TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「女をやめたい」梶芽衣子

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01 女をやめたい
02 想い出日和


 “歌手・梶芽衣子”の、25年ぶりのシングルが発売された。

 随分月日が経ったけど、女ぶりの良さも、凛々しいところも、ドスのある節まわしも、何も変わらない歌声で実に魅力的だ。

 梶芽衣子といえばテイチク時代のアウトローとしての“怨歌”歌謡曲のイメージが強いが、ポリドールに移ってからの多彩な世界観を歌い演じている梶芽衣子も歌い手として素晴らしい。その表現力といい、独自性といい、歌手としての実力も絶対的なものがある。

 今回のシングルは2曲とも作曲が杉本眞人で(作詞はともに朝比奈京子)、情感豊かなメロディを持った歌謡曲に仕上がっている。
 「想い出日和」は、30年前に杉本眞人が作曲した名曲「晩夏」のようなワルツ調の佳曲だ。
 “女優”らしく、幾人もの“大人のおんな”を演じ、歌っている。
 
 今回のこの“歌手活動”、梶さんは本意気だ。
 オフィシャルブログを立ち上げプロモーションを行い、いくつかの雑誌にも“歌手”としてインタビューを受けているし、全国の新聞社回りなどもしているのだろう。
 NHKの「歌謡コンサート」や「日本のうた」への出演が叶うといいな。もっと云えば、「ミュージックフェア」「ミュージックステーション」でも梶さんの歌を聴きたいし、「うたばん」では貴さんや中居クン相手にアウトロー談義で一発かまして欲しい。
 
 還暦を過ぎた梶さんです。梶芽衣子を知らないプロデューサーが、平気で70歳の役を持ってくると嘆いています。キャスティングを俳優の年齢で決めてしまう昨今の業界は淋しいよ。「キル・ビル」以降、海外からのオファーもあったらしいが、あくまで日本の女優として日本の風土のなかで役を演じていきたいと語る梶さんです。

 現実の自分を見てもらうために、“ライヴ”も積極的にしたいと語っている。
  役は年をとらない。俳優としてそんな努力は当たり前にしていると自負する梶さん。アクションのあるアウトローな作品に意欲的な梶さん。そんな梶さんを使うプロデューサーは、いないのかい。
 いくら邦画が全盛と云ったって、ガキの映画ばかりじゃぁ、ツマんない。
 大人の女優や男優が弾ける作品を観てみたいじゃないか。

 さて、この“歌手活動”に伴いアルバムも制作して欲しいものだ。
 メロディが豊潤な杉本眞人はもちろん、阿木耀子&宇崎竜童の楽曲でジャズやブルーズのテイストを織りまぜた「おとなのおんな」のアルバムを、ぜひとも聴きたい。

 あ、それと、過去の梶芽衣子全アルバムを紙ジャケ仕様で発売して欲しいのは云うまでもないことよ。

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「ONE DAY」石間ヒデキ

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 FLOWER TRAVELLIN' BANDのギタリスト石間秀機が、1973年のバンド活動停止後の5月に石間ヒデキ名義で発表したソロ・アルバムである。
 ギター&ベースの石間以外のメンバーは、キーボード篠原伸彦、ドラムス和田ジョージのフラトラ仲間。GSザ・ビーバーズ時代の朋友成田賢はハーモニカで参加。そして大野克夫、大野真澄、チト河内らの豪華なメンツが揃っている。
 
    ☆

収録曲
01. We're just tryin' my way
02. Artificial flowers
03. Lady bird
04. Night mare
05. Unbalance
06. Depending by the time
07. Trash blues


    ☆

 アメリカン・ロックの香りを持ちレイドバックするサウンドが、ニューロックの時代と云われた70年代のど真ん中を感じさせてくれる。

 ここで聴かれる石間秀機はバンドの一員としてのギタリストではなく、シンガー・ソングライターとしての石間ヒデキで、英詞の曲にのる彼の乾いたヴォーカルは、なかなかどうして聴きものなのだ。

