TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

人魚伝説の地で、池田敏春監督死去

 映画監督池田敏春氏の訃報。
 去年の12月26日三重県志摩の大王灯台沖で見つかった身元不明の遺体が、池田氏だと判明したらしい。自殺らしい。
 志摩って、自身の傑作映画『人魚伝説』のロケ地じゃないの。
 あの美しい海の底に身を任せてしまったと思うと、とても哀しい。

  …………………

 ここ最近、氏の名前を聞くことはなかったが、ぼくはここでいくつかの池田作品を紹介してきた。
 何と言っても日活ロマンポルノで異彩を放った『天使のはらわた・赤い淫画』('81)だろう。
 石井隆脚本×池田敏春監督の最初の作品であり、大傑作である。

 そして『魔性の香り』('85)『死霊の罠』('88)『ちぎれた愛の殺人』('93)とつづく石井隆脚本とのタッグ。
 劇画家石井隆の画風を知り尽くした池田監督だからこそ、魅せてくれる名美と村木の世界だった。
 石井隆監督の『死んでもいい』の原作となる『火の蛾』を最初に準備したのも、池田監督との間だった。

 にっかつの中で苦汁を舐めてきた戦友とも云える石井隆監督の、最新作『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』がキネマ旬報のベストテン入りを果たした年に、この悲報かよ。
 残念。
 
 池田敏春監督、享年59。 ご冥福をお祈りします。

★天使のはらわた・赤い淫画★
★魔性の香り★
★人魚伝説★
★ハサミ男★

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「ロックン・ロール・ジャム '70」



 41年前の1970年1月26日、日比谷の音楽喫茶“ヤングメイツ”に於いて開催されたスーパーセッションの模様を記録したアルバムである。
 出演はモップス、ザ・ハプニングス・フォー、ザ・ゴールデン・カップス、フラワーズで、片言の英語を駆使する内田裕也が司会をしている。

 “スーパーセッション”とは、ミュージシャンが一時的に集まり自由に演奏するスリリングさをコンセプトに、ジャズでは頻繁に行われてきたジャムセッションをロックの場で追求したもので、1968年にレコーディングされたアル・クーパーとマイク・ブルームフィールド、スティーヴ・スティルスによるアルバム『スーパーセッション』が流行の先駆けとなったものだ。

 このライヴはそれに倣い、各バンドの演奏の合間にそれぞれ任意のメンバーがセッション形式で迫力ある演奏を聴かせてくれる。


SIDE A
01 I'm Crying/モップス
02 Jenny Jenny/モップス
03 Don't Bring Me Down/モップス
04 明日は明日の風が吹く/モップス
05 Tobacoo Road/モップス

SIDE B
01 Boom Boom/鈴木ヒロミツとクニ・河内セッション
02 Something/ハプニングス・フォー・プラス・ワン
03 小さな願い/ハプニングス・フォー・プラス・ワン
04 Spinning Wheel/ハプニングス・フォー・プラス・ワン
05 ケンタッキーの青い月/ハプニングス・フォー・プラス・ワン
06 Right Time/ハプニングス・フォー・プラス・ワン

SIDE C
01 Till The End Of Time/デイヴ平尾とクニ・河内セッション
02 Micky/ゴールデン・カップス
03 Killing Floor/ゴールデン・カップス
04 フィルモアより遠く離れて/エディ潘セッション

SIDE D
01 All Is Lonelyness/フラワーズ
02 Piece Of My Heart/フラワーズ
03 You Shook Me/フラワーズ
04 Kozmic Blues/フラワーズ
05 How Many More Times/小林勝彦セッション

 A面1曲目はモップスお得意のアニマルズの曲からはじまる。当時のジャズ喫茶の空気を感じさせる鈴木ヒロミツの丁寧なMCがこそばゆいのだが、「Tobacoo Road」などシャウトは熱い。
 「Boom Boom」の鈴木ヒロミツとクニ・河内セッションには、エディ潘と石間秀樹(現・秀機)のギター、ミッキー吉野のハモンド・オルガンなどが加わる豪華な面子だ。

 ハプニングス・フォーはビートルズの「Something」からはじまり、ラテンの味付けがご機嫌な「小さな願い」とブラッド・スエット&ティアーズの「Spinning Wheel」が秀逸。

 カップスのステージは、ミッキー吉野作曲の「Micky」とエディ潘作曲の10分を超える大作「フィルモアより遠く離れて」を熱いジャムセッションで聴かせてくれる。特に「フィルモアより遠く離れて」でのエディのジャズ奏法は聴きモノ。デイヴ平尾のファルセット・ヴォイスが美しい「Till The End Of Time」も聴き逃せない。

 ジェファーソン・エアプレインばりのサイケデリックな「All Is Lonelyness」で始まるフラワーズの演奏は、麻生レミがパワフルにシャウトするジャニスの2曲と、ロバート・プラントを彷彿とさせるジョー・アキラ(現・ジョー山中)のハイトーン・ヴォイスは流石である。

