TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

ふたたび、わるいやつら 

 現在放送中のドラマ『松本清張~最終章:わるいやつら』は全8回なので、いよいよ佳境に入り豊美の反撃となるわけで、来週あたりから戸谷をどうやって陥れるのか、誰が本当に“わるいやつ”なのか、原作にどんなアレンジを加えてくるのかが楽しみです。

 チセ役の余貴美子さんは悪役を楽しんで演じている。舞台でやるようなアクの強い芝居に徹しているので、逆に、余計に無気味な感じが出ていてイイです。

 ところで、先にレヴューした映画版『わるいやつら』において、過去のテレビドラマの出演者らを列記したのだが、日テレ版が抜けていたのであらためて明記しておく。
 これは、大野靖子脚本、山根成之監督で1985年に放送されたもので、興味深いのは豊美役をちあきなおみが演じていることだろう。
 原作や映画版と違うところは終盤とラストの豊美の描き方で、今回の米倉版はこれに近いラストになるのではないかと想像するが、この予想、外れて欲しい。


《役名》   ・テレ朝   ・テレ東    ・日テレ
戸谷信一………上川隆也   豊川悦司    古谷一行
槙村隆子………笛木優子   萬田久子    名取裕子
藤島チセ………余貴美子   十朱幸代    加藤治子
横武龍子………小島 聖   広岡由里子   泉じゅん
寺島豊美………米倉涼子   藤真利子    ちあきなおみ
下見沢作雄……北村一輝   内藤剛志    原田芳雄


※テレビ東京“水曜 女と愛とミステリー”2001年4月
※日本テレビ“火曜サスペンス劇場”1985年4月

スポンサーサイト

スリー・ナイツ・アット・ウィンターランド



 オリジナル・アルバムはたったの3枚しかリリースしていないのに、死後、数々の音源が発掘され、また、多くのミュージシャンたちに影響を与え続けているのが、ジミ・ヘンドリックス。

 ジミの数あるライヴ音源の中でも、これまで熱望されながらも叶えられずにいたものが、1968年10月10、11、12日の3日間、サンフランシスコのウィンターランドで行われた計6ステージの記録だ。
 そして遂に、そのウィンターランドの全貌がCD6枚組BOXセットの完全版(全47曲)として2月25日に登場する。
 それも、全世界で2000セットのみの限定で、そのうち日本盤はたったの500セットだという。こりゃあ、とんでもない代物だ。


    ☆

 初めてジミの音に触れたのは中学のとき。たしか、ラジオの深夜番組で聴いた『紫のけむり』だったと思う。それまで、どんな洋楽からも聴いたことのない、荒々しいボーカルとギターの音色にショックを受けたのです。

 最初に購入したのが、シングル・ヒッツを収録したベスト盤『スマッシュ・ヒッツ』だった。同じ頃、友人のW君が2枚組の『エレクトリック・レディランド』を買ったのが羨ましかったです。なにせ、いまでは見ることの出来ない、裸の女性群の写った有名ジャケットだったしね。
 W君とは、それぞれがダブらないようにレコードを買い合い(その多くが輸入盤)、お互いの家のステレオで視聴会を催すことをしていたのだが、初めて同じモノを購入したのが『バンド・オブ・ジプシーズ』だったかな。これだけは手許に置いておきたいレコードだった。

 ウィンターランドのライブを最初に聴いたのは、1982年に2枚組LPで発売されたライブ・コンピレーション・アルバム『炎のライブ(The Jimi Hendrix Concerts)』に収録されていた6曲で、特に、「Little Wing」の美しさと「Hear My Train A Comin」のスリリングな名演に心踊らされたものです。
 この2曲は、3日間のラインナップのなかでも一度しか演奏されていない貴重な音源で、1987年に全ステージの中から11曲をセレクトして発売された『ライブ・アット・ウィンターランド』や、その後、1992年に3曲追加で再発リリースされ、2005年にも『ウィンターランド・ナイト』として新たにリリースもされたアルバムにも収録されなかった。
 今回、完全版においてリマスターされた音で聴けることが、とても嬉しい。

    ☆

 ジミのライブで、お気に入りが3つある。
 1969年のロイヤル・アルバート・ホールでのステージ。1969年大晦日のフィルモア・イーストでのライブ。そして、絶頂期のジミが、リラックスしたジャムセッション風な雰囲気で乗りまくったプレイを聴かせてくれる、このウィンターランド。 
 これまで完全版ではないにしても、フィルモアもロイヤル・アルバート・ホールも大幅に曲数を増やしてリマスターされたなか、やっとウィンターランドの完全版がリリースされることは、まさに快挙。涙モノなのです。