 もちろん個性豊かなギターも聴かれる。バンドから解き放たれたかのような、縦横無尽に天空を駆けるスライドギターは、派手さはないがなんとも気持ちがいい。

 「彼がいないとバンドは作れない」とショーケンに云わしめた天才ギタリスト石間秀機。
 80年代、石間がいる“Donjuan Rock'n Roll Band”はショーケンのバンド活動の核となり、その後の石間抜きの最強バンド“Andree Marlrau Band”へと繋がったし、ジュリーのバンド“CO-CoLO”でも好サポートでジュリーを盛り上げていった。

フラワー・トラヴェリン・バンド“JAPAN TOUR 2009”

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2008年、35年ぶりの奇蹟の復活を遂げた国内最重要BAND、FLOWER TRAVELLIN' BAND はフジ・ロック・フェスティバル出演を皮切りにJAPAN TOURを敢行。最終公演は彼らのホームグランドである日比谷野外音楽堂にて満員の観客に迎えられた。
決してリバイバルではない現在進行形の怒濤のライヴパフォーマンスは国内の音楽関係者に衝撃を与え、2009年、FLOWER TRAVELLIN' BANDは約束の地New Yorkから初のUS TOUR を行い、熱狂的な観客に迎えられ大成功を収めた。
2009年夏。RISING SUN RODK FESTIVAL出演を機に、再びJAPAN TOURを行うことが決定!



 待っていたぞ、フラトラのJAPAN TOUR!!

 昨年のJAPAN TOURの素晴らしさはライヴ・レポート(ナゴヤ)に記したとおりで、またあの興奮が甦る。

 8月、札幌(RISING SUN RODK FESTIVAL)を皮切りに全国6都市でのライヴが予定された。
 チケット販売は既に行われている。急げ!

 FLOWER TRAVELLIN' BAND 公式サイト

長谷部安春監督、死去

長谷部安春監督が、肺炎で14日にお亡くなりになっていたそうです。

ぼくが日活の作品を観つづけたきっかけをくれた監督です。

アウトローたちをスタイリッシュに描きつづけてきた監督。

池袋の文芸地下で観た「女番長 野良猫ロック」が、長谷部監督の映画との初対面。

オールナイトで観た「不良少女 魔子」の脚本が、長谷部監督だったことは後日知りました。

日活ロマンポルノになって観た「犯す!」は、最高のサスペンスだった。

「暴行切り裂きジャック」のヴァイオレンスは、邦画史上に残る大傑作です。

女性は美しく、男性はカッコよく撮る、ダンディな監督。


安らかにお眠りください。

歌謡曲番外地~東宝レコード女優編

 久しぶりのHotwax*trax『歌謡曲番外地』は、『続・歌謡曲番外地~恋のコマンド』から7ヶ月ぶり、東宝レコードの女優盤が2枚同時リリースである。
 これまであまりCD化されてこなかった東宝レーベルの女優たちの歌声。カルト・レーベルとも云われ、シングル盤は高値を生んでいる。
 今回、待望のリリースと云ってもいい。個人的にも東宝レーベルのレコード所持は皆無なので、初めて聴くものが多い。シングルのA/B面すべてを収録しているのもよろしい。

    ◇

東宝レコード女優編

『東宝レコード女優編~不良少年』

01. 不良少年・さすらい/青木英美
02. 不良少年・ジロー/青木英美
03. 朝がしらじら明けるまで/青木英美
04. 淋しさを残して/青木英美
05. ひとつの年のかわりめに/青木英美
06. 恋のあしあと/青木英美
07. 唇かんで/梅田智子
08. バラの花ひとつ/梅田智子
09. 恋のサンフランシスコ/梅田智子
10. おかしな恋人/梅田智子
11. 北国のわたしは幸せ/柏木由起子
12. いっしょにあなたと/柏木由起子
13. ごめんなさい/柏木由起子
14. ひやかさないで/柏木由起子
15. 瀬戸の夕焼け/酒井和歌子
16. 水玉もようの雨/酒井和歌子
17. MY LOVE…THE SEA/内藤洋子
18. 海と空と私/内藤洋子
19. お伽噺/内藤洋子
20. やさしい感じ/内藤洋子

