「手紙」から名前を頂いただけで別のキャラクターで、加藤あいがこれだけの出演なのか?と思うので、想像するに、原作の「感染遊戯」のいろいろな事件が絡み合う物語から、多分、葉山が主人公だった「沈黙怨嗟」の役目を果たすために再度登場するのではないか? そうして欲しい……。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:林誠人
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平 /加藤あい、佐々木勝彦

2012年2月14日放送


★Book Review「感染遊戯」誉田哲也★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

「移民の歌」で、ダークな世界にようこそ!



 デヴィッド・フィンチャー監督の最新作映画『ドラゴン・タトゥーの女』のタイトルバックに使われたツェッペリンの「Immigrant Song~移民の歌」

 カヴァーしているのは、トレント・レズナーとNYのロックバンド「ヤー・ヤー・ヤーズ」のフロントウーマン、カレンO

 これまで幾多とあるツェッペリンのカヴァー曲のなかで、この疾走感、最高にイカシてる

 ローリング・ストーンズの「Love is Strong」、マドンナの「Vogue」「Bad Girl」、エアロスミスの「Janie's Got a Gun」のビデオ・クリップは伝説ともいえる傑作!
 それを手掛けたデヴィッド・フィンチャーだけに、『ドラゴン・タトゥーの女』のダークな物語の導入映像として期待が膨らむ素晴らしさ

 映画館の音響で堪能してこよっと

「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義

★過ぎた正義: part2~選ばれた殺意★

 連作集『感染遊戯』の中にも登場する倉田修二が、時折回想することで明らかにされた息子の事案をドラマの後編に持ってきたわけで………。
 ドラマにしてみると倉田英樹が起こした事件捜査の雑さが丸見えなのだが、事件解決より倉田修二の心の闇に焦点を当てた物語なので、過ぎたる理念を持った男の悲劇として見れば、十分に深いドラマになっていた。

 高い正義感と価値観を求めるあまり、狭まった理想を息子にまで当て嵌めてしまう倉田が、親であるのか刑事であるのか、その狭間で揺れた哀しき男、杉本哲太の慟哭はガツンとくる。

 「早く楽になろうとなんて、しないでくださいね。あなたには、苦しんで苦しんで、カラカラになるまで苦しみ抜いてから死んでもらわないと、辻褄が合いませんから」

 打ち拉ぐ倉田に姫川が吐く言葉は恐ろしく残酷で、竹内結子の迫力ある顔がとても美しく魅とれてしまった。

 ラストでのガンテツと姫川の会話で、倉田が全ての殺人を自白したかのように聞こえるが、原作では倉田が3人のならず者を殺めた証拠は見つからず、結局、所轄が一度事故として処理した事案は覆されることなく、倉田修二は己の原罪と贖罪を抱えながら生きていくわけで、ドラマの曖昧さもいいけれど、小説では今後も、暗く重い十字架を背負ったキャラクターとして登場する予感を持たせているだけに、余分な台詞に聞こえたりもした。

 「親だって壊れる。親だから壊れる」
 
 姫川の心の根っこにある言葉として葉山に向けられた言葉だが、姫川と両親とのわだかまりが解かれる日がくるのだろうか……。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:旺季志ずか
演出:石川淳一
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平 、武田鉄矢/杉本哲太、石黒英雄

2012年2月7日放送


★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

  

「座頭市と用心棒」*岡本喜八監督作品

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監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八、吉田哲郎
原作:子母沢寛
製作:勝新太郎
撮影:宮川一夫
音楽:伊福部昭
出演:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、米倉斉加年、岸田森、神山繁、細川俊之、寺田農、草野大悟、常田富士男、砂塚秀夫、嵐寛寿郎、滝沢修

☆☆☆ 1970年/勝プロダクション・東宝/79分

    ◇

 「座頭市シリーズ」記念すべき20作目は銀幕の大スター三船敏郎と勝新太郎共演ということで「座頭市シリーズ」最大のヒット作となったのだが、これは番外編みたいなもん。
 勝プロダクションとして最初のシリーズで東宝配給もこの作品からで、東宝勢のなかに座頭市が迷い込んだ体裁ではあるが、勧善懲悪性を排し人間の業(ごう)を描いた岡本喜八流「座頭市」として、日本映画史上に残るハードボイルド時代劇とも言える、かな。

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 市(勝新太郎)が三年前に訪れた村は、川のせせらぎや梅の香りに包まれた平和な村だった。しかし市が再び訪れたその村は、飢饉が続き近隣から押し寄せる難民を追い払うために雇ったヤクザの小仏一家によってしっかり荒れ果てていた。
 村を束ねていた兵六(嵐寛寿郎)は落ちぶれ、村はずれで130体の地蔵を彫っていた。

