TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「おぎゃあ。」*光石富士朗監督作品



監督:光石富士朗
脚本:野依美幸、光石富士朗、玉城悟
音楽:遠藤浩二
エンディング曲:「星と花」イノトモ
出演:岡本綾、余貴美子、藤木勇人、光石研、阿久根裕子、塩見三省、佐々木すみ江、萩原聖人、三浦涼介

☆☆☆★ 2002年/日本/97分

 本文は、以前別サイトに掲載した作品紹介に加筆修正したものです。

    ◇

 “あなたは子供を産みますか?”“どうして私を産んだの?”

 この問いかけへの答の道筋として“神々の住む島”という別名を持つ沖縄県浜比嘉島を舞台に、妊娠・出産・離婚・家出・破産・死別と重たくなるテーマを、そこに住む人・出逢う人たちをコミカルにスケッチしながら新感覚な映画に仕上げた傑作。

 子供が出来たことを知らずに気ままに放浪する彼を待つために、死んだバアバ(佐々木すみ江)の 故郷で子供を産むことになる19才の花(岡本綾)。
 花が感じとっていく様々な親子の関係は、自分と自分を4歳の時に捨てた母親サチコ(余貴美子)、父親違いの妹まりぃ(阿久根裕子)とサチコ、バアバとサチコ、そして、これから産まれてくる子供と花自身。それらの関係をしっかり見つめ、対峙しながら新たな価値観に目覚めていく花。
 妊娠、出産の不安な気持ちの揺れを岡本綾が好演している。

 豪快でエネルギッシュな母親役で存在感を見せつけるのが、沖縄の母にぴったりと嵌る余貴美子。子供を捨てる母親役は映画版『傷だらけの天使』でも演じているが、ここにいるサチコは一筋縄ではいかない。三番目の夫との間に出来た娘まりぃの彼氏の家庭が資産家と判れば「玉の輿」と大はしゃぎし、一転、その家族が事業失敗で金がなくなると知れば、サラ金業者の間に入って手数料を取るなどやりたい放題。
 そんなサチコを捨てて出ていくまりぃ。娘を追って、走る、走る、走る……走り続けるその姿は、不器用ながらも愛情いっぱいだった母親の姿がむき出しになり、母と娘の心情がぐっと沁みるシーンとなって いる。

 終盤、島の人々も含め出演者全員が夜の浜辺で唄い踊り大綱引きをするシー ンは、人間の逞しさとエネルギーに満ち溢れ、そんな中から新しい“生命”が産まれてくるという喜びを感じさせる。まさに“神々の住む島”の姿だ。

 都会の雑踏の中に立つ花と赤ん坊のラストカットは、生きていくことへの前向きな姿勢が見られ好感。


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「大阪ハムレット」*光石富士朗監督作品



監督:光石富士朗
原作:森下裕美
脚本:伊藤秀裕、江良至
主題歌:倉木麻衣「会いたくて…」
出演:松阪慶子、岸部一徳、森田直幸、久野雅弘、大塚智哉、本上まなみ、白川和子、加藤夏希、間寛平

☆☆☆★ 2008年/日本・アートポート/107分

    ◇

 大阪の下町。お父ちゃん(間寛平)が突然亡くなって、働き者のお母ちゃん(松坂慶子)と3人の息子たちと、お父ちゃんの弟と名乗るおっちゃん(岸部一徳)が、ひとつ屋根の下で暮らす久保家。
 シェイクスピアの“ハムレット”のような複雑な家庭環境に加えて、3人の息子たちはそれぞれに問題を抱えていた。
 高校受験を控えた中学3年生の長男(久野雅弘)は、見た目が老けている自分を大学生と偽りファザコン女性(加藤夏希)と恋に落ちる。ヤンキーの次男(森田直幸)は自分の出生に疑問を抱き、家族と人生に悩みだす。小学生の三男(大塚智哉)は、授業で将来の夢を聞かれ「女の子になりたい」とカミングアウト。
 そんなある日、お母ちゃんの妊娠が発覚………。

