TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

キャスティングに惹かれ、はずれもあるドラマ雑感

◆NHK土曜ドラマ『キルトの家』前編「はじめての人たち」

 「東京に逃れてきた若夫婦と、団地に取り残された老人たちが結ぶ不思議な絆。自立して生きようと気張る老人たちの想いが、不安に揺れる若者の生きる道を照らしだす………」

 渡辺謙さんちの杏ちゃんと三浦百恵ちゃんちの貴大くんの若者ふたりが楽しみだったのと、なによりふたりを取り巻くキャスティングが魅力だろう。

 すっかり怪しい老人ぶりが板についた山崎努に、いまだマドンナヴェルディと見紛う体躯の松坂慶子の大らかさ。
 小唄を唄う佐々木よし江の艶っぽさに、ひさしぶりに拝見した緑魔子は可愛く年を重ねていて、かつてのムードも伊達ではない不思議な存在感。
 「仁義なき戦い」の組長を演じていた織本順吉が、「12人の優しい日本人」の陪審員3号だった上田耕一に「あんた、暴力団だったかい?」なんて洒落っ気がある問いかけ……このシーンのふたりのコンビネーションは爆笑。
 今にもブルーズを歌い出しそうな根岸季衣のスナックママも気っ風良さそうでハマってる。
 余貴美子扮する自治会副会長はありがちではあるが良識派で聡明な普通人。
 「死は怖わない。弱いひとでも人の助けは要らん思うてるひと、おるんよ」正司歌江の台詞が残るなぁ。

 杏ちゃんがベラに見えたり、三浦貴大くんがポストイット男(「流星の絆」)桐谷健太に見えたり?

 オリジナルドラマが少なくなった現状で山田太一のドラマは稀少ではあるけれど、昔から少し苦手だった山田太一ドラマ、少しは楽しめた。
  でも………、話し言葉の台詞と言い回しは面白いのだが、いかにも作り過ぎた感が気になってしまうな。


脚本:山田太一
演出:本木一博
出演:山崎努、松坂慶子、杏、三浦貴大、佐々木すみ江、織本順吉、正司歌江、北村総一朗、根岸季衣、上田耕一、品川徹、緑魔子、余貴美子

2012年1月28日放送


◆WOWOWドラマ『ストレンジャ-6』

 「初の日本・中国・韓国共同製作のサスペンス・アクションドラマ! 巨大災害による危機を前に、3ケ国の男女6人が結成した極秘チーム“ストレンジャー6”がアジアの危機を救う」

 『24』のようなものを期待した訳ではないけれど、唐沢寿明と北村一輝出演のサスペンスということである程度の面白さを求めたのだが、いやはや、ものの見事に期待を裏切られた。

 初回だというのに何の緊張感もない。サスペンスもない。アクションは、唐沢寿明に多くを望むのは無理を承知。カット割を積み重ねた細切れアクションでは、醒めていくのは当たり前。

 原作・脚本・監督の飯田譲治は、かつて『沙粧妙子~最後の事件』とか『ギフト』といった傑作ドラマの脚本を書いた御仁。それもあっての期待もあったんだけどね、
 北村一輝登場の前に、リタイアである。

原作・脚本・監督:飯田譲治
音楽:布袋寅泰
出演:唐沢寿明、オ・ジホ、ボウイ・ラム、黄川田将也、キム・ヒョジン、リウ・シュエン、北村一輝

2012年1月27日 第1話放送(全15話)



◆フジ月9『ラッキーセブン』
 久しぶりに見た月9ドラマ。初回、どこか英国TVドラマ「華麗なるペテン師」の雰囲気のオープニングと、ガイ・リッチーの映画を見ているような瑛太と松本潤のスローモーション・アクションのクライマックスで快調な出だしと思いきや、2話からは普通のドラマになってしまい拍子抜け。
 瑛太の飄々として軽さと、松嶋菜々子のナゾがあれば今後も見ていくかな。

