TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

志水辰夫、初映画化。

 志水辰夫ファンに朗報。
 過去に水谷豊主演で唯一映像化(2時間ドラマ)された作品『行きずりの街』が、監督阪本順治、主演仲村トオルと小西真奈美で映画化される。

 脚本は丸山昇一。プロデューサー黒沢満と撮影仙元誠三の名前が並ぶと松田優作の一連の作品を思い出す布陣だ。骨太の男の映画の代名詞となる阪本順治監督なら、人間ドラマとして新しいハードボイルドの世界を構築してくれるのかもしれない。

 ただファンとして手放しで喜べないのは、丸山昇一は原作を大幅に改変することをいとわないライターだということ。
 シミタツ節といわれる文章が、いかに映像化の難しいことかは想像に難くないからこそ、面白い映像作品にするために自分なりの色づけをどこまでしたのだろう。
 志水氏はシナリオの3度の改稿までは目を通したというが、映画化の話ほどあてにならない企画はないと、すっかり映画化の件を失念していたという。なんと、ゲタは全て預けてしまっているようだ。

 映画は10月クランク・アップで、劇場公開は2010年の秋だという。先は長い。
 でも何にしろ、志水辰夫作品の映像化は嬉しいし、待ち遠しいものになるだろう。

スポンサーサイト

「0課の女 赤い手錠〈ワッパ〉」*野田幸男監督作品



監督:野田幸男
原作:篠原とおる
脚本:神波史男、松田寛夫
音楽:菊池俊輔
主題歌:「0のバラード~女の爪あと」杉本美樹
出演:杉本美樹、郷暎治、室田日出男、三原葉子、荒木一郎、小原秀明、菅原直行、遠藤征慈、岸ひろみ、森祐介、関山耕司、戸浦六宏、丹波哲郎

☆☆☆★ 1974年/東映/88分

    ◇

 『女囚さそり』の原作者篠原とおるの劇画『0課の女』の映画化で、警視庁捜査課のいずれにも属さない裏警察として、法を無視して行動する特殊任務の女捜査官が主人公。任務遂行のためなら殺しもいとわず、自らの肉体を武器に犯罪者を追い詰めていくクールビューティーなヒロインである。

 女捜査官・零(杉本美樹)は、黒人の友人エミィを殺し外交官特権で逃げていた白人をホテルに誘い、抵抗する男の首を赤い手錠で締め男の裸の下半身に銃弾を浴びせ射殺し、所轄の留置場に入れられる。
 同じ頃、神奈川刑務所を出所した仲原(郷暎治)は仲間を引き連れカップルを襲撃し、ゲバ学生の男の方を撲殺し、女は場末の淫売バーに売り付けようと連れていく。バーのママ(三原葉子)が、その娘が次期総理候補の南雲(丹波哲郎)の娘だと告げたことで、男たちは南雲に身代金3,000万円を要求する。

 南雲は、警視官(戸浦六宏)と特命担当の日下(室田日出男)に極秘のうちに娘を救出し、証拠隠滅のため犯人全員を抹殺するよう言い放つ。日下は留置場の零に人質救出を命令。身代金の受け渡し時に仲原の逃亡を助けアジトに潜入した零だったが、身代金代わりの紙屑の束を見た他の男たちが零を警察のイヌではないかと疑いリンチを加える。が、口は割らない零。逆に1億を要求してみろと煽る。

 零の素性を知っていたビッグ・バッド・ママを鮮血のバスタブに沈め、次の取引現場に罠を張り犯人の仲間を葬る零。そして、人質を逃がそうとした弟に激高した仲原は、残忍にも弟を撲殺してしまう。
 追い詰められた犯人たちは、監視下のバーを抜け出し横須賀の米軍ハウスに押し入るが、狂人となった仲原に恐れをなした仲間のひとりが逃げ出し、日下らに捕まり残虐な拷問を受ける。
 