    ◆

[曲目]

「午前1時のスケッチ」カルメン・マキ&OZ



 この1枚のレコードから、日本のロック史において屈指のロック・クイーンが生まれた。
 カルメン・マキだ。

 いきなりハードなギターリフから始まり、伸びやかに歌い上げるマキのヴォーカルが被さる。この1曲のなかに、パワフルなシャウトと、スローに情感たっぷりな歌いまわしをするカルメン・マキの特異さを聴くことができる。
 ブラック・サバスやユーライア・ヒープ然としたブリティッシュ・ハード・ロックのサウンドと、強烈にシャウトする日本語の歌詞。完成度の高い演奏と、確かな歌唱力を持った女性ロック・ヴォーカリストのバンドは、日本のロック界に大きな足跡を残した。


    ☆

 カルメン・マキは、寺山修司の劇団『天井座敷』の舞台「書を捨てよ、町に出よう」('68)で初舞台を踏み、翌年、歌手デビュー曲「時には母のない子のように」が大ヒットして、アングラのヒロインとして注目された。1970年に発売された天井座敷レーベルの第1回作品『初恋地獄篇』のライナーノーツによると、いつも裸足で髪を長く伸ばし、バラの花を持って歩いていることから“カルメン”とニックネーム(本名をMaki Annette Lovelaceといい、日本名は伊藤牧)を付けられ、それを芸名にしたと書かれている。アイルランド系アメリカ人の父親と日本人の母との間に生まれたハーフだけあって、独特な雰囲気を持っていたのは間違いない。

 アングラ・フォーク歌手として扱われていた彼女は、1970年、ジャニス・ジョプリンの音楽と出会うことで、ロック・シンガーを宣言。当時、日本のロックバンドとして実力を誇っていたブルース・クリエイションとのコラボレーションで、1971年9月にアルバム『カルメン・マキ&ブルース・クリエイション』をリリースした。
 発売前の8月には、第3回全日本フォーク・ジャンボリー(通称:中津川フォーク・ジャンボリー)のステージにも立ち、これが、“ロック・シンガー”カルメン・マキのお披露目でもあった。
 この時のライブは、URCからリリースされた『白熱のブルース・クリエイション』で聴くことができる。

 1972年、当時18歳のギタリスト春日博文を誘い、バンド“カルメン・マキ&OZ”を結成。ただし、春日以外のメンバーは流動的(一時期ドラムにはブルース・クリエイションの樋口晶之もいたようだ)で、活動も困難な状態から始まっている。後の春日博文の発言によると、悪徳プロダクションによるキャバレーまわりなどを強要されたりしており、かなり悪戦苦闘する船出だったようだ。

 そして1974 年、この『午前1時のスケッチ』がレコーディングされた。

 この時もメンバーは固定されたものではなく、ジャケット写真にはカルメン・マキと春日博文のふたりしか写っていない。シングルのジャケット表記によると、マキと春日以外はドラムに西テツ(西哲也)、ベースに鳴瀬ヒロ(鳴瀬喜博)、キーボードに深町純がサポートとして参加しており、この後、古田宣司(ドラム)、千代谷晃(ベース)、石川清澄(キーボード)のメンバーで、1stアルバム『カルメン・マキ&OZ』がレコーディングされている。
 ただし、翌年の2ndアルバム『閉ざされた町』では、またまたメンバーチェンジが行なわれており、解散までの5年間において激しいメンバーチェンジが繰り返された。
 実質“カルメン・マキ&OZ”というバンドは、マキと春日博文とのユニット・バンドだったと云えるのだろう。


    ☆

 2月28日発売予定の『Hotwax vol.7』において、カルメン・マキの特集が組まれている。
 日本ロック界に刻んだ女性ロッカーとしての確かな足跡を、再確認するための特集として期待したい読み物です。


    ☆


初恋地獄篇
かもめ (歌:カルメン・マキ)


カルメン・マキ/ブルース・クリエイション
01. アンダースタンド
02. アンド・ユー
03. ロード、アイ・キャント・ビー・ゴーイング・ノー・モア
04. 空しい心
05. 母のない子
06. 今日を生きられない
07. ミーン・オールド・ブギ
08. セント・ジェイムズ病院