◆ テレ朝木9『聖なる怪物たち』
 第1話、不穏なオープニングと中谷美紀の無表情の存在感を満喫。
 そして2話、ますますの中谷美紀の不気味さに惹かれ、今後の重~い展開が待ち遠しい。

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「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない

★右では殴らない: part2★

 「今週のヒメ!」って謳いたいほど竹内結子の睨みが一段と冴え、迫力も増した玲子さんには井岡(生瀬勝久)や菊田(西島秀俊)でなくても「素敵!」って呟きたくなるんだな……。

 原作は、事件の詳細よりもあの取り調べ室での下坂美樹への姫川のサディストぶりを楽しむものだったが、ドラマは捜査の過程とそれぞれの刑事たちの無念、怒り、苦悩が描かれ、原作のテイストも難なくクリアした見応えあるドラマになっていた。

 原作を踏まえての刑事ひとり一人のキャラもきちんと映しとられているので、原作に登場しない刑事たち(島班長や朝倉巡査長など)の行動にも目が離せなかった。

 ガンテツ(武田鉄矢)に噛み付く橋爪警視(渡辺いっけい)も見直したぜ。その彼が、姫川の行き過ぎともいえる取り調べに対して「始末書!やり過ぎだよ」と捨て台詞を吐くのも、労いの裏返しかな。いっけいさん、いい味出してる。

 味と云えば、悪徳刑事みたいなもんのガンテツの勇み足もまた、人間らしい。
 姫川に「バカヤロウだな、お前」と言い残すのも彼女を認めている姿かもしれないし、殉職した浅倉宅を去る武田鉄矢の後ろ姿は哀切だ。

 コメディリリーフの井岡の存在感も、菊田とのやりとりが今回は満開。
 玲子しゃ~んから「井岡、ファインプレー」と云われたときの彼の表情、やっぱ生瀬さんしか井岡役はなかったね。

 来週は杉本哲太扮する倉田元刑事登場の『過ぎた正義』。
 これも前後編にするかな。映像が浮かぶラストシーンが好きなエピソードだが、結末のなかったあたりをどう見せてくれるのかが楽しみである。
 

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:黒岩勉
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、渡辺いっけい、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平 、生瀬勝久、武田鉄矢/小木茂光、大政絢

2012年1月24日放送


★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

遂に「不連続殺人事件」DVD化

 不遇の傑作ここにあり………

 遂に、ついに『不連続殺人事件』の初パッケージ化である! 

 3月14日に発売されるDVD、amazonでは27%OFF………

 昨年夏の曽根中生氏健在ぶりからして、未DVD化作品の発売が遠からず実現するだろうと思っていたが、嗚呼、やっとデジタルリマスターされた綺麗な画像を、ワイドスコープで再見することができるのか……
 感無量………過去に深夜放送されたTVサイズヴァージョンよ、サヨナラ


 今年早々には『らしゃめんお万/彼岸花は散った』が初パッケージ化でリリースされたばかりで、ほかに『嗚呼!!花の応援団』シリーズも出る模様(これは苦手な作品なので手は出さない)。

 今後は、中村れい子&ジョニー大倉主演『悪魔の部屋』や、荒木一郎原作/潤ますみ主演の『現代娼婦考 制服の下のうずき』のDVD化もお願いね、NIKKATSUさん!


★不連続殺人事件★

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「ストロベリーナイト」# 2:右では殴らない

★右では殴らない: part1★

 劇症肝炎による遺体が3体発見される。ただの病死と思われた彼らの体内からは、微量な違法薬物が見つかったことから連続殺人と見立てられ、警視庁に帳場が設けられた。
 捜査は三係の島班と姫川班の合同捜査。各所轄の生活安全課なども加わり、亀有西署からは井岡巡査長(生瀬勝久)がやってくる。

 通称「ゼブラ」と呼ばれる違法ドラッグを巡っては、勝俣班もチンケな暴力団員殺害事件を端にガンテツが嗅ぎ回ることになる。

 3人の被害者に共通するオンラインゲームの会員登録から政府ブレーンを勤める大物医師が浮かび、任意同行を求めるが………。

    ◇

 原作部分を後編にあてがい、そこに至るまでの捜査に費やした今回は、同じ組織内での手柄の取り合いから相手班をどう出し抜くかとか、ガンテツのネチネチした嫌らしさを思いっきり悪辣さで見せつける武田鉄矢の登場で重厚感が加わった。