 クライマックスは、無人のドブ板横丁での銃撃戦。マカロニ・ウエスタンよろしく砂塵舞う代わりに大量の紙クズの風塵の中、零の赤い手錠が宙を舞い、犯人ふたりと口封じのために零と人質を抹殺しようとする日下の息の根を止める。
 権力を守るためなら自分の娘まで抹殺しようと画策した南雲。命令通りに任務を遂行した零は、無事に人質を生還させマスコミの前に曝した。南雲の政治生命を断った零は、警察手帳を破り捨てるのだった。

    ◇

 B級プログラム・ピクチャーとして勢いづいていた「スケバン」映画も徐々に翳りを見せてきた70年代半ば、東映ピンキー映画の最終章としてスクリーンに放たれたハード・ヴァイオレンスなアナーキー映画の傑作である。

 どこまでも無表情でクールな杉本美樹は何もアクションを起こさない女優。演技ベタを隠す演出ではあったろうが、『女囚さそり』と同じように沈黙するヒロインにすることでオーラを発しているのだから、これは女優としての存在感以外の何ものでもない。これぞ杉本美樹なのである。
 
 赤い警察手帳と赤い手錠、真っ赤なコートに緑のミニのワンピースといった派手な衣装がどこまでも劇画世界なのだが、杉本美樹以外の俳優たちのハイパーテンションも、この映画の見どころ。
 
 郷暎治のエキセントリックな演技は凄すぎ。弟を殺してしまった後の号泣姿は悲哀より狂気。室田日出男の大きく眼を剥き、ある時はグっと押さえる表情のオーヴァーアクトこそ虚構の世界に相応しいと見せつける俳優ふたりである。
 三原葉子は毎度のことながら場をかっさらっていく。『女囚さそり』での隈取りメイクも見事だったが、ここでは何とも下品なだけの商売女。ド派手な衣装とウイッグで豊満な身体を見せつけるが、その後ろ姿はエロい。
 当時、杉本美樹の事務所の社長だった荒木一郎は、全編に出演しているのに台詞はワンシーンだけ。サングラスにヒゲ面で顔を隠し、ワザと変装しているのかというような姿で印象を残すあたり、役者である。

 さて、『さそり』に続けとシリーズ化を目論んでいただろう東映だったが、杉本美樹はこの作品後に一時映画界を去り途切れてしまった。カムバック後は、ATG作品『祭りの準備』('75)と『黒木太郎の愛と冒険』('77)で、助演ながら無常感を漂わす女優として目を惹く存在だったのだが、1978年に完全引退してしまった。



Hotwax*trax 池玲子/杉本美樹



 Hotwax*traxシリーズ第15弾として、池玲子と杉本美樹の主演作品集がそれぞれ同時発売された。

 ヌードモデルから東映ポルノ映画の主演女優へと躍り出た池玲子は、グラマラスな肢体とスキャンダラスで豪快な脱ぎっぷりで1971年から74年の4年間に11本の主演を努め、杉本美樹もモデル時代にスカウトされ池玲子と共に映画デビューをし、翌72年から3年間で8本の主演作がある。
 スター性に輝いていた池玲子に対して、クールな杉本美樹は稚拙な演技にも異を言わせぬ存在感と、梶芽衣子にも似た眼ぢからで他の女優陣を上回っていた。

 日活ロマンポルノよりも早く“ポルノ女優”の称号を得た池玲子と杉本美樹は、アクの強い東映男優陣を向こうにまわし、看板映画(「網走番外地」や「仁義なき戦い」など)の併映作のなかで妖しく咲き乱れ、アナーキーに、ヴァイオレンスに、そしてハレンチに振る舞う一種キワモノスタ-ではあったが、70年代のヒロインとして君臨したことは間違いない。

 さて、サウンドトラック。
 池玲子にしても杉本美樹にしても、過去にコンピレーションCDとして『女番長ゲリラ』『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』『杉本美樹vs池玲子 ~女番長流れ者/ふうてんぐらし~』がリリースされているが、今回は、ふたりの主演作品(杉本美樹はコンプリート)から初CD化音源を中心にした単独サントラ集で、池玲子主演の『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』が完全初出音源となる。
 例によって、映画用のマスターテープから最新デジタルリマスタリングが施されているので全曲モノラルではあるが、ニューロックやリズム&ブルースのうねるグルーヴ感、美しいメロウサウンド、豪快なブラスセクション、ジャズからフレンチポップまで揃えたテイストは、70年代の如何わしく猥雑なサウンドであり、インストゥルメンタル・アルバムの逸品として重宝できる。

