TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

ロック喫茶懐古

 70年代前半、ROCK専門にレコードを流すロック喫茶ってものが全国に数多くあった。扉を開けば大音量に包み込まれ、ロック・ミュージックにトリップするヒッピーたちのたまり場でもあった。
 そんなロック喫茶のマッチデザインを数個見ながら、当時を少し懐古してみよう。
 髪を背中まで伸ばし、眉を剃り、口髭を生やし、ロンドンブーツとぴっちぴちのパンタロン(ベルボトム)ジーンズに身を包んでいた頃のことだ。

  

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フラワー・トラヴェリン・バンド再始動

 35年ぶりに、フラワー・トラヴェリン・バンドが再始動する!

 ジョー山中 、石間秀機 、上月ジュン 、和田ジョージのオリジナル・メンバーに加え、当時からサポートを務めていた篠原信彦(key)を正式に加えた5人編成!

 4月23日には、「SATORI」 「MADE IN JAPAN」 「MAKE UP」が、国際郵便を模した特殊ダンボール・ジャケット、鞄型特殊アウター・ジャケット、ポスト・カード、インナーカードetc……封入物を可能な限り忠実に再現した紙ジャケット仕様で一般発売されます。

FLOWER TRAVELLIN' BAND ☆official site☆

ホトケのTOKUZOライヴ



 25日、名古屋・今池のライヴハウス・TOKUZO《得三》で見てきた永井“ホトケ”隆のライヴのことも少し書いておこう。

 70年代初め、京都を中心に活動していたブルース・バンド“ウエストロード・ブルース・バンド”は、72年のB.B.キング来日時にオープニング・アクトを務めたことや、74年の“8.8 Rock Day”でのライヴが有名だ。
 山岸潤史と塩次伸二のツイン・ギター、ホトケのしゃがれたソウルフルなヴォーカルが魅力で、東京にいた頃、吉祥寺のライヴハウスへ見に行ったこともある。

 相変わらず細くてカッコいいのよ!

 久々のライヴハウス……このくらい小さい所で聴くBluesは断然いいよな。
 ステージはレコーディング・スタイル風。店のド真ん中に永井“ホトケ”隆 vo&g、沼澤尚 dr、中條卓 b、KOTEZ bluesharpの4人が向かい合い、お客が彼等を囲むスタイルがグ~っ。
 
 “blues.the butcher tour”と名打って、ブルース・クラシックのオンパレードが良かった。
 ブルース・ロックとして馴染みある「ヘルプ・ミー」「スプーンフル」「イッツ・ハーツ・ミー・ツゥー」「キリング・フロア」「トップ・オブ・ザ・ワールド」「ブルース・ウィズ・ア・フィーリング」などなど……ハーピストのKOTEZのエンターテインメントな演奏も凄く、60年代のポール・バターフィールド・ブルース・バンドを聴いているような感じ…………1st ステージと2nd ステージ、アンコールを含め2時間半近いライヴは感動ものでした!!

 そうそう、ホトケっててっきり関西の人間だと思っていたのだが、なんと、名古屋の城山中学出身だって。知らなかった~、隣の学区ではないか………。もちろんホトケの方が先輩ですが、近所に居たのね、って感じで驚いてます。

 6月に新作CDを発売して、リリース以降のツアーではムッシュと共にTOKUZO《得三》に来るそうだ。
 今度も行くぞぉ。

永井“ホトケ”隆 ☆official site☆

「今池音頭」ザ・ピーナッツ




 お懐かしゅうございます。

 名古屋出身のザ・ピーナッツが歌った、名古屋は今池という地のご当地ソング『今池音頭』を、去年2007年9月頃に復刻したときの告知ポスターです。

 “おとっつぁん、CDができたわよ。”

 このコピー、いいっすねぇ。

 昨晩、今池のライヴハウスTOKUZOへ永井“ホトケ”隆(元ウエストロード・ブルース・バンド)のライヴを聴きに行き、ホトケのBLUESにも大いに盛り上がってはいたのだが、店内に貼られていたこのポスターを見てしまったら、一緒に行った友人ともっと盛り上がってしまい、CDも買ってきた。