 2回に分けた来週は、原作とドラマでは“ゼブラ”の出所が違うので事件の顛末は別の解決方法に導かれるのだろうが、短編だからこその面白いエピソードは犯人探しよりも取調室での姫川のやりとりが肝なだけに、竹内結子の啖呵が楽しみだ。
 大人げないとはいえ、相手がたじろぐまで徹底した偏執狂的姫川の倫理観と社会性の認識に溜飲を下げ、タイトルのネーミングの面白さにニヤリとしよう。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:黒岩勉
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、渡辺いっけい、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平 、生瀬勝久、津川雅彦、武田鉄矢

2012年1月17日放送


★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

「インビジブルレイン」誉田哲也



 “姫川玲子シリーズ”の長編3作目にあたる本作は、姫川班チームらお馴染みの登場人物が活躍する警察小説というよりも、姫川個人に焦点を合わせ、玲子の“オンナ”としての切ない恋物語と“オトコ”が属するやくざ組織の跡目争いを、“謎の男”の暗い過去と絡ませ、この三者の視点を交差させながら進行する犯罪小説となっている。


 姫川玲子が新しく捜査本部に加わることになったのは、ひとりのチンピラの惨殺事件。
 東中野にあるマンション一室にて男の惨殺死体が発見された。被害者は指定暴力団の下部組織構成員・小林充29歳。
 組同士の抗争が疑われたが、決定的な証拠が出ず、捜査は膠着状態になる。
そんななか、石倉巡査部長が謎の女性から「小林殺しは柳井健斗」とタレ込み電話を受ける。
 9年前に起こった事件の被害女性・柳井千恵の弟が柳井健斗。事件の重要参考人だった父親の柳井篤司は、警察署内で警官から拳銃を奪って自殺。最終的に検察と警察が選んだのは、被疑者死亡により不起訴という幕引きだった。
 この事件では、当時の刑事部長を始め捜査責任者は全員更迭され、拳銃を奪われた巡査部長は勤務中に交番で首吊り自殺をしていた。そして、今回殺された小林充は千恵の元恋人だった。

 そして玲子たちは、上司である今泉警部から捜査線上に「柳井健斗」の名前が浮かんでも「決して追及してはならない」と指示を受ける。
 納得のいかない姫川は単独捜査をはじめ、その過程でマキタという男と出会う………。 

    ◇

 長編としての前作『ソウルケイジ』が姫川班とライバルの日下班との捜査の対比を軸に真相に近づいていったのに対し、本作はレギュラー陣の登場も少なく、姫川の単独捜査も地味な展開。なのに緊張感をもって読んでいけたのは、玲子の“危ない女”っぷりに一層惚れてしまえたからかもしれない。 
 警察上層部からの圧力、悪辣なキャリアの保身事に翻弄される姫川が、ある一線を踏み越える展開は面白く、シリーズとして異色な展開には驚愕する。


 ◆以下、一部ネタバレがあります。







 主題は姫川玲子の“禁断の恋”。 それも、指定暴力団に属する男が相手だ。
 悪を徹底に憎んで警察内部でのし上がってきた姫川が、たとえ昔気質の任侠道の男とはいえ犯罪者に惚れてしまう唐突さは免れられないが、玲子の心の揺れ動きなど心象描写はいつになくオンナっぽく、脳内キャストで竹内結子を思い浮かべれば次第に応援したくなるのも道理。因みに、相手のオトコは佐藤浩市をイメージした。

 もうひとりの主人公「柳井健斗」の悲劇的な生き様と背徳の極みも作品のトーンを暗く重いものにしており、不条理という見えない雨〈インビジブル レイン〉が心に降り注ぐ3人の行方が切ない。