 ボーナス・トラック的に収録されているふたりの歌声は全曲既発ものだが、彼女たちの主演映画の主題歌としては外せないものばかり。サウンドトラックとしての体裁は整っている。

 ポスターを模したジャケット&ライナーが時代の空気感を封じ込めているのだが、残念なのは、前3作までデジパック仕様だったのが、いつからかこのシリーズも普通のプラケースとなってしまったことだ。
 
    ◇

池玲子/女番長ブルース 牝蜂の挑戦

女番長 タイマン勝負(音楽:広瀬健次郎)
01. M-19 
02. M-3
 
恐怖女子高校 不良悶絶グループ(音楽:荒木一郎)
03. M-23 
04. M-9&15 
05. M-16B

不良姐御伝 猪の鹿お蝶(音楽:荒木一郎)
06. M-4
07. M-10  
08. M-20 
09. M-18 
10. M-13  
11. M-21

女番長ブルース 牝蜂の挑戦 (音楽:鏑木創)
12. M-8 
13. M-4 
14. M-13
 
やさぐれ姐御伝 総括リンチ BGM(音楽:鏑木創)
15. M-1 
16. M-34B
17. M-6B 
18. M-6C

温泉みみず芸者(音楽:鏑木創)
19. M-3
20. M-5 
21. M-13 
22. M-11

前科おんな 殺し節(音楽:八木正生)
23. M-8 
24. M-12

エロ将軍と二十一人の愛妾(音楽:伊部晴美)
25. M-1 
26. M-2  
27. M-9 

28. ふうてんぐらしpart.1(唄:池玲子)
     『前科おんな 殺し節』(1973年)より
29. ふうてんぐらしpart.2(唄:池玲子)
     『前科おんな 殺し節』(1973年)より
30. お蝶のブルース(唄:池玲子)
     『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』(1973年)より
★初CD化

    ◇

杉本美樹/0課の女 赤い手錠

0課の女 赤い手錠(音楽:菊池俊輔)
01. M-20
02. M-23
 
女番長(音楽:八木正生)
03. M-1 
04. M-12 
05. M-2
06. M-4 
07. M-6  
08. M-15
 
恐怖女子高校 女暴力教室(音楽:八木正生)
09. M-16 
10. M-3A 
11. M-2  
12. M-5
 
恐怖女子高校 暴行リンチ教室(音楽:八木正生)
13. M-7 
14. M-3
 
女番長ゲリラ(音楽:津島利章)
15. M-5 
16. M-6
 
女番長・感化院脱走(音楽:荒木一郎)
17. M-2  
18. M-18&19 
19. M-7
20. M-10
21. M-15

温泉スッポン芸者(音楽:荒木一郎)
22. テーマ 
23. M-24
24. M-18&21T-3
 
徳川セックス禁止令 色情大名(音楽:荒木一郎)
25. 東映マーク 
26. B-1 T-2  
27. D 
28. M-8B 

29. 温泉スッポン芸者(唄:杉本美樹)
     『温泉スッポン芸者』(1972年)より
30. 女番長流れ者(唄:杉本美樹)
     『女番長ゲリラ』(1972年)より  
31. 0のバラード~女の爪あと(唄:杉本美樹)
     『0課の女 赤い手錠』(1974年)より  
32. 0のバラード~女の爪あと part.2(唄:杉本美樹)
     『0課の女 赤い手錠』(1974年)より
★初CD化


「ショーケンという孤独」俳優萩原健一・再生への日々

 関東地区で日曜の昼に放送されているフジTVのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』。9月13日に放送された「ショーケンという孤独 俳優萩原健一・再生への日々」が、先週、やっと東海地区で深夜に放送された。