 テンポの速いツェッペリン・ヴァージョン「How Many More Times」をセッションして終わるこのコンサート。GSブームの終焉と、新たなニッポンROCKの幕開けに呼応する企画だったと言える。

    ◇

 “ヤングメイツ”は、ザ・ピーナツや中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり、クレイジー・キャッツ、ザ・タイガースなどナベプロ所属のアーティストが出演していた渡辺プロダクション直営のライブハウスで、こんなパンフレットを見つけた。

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こんな風に過ぎて行くのなら*浅川マキ 復刻CD

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 2010年1月17日に急逝した浅川マキさんの、1970年代のオリジナル・アルバム10枚がデジタル・リマスタリングされ紙ジャケ仕様でリリースされた。
 今回はMy Favoriteなアルバム『裏窓』以降の3枚を購入した。

 69年のデビューアルバムから3作目の『MAKI LIVE』までの寺山修司の世界を俯瞰に見ながら、72年の『Blue Spirit Blues』からはよりブルーズに近づき、『裏窓』は反逆に生きた“時代の漂流者”を謳った名曲「こんな風に過ぎて行くのなら」をはじめ、ブルージーに彷徨う名盤。
 そして『MAKI ?』においてはジャズにシフトしていくマキさんのスイングに酔うことができる。

 70年代というヤバイ時代の空気を封じ込めたアルバムは、本当はターンテーブルで廻るレコードから聴く方が似合っているのかもしれない。
 マキさんの特異な世界は、夜の闇に流れる水流の如く静かに凍み、硬質な針の先からギラリと光る冷たい空気の裂け目に堕ちていく瞬間がいい。

 今夜も、聴いていたのはレコードばかりだった。


女は苦しむ女を見るのが好き*「美しい隣人」



脚本:神山由美子
演出:今井和久
出演:仲間由紀恵、檀れい、三浦理恵子、鈴木砂羽、渡部篤郎、草笛光子、小林正寛、藤井美菜
第1回放送:2011年1月11日 フジテレビ

    ◇

 蜷川実花撮影のポスターがいやに昼メロっぽかったり、「女は苦しむ女を見るのが好き」なんて云うキャッチコピーに、このドラマはドロドロした不倫モノかと敬遠気味だったのだが、これが、予想以上に大人が楽しめるミステリーであった。

 ドラマの舞台は海を見渡す新興住宅地。ある夏の日、絵里子(壇れい)のひとり息子が行方不明になり、夫(渡部篤郎)や警察の必死の捜査の末、無事発見されるという事件から幕を開ける。同じ日、近くの池で絵里子の息子と同じくらいの年格好の男の子が遺体で発見される事故が起こっていた。
 そして一年後。平穏に暮らしていた絵里子の隣家に、外国人の夫を持つマイヤー沙希(仲間由紀恵)と名乗る女性が越してきた………。

    ◇

 魔性の女が幸せな家庭の主婦をワナに陥れていったり、穏やかな隣人の不気味な行動をホラータッチで描くサスペンスは、昔からいろんな小説や映画で扱われている素材。
 そんな中でこのドラマには、およそ十数年前テレビドラマにミステリーブームを巻き起こした野沢尚のいくつかのドラマが思い起された。

 閑静な住宅地を舞台に、家族に災いが降り掛かるのが『眠れぬ夜を抱いて』
 つばの大きな帽子と深紅のワンピースで登場するヒロインは『緋色の記憶』
 夫に近づく魔性の女〈ファム・ファタール〉は『水曜日の情事』等々………

 脚本の神山由美子は野沢尚とはほぼ同年代の作家。彼女から野沢ワールドのテイストを感じるのが嬉しい感じもする。

 そして、米倉涼子と釈由美子のバトルで魅せた『黒革の手帖」や、女たちの悪巧みが見事だった「わるいやつら」を手掛けた神山由美子だけあって、今回の麗しき女優のダブルキャストのバトルには期待するばかり。
 ドラマの前半は仲間由紀恵の攻勢で、後半は壇れいが反撃するおんなの闘いになるのだろうか。

 女というのは、様々な感情を心のどこかでチロチロと燃やし続けながら生活している。
 男には理解できない“女の感情”は、そのまま“女の妖しさ”となって輝くのが、女という生き物だ。
 沙希の優しさの裏に隠されたもうひとつの女の顔が、得体の知れない怖さを含み不気味。視聴者は、沙希が絵里子に何かしらの悪意を抱いて引っ越してきたことが判っているので、どこで沙希の“ウラの顔”が垣間みられるのかと思って見ている。それを逆手にとり、なかなか表現しない演出にサスペンスを感じてくるのだから面白い。

 今後は、どんな風に捻ったプロットになっていくのか………。
 沙希に対する絵里子の息子の駿の行動が不可解だし、行方不明になった駿を助けた無口な青年にも秘密がありそうだし、ママ友の三浦理恵子の嫉妬や、ドラマ開始早々に引っ越して行った元隣人の鈴木砂羽も当然絡んでくるだろうから、視聴者が気持ちよく欺かれる展開を期待するばかりだ。