白熱のブルース・クリエイション
01. ROLLING STONE
02. 悪い夢
03. DRINKIN' BLUES
04. 悪魔と11人の子供達
05. UNDERSTAND(feat:カルメン・マキ)
06. TABBACO ROAD

恋の芽ばえ~倍賞美津子 夜のムードをうたう~



 日本クラウン・レコードの紙ジャケット・シリーズとして、大女優・倍賞美津子のオリジナル・アルバムが、完全復刻の初CD化として発売されています。初回限定盤です。

 松竹の森崎東監督の一連の喜劇シリーズで看板女優になり、その後、今村昌平、黒沢明、神代辰巳、五社英雄など名監督のもとで、数多くの作品で存在感を示してきた倍賞美津子。
 姉の倍賞千恵子が自分の映画人生に『男はつらいよ』といったライフワークを持ったのとは反対に、倍賞美津子は、肉体的にも声質でも姉と違う資質をいかんなく発揮し、幅広い役柄を演じてきた。その出演作のヴァラエティさを見れば凄さがわかります。

 最近では、森崎東監督の映画『ニワトリはハダシだ』('04)での在日朝鮮人の役や、2007年放映中のテレビドラマ『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン』や、秀作ドラマ『瑠璃の島』('04)での母親役など、女性の逞しさと、男の弱さを優しく包み込む女性というのが凄く似合う彼女。そんな、イイ女っぷりが魅力です。

 松竹歌劇団(SKD)出身の彼女は、20歳のとき映画デビューより先に歌手としてデビューし、十数枚のシングルを発売しており、この『恋の芽ばえ~倍賞美津子 夜のムードをうたう』は1969年23歳時の歌声で、映画女優が歌う歌といったレベルではなく、確かな表現力を持った実力派として聴くことが出来ます。

 この年は弘田三枝子『人形の家』、奥村チヨ『恋の奴隷』、森山良子『禁じられた恋』、千賀かほる『真夜中のギター』などのヒット曲が生まれています。


    ☆    ☆

[収録曲 ]
01. 恋の芽ばえ
02. 愛あるかぎり
03. 時計をとめて
04. 誘惑
05. 今日でお別れ
06. 夜のピアノ
07. つめ
08. 耳を噛まずに
09. 別離
10. ベッドで煙草を吸わないで
11. あなたの匂い
12. 煙草のけむり



 シングル曲として先に発売された『恋の芽ばえ』は、奥村チヨ的な8ビートの和製ポップスで断然にいい。シングル盤ではグラマー女性を全面に出したジャケットも素敵です。
 このアルバムの表ジャケットのような清楚な雰囲気とは違い、そのピンナップ・ガール風の写真は、見開きアルバムの中ジャケ写真に別ポーズが使用されています。

 『恋の芽ばえ』のB面曲『耳を噛まずに』や、鏑木創作曲の『夜のピアノ』も秀逸。

 『時計をとめて』『つめ』『ベッドで煙草を吸わないで』『今日でお別れ』『煙草のけむり』などベテラン歌手が歌う大人の女の歌も、表現力では決して負けない歌唱力で聴かせてくれます。

「リオの嵐」*アンドレ・ユヌベル



FURIA A BAHIA
監督:アンドレ・ユヌベル
脚本:アンドレ・ユヌベル、ピエール・フーコー、ジャン・アラン
撮影:マルセル・グリニヨン
音楽:ミシェル・マーニュ
出演:フレデリック・スタフォード、ミレーヌ・ドモンジョ、レイモン・ペルグラン、ペレット・プラディエ、アニー・アンデルソン、フランソワ・メーストル、ジャック・リベロル、ギイ・ドロルム

☆☆☆ 1965年/フランス/110分

    ◇

 この『リオの嵐』は、フランスの推理作家ジャン・ブリュス原作の“OSS117”シリーズのひとつで、1960年代のスパイ映画全盛時の作品。
 現在の中央情報局“CIA”の前身で、“OSS”という第二次世界大戦時の情報機関“戦略活動機構”の局員が主人公のスパイ・アクションで、『ファントマ危機脱出』のアンドレ・ユヌベル監督がお気に入りのミレーヌ・ドモンジョをヒロインにして製作された。

Demongeot_1.jpg

 主役のフレデリック・スタフォードは、これがデビュー作となる。彼はこの後、アルフレッド・ヒチコック監督のポリティカル・スリラー『トパーズ』('69)の主役に抜擢され、同じようにフランスの諜報員の役を演じていた。