 市の来訪を知った小仏の政五郎(米倉斉加年)は、一家の用心棒(三船敏郎)に百両で市を斬るよう頼み込むが、酒に酔ったまま市と対峙する用心棒はすぐに容易に斬れる相手ではないと悟ると、市を酒に誘いお互いを「バケモノ」「ケダモノ」と呼び合い意気投合するのだった。

 二人の入った居酒屋には、市がかつて手を引いてもらった優しい女性・梅乃(若尾文子)がいた。喜ぶ市に対し梅乃は覚えていないと冷たい態度を取るのは、借金のために身体を売るようになっていたからだ。そんな梅乃は、用心棒のことを憎からず思っていた。

 用心棒と梅乃と別れた市は、自分の凶状のため捕吏(草野大悟)に捕まり牢に入る。本来なら打ち首の市だったが、生糸問屋・烏帽子屋の口利きで番屋から出してもらった。烏帽子屋の主人・弥助(滝沢修)は小仏の政五郎の実の父であるが親子は対立していた。 また政五郎は父・烏帽子屋が隠している金塊を狙い、用心棒をなにかと頼りにしている。それを知る烏帽子屋は市を手許に置いて身を守ろうとしていたのだ。
 どうやら隠されている金塊は、烏帽子屋とその次男・三右衛門(細川俊之)が八州見廻り役・脇屋(神山繁)とも共謀し、着服した御用金らしい。
 そして江戸にいる三右衛門は父を心配し、九頭竜(岸田森)という名の殺し屋を送り込んできた。

 小仏一家の用心棒と烏帽子屋の九頭竜。曰くありげな二人をそれぞれ抱え、双方出入りの準備を始めた頃、二人の素性を知った市も独自に動き始める……。

    ◇

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 若尾文子に大映色の華を残し、滝沢修、嵐寛寿郎と老練な柱を両に置き、米倉斉加年、岸田森、細川俊之、寺田農、草野大悟、常田富士男と個性の強い俳優陣を絡ませる。
 そして、ど真ん中に三船敏郎がゴロンと寝そべっていて、勝新がこの俳優陣の間をころころ(と言うに相応しいくらい太めなんだな)動き回るわけで………。

 三船プロと勝プロの代理戦争ってことで、どちらにも軍配を上げることができないのでは、用心棒と座頭市の勝負は端から判っていること。
 二大キャラクターを楽しめばよい作品である。何しろ岡本喜八作品なのだから。

 その岡本喜八作品の常連的俳優の巧さ。砂塚秀夫も見せ場があるし、特に、番傘を差し青っ白い顔でヌゥ~と現れ、静かに歩き去る岸田森がクールで、相変わらずカッコいい。
 主役のふたりがコミカルな面を見せるのに対してどこまで凄腕。最期のオーヴァーアクトも岸田森らしい見せ場のひとつ。懐に短銃を忍ばせるところは「用心棒」の仲代達矢へのリスペクトだろう。

「感染遊戯」誉田哲也



 “姫川玲子シリーズ”のスピンオフ的作品で、ガンテツこと勝俣警部補をメインに、姫川班で若手だった葉山規之、「過ぎた正義」の元警部補倉田修二ら3人の様々な事案が描かれる連作集。
 武田鉄矢、小出恵介、杉本哲太を念頭にすらすらとテレビ放映前に読了。
 

感染遊戯/インフェクションゲイム
 世田谷署に詰めている姫川玲子に天敵ガンテツが語る、15年前の製薬会社サラリーマン殺害事件。
 殺された長塚敦の父親・利一は元厚生省薬事局長で、薬害感染症を引き起こした非加熱製剤を流通し続けた張本人だった………。

連鎖誘導/チェイントラップ
 8年前の息子の殺人で警察を追われた倉田修二が、退職直前に関わった男女の殺傷事件。
 被害女性の野中沙江子は死亡、重症の松井武弘はノンキャリアの外務省経済局員だった。倉田の捜査線上にある男の名前が浮かんできたとき、捜査二課から捜査の制止がかかる………。

沈黙怨嗟サイレントマーダー
 姫川班解散(「インビジブルレイン」)から2年半。世田谷管内の所轄勤務になった葉山規之は、昇進試験に合格し巡査部長になっていた。
 囲碁仲間の老人同士の些細な傷害事件は、殴られた谷川正継が元厚生省官僚だったことから思わぬ事案が浮き上がり、葉山は罪を問えない罪と向かい合うことになる……。

推定有罪/プロバブリィギルティ
 15年前の殺人事件と8年前の殺人事件、そして元厚生省官僚の殴打事件と、先の3つの短編に描かれた事案の全てが繋がり、大きな事件となって不気味な暗部が明らかになる。
 ガンテツと葉山と倉田が絡み、そして、少しだけ姫川が登場する最終章。断然面白い!