 60年代、TVドラマ『これが青春だ』などの柏木由起子はダントツに可愛かったなぁ。ここに収められた歌も上手い。女優の歌でなく歌手の歌唱です。
 酒井和歌子も大好き。可憐です。歌も、そのまま控えめな感じがいいじゃない。
 青木英美は聞き込めば味が出てくるよ。
 内藤洋子は、当時、友人がファンだったのだが、個人的にはあのおデコちゃんは少し苦手であった。ここに収められている4作品は、すべて歌ではなく詩の朗読。1970年に結婚した喜多嶋修の曲にのせた朗読は、どこか醒めている。

 パート1は、やっぱ、柏木由起子に尽きるかな。
 リーフ裏面のシングル・ジャケを見てるだけでもいいのだな。
 テレビ朝日の松本清張ドラマ『夜光の階段』では病魔に冒された薄幸の母親役だったが、今だその可愛らしさは失われていなかった。

    ◇

東宝レコード女優編モア

『東宝レコード女優編[モア]~あなたって凄いのね』

01. あなたって凄いのね/エミー・マーガレット
02. 夢をちょうだい/エミー・マーガレット
03. 恋人達の場所/聖ミカ
04. 貴方を返して/聖ミカ
05. コーヒーと仔犬/松島トモ子
06. 独占(ひとりじめ)/松島トモ子
07. こどもの眼/松島トモ子
08. 明日の午後ならいいわ/松島トモ子
09. 私は私知らない女になったの/いぬいなおみ
10. 幸せの涙/いぬいなおみ
11. ナオミの夢/いぬいなおみ
12. 白いパンタロン/いぬいなおみ
13. めぐり逢うために/森るみ子
14. 一年前の街角で/森るみ子
15. 13日の金曜日/松村幸子
16. 横をむいちゃいや!/松村幸子
17. 天使のともしび/松村幸子
18. 涙の星・愛の星/松村幸子
19. 箱根スカイライン/加藤小代子
20. あこがれ/加藤小代子
21. あなただから許せるの/鹿島とも子
22. スキャンダル/鹿島とも子

 このCD、「あなたって凄いのね」ってタイトルがスゴいし、タイトルに合ったジャケ写でインパクトはあるのだが、実際はこの写真、松島トモ子の「コーヒーと仔犬」です。
 で、肝心の「あなたって凄いのね」は如何なものかと云えば、そりゃあ中身も一筋縄ではいかない。辺見マリ風の曲調に乗せた突き放した歌唱は素晴らしいのひとこと! 

 このパート2の方でお目当ては鹿島とも子。
 「あなただから許せるの」と「スキャンダル」のアクション歌謡ぶりは、ホント、素晴らしい曲。
 そして『続・歌謡曲番外地~恋のコマンド』に収録された松島トモ子の「コーヒーと仔犬」のB面「独占(ひとりじめ)」も聴きもの。コレ聴きたかったのだ、好きだな。
 阿久悠作詞の「こどもの眼」は少し毛色の変わった楽曲。

 聖ミカは、ショーケンの初映画『涙のあとに微笑みを』(テンプターズの唯一の歌謡映画)のヒロイン。でも憶えていません(笑)、あしからず………。
 2曲とも筒美京平作品で、アイドル調の歌声はなかなか捨てたものではない。

 異端は「13日の金曜日」と「横をむいちゃいや!」。面白い!イイねぇ。

歌謡曲外伝【サブとかすみと利夫編】

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萩原健一◆ お前に惚れた/兄貴のブギ 1975年

 ソロデビュー作の『ブルージンの子守唄』と同じ阿久悠作詞のシングル第2弾は、ロッカー・ショーケンが見せた歌謡曲を歌う役者の顔である。
 朋友井上堯之の作曲で、演奏は井上堯之スペシャルバンド。
 なんと云ってもこの歌は、冒頭の語りですべての女の子をシビレさせている。いや、男をも魅了させる“間”は、そう、まるで高倉健さんと同じなのよ。