 TV『チューボーですよ!』でのマチャアキとの絡みでショーケンの復活は確信できていた。
 さらなる前進は、映画であり、音楽であり、ステージとなるわけだが、この番組、多分に映画『TAJOMARU』の番宣を兼ねていると言えないこともない。ただし、番組制作はショーケンの執行猶予満了に合わせた1年前の取材から作られている。
 瀬戸内寂聴、菊池武夫、蜷川幸雄、山本又一朗らのインタビューに混じって、肉親である兄や義兄らもカメラの前で語るショーケンの横顔。

 義兄の正直な言葉も、若手ミュージシャンのリスペクトも、スキャンダルで華やかしき頃のショーケンが常に頭の中にあるのだ。
 ポツリポツリと語るショーケンの言葉や行動から、蜷川幸雄の云う“トップランナーの辛さ”が痛いほど伝わってくる。
 これからのショーケンは生身の姿を見せていくしかない。
 番組は、ショーケンの素顔を映しだしていく。
 そのひとつ。これまで語られては知っていた、凄まじい仕事への取り組み方が曝された。

 小栗旬主演の『TAJOMARU』で、足利義政に扮したショーケン。
 準備稿段階から時代背景を調べ上げ、入念に人物像を作り上げるショーケンの、その尋常ならざる役づくりへの執念は、以前、同居する女性が怯えるほどと語られたとおりに証明される。
 プロデューサーの山本又一朗に、第二稿を決定稿として出してくれと注文したにもかかわらず、上がってきたのは間際になっての台詞の変更。
 監督に直談判して台詞を戻させはしたものの、そこには苦悩するショーケンが残されただけだ。ショーケンの頭のなかでは、血と汗で入魂した台詞が、たった一行の言葉で無茶苦茶になってしまっている。

「“一つのこと”“一つの台詞”“一行の台詞”が言えなかったり、ものすごく考えてくる人なんで~」

 山本又一朗がショーケンについて語った言葉なのに、あなた、それを判っていながらその扱いはないだろう。市川森一と共に脚本を執筆しているのは、水島力也というペンネームの山本又一朗自身ではないか。敏腕プロデューサーだけのことはあるが、ショーケンとはズレを感じる。

 カメラは台詞に閊えるショーケンを容赦なく納める。
 隣に座る若手俳優田中圭の心中を察して余るほど、見ていてドキドキものだ。監督に台詞の変更を申し出るくらいの気迫でありながら、結果は散々たるもの。この姿を若手俳優や若いスタッフはどう感じたことか、気になるところ。
 結局、そのシーンは6回のNGを出し、その後のショーケンの「もう、あとはいいよ」って感じの笑い顔が、寂しかった。

 善し悪しは別にして、黒沢監督らから経験で覚えてきた演技論や方法論が、今どきの現場では通用しないんじゃないか。ト書きに「ロックンロール・スピリッツで斬りまくる」なんて書かれた台本に戸惑ったショーケンが、いままでの方法論を捨てて取組んだというのだが、59歳、そうそう染み付いたものを振り落とすことはできないはず。

 台詞にこだわりセリフに四苦八苦していたショーケンの姿を映した後、撮影現場でショーケンが小栗旬と田中圭とすれ違う。階段での小栗旬の態度が気になった。あれでは小栗旬への誤解も生まれそう。もう少し編集の仕方があったろうに。

 若手イケメン俳優の濫立や、テレビドラマを基に安易な映画づくりが大手を振っている今の邦画界で、何かひとつでも波紋を起こしてほしいショーケン。
 恋に情熱を持てなくなったら、最後は仕事に情熱を注ぐと云ったショーケンの次作は、市川森一と組んで列車を舞台にした作品の構想を予告。

 仕事に魅了されている顔と、やんちゃだけど穏やかな笑顔のショーケン。
 ショーケンを“大物俳優”なんて呼ばないで。
 ショーケンは、どこまでも不良でいいのだ。

山口百恵の貴重映像だって!?