  ♪ハァ 名古屋ネ 
    今夜会いましょ メトロの駅で ヨイトナ
      ジャズが呼んでる チョイト 今池で

   ソレ 来てみな 来てみな 寄ってみな 
      金の鯱 ピーカピカ  ♪
     
 ザ・ピーナッツは1959年に『可愛い花』でデビューしており、この『今池音頭』は『情熱の花』『悲しき16才』などヒットを連発して間もない1960年7月にレコーディングされ、まずは78回転のSP盤で、そして翌61年に45回転のドーナツ盤で発売されたのだ。
 発売は名古屋地区限定で、まさに幻の曲となっていたもの。
 このCDも、名古屋市内でも他の場所では買えないといった、超ミクロ今池限定で発売されているので、欲しい方は下記まで………

◆定価:1,000円
◆問い合わせ:TOKUZO
052-733-3709
info@tokuzo.com

◆製作:キングレコード(株)
◆販売:今池商店街連合会

名美BOX



 石井隆監督の“名美3部作”『死んでもいい』『ヌードの夜』『夜がまた来る』が、ニューマスター・デラックス版としてロープライスで再リリースされた。

 旧盤は“アルゴピクチャー・シリーズ”として発売されており、もちろん3作とも所有しているのだが、今回ジェネオンからの再発がHDテレシネによるスクイーズ・ニューマスターということと、amazon.jp からは限定の特典BOX SETが出るということで、新たに3作品を購入した。

 DVDはピクチャー盤になり、本編マスターとジャケット&ブックレットが新装された。特に『死んでもいい』のジャケットは大きく変わっているが、各作品の特典映像は2000年に収録されたものと同一。

 さて肝心のニューマスターだが、素晴らしい映像に生まれ変わっている。(但し『夜がまた来る』は、アルゴ盤もテレシネ仕様だったため大きな違いはない)
 石井隆の世界“夜”“雨”“ネオン”が、このニューマスターによって際立って鮮明になった。

 『死んでもいい』の、雨に煙った街の景色。
 『ヌードの夜』の、タイトルにかかるネオン状のフレアの赤色。
 もちろん、紅次郎の事務所のネオン管の発色もしかり。
 余さんが身につけたオレンジ色のボディーコンシャスも鮮やかだ。

 別の作品といえるくらい、印象は変わった。

「ショーケン」萩原健一 自叙伝

 装画 萩原健一

 ショーケン……萩原健一……57歳にして全てを曝け出しています。

 俳優やタレントの書いた自叙伝なんてものを買ったのは……山口百恵の『蒼い時』以来だろうか。
 週刊誌やテレビで、関係のあった女優名が実名で書かれていることばかり報道していたから買うのをはばかっていたのだけれど、どんなに世間から叩かれていても、ショーケンのこと好きだからなぁ。

  “愛と別れ、友情と確執、喧騒と孤独。
   そろそろ本当の話をしておいたほうがいい、そう思った。 ”

 ショーケンが、いったいどんなこと語ったのか、確かめたくて買った。

 世話になった人のこと、自分のこと、これまでの破天荒な生き方が、正直に語られている。
 そりゃあ、自分可愛さに好いように語っているところがあるかもしれないが、それでも、ショーケンの“いま”の言葉があふれているのは間違いないと思う。

 GSデビューする前の不良中学生だったころ、テンプターズのデビューのきっかけ、PYG解散の話、そして、俳優として歩みだし映画の製作に関わったエピソードが、リアルタイムで見てきた世代としては面白く、その我がまま放題な生き方に共感はしないものの、特異な存在の俳優/歌手だったことは確かであり、あらためて貴重な役者なんだと思う。
 
 深作欣二、工藤栄一、神代辰巳、勝新太郎、室田日出男、川谷拓三、松田優作、岸田森、岸田今日子、夏目雅子………俳優・萩原健一に所縁のある人たちは、もういないんだよなぁ。

 ショーケンの行動が世間から誤解されるのは、何をおいても彼が天才的なクリエイターだからだ。キャスティングやシナリオに関わることで、ひとつの作品に取り組む姿勢が半端じゃない情熱であふれていたこと。常に何にでも“本気”だったこと。彼の性格を知ることで、少しは理解が出来よう。

 エピローグには哀しくなるような言葉が並んでいるが、半生の自戒、身に起った身体の異常、そして、これからの復活への力強い決意を読んで、いつか、ちゃんと復帰出来ることを願う。
 ファンとしてできることは、これからもずっと応援していくことだけですから。

    ◇

ショーケン/萩原健一
【講談社】
定価 1,600円(税別)


「東方見聞録」岡崎京子



 1990年ころに初めて岡崎京子の『pink』を読んで以来、彼女の単行本を買い集めはじめた。
 これは、岡崎京子の未単行本化だった初期の作品で、1987年『ヤングサンデー』誌(月2回刊)に連載されていたもの。