    ◇

 悩める3兄弟と、のんきなお母ちゃんと、へたれなおっちゃんの、不器用な5人の奇妙な家族生活が、大阪を舞台にコミカルにほのぼのと描かれている。

 家族の間に流れる空気感がとてもよく、下町の路地という空間が昭和の香りを漂わしているかのように、何だかしみじみとさせてくれる。
 その空間で営まれる家族関係がベトつかず、それでいてよそよそしくなく、親と子、子供と大人の思いが、すっと寄り添っている雰囲気がとてもいい。
 お母ちゃんも、3人の子供たちも、おっちゃんも、お母ちゃんの年の離れた妹(本上まなみ)も、ばあちゃん(白川和子)も、この家族のキャパシティの広さ。否定的なことも受け入れ、すべてに肯定的な姿が気持ちいい。唯一お母ちゃんが怒るシーンも、言葉のない無言の行動が強い印象を残しているが、その時の岸部一徳が可愛いんだなぁ。

 松阪慶子の天真爛漫で笑顔を絶やさないお母ちゃんぶりは、そのまま男性にとっては愛すべき女神でもある。どっしりした貫禄で、息子3人とおっちゃんたち“男家族”ばかりではなく、街中のおとこたちを束ねていくような存在だ。

 “シンプルでナイスな幸せ”を運んできた謎のおっちゃん岸部一徳は、ほんわかとした存在感が秀逸。
 神社の階段でお母ちゃんの手をとり優しく導くシーンをはじめ、お揃いのTシャツを買って来た時の子供のようなはしゃぎようや、松阪慶子とサンドウィッチダンスをするときの笑顔やら、悩んでいるより楽しく生きている喜びを示す温もりをいっぱい与えてくれる。
 映画の冒頭タイトル前に、ぼんやりと玄関先に立った岸部が、最後にはしっかりと家族の一員となっている姿に幸福感が漲っている。

 ばあちゃんの住んでいる島でのエピソードもいい。ほろりと爆笑させてくれる。

 フェイドアウト後のエンドロールが終わってもドラマは続いているから、最後の最後まで席を立たないように。

 せっかく生かせてもろおてんだから
 死ぬとか生きるとか考えんで
 生きとったらそれでええやん


 どんな状況も、活力に満ちたものに変えてくれる大阪弁の力って凄い。

「切狂言」クニ河内と彼のともだち



切狂言
演奏:クニ河内と彼のともだち

ジョー山中(ヴォーカル)
石間秀樹(ギター)
クニ河内(ピアノ)
チト河内(ドラム)

01. 切狂言(芝居小屋の名役者)
02. 人間主体の経営と工事
03. タイム・マシーン
04. おまえの世界へ……
05. 恋愛墓地
06. 女の教室
07. 男から女を見た科学的調査

    ☆

 4~5年前に紙ジャケ仕様でCD化されたが、すぐに廃盤で入手困難になっていた1970年発表の日本ロックの名盤。
 今回、2008年最新リマスタリングの紙ジャケ仕様で再リリースされ、やっと手にすることが出来た。
 
 ハプニングス・フォーのクニ河内のソロ・アルバム名義となっているが、フラワー・トラヴェリン・バンドのジョー山中と石間秀樹の参加共演により、サウンドはふたりの比重がかなり大きくなっている。

 全曲クニ河内の作詞・作曲の歌詞はすべて日本語で、当時“日本語ロック”の雄であるはっぴいえんどに対して“英語ロック派”のフラワー・トラヴェリン・バンドだっただけに、ここでのジョ-山中の日本語ロックは聴きもの。
 もちろん、東洋音階を用いたシタール風ギターで独特の世界観を醸し出している石間秀樹のギターもつややかに響き渡っている。