 ガンテツの下品さと悪党ぶりはシリーズ本編を越える無法状態だが、葉山や倉田との絡みが、利用出来るものはなんでも利用するウラがあったとしても、ひとつ確かなことは、相手を認めていること。葉山を一課に引き上げようとするガンテツの思いも捨て難い。
 だから、徐々にとガンテツを理解できるようになってくる。そばにいるだけで嫌悪な男だけど、上司はもとより上層部を恐れないハードボイルドさだからこそ応援したくなってしまう不思議なキャラクターだ。
 倉田修二も特異な存在として今後の登場が楽しみ。

 そして、事件の結末に慄然としながら、最後のガンテツと姫川との会話に新作への期待が膨らむ。 
 
感染遊戯/誉田哲也
【光文社】
定価 1,680円

「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義

★過ぎた正義: part1★

 姫川玲子(竹内結子)は在庁勤務時、少年刑務所をたびたび訪れていた。収監されている倉田英樹と面会することと、彼の父親倉田修二(杉本哲太)に会うことを目的にしていた。
 10回目かの訪問時、倉田と遭遇する………。

 その3か月前。葉山巡査長が姫川班に配属になった日、玲子は監察医の國奥から一通の手紙とファイルを受け取る。ファイルには連続した2件の不審死が報告され、國奥は事件性を疑っていた。
 1人目は女子高校生を監禁殺害して捕まったが心神喪失で無罪となった男で、交通事故で死亡。
 2人目は女子児童暴行殺人で捕まり2年で出所した男。こちらは薬物中毒での死亡が報告されている。
 気なった姫川は死亡した男たちの周辺を調べ始めるが、そんな中、女子中学生を監禁殺害し2年で出所してきた男が転落死した。
 3人の共通点としてたったひとつ見つけたことは、3人を逮捕した刑事の名前が倉田修二ということだった。

    ◇

 法では裁ききれなかった犯罪者たちと、元刑事の倉田修二の過去との因縁。
 事件の真相を姫川の推理だけで語る物語は、終盤の姫川と倉田の対決が見どころだが、対峙しているところに今泉係長(高嶋政宏)から臨場要請の電話がかかり、倉田は「じゃあな」と口の動きだけを姫川に残し去って行く印象的なラストシーン。原作どおりここで終わってもいいのにと思えるくらい、杉本哲太が格好良かったぞ。

 姫川が少年刑務所を訪れる何回かのなかに、下坂美樹との対峙で傷めた右手が映されたことで、ドラマは時系列を尊重して進行するようだが、今週は葉山巡査長(小出恵介)が姫川班に移動してきた3ヶ月前に話を戻して始まる。
 前回、クローンカードの密売人とコンタクトしたことで姫川から誉められ頬を緩ませた葉山だったが、やはり最初は主任が女性だったことに戸惑ったわけで、ぎこちない葉山の姿が見られる。

 「こんな危ない現場に守らなくちゃいけない女性がいるなんて、おかしいでしょ」
 「正しいことが、あまりに通らない世の中だから………警察官は、それが出来ると信じているから」
 葉山の正義が、彼のトラウマからきていることが提示される。

 その新人葉山の態度に姫川が腹を立てるところで
 姫川「ありえないでしょ、巡査長が警部補の言うこと聞かないなんて」
 菊田「イライラしているとお肌に悪いですよ」
 姫川「お肌?」
 菊田「……」
 姫川「お肌って云った?」「お肌?」「お肌?」

 姫川が菊田(西島秀俊)には何でも言えてしまう信頼関係が見えるシーンで、笑いを提供する井岡(生瀬勝久)がいない今回のくすぐり場面はココ。
 姫川の可愛げのある意地悪さと菊田の純情はいい具合なんだけどなぁ、姫川が菊田の気持ちを分かってないんだから……歯がゆいふたりのシーン(井岡も混じり三人になるが)は毎週楽しみだ。
 
 そして今回のガンテツ(武田鉄矢)と姫川の見せ場(?)は、ガンテツが姫川に頭を下げさせる仕草。慇懃無礼がごく当たり前の中年刑事ガンテツの捨て台詞が、毎回楽しみになってくるのもマゾヒスティックな感じだな。

 次週後編は、『感染遊戯』に納めらた倉田修二の前日談(「連鎖誘導/チェイントラップ」)と後日談(「推定有罪/プロバブリィギルティ」)をまとめるのだろう。
 人が人を殺す理由に正義なんて関係ない。ただ「選択」の問題だという倉田に、姫川が投げるかける言葉が凄いと思う。

 [蛇足]今泉係長からかかってきた臨場要請の事案が、今後の事件(「悪しき実」)に関わりあると面白いのだが………。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:旺季志ずか
演出:石川淳一
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平 、武田鉄矢/杉本哲太、石黒英雄

2012年1月31日放送


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