 そして、まさかの姫川班解散という結末。
 但し、姫川玲子のタフネスさを感じさせるエンディングに、ここはとりあえず〈シリーズ1〉の終わりということだろう。
 小説としてはこの後、ガンテツや葉山巡査長、元刑事の倉田(「過ぎた正義」に登場)などを主人公にしたスピンオフ小説「感染遊戯」が刊行されたわけで、〈シリーズ2〉登場へのインターバルとなっている。


インビジブル レイン/誉田哲也
【光文社】
定価 1,700円(税別)

「ひまわり」*ヴィットリオ・デ・シーカ

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I GIRASOLI
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本:チェザーレ・ザヴァッティーニ、トニーノ・グエッラ、ゲオリギ・ムディバニ
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリーエフ、アンナ・カレナ

☆☆☆☆ 1970年/イタリア/107分

    ◇

 40年ぶりにデジタルリマスターされて劇場公開された本作。《すべての日本人が涙した 映画史上 最もせつない愛の物語》と惹句が踊る、イタリア映画の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の戦争を背景にしたメロドラマで、鉄のカーテンと云われた東西冷戦下の時代、外国のカメラが初めて社会主義国家ソビエト連邦でロケーションしたことでも知られる、究極の恋愛映画であり、究極の反戦映画だ。

 第二次世界大戦下、ナポリで結婚したジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は幸せな日々も束の間、アントニオが酷寒のソ連戦線へ送られる。
 数年後、戦争が終わってもアントニオは帰ってこなかった。
 夫を捜すためにウクライナに出向いたジョバンナが広大なひまわり畑の果てで発見したのは、美しいロシア娘(リュドミラ・サベリーエフ)と結婚し、子供と共に幸せに暮らすアントニオの姿だった。
 絶望と涙の帰路につくジョバンナ。数年後、結婚をしてミラノに住むジョバンナの前に今度はアントニオが現れる……。

    ◇

 確か初公開時は英語ヴァージョン(タイトル「sunflower」)だったと思う。当時はソフィア・ローレンやマルチェロ・マストロヤンニが英語を喋ること(吹替え)に何の違和感もなかったが、こうして初めてイタリア語版を観てみると一層感動が違って伝わってくるものだ。

 アントニオが出征するまでの日々は、ローレン&マストロヤンニ名コンビの「昨日・今日・明日」のような喜劇調で進み、終戦を迎えてからは重苦しい空気で悲劇的な愛が語られていくが、画面にあふれる美しさは、恋人や夫婦、家族の愛の形を普遍のものとし、オープニングから流れるヘンリー・マンシーニによる哀切のメロディが一層の気品を讃えている。
 そして、時代に翻弄される男女を、何度も違った駅舎と列車の風景で語っていくところが、『終着駅』('54)同様に素晴らしいシーンになっている。

 ジョバンナがソ連を訪ね、モスクワからウクライナに移動する汽車の窓から見える一面の向日葵畑の美しさは、その後映し出される無数の十字架の丘との対比で際立つカメラワークだ。
 その地平線の彼方まで咲き誇る向日葵の美しさの下には、戦場の屍となったロシア兵とイタリア兵、ロシアの農民らが埋められているという現実がある。

 美しさとは逆に、アントニオがロシア娘と暮らす村の風景には、大きな原子力発電所がそびえ立っている現実。当時のロシアの発展を象徴する建物だが、今日では戦争の悲劇とは別の悲劇の象徴となってぼくらの目の前に提示されているのだった。

[追記]
 マイミクの友人から、あの小さな村の風景に映る冷却塔は原子力ではないとの指摘を受けました。
 たしかに、冷却塔=原子力だというにはあまりに稚拙。

 初見時はまったく気にならなかった風景が、今回、311から知らぬうちに敏感になっているのだろうか、ソ連の発展を西側諸国にアピールするためにソ連国内ロケが許可されたことから、高度成長のシンボルのひとつとして原子力発電所が映されたものと思ってしまいました。
 訂正をしておきます。





「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー

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原作:誉田哲也
脚本:龍居由佳里
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、渡辺いっけい、高嶋政宏、遠藤憲一、手塚理美、小出恵介、丸山隆平、大和田獏、滝藤賢一 / 桐谷健太、国仲涼子 / 生瀬勝久、津川雅彦、武田鉄矢