 アルバムは、この少し前にファースト・アルバム『エニウェア』をリリースしたばかりのフラワー・トラヴェリン・バンドの試験的作品と云ってもいいのだろう。

  

「銭ゲバ」ドラマ化



 「よど号ハイジャック事件」「三島由紀夫割腹事件」、犯人射殺でケリがついた「シージャック事件」などが起きた1970年。
 高度成長期後期、「大阪万博」が開催された1970年。
 ビートルズが解散し、映画「イージーライダー」の日本封切で病めるアメリカを突き付けられた1970年。
 そんな迷走する時代に、漫画週刊誌「少年サンデー」に連載されたピカレスクロマン『銭ゲバ』。

 それまでの少年漫画史に類を見ないほど過激で衝撃的だったこの作品は、そのアンチヒーローぶりが麻薬のように魅力的であり毎週楽しみに読んでいたっけ。
 40年近くも前の作品なのに、描かれたバックボーンが荒廃した現代にぴったりと当てはまってしまうのだから、まさに今、ドラマ化の意味がある。

 今季一番期待していたドラマの出来は、今後も波乱に満ちた展開になるだろうと推測できる快調な出だしだった。
 殺人・強姦・放火・詐欺・強請・賄賂はもとより、貧富と障害者の差別から企業のアンモラルな体制(原作は水俣病など公害問題)など社会の悪のオンパレードとなる作品だから、今後、賛否両論のドラマとなること必至だろう。漫画連載時にも悪書指定にされていたもんね。

 脚本は、家族愛をずっと描き続けてきた岡田惠和。金に執着し悪徳の限りをつくす主人公の、愛の渇望の姿をじっくり描いてくれると思う。
 松山ケンイチの冷徹漢ぶりもぴったりだし、久々に暴力的な男を演じた椎名桔平や、薄幸な奥貫薫、人の好い光石研とりょうの夫婦、お嬢様であり銭ゲバと深い関わりを持つようになるミムラなど、魅力ある俳優が脇を固めている。蒲郡風太郎の少年時代を演じた齋藤隆成くんは、やはり同じように『流星の絆』で二宮くんの少年時代を演じていたけど、この子役の少年も巧いよなぁ。

 それにしてもTV業界不況の時代に、よくぞスポンサーを説得したものだと思っていたら、案の定、クレジット表記はSUZUKIとコカ・コーラの2社だけでNTTドコモは表示なし。そして明治製菓は降板したらしい。

    ◇

 今季の連ドラマで『銭ゲバ』のほかに見たものは、山田太一脚本の『ありふれた奇跡』と、水橋文美江脚本の『トライアングル』。

 『ありふれた奇跡』の第1話は、仲間由紀恵と加瀬亮との会話が、独特の言葉のリズムを持っていて面白く見ることができた。ただ、2話では説明台詞を多く感じた。
 加瀬亮は巧いねぇ。風間杜夫と井川比佐志との3人家族団欒のシーンは出色。
 第1話では塩見三省の存在も大きかった。
 反対に、仲間由紀恵って演技が巧いのか下手なのか判んないのだな。『トリック』や『ごくせん』のようなキャラが立っているものは、美しさの存在だけで見ていることができたのだが…………。八千草薫、岸辺一徳、戸田恵子の間で浮いている。この家族に、ドラマとしてのリアリティを感じられないので、とりあえず3話以降の鑑賞は未定。

 『トライアングル』は、謎だらけの人物配置に惹かれた。
 が、配役の年齢設定に無理を感じるところがあったり、稲垣くんの稚拙さが恥ずかしくなったりするのだが………。それと、目をキョロキョロさせる江口洋介。こんなダイコンだったの?と思わすような演技が目立つよ。


「北陸代理戦争」*深作欣二監督作品

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監督:深作欣二
脚本:高田宏治
音楽:津島利章
出演:松方弘樹 、野川由美子、地井武男、 高橋洋子、伊吹吾郎、矢吹二朗、西村晃 、ハナ肇、遠藤太津朗、成田三樹夫、 千葉真一