 ハワイに住む海外育ちの女の子キミドリが、大金持ちのお婆ちゃんの結ばれなかった恋の相手の孫の男の子・吉太郎と、東京のいろんな場所を巡りながら写真を撮ってお婆ちゃんに送る。

 東京タワーにはじまって、銀座・原宿・吉祥寺・神田・国立・江ノ島etc……快楽的都市空間とは懸け離れたトコロにシニカルな視線を向けた、80年代の岡崎流東京見聞録である。

 同じ頃に書かれていた『くちびるから散弾銃』が、バブルに浮かれた世相観と物欲主義の3人組を描いていたのに対して、この作品は、バカ騒ぎなんて無縁な、ほんわかとした、ポップに弾けた感覚で青春を描いている。90年代に入って出現する“無表情な主人公”は、まだいない。

 90年代の岡崎作品は“性と暴力と死”“愛の空虚感”“ユートピアの渇望”“ノン・リアリティ”…………………「pink」「リバーズ・エッジ」「ヘルター・スケルター」などのような作品ばかりではなく、こんなハッピーエンドの青春ものも、また愉し。

 ストーリーよりも、岡崎京子の東京への思いが詰め込まれた雑感的展開が魅力かな。

    ◇

東方見聞録~市中恋愛観察学講座/岡崎京子
【小学館クリエイティブ/小学館】
定価 1,200円(税別)


レココレ4月号/J.メイオール特集



 先に紹介したジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのデッカ時代アルバムの紙ジャケ発売に連動して、ジョンの現在までの足跡とメイオール学校の卒業生名簿が特集されている。

 これを読んでいてあらためて思うのは、当時はブルースブレイカーズに在籍していたことが指針となり、編集アルバム『Looking Back』の見開きに書かれていたメンバ-変遷を見ながら、キーフハートレー・バンドやストーン・ザ・クロウズの輸入盤を探し廻ったり、マーク=アーモンドやコロシアムのレコードを買っていたのだなぁ。

 寺田正典も書いているが、『プライマル・ソロズ』で発表された68年のライヴ録音「Start Walkin'」(『ベア・ワイアーズ+6』のボーナストラックも同一)でのミック・テイラーのギターは、超絶ものである。

 もうひとつの特集は大滝詠一。
 3月21日に発売される『ナイアガラ・カレンダー』は、“30th Anniversary Edition”として78年ヴァージョンが初CD化されるのです。
 嗚呼、面白レコードは、ただ聴くのみ。


「ジバク」山田 宗樹




 『嫌われ松子の一生』の山田宗樹の書き下ろし最新作がとても面白く、一気に読み終えた。

 …………………

 42歳の麻生貴志は、外資系投資会社で年収2000万円を稼ぐファンドマネージャー。セレブに憧れる美しい妻・志緒理と1億4000万円のマンションを購入する予定を立てていた。
 自らを“人生の勝ち組”と自任する貴志は、高校の同窓会でかつての憧れの女性ミチルと再会する。ミチルに振られた過去を持つ貴志は、自分の虚栄心を満たすためにミチルにインサイダー情報を提供し、大金を得たミチルに対して征服感を味わいながら、肉体関係も持つようになる。
 ある日、貴志の元にミチルとの情事の写真が送られてくる。

 脅迫、解雇、離婚………それが、転落のはじまりだった。

 未公開株詐欺に手を染め、同棲する女に保険金目的で焼き殺されかけ、挙げ句の果て、交通誘導員の仕事中に車にはねられ左足を失ってしまう………

 …………………
 
 “『嫌われ松子の一生』男性版”と惹句に書かれていたように、救いのない男の話である。

 一度転がるように堕ちてしまった人生を、立て直すことがどれだけ困難なことか。坂道を転がるようにして、あらゆる所にぶつかりながら、辿り着くところが自分でもわからなくなる。分相応をわきまえる自己を持ったものから見たら、自業自得な男の転落劇だが、どこにその落とし穴があるか、誰にも判らないのだから笑えない。

 松子の不幸な一生は、本人にとっては幸せな転落人生だったように見えたが、この中年男の転落はどこまでも愚かだ。女の度胸と開き直りに比べ、ただ惨めなだけである。堕ちてしまった男と女の違いがよく判る。
 
 『松子』のときもそうだったが、この作者の小説は画面転換がスピーディーで、情景描写や語り部分が映画を見ているように読み易い。だからといって文章が軽いわけではなく、逆に、ちょっとした登場人物の描写さえきわめて魅力的に描かれている。