 山口百恵がTV「ザ・ベストテン」に出演した映像の全記録が、完全収録されてDVD BOX(5枚組)として12月16日にリリースされる。

momoe_TCED-0689.jpg

『ザ・ベストテン 山口百恵 完全保存版 DVD BOX』

 ベストテン登場曲は12曲、2年10ヶ月の記録ともなればランクインは122回もある。
 もちろん歌ばかりではなく、黒柳徹子と久米宏とのトークのほか、貴重な映像も満載され、その全てを余すことなくもう一度見られるなんて、こんな凄いプレゼントはないだろう。
 まして特典映像として、「トップスターショー」の映像(「秋桜」「「横須賀ストーリー」「イミテーション・ゴールド」「夢先案内人」)まで見ることができるなんて、生きててよかった(爆)。

 例えば、「ロックンロール・ウィドウ」を見事なパフォーマンスで歌い、格好いいロッククィーンぶりを魅せてくれた「夜のヒットスタジオ」など、ファンには忘れられない番組、忘れられないシーンがある。
 『ザ・ベストテン』も百恵登場は可能な限り見ていたつもりだが、やはり、たくさん見逃していると思う。だから、今回の完全収録パーフェクトってのは涙モノなのである。
 ホリプロとTBSはエライっ!

 26%OFFのamazon で予約しとこっと。

    ◇
 
 さて、涎もののBOXセット以外にも、今月21日には Hotwax trax から「池玲子/女番長ブルース 牝蜂の挑戦」と「杉本美樹/0課の女 赤い手錠」の2枚のCDがリリースされる。
 既発の3枚のCDには収録されなかった未発表の劇伴もかなり収録されるようなので、これも買いだな。
 

GET YER YA-YA'S OUT から40年

 ローリング・ストーンズの1969年のライヴ・アルバム「GET YER YA-YA'S OUT」が、40周年記念デラックス・エディションとして、あのマジソン・スクェア・ガーデンLIVEから丁度40年の11月にボックスセットがリリースされる。


『GET YER YA-YA'S OUT/40周年記念デラックス・エディション』

 豪華なBOX仕様は、オリジナル・アルバムのリマスター盤(日本盤はSHM-CD仕様)、5曲の未発表テイク、ツアーの前座を努めたB.B.キングとアイク&ティナ・ターナーのライヴ演奏、そしてDVDにはバックステージの模様やアルバム・ジャケットの撮影風景が収録されているという素晴らしい内容。
 ほかに、56ページのブックレット、ツアーポスターのデザインをカード化したものが納められ、日本盤にはさらにUKアナログ盤を再現した紙ジャケットが付いてくる。
 輸入盤は11月3日、日本盤は25日に発売される。(amazon では19%OFFで予約受付中)
 輸入盤オンリーでは、アナログ・レコード3枚を納めたSuper Delux Editionなるものもリリースされる。

Disc: 1 -CD
1. Jumpin' Jack Flash (Original Release)
2. Carol (Original Release)
3. Stray Cat Blues (Original Release)
4. Love In Vain (Original Release)
5. Midnight Rambler (Original Release)
6. Sympathy For The Devil (Original Release)
7. Live With Me (Original Release)
8. Little Queenie (Original Release)
9. Honky Tonk Women (Original Release)
10. Street Fighting Man (Original Release)

Disc: 2 -CD
1. Prodigal Son (Unreleased)
2. You Gotta Move (Unreleased)
3. Under My Thumb (Unreleased)
4. I m Free (Unreleased)
5. (I Can t Get No) Satisfaction (Unreleased)

Disc: 3 -CD
1. Everyday I Have The Blues (B.B. King)
2. How Blue Can You Get (B.B. King)
3. That s Wrong Little Mama (B.B. King)
4. Why I Sing The Blues (UB.B. King)
5. Please Accept My Love (B.B. King )
6. Gimme Some Loving (Ike & Tina Turner )
7. Sweet Soul Music (Ike & Tina Turner)
8. Son Of A Preacher Man (Ike & Tina Turner)
9. Proud Mary (Ike & Tina Turner)
10. I've Been Loving You Too Long (Ike & Tina Turner)
11. Come Together (Ike & Tina Turner)
12. Land Of 1000 Dances (Ike & Tina Turner )

Disc: 4 -DVD
1. Prodigal Son
2. You Gotta Move
3. Under My Thumb
4. I m Free
5. (I Can t Get No) Satisfaction