 二十何年…生きてきて~ いろんな女も見てきたけど 
 その~ おまえのような~ おんなに~
 出逢ったことなかったよ
 いや ホント  
 ………
 ホレたよ


 この歌を出したあと、かねてより「映画は神代辰巳、テレビは倉本聰」と云っていたショーケンは、TVドラマ『前略おふくろ様』に出演した。

 B面「兄貴のブギ」は、ブギウギ三人衆が作詞作曲した修とアキラのロックンブギー。
 ジャケ裏に“水谷豊友情出演”と書いてあるように(第二版ではジャケの表面に大きく書かれるようになった)、ブギウギ三人衆とはショーケンと水谷豊と井上堯之のことで、やはりこれも井上堯之スペシャルバンドが演奏している。
 ゴキゲンなのは、歌の合間の修ちゃんとアキラの掛け合い。

 昭和げんろく イイカげんろく
 男マリリン 何処へイクイク
 
    ◇

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川谷拓三◆ 殺〈や〉られ節/昭和の子守唄 1976年

 東映大部屋俳優出身で“3000回殺された男”と異名を持ち、端役とはいえ、役者としてのプロ意識の壮絶さでは伝説として語り継がれている拓ボン。
 鶴田浩二と深作欣二を生涯の師とした、その語りがイイっ。

 『仁義なき戦いシリーズ』で頭角を現わし、川谷のファンだったショーケンの誘いで『前略おふくろ様』に利夫役で出演。これで一気に名が知れた拓ボンだが、やはりいつまでも映画俳優でありつづけた川谷拓三である。どこまでも、端役こそが真骨頂。

 チンピラ役者の悲哀を見事に唄い語った「殺〈や〉られ節」は、深作欣二の詞に平尾昌晃『必殺!』調の曲が付いている。

 映画の俳優ちゅうても、いろいろありまんねん。
 先生と呼ばれな返事もせん大スター。けど、 
 これがわいらになったら「このボケ!カス!
 もっと身ィ入れて歩かんかい!!」名前も呼んでくれしまへん。
 「なんや偉そうにこら、ワレなんぼのもんじゃい。男同志で勝負したろか!」
 と、こう思うても、ぐっとこらえて我慢して、顔で笑うて芝居する。
 なんや健さんやら文太はんみたいでんな。
 せやけど、夢だけは持ってまんおやで、わしかて男や。
 大スターとサシで勝負して、わいの方がうまいやんか、
 ちゅうな事云われたら、こらもう死んでもかましまへん
 …………せやけどなぁ。


 B面「昭和の子守唄」は、荒木一郎作詞・平尾昌晃作曲の『必殺シリーズ』のコンビとなる。
 育ちがいい荒木一郎も、俳優業では敵役がほとんど。大部屋俳優たちの心情は、よ~く理解している立場だっただろう、この台詞よ。

 小百合さん、役者ってェのはね、殺されるったって
 なんでもいいから殺されるって訳にゃいかねェんですよ。
 小さい、ほんとに小さい台詞の無えような役でもね、
 そいつには、そいつなりの死に方ってェのがあるんだ。
 いや…………あるんですよ。
 なんせ、人ひとり死ぬんだ、大事に死んでやらなくっちゃァね。

 
    ◇

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坂口良子◆ サヨナラの下書/One Room 1978年

 『前略おふくろ様』のかすみチャンこと坂口良子が歌うは、両面とも島武実作詞・宇崎竜童作曲。
 木之内みどりの『硝子坂』辺りを継承していて、クールな大人の女性を感じさせる少女の歌声がいい。残念ながら少し声量不足ではあるが、可愛いのだからイイのだ。


「耒タルベキ素敵」沢田研二

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 ジュリーのアルバムで頻繁に聴くのは何だろうと考えたとき、『STRIPPER』『彼は眠れない』と共に絶対にはずせないのがこれだ。