 終章で描かれるいかにも愚かな男の行動が、女との差なのかもしれない。

    ◇

ジバク/山田 宗樹
【幻冬舎】
定価 1,600円(税別)

オーティス・ブルー/OTIS BLUE



OTIS REDDING / OTIS BLUE : collector's edition

 天才ソウル・シンガー、そして、最高のヴォーカリストであるオーティス・レディングの、1965年の不朽の名盤『オーティス・ブルー/OTIS BLUE』が2枚組デラックス・エディションで4月23日に発売されます。
 ライヴ・ヴァージョンを含むmono/stereoのボーナス曲は、ソウル・ファンもロック・ファンも必聴です。

 初めて買ったオーティスのレコードは、ジミ・ヘンドリックスとのカップリングだった『Liv at Monterey International Pop Festival 』の輸入盤。ロック世代には、何と言ってもこの“モントレー・ポップ・フェスティバル”のステージが印象的。
 1967年の夏。アメリカはベトナム戦争が泥沼化、人種差別運動の吹き荒れるなか、白人のヒッピーで埋め尽くされたフェスティバルのなか、ひとりソウル・シンガーとして登場したオーティス。
 同じ黒人でも白人相手のロック・アーティストのジミ・ヘンドリックスとは趣が違っていたはず。
 しかしオーティスは、そのヒッピーの聴衆たちを釘付けにしたのだ。
 ブッカーT&the MGSをバックに歌う彼の魂の歌声、その全霊を込めてシャウトするヴォーカルに打ち震えない者はいない。
 合い言葉は“愛しあってるかい?”
 ソウル・ミュージックのメッセージが届いた夜だった。

 後年オーティスの映像を見ることができた。切々と歌いかける「愛しすぎて/ I've Been Loving You Too Long」の、何と神々しいことだったか。
 
 モントレーのステージの半年後、1967年12月に26歳の若さで飛行機事故により他界したオーティス。

 「ドック・オブ・ザ・ベイ」(死の数日前にレコーディング)「ペイン・イン・マイ・ハート」「シャウト」「マイ・ガール」「リスペクト」………偉大な彼の功績は、ソウル界だけにとどまらずロックの世界へも多大な影響を与えたこと。

 オーティスが歌う「サティスファクション」は、ローリング・ストーンズの楽曲を幾多のアーティストがカヴァーする中で、いまだ最高のヴォーカルである。


【SONG LIST】

Disc 1
01. オール・マン・トラブル (Remastered Mono Single/Album Version)
02. リスペクト (Remastered Mono Single/Album Version)
03. チェンジ・ゴナ・カム (Remastered Album Version)
04. ダウン・イン・ザ・ヴァレー (Remastered Album Version)
05. 愛しすぎて (Remastered Mono Single/Album Version)
06. シェイク (Remastered Album Version)
07. マイ・ガール (Remastered Album Version)
08. ワンダフル・ワールド (Remastered Album Version)
09. ロック・ミー・ベイビー (Remastered Album Version)
10. サティスファクション (Remastered Mono Single/Album Version)
11. 恋を大切に (Remastered Mono Single/Album Version)
12. 愛しすぎて (Mono Mix of Stereo Album Version)
13. アイム・ディペンディング・オン・ユー (B-Side)
14. リスペクト (Mono Mix of Stereo Album Version)
15. オール・マン・トラブル (Mono Mix of Stereo Album Version)
16. エニー・オール・ウェイ (B-Side)
17. シェイク (Live, 1967 - Stereo Mix of Single Version)
18. オール・マン・トラブル (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)
19. リスペクト (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)
20. 愛しすぎて (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)
21. サティスファクション (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)
22. アイム・ディペンディング・オン・ユー (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)
23. エニー・オール・ウェイ (Live At The Whisky A Go Go, 4/'66)

Disc 2
01. オール・マン・トラブル (The Original Stereo Album)
02. リスペクト (The Original Stereo Album)
03. チェンジ・ゴナ・カム (The Original Stereo Album)
04. ダウン・イン・ザ・ヴァレー (The Original Stereo Album)
05. 愛しすぎて (The Original Stereo Album)
06. シェイク (The Original Stereo Album)
07. マイ・ガール (The Original Stereo Album)
08. Wonderful World (The Original Stereo Album)
09. ロック・ミー・ベイビー (The Original Stereo Album)
10. サティスファクション (The Original Stereo Album)
11. 恋を大切に (The Original Stereo Album)
12. リスペクト ('67 Version)
13. 愛しすぎて (Live In Europe, 3/'67)
14. マイ・ガール (Live In Europe, 3/'67)
15. シェイク (Live In Europe, 3/'67)
16. サティスファクション (Live In Europe, 3/'67)
17. リスペクト (Live In Europe, 3/'67)