「狼は天使の匂い」*ルネ・クレマン

ookamiwatennshinonioi.jpg
La Course du lievre a travers les champs
監督:ルネ・クレマン
原作:デビット・グッディス「暗い金曜日」
脚色:セバスチャン・ジャプリゾ
音楽:フランシス・レイ
出演:ロバート・ライアン、ジャン=ルイ・トランティニャン、レア・マッサリ、アルド・レイ、ティサ・ファロー、ジャン・ガバン、ナディーン・ナボコフ、アンドレ・ローレンス

☆☆☆☆ 1972年/フランス/135分

    ◇

 なんと詩的で浪漫ある邦題であろう。仏語原題は「ウサギは野を駆ける」。
 大好きなフランス映画の1本で、待望の初DVD化はオリジナルの仏語完全版でリリースされた。
 日本では1974年2月に公開されたのだが、当時観たものは英語版のうえ7分短縮されていた。

andhopetodie.jpg and-hope-to-die_jppst.jpg

AND HOPE TO DIE

    ◇

 『禁じられた遊び』('52)や『太陽がいっぱい』('60)で知られるルネ・クレマン監督の晩年作で、名優ロバート・ライアンにとっては最後の作品。『シンデレラの罠』('62)や『さらば友よ』('68)の原作者セバスチャン・ジャプリゾが脚本を手掛け、音楽はフランシス・レイ。
 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を引用したギャング映画として、追われる男たちの孤独な戦いを静かに描いたフィルム・ノワールの終幕的作品である。

 パリから紅葉のモントリオールへ逃げて来たトニー(ジャン=ルイ・トランティニャン)。彼は、セスナ機の事故でジプシーの子供たちを殺し、裁判では無罪になったものの、ジプシーの掟によって執拗に命を狙われていた。逃げ込んだ万博会場のアメリカ館で、偶然にも殺人事件を目撃してしまい、男を追っていた仲間に捕らえられ、隠れ家となっている小島に連れてこられる。そこでは、年老いたチャーリー(ロバート・ライアン)をボスにした一味が、ギャングの大ボス相手に100万ドルを賭けた誘拐ゲームを計画しており、トニーもいつしかその計画に加わることになるのだが……。

    ◇

 リアリズム映画からスタイルを一変した『太陽がいっぱい』以後、スリラーやサスペンスを手掛けてきたクレマン監督は、『雨の訪問者』('69/チャールズ・ブロンソン主演 )『パリは霧にぬれて』('70/フェイ・ダナウェイ主演)で抒情性豊かなサスペンス・ドラマを撮り上げているが、それにつづく本作は少し趣が異なり、フィルム・ノワールを装おいながらもミステリーやサスペンスの度合いのない奇妙な心理劇風“大人のメルヘン”に仕上がっている。

 本屋の上階に越してきた幼い少年が、下町の子供にいじめられ、持っていたビー玉を入れた袋を切り裂かれ、階段から色とりどりのビー玉が転がるオープニング。映画は「僕たちは 眠るのをむずかる 年老いた少年にすぎない」というルイス・キャロルの引用句に導かれ、『不思議の国のアリス』の幻想感が漂う虚構の世界が意識的に構築されていく。
 ときおり映しだされる少年たちのエピソードと、疑似家族を形成するチャーリー一味と余所者トニーの体験は鏡像作用で示される。トニーを追うジプシーたちは一種の悪夢であり、トニーが逃げ込んだことになるチャーリーたちの世界も、少年の日の“○○ごっこ”に郷愁を求める大人たちの夢の中といえる。

 この作品の役名に“シュガー”(レア・マッサリ)と“ペッパー”(ティサ・ファロー)という遊び心もあれば、映画の中の大人たちはいつでもどこでも遊びに興じている。ラミーゲームやチェス、クロスワード。丸めた新聞紙をクズ篭に入れ合ってはゲラゲラ笑う。3本の両切り煙草を縦に積む遊びは、『さらば友よ』('68)で水を満たしたコップにコインを入れる遊びと同様に、ぼくを含めて当時の観客は一度はトライしたと思う。