☆☆☆★ 1977年/東映/98分

    ◇

 北陸のやくざ富安組若頭の川田(松方弘樹)は、約束を不履行する組長の安原(西村晃)をリンチ。川田に勝ち目のない安原は、弟分の万谷(ハナ肇)を通じ、万谷と親交のある関西浅田組傘下の金井組組長( 千葉真一)に相談をするが、北陸を手中にしようと考えていた金井組はその富安組の親子喧嘩につけ込もうとしていた。
 万谷の闇討ちで瀕死の重傷を負った川田は、情婦のきぬ(野川由美子)の助けを得て、郷里の妹・信子(高橋洋子)の元に隠れるが、その間に北陸は金井組の傘下に落ちてしまった。
 万谷に復讐をして刑務所に入る川田。出所後、弟分の花巻(矢吹二朗)と潰された谷中組の若頭・竹井 (伊吹吾郎)の三人は、同じ浅田組のなかで金井の強引さに手を焼いていた幹部の岡野(遠藤太津朗)に話をつけ、金井組を北陸から追い出す策に出る。しかし今度は岡野組が幅を利かすようになり、川田は安原と万谷らと共同戦線を張ろうと持ちかける……。
 
    ◇

 深作欣二監督と脚本家笠原和夫によって確立された東映の実録やくざ路線も、既に飽和状態に陥った1977年。『仁義なき戦い』のひとつとして企画されながら菅原文太の出演が流れたため、松方弘樹主演の単独作品として製作された。

 「厳冬の地で大組織相手に牙を剥いた男たちのヴァイオレンス」の惹句通り、『仁義なき戦い』的なやくざ同士の内部闘争がメインで展開し、ジープスタントやヴァイオレンス描写も極まっている。
 開巻すぐに親分の西村晃が雪原の中に首だけ出して埋められているシーンは、実際に猛吹雪の中で撮影されているのだから、西村晃の体当たりの演技には感動さえしてしまう。
 深作映画に出演する俳優たちって、主役級から大部屋俳優まで揃いもそろって常人では考えられないような役者魂を見せつけるから凄い。
 渡瀬恒彦が雪原でジープ事故を起こし瀕死の重傷を負い、伊吹吾郎が代役となって出演したことは有名なエピソードで、予告編にその無謀ぶりが映されていたが、結局その危ないシーンは代役でも撮影はされなかったようだ。

 一方、これまでの深作映画と少し違った趣として、激しい男と女のドラマが展開する。野川由美子と高橋洋子演じるふたりの女の生きざまが密度の濃いドラマとなり、男たちを喰ってしまっているのが異色。
 ふたりの女優が主役といってもいいくらい素晴らしい。

 松方弘樹、ハナ肇、遠藤太津朗ら男の間をしたたかに渡り歩く姉・野川由美子と、夜這いにきた男を半殺しにするくらい激情な妹・高橋洋子。松方を介抱するなかで恋愛と同志的感情に動かされる高橋は、極寒の廃屋のなかで松方の出所を待つ一途な女の情念を見せる。
 きょうだいは野川と高橋の間に地井武男を挟んだ3人で、この地井が「裏切る男」にかけては天下一品。終盤、実妹の高橋をチンピラたち(小林捻侍)に凌辱させるのだから凄い。挙げ句は、高橋洋子の出刃包丁でメッタ裂にされる悲惨な最後。

 そしてラストの、野川由美子の毅然とした姿には惚れ惚れ。 
 脚本の高田宏治が『鬼龍院花子の生涯』('82)を経て、『極道の妻たち』('86)での気丈な女たちの姿を物語り完成させたのも、この野川由美子の女傑ぶりから始まったのだろう。