ジョン・メイオールの世界



 40年近く、BLUES ROCKを音楽嗜好としてきた原点って何だろうと考えたら、やっぱりこの御大に他ならない。

 今年75歳を迎えるブリティッシュ・ブルースの父ジョン・メイオールは、デビュー当時から永遠のテーマとしているBLUES音楽への探究と改革を常としており、2008年現在も精力的に活動を続けている。

 彼が作ったブルースブレイカーズから輩出された、エリック・クラプトン(CREAM)、ピーター・グリーン(FLEETWOOD MAC)、ミック・テイラー(ROLLING STONES)の3ギタリストこそ、後のブリティッシュ・ロックへの礎にもなり、今日のBLUES ROCKというジャンルの発展にも繋がったと思うのは間違いない。
 
 そのジョン・メイオール&ブルースブレイカーズがデッカ/デラム・レーベルに残したアルバム8枚(『BLUES BREAKERS with ERIC CLAPTON』は既発)が、紙ジャケット仕様/高音質リマスターで一堂に甦りました。
 ユニバーサル・ミュージックと日本ビクターが共同開発した新しいCD素材[SHM-CD]を使用した、まったく新しいCDと考えていいのだろう……かな。
 もちろん初回限定盤。今回購入した4枚は、全てオリジナルMono盤で所有しているが、やはり紙ジャケとなると食指が伸びてしまい、16日以後には『The Diary of the Band』を買うつもり……。

 これまでにリマスター盤は、2003年に『A HARD ROAD 』がアメリカ編集の2枚組Expanded Editionとして発売されています。これはピーター・グリーン在籍時の録音をボーナス・トラックとして網羅しており、中々重宝した代物でした。
 今回は、いままで長いこと再発がされていなかったミック・テイラー期の3枚のアルバムがリマスターされたことが嬉しいな。
 各アルバムに収録されたボーナス・トラックは、『A HARD ROAD 』Expanded Editionに収録されたものなどを含め、年代順に納められていますが、目玉は、2007年に輸入盤『Live at BBC』で発掘されたP・グリーン在籍時のBBCライヴ4曲かな。本邦初です。

 音質・音源以外に興味深いのが、紙ジャケの再現度の高さ。英国オリジナルLPアルバムを忠実に再現した光沢や見開きの具合も良いのですが、以外と再現されないのがオリジナルのレコード番号。
 しかしこれには、DECCA SLK 4000番台の数字が表面・裏面にきちんと印刷されています。こういった細かい箇所を手抜きしないで再現してくれると、断然嬉しくてニヤニヤしてしまうのですよ。

※以下、トラック・リスト ↓

ハスキー女性R&Bシンガー



NANETTE WORKMAN / Mississippi Rolling Stone

 カナダのR&Bシンガー、ナネット・ワークマンの2005年の作品が、BSMF Records 《BLUES WOMAN series 2008 》の第1弾として発売された。
 エモーショナルな女性ヴォーカル・アルバムの逸品です。

 1945年生まれの大ベテランシンガーのナネットは、旧姓ナネット・ニューマンの名前で1960年代から活躍しており、ローリング・ストーンズの「無情の世界」とアルバム『LET IT BLEED』の「カントリー・ホンク」にコーラスで参加していたり、70年代はピーター・フランプトンのツアーでメインヴォーカルを担当していた。

 80年代からは女優もこなしていたという美貌の持ち主。ジャケット写真からも伺えるようにハーレー・ダヴィッドソンを操る格好良さだけではなく、ハスキーにシャウトし、ソウルフルでダイナミックな歌声がゴキゲンな、実に魅力的なヴォーカリストです。

    ☆

01. About Loving You
02. The Main
03. Just Wana Make Love To You
04. Love Your Lovin' Ways
05. Far From That Man
06. Show Me Real Love
07. Les Anne'es Woodstock
08. Gotta Serve Somebody
09. Ride On
10. Mississippi Rolling Stone
11. Addicted To You