20130826-teaforone.jpg

 1時間30分を過ぎたあたりから始まるギャング映画らしい流れも、リアリティのないゲームのひとつでしかない。
 オープニングの本屋のウインドウには大きなチェシャ猫のポスターが貼られ、トニーとチャーリーがビー玉を賭け射撃ごっこをする名ラストシーンは、大人たちの隠れ家だった宿の看板“チェシャ猫亭”を的にする。結局男の美学って、どれも“ごっこ”なのかもしれない。
 エドモン・リシャールの美しいカメラワークとリリカルなフランシス・レイの旋律が、その大人たちの“ごっこ”を素敵に彩っている。

 老いたボスを演じたロバート・ライアンは、既にがんにより余命1年の告知を受けており、本作を撮影終了後、この年に亡くなった愛妻を追うように63歳で生涯を閉じた。まさにこの作品は俳優としての花道。センチメンタリズムだけでは語れない存在感で、見るものたちに感銘を与えてくれたロバート・ライアンは、忘れられない素晴らしい俳優のひとりだ。

1974-01_狼は天使の匂い

「竜の道 飛翔篇」白川 道



 おまえは光をつかめ! おれは暗黒を支配する。

 これから、おまえとおれは、太陽と月だ。
 おまえは常に世間の脚光を浴びる生き方をしろ。
 おれは夜の世界に君臨する。
 暗く、どこまでも深い底なし井戸のような夜。
 昼の太陽が輝いてこそ、夜はその深みを増す。
 深みを増した暗さは、やがては漆黒の輝きを帯びるだろう。 〈惹句より〉

 赤ん坊の時に廃品回収業者の家に捨てられた双児の兄弟竜一と竜二は、世間からは蔑まれ養父母からは虐待を受けて育った。この悲惨な環境のふたりには、天がこの世に生きる意味を与えたかのような、ずば抜けた頭脳を授けていた。兄弟は、クソのような人生にオサラバするために完全犯罪を決行し、頭脳ひとつで世間をひざまづかせる人生を歩み出した。
 弟の竜二は運輸省のキャリア官僚になり、兄の竜一は己自身を抹殺し裏社会の力を味方につけていく。
 ふたりの秘めたる復讐は、某巨大企業を潰すこと。
 双頭の竜の修羅の幕が上がった……。

    ◇

 これは面白い! 単行本568ページを一気に読了した。

 ハードボイルド作家白川道の新作はクライム・ノヴェルの第1章。著者がもっとも得意とする投機株や先物などの相場に蠢く人間模様である。

 兄弟に唯一手を差し伸べていた家族が巨大企業の犠牲になり、残された盲目の少女を救うために兄弟二人の復讐が始まるのだが、その目的のために必要な資金づくりや、対等に渡り合うための地位や権力を得る話がじっくり描かれていくので、かなりの長篇になる作品と思われる。

 まずこの第1章は、バブル景気に入る前の1980年代を舞台に、兄の竜一が裏社会で権力を握るまでが描かれる。
 やくざ組織まで操る頭脳明晰な竜一は、目的を完遂するためには邪魔な人間を次々と抹殺する徹底した非情な主人公なのだが、その破滅的美学に感情移入させられる。

 弟の竜二は第2章で詳しく描かれるだろうから今回の出番は少ないが、盲目の少女・美佐や、竜一たち兄弟と同じ匂いを漂わす美女・咲などの登場が今後の展開に関して興味深いところ。裏社会の絶対的権力として後ろ楯となる曽根村の迫力もいい。これは『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドってところ。読んでいる時は北大路欣也を思い浮かべていた。
 竜一にハメられた幾人もの人間たちも、次篇にどんなかたちで登場するのか楽しみである。
 
 株の仕手戦など素人には想像できない部類の話でありながら、読んでいて凄いリアリティを感じられるのは、著者の経歴を知っているから生まれてくるものか。
 49歳で作家デビューした無頼派の白川道は、投資顧問会社を経営していた時代には豊田商事などに関わったり、逮捕され服役の経験もある作家。
 50億100億の金が簡単に動く世界を、こんなにもリアルに描くことができる作家はそうそういないでしょう。
 白川道の経験や生きざまが集約された一冊である。

    ◇

竜の道 飛翔篇/白川 道
【講談社】
定価 1,995円(税込)