 こうして深作欣二に始まった東映実録映画は、深作の手によって“最後の傑作”として幕を下ろされた。


「オリンピックの身代金」奥田英朗



 昨年暮れに出版された奥田英朗の新作は、東京オリンピックが開催された1964年を舞台にした極上の犯罪小説だ。

 昭和39年夏、10月に開催されるオリンピックに向け、東京は建設ラッシュに湧き大変貌を遂げようとしていた。
 8月、警察最高幹部の邸宅と警察学校が次々と爆破される事件が起こり、当局に「オリンピックを妨害する」と脅迫状が届いた。しかし、そのことは国民に伝わることなく、警察は国の威信を賭けて捜査を始める。

 秋田の貧農村出身の東京大学経済学部学院生の島崎国男は、出稼ぎでオリンピック関連の工事現場で働いていた兄の遺骨を受取りに飯場へやってきた。
 孫受会社の社長の云う通りに簡易な葬儀を済ませ田舎に帰るも、兄の生活を実感するためにその飯場でアルバイトを始める。
 優男の国男には過酷な仕事であったが、そこで見知ったものは、東京と地方の格差、過酷労働を強いられる出稼ぎ労働者の現実であり、やがて国をあげてのオリンピックに疑問を持つようになる。

 そして、若きテロリストと警視庁や公安警察との熱い闘いがはじまった………。

    ◇

 『最悪』『邪魔』と、たて続けに第一級のサスペンス小説を出版し、その後、直木賞受賞の『空中ブランコ』や『サウスバウンド』『真夜中のマーチ』といったライトな作品の執筆が多くなっていた奥田英朗が、久々に放つクライム・サスペンスは読み応えのある大作となっている。

 日本の高度成長期の裏側を、丹念な取材と緻密な時代考証で描く筆力は圧倒的。
 昭和39年当時の時代描写は実に見事だ。 
 「富」と「貧困」の不平等、「繁栄」に取り残される側の差別や理不尽な社会。
 そんな日本の“光と影”をあぶり出す展開は、平成の格差社会への痛烈な批判にもなっており、質の高い社会派エンターテインメントの傑作として楽しむことができる。

 時系列をバラバラにした構成は、同じ状況を立場の違う視点から語ることで事件の裏側を描く臨場感となり、スピーディでスリリングな展開がサスペンスを盛り上げていく。
 
 登場する多くのキャラクター描写も、この時代のリアルな風景に溶け込んでいる。
 なんと云っても主人公の島崎国男が断然魅力的で、途中から相棒になるベテラン“箱師”(スリ)の村田留吉とともに、ふたりのコンビネーションがとてもいい。

 読み始めてすぐに連想したのが映画『太陽を盗んだ男』と『新幹線大爆破』だった。国家、体制への反逆と云う意味で、その痛快さにおいてもテイストは同じように感じる。
 歌舞伎役者を想わせる端正な顔だちの国男に、若き日のジュリーを重ね合わせても不思議ではない。そういえばドラマ化('01)された『最悪』では沢田研二が主人公を演じていた。

 価格に見合うだけの満足を絶対に得られる、お勧めナンバーワンの大傑作だ。

    ◇

オリンピックの身代金/奥田英朗
【角川書店】
定価1,890円(税込)

猟盤2日目

 正月休み最後の日曜日、午前中は月曜納品の仕事を片付け、午後から猟盤探訪に出かけた。風のない穏やかな午後だったので、自転車で複数を見て廻った。いまや中古レコ屋はヒップホップやパンク系主流になっており、ロックや歌謡曲は店の奥の片隅に少しだけの状態。
 それでもブルース・ロックは結構多く在庫があった。ストーン・ザ・クロウズのUK盤ファーストやラスト・アルバム、キーフ・ハートレー・バンドUK盤は10数年前より20%くらい安くはなっていた。
 やたら多く目についたのは、テンプターズの「イン・メンフィス」2ndプレスや再発盤。三桁になっていたら買ったのだが……。