第1回放送:2012年1月10日 フジテレビ

    ◇

 スペシャルドラマの映像を回想にして始まった“姫川玲子シリーズ”。
 姫川自身のトラウマと殉職した大塚巡査(桐谷健太)のエピソードを核にするために、再度「レジェンド」の映像を挿入するクドさを感じはしたが、まぁ、連ドラ単独としてはその辺りの説明も必要か。

 ニュース映像のドヤ顔で登場する遠藤憲一と、相変わらず女の警察官を見下す渡辺いっけいの存在感を見せつけておいて姫川班の1日がはじまるワクワク展開は、原作の犯人像を大きくアレンジするドラマとなっていた。

 原作は犯人の視点から描かれていて、密かに想う女子高生と駅員との切ない物語を柱に、自ら右手を失う事故被害者の立場として“シンメトリー”にこだわる哀しき犯罪者を描いていた。
 しかし確かに、転覆電車から女子高生を助けようとした勇敢な駅員も、裏を返せば甚大な被害を起こすきっかけを作ったという加害者の立場だという、原作には描かれなかったこの点をドラマは突いてきたわけだ。
 二つ目の殺人の状況や隠れ家となるネットカフェのブースの様子により、視覚だからこその“シンメトリー”が強調され、犯人を強烈な偏執狂として提示している。
 原作の元駅員の徳山を「被害の会」に参加しない多田という男と分身させることで、原作のテイストはある程度感じることはできるから、殺人への動機づけなどドラマとしてのインパクトあるアレンジはOKと感じた。
 短編を映像化する場合、原作に書かれていない人物造形をドラマ用に変質させることはあってもいいし、今作は巧くアレンジしていたと思うが、どうだろう。

 茶目っ気ある姫川の言葉に犯人が和む終わり方をする原作と、竹内結子に「ナメてんじゃないわよっ」と啖呵を切らせるドラマではムードは変わったが、“シンメトリー”な顔立ちの美人竹内結子の凄みが素敵だからいいんじゃない。

 “でも、もう逮捕しちゃったんです”

 第一回捜査会議をスッぽかした姫川が、怒鳴る橋爪警視(渡辺いっけい)や今泉警部(高嶋政宏)にこう伝えるエンディングの軽さと、“シンメトリー”なラストのオチで見事に決まった感あり。

 さてドラマは、残虐な事件の数々が暗いトーンを漂わす原作以上に、姫川玲子の暗く忌まわしい過去と被害者としての苦悩とそれを克服する姿を見せていくために、家族との確執を大きく扱う構成のようだ。
 母親と父親の存在が暗く重い空気を漂わす展開は、被害者の親として過保護に傾倒する様を手塚理美が痛々しくエキセントリックに演じていたが、あまり家族問題に突っ込んでいくことで玲子の危うさが強調されていくのは心配だ。
 事件の関係者(特に加害者)との関わりだけで、彼女の生き方を反映していって欲しい。


★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

帰ってきた、姫川玲子「ストロベリーナイト」

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 “アタマの中で、殺人犯が巣食っている”

 2010年11月“土曜プレミアム”においてスペシャルドラマとして放送された「ストロベリーナイト」が、いよいよ17日より連続ドラマとして登場する。
 そしてその前に、連ドラに加わる湯田康平巡査長(丸山隆平)と葉山規之巡査長(小出恵介)の紹介を兼ねてのスペシャル番組が、新たに撮影・再編集した特別編「ストロベリーナイト レジェンド」として再放送されていた。
 2度目の鑑賞でも十二分に楽しめた内容。連ドラへの滑走は申し分なしってところだろう。