 スイスのスキー場で休暇中だったアメリカの秘密情報部員“OSS117”ユベール(フレデリック・スタフォード)が、南米各地で勃発する謎の爆発事件を解明するため、リオ・デ・ジャネイロに派遣される。
 空港に着いた途端に何者かに狙われるユベールは、現地の工作員トーマスの協力を得ようとするのだが、既に彼も命を狙われており、ケガをして入院している病院へ出向く。そこでアンナ・マリア(ミレーヌ・ドモンジョ)という美人と知り合う。
 敵は、麻薬によって人を操り世界征服をしようとする組織。
 マリアの友人レアンドロ(レイモン・ベルグラン)の案内で、人跡未踏のジャングルの奥地にある敵組織の本拠地を探索するが、実はレアンドロは敵組織の一員で、ユベールとマリアは敵に捕まってしまう。
 しかし、レアンドロが組織を裏切り、ユベールを脱出させ、軍の介入などのアクションの末、組織のボス・カルロス(フランソワ・メストル)はマリアを拉致して河へ逃げる。ユベールはセスナ機で追跡。大胆にもセスナ機から飛び下りるユベールは、無事マリアを救出して大団円となる。

 マルセル・グリニヨンの美しいカメラワークが、風光明媚なリオ・デ・ジャネイロの街や港の風景をふんだんに魅せてくれる。
 後半は原題のバイヤ洲のジャングルが舞台。“イグアスの滝”で丸太舟が転覆して、ヒロインのドモンジョが激流に流されるクライマックスには息を飲むほどの迫力があり、当時この映画を観て、南米のジャングル探検に行ってみたいと、本気で思っていた。

Demongeot_2.jpg

   ◇

 1963年に、イギリスでイアン・フレミング原作の『007は殺しの番号』(原題の“ダブルオーセブン・ドクター・ノオ”と言うより、この“ゼロゼロセブン~”という邦題の方が親しみある)が製作されてから、世界中でスパイ映画が流行となった。

 アメリカで製作されたスパイ映画は、テレビドラマにもなった“0011/ナポレオン・ソロ”シリーズ(全8作)、ジェイムズ・コバーンの“電撃フリント”シリーズ(全2作)、ディーン・マーチンの“マット・ヘルム”シリーズ(全4作)といった、コメディとお色気度が強いもので、いかにもハリウッド製らしい派手な映画が多かったように思う。

 “007”シリーズと同じイギリス映画では、ジェームズ・ボンドと同じ英国情報部のエージェントを主人公にした『殺しの免許証〈ライセンス〉』('66)と云う映画が印象的だった。
 エレキ・ギターが刻むビートがカッコいいテーマ曲と、主人公が携帯するモーゼル712でのガン・ファイトは見応えがあり、当時この映画の影響でモデルガンを集めるようにもなった。





テレビが壊れた。

 今朝、『サンデー・モーニング』を見ようとスイッチを入れたが、音声は流れても画面が真っ暗なままなのだ。
 なんてこったい。ブラウン管がイカれたようだ。
 昨晩のBS2『ゴールデン・グローブ賞』では何ともなかったのに。壊れる時は早いね。

 2011年からのオールデジタル放送なんてこともあるのだから、いつかアナログテレビは買い替えなくてはと思っていたが、使えるテレビを買い替えるのには抵抗があった。
 丁度いい買い換え時ってことなのだろう。

 さて、買い替えるとなったら、問題はサイズ。
 今までは4:3モデルの29インチテレビだったので、ワイドビジョンでも画面サイズをそれよりも小さくはしたくなかった。
 しかし、薄型になったとはいえ、ワイドになるのだから置き場に困るのだ。
 テレビを乗せるレコードラックの上は、DVDプレーヤー、レーザーディスクプレーヤー、ビデオデッキ2台、CDプレーヤー、カセットデッキ、そして大型のサラウンド・アンプ1台が占めている。テレビを置く場所は限られているのだ。
 デッキ類の置き方を工夫してみて、左右86センチのスペースを作ってみた。

 早速、近所にある大型家電店に行き物色。なんとか32 インチでいけそう。
 さて、どこのメーカーにする?
 大型液晶テレビは、シャープの亀山モデルがいいのかなと漠然と考えていたのだが、東芝も捨てたものではなかった。300GBのハードディスクが内蔵されている。DVDも東芝は性能や評判がいい。画面二分割もいろいろ機能がついている。面白そうだ。
 