 2000年にリリースされ、ジュリーのオリジナル・アルバムとしては初の2枚組だった本作は、20世紀最後のアルバムとして、ジュリーのこれまでの音楽活動の集大成的な傑作アルバムである。
 8面仕様の紙ジャケットは、シュールでデカダンスな香りがするジュリーらしい装丁だ。

    ☆

[DISC 1]
01 A ・ C ・ B
02 ねじれた祈り
03 世紀の片恋
04 アルシオネ
05 ベンチャー・サーフ
06 ブルーバード ブルーバード
07 月からの秋波
08 遠い夜明け
09 猛毒の蜜
10 確信
11 マッサラ
12 無事でありますよう

[DISC 2]
01 君のキレイのために
02 everyday joe
03 キューバな女
04 凡庸がいいな
05 あなたでよかった
06 ゼロになれ
07 孤高のピアニスト
08 生きてる実感
09 この空を見てたら
10 海に還るべき・だろう
11 耒タルベキ素敵

    ☆

 沢田研二10曲、覚和歌子7曲、GRACE6曲の詞に、ジュリーのこれまでの音楽活動を支えてきたアーティストたちが、それぞれに1人1曲の曲提供で作りあげた作品集で、全23曲中スローナンバーは5曲といったビート中心のロック・サウンドが、様々な個性で彩られている。アレンジとギターはすべて白井良明。

 ジュリー作詞の「A ・ C ・ B」は、ご存知GS華やかし頃タイガースとして生演奏していたジャズ喫茶「新宿アシベ」のことを歌った原点回帰のロケンロール。
 スウィング・ロックな加瀬邦彦の「ねじれた祈り」、下山淳のご機嫌なロック・チューン「世紀の片恋」とつづき、伊藤銀次のスローナンバー「アルシオネ」を挟んで、井上堯之の「ベンチャー・サーフ」も軽快なナンバーだ。

 Tレックス調の弾んだリズムの「ブルーバード ブルーバード」は森本太郎の作品。もちろん“ブルーバード”はタイガースの「青い鳥」へのオマージュで、森本と岸部一徳がコーラスとして参加している逸品。ふたりのコーラス参加は、「この空を見てたら」と「海に還るべき・だろう」でも聴くことができる。タイガースの大ヒットチューンを書いてきたすぎやまこういちの「この空を見てたら」は、「シーサイドバウンド」を思い起こさせる楽曲だ。

 ハードコアな「猛毒の蜜」「マッサラ」スタイル・カウンシル風味の「確信」なども面白いロックサウンドだが、なかでも、ジミヘンの「パープルヘイズ」のリフから始まるムッシュかまやつの「everyday joe」、カルロス・サンタナ風の泣きのギターで始まる大野克夫の「キューバな女」は必聴モノ。このワザとらしさが、ジュリーの音楽の楽しみ方、聴かせ方、ファンを喜ばすステージングに表れてくるのだろう。

 ダルで妖しいムードを持った「耒タルベキ素敵」、これぞジュリー。
 
 そして、宮川泰の「孤高のピアニスト」や平井夏美の「遠い夜明け」を、上質で気品のある名バラッドに昇華するジュリーは、なんてったって永遠のヴォーカリストなのだ。

「Another Better Day 」エディ藩&ROXVOX

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 2004年にリリースされたエディ藩のアルバムは、ヨコハマ最強バンドの中村裕介率いるROXVOXのサポートで、さらりとしたブルース・ロックに仕上がっている。
 気心知れた仲間たちとのリラックスした雰囲気で、大人のブルーズに包まれている好アルバムだ。

    ☆

01 Another Better Day
02 Walkin The Moonlight
03 Mercy, Mercy,Mercy
04 Lonely Night Lonely Blues
05 丘の上のエンジェル
06 Mystery Train
07 長い髪の少女
08 Bony Moronie
09 Day And Night
10 ヨコハマ ホンキートンク ブルース