「テイキング・ライブス」*D・J・カルーソー



TAKING LIVES
監督:D・J・カルーソー
原作:マイケル・パイ『人生を盗む男』
脚本:ジョン・ボーケンカンプ
音楽:フィリップ・グラス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、イーサン・ホーク、キーファー・サザーランド、ジーナ・ローランズ、オリヴィエ・マルティネス、チェッキー・カリョ、ジャン=ユーグ・アングラード

☆☆☆ 2004年/アメリカ・カナダ/ 103分

    ◇

 結末に、誰もが驚くB級サイコ・スリラー。

 1983年、カナダ。マーティン・アッシャーという一人の少年が家を出た。数日後、母親のもとに彼が交通事故で死亡したという知らせが届く。
 それから20年以上が経過した現在、モントリオールの建設現場で白骨化が進んだ死体が発見される。モントリオール警察のルクレア(チェッキー・カリョ)はFBIに捜査協力を要請、特別捜査官イリアナ・スコット(アンジェリーナ・ジョリー)が派遣されてくる。イリアナは殺人現場と死体、あるいは現場の写真だけで犯人像を分析するプロファイリングの専門家だった。
 死体が発見された現場に横たわり、犯人像を絞り込むイリアナ。徐々に捜査は進展するが、その矢先、第二の殺人事件が発生する。イリアナはこの事件の目撃者で美術画商のジェームズ・コスタ(イーサン・ホーク)を尋問するのだが、一方で「19年前に死んだはずの息子を、今日、目撃した」という老婦人アッシャー夫人(ジーナ・ローランズ)が現れた。
 アッシャー夫人に会ったイリアナは、マーティン・アッシャーが生きていることを確信。マーティンは、自分の死を偽装するため最初の被害者に成り済まし、以降“人生を乗っ取る〈テイキング・ライブス〉”ことを繰り返し生きているのだった。他人の人生に飽きたら次の犠牲者を捜すマーティン。果たして今は誰に成り代わっているのか……。
 イリアナは、マーティンの次の目標がジェームズらしいと推理する。そして、ジェームズの前に謎の男(キーファー・サザーランド)が現れた。
 イリアナの人生までをも翻弄する事件の決着は、想像を遥に超えるものだった……。

    ◇

 サスペンスとしての仕掛けが効いていないために、展開の予想は大方出来きてしまう拙作なのだが、アンジェリーナ・ジョリーの頑張りだけで見せてくれる。
 それでも、ショッキングなラストに向かって、ただただ突き進むスピーディーな感覚には目を離せないので、楽しむことは充分にできる。

 ひと言で、アンジーだけ見ていれば、最高にいい。

 チャームポイントの唇と、徘徊する瞳と、たわわな乳房。
 大スターになっていても、この脱ぎっぷりは半端ないので潔い。
 プロファイラーとして、前半はクール・ビューティーを貫いているが、後半からは、事件関係者に女性としての感情を抱いてしまうアンジー。こんなB級作品で、濃厚な全裸愛欲シーンも厭わないのだから敬服するしかないだろう。

 目につくのがジーナ・ローランズ。お年を取ったグロリア姐さんが真ん丸顔になっての登場だが、彼女らしい妖しさは健在で貫禄充分である。


「もえつきたいの」キノコホテル

 昨年末から嵌っているのが、この平成のGS歌謡ガールズ・ロックバンド〈キノコホテル〉。 
 まずは、松島“さそり”ナミの扮装で登場する「もえつきたいの」のPVを………。



 2007年に結成された「キノコホテル」は、メジャーデビュー作が昨年2月リリースの『マリアンヌの憂鬱』。

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 ガールズ4人組のバンドメンバーが60年代GSコスチュームに身を包み、SM女王様で君臨するヴォーカル&電気オルガンのマリアンヌ東雲嬢の妖しい見た目も、艶っぽい歌声も、ブルージーなサウンドも、申し分ない素晴らしさ。
 HPを見ると、バンド構成がホテルの支配人マリアンヌ東雲と従業員たちといったコンセプトで面白い。

 60年代のGS旋風のなかで、唯一のガールズバンド〈ピンキー・チックス〉を彷彿とさせるミリタリーファッションからしてイカしてるじゃん。

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 この〈ピンキー・チックス〉は3枚のシングルを出して解散したけど、この1stシングルのB面曲「そばにいて」は最高のGS歌謡。

 さて〈キノコホテル〉。
 2枚目のアルバム『マリアンヌの休日』は8月リリースで、これは全曲昭和歌謡ロックのカバー曲。

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 なかでも平山三紀のカバー曲「真夜中のエンジェル・ベイビー」は素晴らしいサウンド。これまたPVをご覧あれ。



 ファズ・サウンドが脳天に突き刺さり、そのチープさもやるせない。
 
 踊れ、踊れ、ダンスフロアに舞う危険な歌姫。

 ★キノコホテル★