 結局4軒の店を巡って購入は以下、いしだあゆみのLP『何があなたをそうさせた LONELY NIGHT WITH AYUMI ISHIDA』と、安倍里葎子のCD『ヒストリー ~20年の足跡~』の2点。



 いしだあゆみのレコードはコロンビア時代の1970年にリリースされた2ndアルバムで、「今日からあなたと」「喧嘩のあとでくちづけを」「あなたならどうする」「昨日のおんな」「何があなたをそうさせた」のたて続けのヒット曲AB両面曲と、当時このLP用の新録曲「別れてもなお」「生きてることが嘘みたい」の2曲を収録したベスト・ヒット盤。
 珍しいものではないけれど、「別れてもなお」「生きてることが嘘みたい」がCD6枚組の『これくしょん』でしか聴けないとなればレコードで聴くしかなく。



 豪華美麗三面見開きジャケットはポートレートとして素晴らしく、状態は新品に近いブツ。ジャケはシミもカビもなく、もちろん日焼けもなしの帯付。盤も、ミント状態のスレなしスピンドル・ホールの汚れなし。そして安価。買わない理由がないのよね。



 安倍里葎子は、LPとシングルは何枚も持っているのだがCDは初めて。探していたけど中々見かけないものだった。紙ジャケ復刻して欲しいひとりだなぁ。
 これは1991年にリリースされたもので「愛のきずな」('70)「孔雀の羽根」('73)「雨のルンバ」('75)「くわえ煙草」('79)は繰り返し聴きたい名曲。

猟盤ダダ

 今年最初の猟盤は、昨日映画「シャイン・ア・ライト」二度目の観賞後、2軒の中古レコ屋を巡ってLP1枚とシングル盤7枚を購入。



 以前紹介した記事〈甲斐バンド「虜~TORIKO」〉にも書いたのだが、このLPにはフィルムが3枚付属していて、それを重ね合わせると女性が縛り吊るされた写真になり、そのモデルが若き日の余貴美子さんだったという衝撃があった。
 見つけたものは、フィルム3枚/カラーピンナップ/歌詞カード/帯付の完品。



 CD紙ジャケでフィルムが復刻したとはいえ、やはり大きく写った余さんの写真は持っていたい。



 シングル盤の10円コーナーから200円300円のハコを漁ってみての拾い物は、あばずれ歌謡の傑作山川ユキの『新宿ダダ』かも。ダダダダダダダダダダ
 高樹澪の『生活美人』('83)はセクシージャケとして持っていたいもの。タイトル曲は沢田研二作曲チト河内編曲の佳作。
 『矢車の花』('81)で活動再開した北原ミレイは、B面の中村泰士作詞作曲『雨音』で聴かせてくれる気怠さに満ちた歌唱がとてもいい。
 奥村チヨの『Moi モア』('81 )も、歌手活動再開後の作品。ジャケ写で買わせてもらった。
 筒美京平のカバー曲『太陽は泣いているセンセーション'78/涙は紅く』を歌ったのは、映画「番格ロック」や「聖獣学園」に出演していた山内えみこ改名後の傑作。ともにディスコ歌謡にアレンジされており、鍵山珠里や山本リンダが歌った『涙は紅く』はマリアッチ風味で雄大な世界に変身している。
 梶芽衣子は、どんなものでも見つけたら買っておくに限る。

 さて、平均300円の買い物は今月の予算を考えるとちょうどいい。明日も別の店を探訪してみようかな………。



開封、ストーンズ・ボックス



 元旦の昼下がり、ザ・ローリング・トーンズ in the 60's コレクターズ・ボックスのシュリンクを破るのに相応しい時間がやってきた。
 2006年の紙ジャケ・シリーズは一枚も所有していないので比較することはできないが、一枚一枚オリジナル・ネガ(ポジ)を使用したかのような写真の発色の良さ(特にボーナス紙ジャケの日本独自ジャケ)と輪郭のクリアさは、ただただ奇麗なジャケットを眺めるだけで楽しい。