    ☆

 「Another Better Day」と「AMystery Train 」は、1974年のアルバム『エディ藩とオリエント・エクスプレス/その1』からのセルフ・カバー。
 遺棄される嬰児をテーマに、作家山崎洋子が作詞を担当した「丘の上のエンジェル」('97)は、愛のバラッドとして名演奏であり名曲。エディのギターが泣いている。

 モダンなアレンジで大変身したカップスの大ヒット曲「長い髪の少女」や、さらりと歌う名曲「ヨコハマ ホンキートンク ブルース」のセッション・スタイルなど、スタンダードとも言える曲だからこそベテランにしか出せない深い味わいで聴かせてくれる。
 エディの唄心に酔うことができる。

 マイナー・レーベルからの発売だったため、当時、一般のCDショップでは手に入らなかったものだが、現在、タワレコなどの通販で入手可能。ぜひ聴いて欲しい逸品だ。

「Shining With You」萩原健一

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 1988年リリースのこのアルバム。長いことCDラックの奥の方に置いてあった名盤を、久しぶりに聴いてみた。

 大ヒットチューン「愚か者よ」を生んだ『Straight Light』につづいて、最強のバンドAndree Marlrau Bandとのスタジオ録音2作目は、結局オリジナル・アルバムとしては現時点ショーケン最後の作品(当然、終わりではない)であり、何とも、こんな凄いバンドの音が20年以上も封印されてしまったと思うと、寂しさが募ってくる。

 Andree Marlrau Bandとの前作『Straight Light』のカッコいいジャケと違い、なんでこの写真なんだろうと……。虚ろに見えるショーケンの顔は、より内省的なショーケンが写し取られている。
 
    ☆

“Shining With You”
01. メフィスト・ガール
02. Shining With You
03. Empty Days
04. 泣きぬれて恋をして
05. 哀
06. プレゼント
07. チョイトそこ行くお嬢さん
08. しょうがねえなァ
09. Angel
10. 夜ごと悩ましい夜の海に
11. Woman ~愛しき女達へ~


    ☆

 すべての曲に、ライヴ感覚を活かした緊張感と豪放感がみなぎったバンド・アンサンブルで、ハイレヴェルに完成されたアルバムである。

 「メフィスト・ガール」は、2005年に亡くなった横浜の伝説の娼婦“ハマのメリーさん”をモチーフにした軽快なロックンロール。もちろん1曲目からショーケン節が全開する。
 タイトル曲「Shining With You」は、アコースティック・ギターの音色が心地よい。
 「Empty Days」と「Angel」は、ロッカーショーケンの独断場である。「Angel」は、TVドラマ『豆腐屋直次郎の裏の顔』のエンディング・テーマにも使用されていた。
 グッとくるのが、「泣きぬれて恋をして」「」「プレゼント」の3連曲。ショーケンでなければ、歌えない、語れない。まさにショーケン世界のドラマチック性に震える逸品。泣かないファンはいないだろう。
 スローな曲なら、ロッカ・バラード「しょうがねえなァ」とショーケン流ブルーズの「夜ごと悩ましい夜の海に」も、音楽性豊かな名曲の域に達していると云っていい。
 そしてラスト曲「Woman ~愛しき女達へ~」は、速水清司のギター、鈴木明男のサックス、ミッキー吉野のキーボードが白熱のファンキー・グルーヴを生み出した、ドライヴ感あふれるロック・チューンである。
 けだし名盤であろう。

 ロックンロールの表現者となったショーケンの、自由奔放な歌唱を見事に受け止めるAndree Marlrau Bandのサウンドは、プロデュースとアレンジの井上堯之の絶大なる力によるもの。だから井上堯之の引退宣言は、ショーケンの音楽活動をも危ぶまれるほど重大ニュースだった……杞憂に終われ。
 2003年11月“Enter The Panrher Tour”で、Braque & Marlrau New Barbarians と共に一度は復活したロッカーショーケンだったが、万全の状態でなかった。TVでの歌唱を見ていては、友人から誘われたライヴも足を向けることは出来なかった。
 俳優として復活しているショーケン、シンガーにも終わりはないと思っているから、次、必ず行くよ。