 説明を聞きながら、他メーカーと比べたりで1時間。大型家電店って、結構楽しい。

 で、決めたのは、東芝の〈レグザ〉200シリーズ。シャープよりHDDのぶん割高だが、工事費とリサイクル費を入れてかなり勉強してくれた……。
 液晶テレビってかなり安くなったよな。

 納品は土曜日だ。
 今週分の連ドラは録画予約をしてあるので安心だが、それまでテレビのない生活かぁ。テレビ好きのぼくには、耐えられないなぁ。小さなテレビが1台はあるのだけど、衛星やWOWOW は見られないし、DVDも見ることが出来ないのだからね。

 それでは、音楽と読書の1週間にでもしましょうかね。

超・電気歌手! 緑川アコ



 P-VINE RECORDS の“幻の名盤解放歌集*コロンビア篇”として『緑川アコ/酔いどれ女の流れ歌』が発売された。

 いやぁ、まさか緑川アコの歌をCDで聴くことができるなんて思いもしなかった。
 
 去年の春先、テレビ東京系の昭和歌謡番組にいきなり登場して『カスバの女』を熱唱していた。一昨年の暮れの番組にも出演していたようだが、それは見逃していた。
 テレビで歌う緑川アコを見るのは、やはり同じような番組で20年ぶりにテレビで熱唱した梶芽衣子以来の強烈さだった。

 本格派歌手のヌードジャケを紙ジャケ復刻するのも、歴史的事件ではないだろうか。なにせ、このジャケット・アルバムを手に入れることなど、今や不可能と云われている。
 まさに“幻の名盤”の真打ち登場と云ったところ。

 これまでの谷ナオミや池玲子、桑原幸子、應蘭芳、田口久美らのヌード紙ジャケットは女優もの。歌は二の次で、悶えや語りのオンパレードであって、まぁ、それはそれなりに嬉しいものでもあるのだが、いかんせん歌を聴くことができなかった。
 あくまでジャケ蒐集の対象でしかなかったのだが、この緑川アコは違う。 
 美しいヌードジャケ(撮影は大竹省二)として、見て良し、聴いて良し。快感に堕ちること間違いなし。
 ディープ歌謡、やさぐれ歌謡として、これ以上のものはなし。


収録曲
01. 酔いどれ女の流れ歌
02. 女のブルース
03. ふたたび夢は夜ひらく
04. 命かれても
05. カスバの女
06.新宿ブルース
07. 波止場女のブルース
08. 女の意地
09. 新宿の女
10. 星の流れに
11. 裏町番外地
12. 新宿仁義


 緑川アコといえば『夢は夜ひらく』と『カスバの女』だろうか。
 『夢は夜ひらく』は、1966年に各レコード会社の競作作品として何人かの歌い手により世に出た。中でも園まりと緑川アコの2作が競い合っていたのだが、当時、中学生には緑川アコの妖しさより優しいお姉さん的な園まりの歌の方が好きだった。この後、藤圭子が『圭子の夢は夜ひらく』として大ブレイクさせたわけで……。緑川アコの歌唱は、藤圭子よりももっとダーク。
 梶芽衣子の『怨み節』や北原ミレイの『ざんげの値打ちもない』のような、怨歌の時代を先駆けていたような、まさに怨み節。
 その独特なコブシ回しと低くドスの効いた声は、一度聴いたら忘れられないだろう。
 
 大ヒットの『カスバの女』も競作作品で、当時は緑川アコと竹越ひろ子の歌唱が双璧だったろうか。
 ちあきなおみも素晴らしい歌声を聴かせているが………。

 このアルバムに収録されている『夢は夜ひらく』は、オリジナルのアコ・ヴァージョンではなく『圭子の夢は夜ひらく』の方で、歌詞がまったく違う。で、他にも藤圭子の『女のブルース』『新宿の女』などをカバーしているのは、ブレイクした藤圭子を意識した企画アルバムだったのだろう。

 『酔いどれ女の流れ歌』は森本和子でヒットしたみなみらんぼうのデビュー作。個人的には、女優の橘真紀の歌唱が好き。

 さて、かなり波瀾万丈な人生をおくってきた緑川アコ……歌唱に関してもかなり怖い。初めてのひとは覚悟して聴くこと……(笑)