 なにせ“姫川玲子”は気の強いノンキャリアのたたき上げ女刑事といったところが魅力的で、男社会のなかで気を張り渡り歩く姿は、女性の視聴者(読者)からは応援しがいのあるキャラクターに映るだろう。
 スペシャル版では姫川がなぜ刑事になったのか……暗い過去が描かれている。
 そのことが彼女のなかに殺したいと思う人物をひとり潜ませ、犯人に同化したり共感したりする行動原理となっていることが、原作シリーズを読んでいくとわかるようになる。
 そんな複雑な闇を抱えた姫川玲子演じる竹内結子は、お嬢さんと揶揄されるような少し危うい女の姿にピタリと嵌っている。
 原作者の誉田氏は(映画『リング』出演時の)松嶋菜々子をイメージして書いていたというが……。

 さて連ドラとなっての期待は、原作の魅力のひとつとなっている彼女を取り巻く警察内部での人間ドラマ。
 菊田巡査部長(西島秀俊)と井岡巡査長(生瀬勝久)の三角関係は息抜きとして、天敵となるガンテツこと勝俣警部補(武田鉄矢)や大っ嫌いなライバル日下警部補(遠藤憲一)、常に衝突する管理官の橋爪警視(渡辺いっけい)らとの丁々発止は期待するに十分だろう。

 連ドラ全話が既に撮影完了されており、今回の「レジェンド」の最後に流れた予告編でドラマ化される原作エピソードも判明し、ゲスト俳優も大体がわかった。
 第一話は「シンメトリー」。以下「右では殴らない」(大政絢)、「過ぎた正義」(杉本哲太、石黒英雄)、「感染遊戯」(加藤あい)、「悪しき実」(木村多江)、「ソウルケイジ」石黒賢、濱田岳、蓮佛美沙子、池田鉄洋)

 「右では殴らない」での、竹内結子と大政絢の対決は見ものだぞ。
 「悪しき実」のホステス美津代役の木村多江はいかにもって配役だな。少し前ならここは余貴美子の出番なのだが………。
 「過ぎた正義」で元刑事の倉田を演じる杉本哲太はイメージに合っている。短編ながら何回かに分けられるストーリーだけに社会派性が全面に出てくるだろう。
 そして最終章の「ソウルケイジ」は長編なので、じっくりと3~4話くらいで描かれるのだろうな。

 ひとつ気になったのは、主題歌がSP版の柴咲コウから連ドラはGReeeeNに変わったことか。同じでも良かったのに………。

 そしてひとつ。問題の長編「インビジブル レイン」は連ドラ終了後のスペシャル・ドラマとして残してあるのだろうか。
 視聴率次第かもしれないが、最後まで“姫川玲子シリーズ”を完結して欲しいところだ。

★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

HELLO NEW YEAR 2012

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 2012:ドラゴン
 ガヴァメント・ミュールのカウントダウン・ライヴのCDジャケットを引用させてもらった。


GOV'T MULE : Mulennium

 1999年12月31日から2000年1月1日にかけての年越しライヴの様子を、3枚組CD(約3時間20分)に収めた傑作アルバム(amazonなら弐千円もしない廉価)で、メンバーはベースのウッディ・アレンが健在だった時期だけに最高の演奏を聴くことができる。
 お馴染みのカバー曲もふんだんで、カウントダウン・ジャムからキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者〈 21st Century Schizoid Man〉」へ傾れ込む選曲は悶絶もの。
 ギター・トリオで演奏されるツェッペリン「幻惑されて〈Dazed And Confused〉」も最高だ!

Disc 1:
1. Bad Little Doggie
2. Lay Your Burden Down
3. Blind Man In The Dark
4. Life Before Insanity
5. Larger Than Life
6. Towering Fool
7. Countdown Jam
8. 21st Century Schizoid Man
9. We're Not Gonna Take It
10. Dazed And Confused

Disc 2:
1. When The Blues Comes Knockin'
2. My Dog And Me
3. Lump On Your Stump
4. I Can't Quit You Baby
5. It Hurts Me Too
6. Blues Is Alright
7. Is It My Body?
8. Power Of Soul

Disc 3:
1. Helter Skelter
2. Sometimes Salvation
3. 30 Days In The Hole
4. End Of The Line
5. Out Of The Rain
6. I Shall Be Released
7. Simple Man