    ☆

 タイトル曲「Mississippi Rolling Stone」は、アイク&ティナの楽曲でティナ・ターナーばりのシャウトを聴かせてくれるし、「恋をしようよ」のタイトルでストーンズ・ファンにはお馴染みのウィリー・ディクソンのスタンダード・ブルース「Just Wana Make Love To You」は、サザン・ロックなアレンジでスティーヴ・シーガルのスライド・ギターが心地よいです。
 そしてアルバム中で一番聴き応えがあるのがボブ・ディランの「Gotta Serve Somebody」。オリジナルが70年代のディランがR&Bへのアプローチとして作った力作で、ナネットが歌い上げるゴスペルはその実力を見せつけます。

「魔性の香り」*池田敏春監督作品

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監督:池田敏春
原作:結城昌治
脚本:石井隆
出演:天地真理、ジョニー大倉、高橋長英、風祭ゆき、鰐淵晴子(友情出演)、青木義朗、斉藤洋介

☆☆☆ 1985年/ディレクターズカンパニー/90分

    ◇

 フリーライターの江坂(ジョニー大倉)は、秋子(天地真理)という名の女と同棲していた。三ヶ月前の土砂降りの日の明け方、五反田近くの目黒川沿いで増水した川に身を投げた女だ。
 彼女には、嫉妬深く暴力を振るう夫がいるが、離婚できないことで大阪から東京へ逃げて来たという。
 ある日、江坂が原稿書きをしていた喫茶店で、よく見かける桑野(斉藤洋介)という男の談笑を耳にする。若い美人の人妻との逢引きの話だったが、女の名前がアキコというのが気にかかった。
 翌日、桑野が自宅のバスルームで殺された。部屋に落ちていた名刺から、滝村豊(高橋長英)という男が参考人として浮かび上がった。彼は、秋子の夫だった。
 江坂は滝村を訪ねると、彼女が話したことが正反対だったのを知る。嫉妬深いのは秋子の方で、滝村と愛人の三代江(風祭ゆき)に暴力を振るっていたのは彼女だったのだ。
 江坂は、桑野を殺したのは秋子ではないかと疑い始める………。

    ◇

 愛するあまり、嫉妬と憎悪が……。
 大都会に棲む男と女が繰り広げる哀しき人間模様。
 男を貶めるために、行きずりの男を殺して罪を擦り付けようとするが、女はその行きずりの男を愛するように………。

  1982年『小説新潮』に発表された結城昌治の短編ミステリーを、石井隆が脚本を書き池田敏春が映像化したエロティック・サスペンスは、70年代の超アイドル天地真理2度目の復帰作として企画された。

 結城昌治の悲劇的な愛憎の諸相は“名美と村木”に通底するものがある。だから出来上がった映像は、どこをどう見ても石井隆の世界に変貌している。 
  
 「秋子」と「アキコ」ふたりの女の存在……“虚実”に振り回される男と“落下するヒロイン”。池田監督の発想にヒッチコックの名作『めまい』があったようだが、それより、石井隆たるところは、短編小説をほぼ原作通りに組み立てるなか、まっしぐらにラストの“落下するヒロイン”へ行き着くために、大胆にも秋子以外に真犯人を登場させた。それにより、秋子の、愛する男への絶望の深さがより深まった。

 オープニングの雨振る線路沿いの橋げた、バスルームでの残殺シーン(今回は粒子の粗いモノクロ映像)、江坂が見る悪夢のシーン………そして、クライマックスのオフィスの芝居は、まるで劇画『雨のエトランゼ』を絵コンテにしたような構図。池田監督は石井隆の世界を知り尽くしている。

 原作の最後の1頁にこんな文章がある。
 「秋子はかすかに笑った。眼も唇も、もう何も夢みていない寂しい笑いだった。」
 秋子の名前を名美に置き換えなかったのが不思議なぐらいだ。

    ◇

 『天使のはらわた・赤い淫画』でのトラブル以来、池田敏春がディレクターズカンパニーに参加したことでいくつかの企画が上がったものの、石井と池田のタッグは長いこと叶わなかった。
 後に、石井隆自らが監督をして一躍その名前を世に知らしめた『死んでもいい』の原作西村望の小説「火の蛾」の脚本も、この時分に池田監督との間で既に書き上げられていた。
 この企画も1985年のお盆映画で始まったものの、紆余曲折して正月番組になった曰くがある。

 嗚呼、それにしても残念なのはストーリーも演出も及第点なのに、寂しさも、憂いもなく、“魔性の香り”さえ漂ってこないヒロインではどうしようもない。
 どこまでも不憫な作品である。